血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

13年ジャパンカップ海外馬

2013-11-23 15:34:26 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、近日行われるジャパンカップに出走予定の海外馬について簡単に考察をしてみたいと思います。


Dunaden ドゥーナデン(Nicobar×La Marlia-Kaldounevees)牡・06生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=221053

主:6 結:4 土:5 弱:6 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:5
合計:37点 クラス:3B 芝:9~15F ダ:~9~F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 
芝適性:○ 砂適性:△ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:× 距離延長適性:○

 主導は、Grey Sovereign6×6の系列クロス。その父Nasrullahを8連抱え血統全体をリードしている。しかしながら当馬の血統においては、Northern Dancer5×6やKlairon5×6の中間断絶クロスも強い影響を持ち、極めて強力にとはいかなかったのが惜しまれる点である。
 また、主導たるGrey Sovereignが6代目までに存在するクロスをまとめ切れていない点も指摘でき、この部分でも決して高い評価はできないものの、前述したNorthern Dancerが結合面においてはかなりのサポートしているのは、痛し痒しと言ったところか。
 しかしながら、Grey Sovereignのスピードを中核に、Klairon・Vieux Manoir・ヴィミー~Wild Riskのスタミナを補給したのは大きなアドバンテージを与えてくれていると考えられる。本質的には、中~長距離において厳しい流れを押し切れる血統構成だと言えるだろうか。

Simenon シメノン(Marju×Epistoliere-Alzao)セン・07生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=239125

主:5 結:4 土:4 弱:5 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:4
合計:33点 クラス:2B 芝:9~12F ダ:8~11F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:× 距離延長適性:○

 主導は、Court Martial6×5の系列クロス。当馬の血統構成はPharos(=Fairway)系が強い血統の為、この主導は悪くはないものの、Northern Dancer4×4も強い影響を持つために極めて強力に血統をリードする事は出来ていない点は惜しまれる点である。
 また、血統全体の結合力も決して強固とは言えず、この部分が当馬の限界点を端的に示していると言えるだろうか。
 しかしながら、主導たるCourt Martial(Hurry Onが生きた為にスタミナ勢力へと能力変換をしている)を初めとして、Hyperion・Sir Gallahad・Princequilloと生きたスタミナ勢力は強靭で、若干スピードには劣るものの、スタミナといった個性は感じる事のできる血統構成である。本質的なステイヤーとは言い難いものの、中距離で長い脚を使える可能性を秘めていることは指摘しておきたい。

Joshua Tree ジョシュアツリー(Montjeu×Madeira Mist-Grand Lodge)牡・07生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=204784

主:5 結:4 土:4 弱:5 影:2 質[近]:3 質[遠]:3 SP:3 ST:4
合計:33点 クラス:2B 芝:9~12F ダ:8~11F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:普通 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:○ 距離短縮適性:△ 距離延長適性:□

 主導はNorthern Dancer3×5・5の中間断絶クロス。この主導はかなり明瞭に見えるが、当馬の血統においてはTurn-toを伴うHail to Reason5×7や、Lalun5×6の中間断絶クロスもかなり強い影響を持ち、煩雑な血統構成であると言わざるを得ない。ただし、少なからず幸いだったのは、これらのクロスは父父であるSadler's Wells内に存在し、結果的にSadler's Wells内に血を集合させた点で、決して褒められた状態でこそないものの、これらのクロスはしっかりと能力形成にかかわっていると言えるだろう。
 また、血統全体の結合は近親度が強い為にそれなりに良好でこそあるものの、決して強固ではなく、影響度バランスも大きく崩れているのが見て取れるだろう。
 ただし、前述したように強調されたSadler's Wellsはほぼ全開し、好調期においては強い競馬を見せることが可能だとも考えられる。
 本質的には、中距離を得意とするタイプだが、ムラな部分を秘めている事は指摘しておきたい事実である。


 今回は簡単にですが、ジャパンカップに登録された海外馬を血統面から振り返ってみました。簡単にですがご容赦ください。

プレイアンドリアル

2013-11-23 13:00:37 | 11年生
プレイアンドリアル(デュランダル×シルクヴィーナス-ティンバーカントリー)牡・11生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=237551

