血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

13年・ヴィクトリアマイル

2013-05-14 18:43:17 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、先日行われたヴィクトリアマイルの上位馬や人気馬、及び見所がある配合馬を取り上げてみたいと思います。簡単にではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。


ヴィルシーナ(ディープインパクト×ハルーワスウィート-Machiavellian)牝・09生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=214622

主:5 結:5 土:3 弱:5 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:3 ST:4
合計:33点 クラス:2B 芝:8~11F ダ:7~9F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導はNorthern Dancer5×4。母方Natalma~Almahmoudと系列クロスを形成し、比較的明確にリードしているように見える。しかしながら、Haloが3×4・5とクロスしNorthern Dancerと同様にAlmahmoudから系列クロスを形成した為に、かなり主導の明確性を乱している。反面、結合面において、Haloが欧米系を上手く統合し、AlmahmoudやNearcoによって強固に連動している、Northern Dancerをうまくアシストしているのが見て取ることができる。この両者が連合勢力であるとは、言い難いものの上手く機能しているとも言えるだろうか。ただし、強調点がぼやけているとも言える為に、詰めは甘い血統構成だと言うのは指摘しておきたい。
 また、それぞれ中間断絶クロスであるものの、Wild Risk・Pocahontasがスタミナの核を形成したのは幸運で、粘りあるスピードを発揮可能で、牝馬にしては不利なタイプだと言えるが、本質的にはマイル~中距離馬だと考えられるが、自分で競馬を作る強靭さをもちあわせていると言えるだろうか。

ホエールキャプチャ(クロフネ×グローバルピース-サンデーサイレンス)牝・08生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=209387

主:5 結:4 土:2 弱:4 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3 特:1(主導牝馬クロス Almahmoud)
合計:29+1点 クラス:2B 芝:5~8F ダ:5~7F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

 主導はAlmahmoud7×5の系列クロス。次いで、Hail to Reason6×4の中間断絶で血統をリードしている。両者の相性はGainsborough・Fair Playを共有するが、近い世代での連動性は低く、決して良好とは言い難いのが惜しまれる。また、両者と傾向が全く異なるBlue Moon(=Blue Grotto)が5×7と中間断絶ながら、かなり強い影響を持ったのは当馬の血統構成を考える上で明らかにマイナスで、The Tetrarchで結合こそするものの、できるならこのクロスは無い方がよかった。
 また、血統の奥ではあるものの、5連存在するMan o'Warを筆頭に、米系統が強い血統構成で、これら米系のクロスは、主として間接的にではあるが主導たるAlmahmoudへと結合している為に、ダートや重馬場は得意とする血統だと考えて良い。
 しかしながら、これといったスタミナの核の形成には失敗している為、距離は伸びれば伸びる程不利だと考えて良く、マイル適応がギリギリ可能な芝・ダート兼用のスプリンターだと言えるだろうか。

マイネイサベル(テレグノシス×マイネレジーナ-サンデーサイレンス)牝・08生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=209672

主:6 結:5 土:3 弱:5 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:3 ST:4
合計:34点 クラス:3B 芝:9~12F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導はNorthern Dancer4×5の中間断絶。その中の、Almahmoud6×5・7及びLady Angela5・6×7の系列のクロスで実質的に血統をリードしている。この主導は比較的明瞭な主導で、父母共にGainsboroughの流れが強い、当馬の血統を上手くリードしている。
 また、この日本向きの素軽いスピードをNasrullah・Tom Foolの系列クロスがスピードをアシストし、Prince Roseを伴うPrincequillo6×6がそのスタミナをアシストするなど、血統全体の連動性もかなり良好で、この部分が当馬の能力の源泉だと考えて良い。
 従って、父ほどのシンプルな血統構成では無い為、差し脚によさがあるタイプだとは言えないものの前述したPrincequilloの生かし方は、これ以上無いほど素晴らしく、本質的には中距離馬だと考えてよいものの、12F克服は十分に可能。更に、血の質自体は決して高く無いものの、自力勝負可能な血統構成だと言え、ある程度の成長力も期待できるだろう。

ジョワドヴィーヴル(ディープインパクト×ビワハイジ-Caerleon)牝・09生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=215093

主:6 結:6 土:4 弱:5 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:37点 クラス:3B 芝:8~12F ダ:8~11F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導は、Turn-toを伴うHail to Reason4×5及び、Sir Gaylord6×4。この両者は、その父Turn-toによって強固に結合し、連合勢力と言える明確性は無いものの、協力に血統をリードしている。ただし、当馬の血統においてはAlmahmoud5・7×6やCourt Martial6・7×5の影響が強く、極めて明瞭にとはいかなかったのが惜しまれる点である。
 しかしながら、生かされたスピード・スタミナ勢力は非常に強靭で、スピードはAlmahmoud・Pharamond(=Sickle)・Fair Trial。スタミナは、Princequillo・Court Martial・Hyperion・Feolaと隙が少ない。牝馬としては非常に重厚で、開花には時間を要すると考えられるものの、完全開花した場合、相当の迫力を見せる事ができるはずで、自ら競馬を作れるタイプだと言えるだろう。
 また、半姉のブエナビスタ(2B級)と比較した場合、当馬の方が複雑な血統構成をしている為に開花率自体は低いと考えられるが、純粋な血統構成面からの考察では当馬の方が、圧倒的に上であることを付け加えておきたい。

アドマイヤセプター(キングカメハメハ×アドマイヤグルーヴ-サンデーサイレンス)牝・08生

主:6 結:5 土:3 弱:6 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:35点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導は若干不明瞭ながら、Hornbeam6×5の系列クロス。次いで、Almahmoud7・7×5・7で血統をリード。更に、中間断絶ではあるが、Northern Dancer5・5・7×5も作成された為、かなり不明瞭に見えはするものの、Gainsborough系の流れが血統全体でよく生かされており、その意味においてもHornbeamが主導だと考えられる。惜しむらくは、前述したNorthern Dancerクロスの派生で、結合面から見たときには決して不要とは言い難いものの、出来ればこのクロスは作成しない方が良かった。
 生かされたスピード・スタミナ勢力はなかなかに強靭だが、本来強烈なスタミナ勢力として機能するHornbeamは、当馬の血統構成上8連存在するNasrullah(=Rivaz)から相当のスピードをアシストされている為に、スタミナ勢力としての機能がやや減少していると考えられるのが惜しまれる。しかしながら、これといった弱点が無い点や、良好な影響度バランスから推察するに、開花した場合の能力発揮を安定しておこなえるタイプだと言えるだろう。
 また、本質的には中距離馬であるものの、スピードの引き出しに成功すればある程度の距離短縮に対応できると考えられる事を指摘しておきたい。


 今回の血統徒然草は、先日行われたヴィクトリアマイルにおいての上位馬と人気馬、及び見所のある血統構成馬を取り上げてみました。簡単にではありますが、今回はこんなところで。


コメントを投稿