血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

サイレンススズカ×ロンドンブリッジ

2018-05-09 16:19:33 | 仮想配合
(サイレンススズカ×ロンドンブリッジ-ドクターデヴィアス)-・-生

5代血統表:
http://www.jbis.or.jp/topics/simulation/result/?sire=0000282236&broodmare=0000293158&x=56&y=1

主:8 結:6 土:2 弱:5 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:39点 クラス:1A 芝:7~11F(9F) ダ:6~10F(8F)
日本適正:□ 成長力:◎ 成長型:普通 開花率:□
芝適正:〇 ダート適正:〇 重馬場適性:〇
距離短縮適正:〇 距離延長適正:□

○ 主導   (8)

主導は、父の傾向と異なり(父はTurn-toに血集合させ、Sickle=Pharamondを主導とした形態。)祖父サンデーサイレンス産駒に多いAlmahmoud5×6・7の系列クロス。傾向が異なるとは言うものの、血統内に強いGainsborough系の流れをしっかりと汲み、祖父サンデーサイレンスを強調した為、この主導は比較的有効だと考えられる(同配合で多数派なのはPharos系だが、圧倒的多数派では無い点と、父の主導であったSickle=Pharamondも再度クロスし、Nearco内Spearmintを通じ結合した為にさほどのマイナスでは無いと考えられる。また、母の主導となったPrince Rose系も再度クロスさせている点を踏まえると、父母の傾向をある程度引き継いでいると見てよい)。

○ 結合   (6)

 主導たるAlmahamoudと6代目までに存在するクロスであり、父の主導であったSickle=Pharamondは、祖母内Nearco内Speamintを通じて、母の主導勢力であったCherokee Roseの系列クロスは、Blandfordを通じてそれぞれ結合を果たしている(この観点からも父母の傾向を引き継いでいると見てよい)。また、Banish Fearは本来結合しにくい米系のBlue Leakspurを含みSpearmintを通じ、Native DancerはSickleを通じ母Nearcoを結合の軸にする形態を作り上げている。また7代目以降においても結合力は強固で、特殊な仏系であるDejbel~Tourbillonを9代目になるもののGay CrusederによりPrincequilloを通じ非常に間接的であるものの主導と連動させ、そのスタミナを吸い上げる事に成功したのは、一見の価値があると考えてよい。この世代の配合馬としてかなり強固な結合状態を形成している。

○ 土台   (2)

 土台構造はBlandfordが9ケで形成し、Gainsboroughが10ケでアシストする形態。決して強固ではないものの、全面でクロスした各系統の結合力から見て、やや弱いものの安定感はあるか。

○ 弱点   (5)

 母父内Quaker Girl内に弱点を派生している。派生させてはいるものの母父の影響度が0である点や、9代目においてFairway・Sorario・Teddy・Hyperion等6ケクロスさせたため非常に軽微と見てよく、それ以外の弱点・欠陥の派生は無い事から、全体的に見て良好であると考えてよい。

○ 影響   (3)

 影響度バランスは(5-3-0-4)と、母父内の影響度0が目につくが、母父内は主導たるAlmahomudを配しただけでなく、当馬の血統構成上重要な血が7代目に満遍なく配されている為、しっかりと能力参加していると考えられ、総合的には良好な部類に入ると考えてよい。

○ 質[近]  (3)

 近い世代の血の質はかなり高い(父サイレンススズカ=2A 母ロンドンブリッジ=1A)。その傾向を引き継いだ事から、底力勝負が十分に可能な血統構成。

○ 質[遠]  (4)

 主導たるAlmahomudの質は決して高くは無いが、サポートした血の質は高く、総合的に見ると良好な部類に入ると考えてよい。

○ スピード (4)

 主導たるAlmahomudを中核に、9連あるSickle=Pharamondがアシストした形態。種類としては少ない為、器用なタイプになるとは言い難いものの、ストレートにそのスピードを発揮できると考えられる。

○ スタミナ (4)

 母の主導勢力であったPrince Rose系Cherokee Rose=Howを中核にした配合。決して長距離向きのスタミナを補給したものではないものの、完全開花した場合中距離向きの粘りあるスタミナを発揮すると予測される。また、仏系のDejbel~TourbillonもPrincequilloを通じそのスタミナを補給しているのはプラス。