主:6 結:5 土:4 弱:4 影:1 質[近]:2 質[遠]:3 SP:5 ST:3
合計:33点 クラス:2B 芝:5~9F ダ:5~8F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 
芝適性:□ 砂適性:○ 重馬場適性:○ 距離短縮適性:◎ 距離延長適性:□


○ 主導   (6)

 主導はNearctic5×5・6を伴う、Northern Dancer4×4の系列クロス。主導勢力であるNearcticは、その父Nearco及びその母Lady Angela共に系列クロスを形成し、当馬の血統構成において、支配的なNearco~Pharos(=Fairway)系とHyperion~Gainsborough系を極めて強固に結合し、血統をリードしている。しかしながら当馬の血統構成において、主導勢力である、Northern Dancer~Nearcticは血統の2ブロック(父母及び母母)にしか存在せず、血統全体を極めて強力にリードする役割としては不満が残り、惜しまれる点である。

○ 結合   (5)

主導たるNorthern Dancerと、6代目までに存在するNearctic~Nearco、Lady Angela
~Hyperion、Native Dancer、Almahmoudは主導勢力に含まれ直接結合を果たしている。また、Olympia・KhaledはHyperionを通じ、NasrullahはNearcoを通じ、Tom FoolはPharamondを通じ結合を果たしている。近親度が高い為に当たり前ではあるが、強固に結合をはたしているとは言えるだろう。
 しかしながら、7代目以降に強いMan o'War系やTeddy系などの米系の取り込みが、間接的に行われ、しかも9代目にてかろうじて結合しているのは、近親度の強さを鑑みるに惜しまれる点ではあるだろう。

○ 土台   (4)

 土台構造は、Gainsboroughが19ヶで形成し、またPharos(=Fairway)が13ヶでアシストしているため、比較的強固だと考えてよい。

○ 弱点   (4)

 血統全体においてこれといった弱点や欠陥は存在しない。ノーザンテースト内Victoria Parkの欠陥もGallant Fox(=Fighting Fox)が8代目においてクロスし、Tom Foolを通じてかろうじてではあるものの、主導と連動したのは大きな幸いだと言えるだろう。
 ただし、かろうじてと言える部分も多く、その部分の穴埋めをしたのが前述した、結合の弱い米系であるのが多い為、決して万全とは言い難いのもまた指摘しておきたい。

○ 影響   (1)

 影響度バランスは(4-16-5-11)と、大きくバランスを崩している。主導たるNorthern Dancerが存在するブロックを強調できたのは幸いだが、安定感には乏しいと言えるだろうか。

○ 質[近]  (2)

 近い世代の血の質は決して高いとは言い難いが、サンデーサイレンスやティンバーカントリーなど、質の高い血も混合しているのは、幸いだと言えるだろう。

○ 質[遠]  (3)

 クロス馬の血の質は、主導たるNorthern Dancerを初めとして決して低くはない。ただし、Lady AngelaやAlmahmoudも強い影響を持った点を考えると、平均からやや良いといったレベルに落ち着くと考えられる。

○ スピード (5)

 主導たるNorthern Dancerは本来中距離向きのスタミナ血統だが、当馬の場合、Lady Angela、Almahmoudを初めとした短距離向きのスピードのアシストが非常に豊富で、本来の能力よりもスピード向きの効果を発揮していると考えられる。また、Nasrullah、Tom Foolもそのアシストをしているのが見て取れ、豊なスピードを秘めた血統構成だと言えるだろう。

○ スタミナ (3)

 Olympia及びHyperionを中核にした配合だが、この両者はLady Angelaの影響から強固なスタミナ系としての機能は低下していると考えられる。決して劣悪とは言えないものの、スタミナ面においては不安の残る血統構成だと言えるだろう。


 総合的に見ると、近親度の高さから生じるバランスの悪さは否めない配合で、その部分が当馬の血統構成の限界点を端的に示していると言えるだろう。また、スタミナの核の不足から、距離延長への適性は決して高いとは言い難い点も付け加えておきたい事実である。
 しかしながら、その豊なスピードは主導たるNorthern Dancerへと上手く流れているのはしっかりと見て取ることができ、バランスの悪さから長いとは言い難いものの、好調期においては強い競馬を見せる可能性もまた、秘めていると言えるだろうか。