 当馬の配合は、サイレンススズカがもし無事に繁殖入りしたと考えた場合、多数派になりがちなタイプだとは言えませんが(もし、父が種牡馬としてアトランダムな配合を行った場合、多数派になるのはAlmohmoud主導にNasullhaのスピードを補給、Nashua~Nasullah主導、Turn-toを伴うHail to Reason主導等が考えられます。もしくはその複合。)、父のもつその血の優秀性およびスピードをしっかりと再現した内容となっています。また、母ロンドンブリッジが持つ特殊な形態をも再現したのは一見の価値があると思います。仮に当該の配合が試されて完全開花した場合、12Fの克服は展開の助けが必要だったかもしれませんが、10F前後ならば父を彷彿とさせる競馬を見せてくれたかもしれません。
 
 父であるサイレンススズカは、その圧倒的なスピードを血統の奥にあるスタミナで支える事に成功した血統構成で、祖父サンデーサイレンス産駒において唯一の、公式2A評価馬でした。もし、あの沈黙の日曜日が訪れなければ、彼の未来はどうだったのでしょうか。
 サイレンススズカは、「あの馬に勝つためには、勝負を度外視してスプリンターを用意して、鈴を付けにいくほかない」と言われる程の、高速の大逃げという戦法を選び「音速の貴公子」、「永遠の逃亡者」等の異名を得た異端の競走馬でしたが、血統表から見ても父サンデーサイレンス産駒の大多数が選ぶ二つの道である、Almahmoud主導、Hyperion主導を選ばず、極めて少数派である第三の道…Turn-toに血集合させ、Sickle=Pharamondを主導とする、狭き道を選んだ孤高の配合馬であったことを、蛇足だとは思いますが付け加えておき、今回は筆を置きたいと思います。

パーソナルラッシュ×ホクトベガ

2018-02-18 16:07:46 | 仮想配合
(パーソナルラッシュ×ホクトベガ-ナグルスキー)-・-生

5代血統表:
http://www.jbis.or.jp/topics/simulation/result/?sire=0000763904&broodmare=0000235103&x=40&y=19

主:8 結:4 土:4 弱:6 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:35点 クラス:3B 芝:8~11F(10F) ダ:7~10F(9F)
日本適性:□ 成長力:〇 成長型:普通
馬場適正:兼用 重馬場適正:〇 距離短縮適正:〇 距離延長適正:□

○ 主導   (8)

 主導はNearctic5×5の系列クロス。この主導は当馬に強いNearco~Pharos系及び、Hyperion~Gainsborough系を強力に統合し、血統全体をひとまずリードしている。従って、この主導は有効だと考えられる。

○ 結合   (4)

 主導と6代目までに位置する、Hyperionは主導に含まれ、Dante・NasrullahはNearcoで、Menow・Native DancerはPhalarisで、PrincequilloはBayardoでそれぞれ主導へと直接結合を果たしている。また、Native DancerがFair Play・Whisk Broom等の米系を間接的に結合をさせている。従って比較的前面に配された血はスムーズに主導へと結合していると見ていいが、母ホクトベガ内において一定の役割を果たしていた米系のBlack Toneyの系列が完全に離反したのはマイナスだと考えてよい。

○ 土台   (4)

 土台構造は、Pharos=Fairwayが18ケ、Gainsboroughが13ケとこの世代の配合としてはまずますの連数を確保しつつ各ブロックに満遍なく配しているのは好感が持てる。

○ 弱点   (6)

 5代目を基準とした各ブロックにおいてこれといった弱点や欠陥は存在しない。安定感ある血統構成

○ 影響   (2)

(6-4-9-3)と母の父ナグルスキーを強調。主導勢力を含む部分を強調したのは悪くは無いが、ややバランスが悪いとも言えるか。

○ 質[近]  (2)

 近い世代の血の質は決して高いとは言えない。父母それぞれ平均点にはあるが。

○ 質[遠]  (3)

 クロス馬の質は主導たるNearcticをはじめ、比較的高い。底力勝負可能な血統構成。

○ スピード (4)

 主導たるNearcticへと、Nasrullah等のNearco系のスピードを補給。比較的スピードに良さのある血統構成だと言える。

○ スタミナ (3)

 Princequilloをスタミナの核にした配合で、結合がやや弱いため極端な距離延長への適正は高いとは言えないが、10F程度の距離であれば十分に克服可能。


 母の血の流れを生かした血統構成で、主導も明確な事からやや外交的な配合ではあるものの、開花は比較的早いと考えられる。それだけに、母の血統内において一定の役割を果たした、米系のBlack Toneyの系列が完全に離反したのが惜しまれる点で、この部分の結合がしっかりと果たされていれば、もうワンランク上の評価もありえる。
 しかしながら、明確な主導に先導された血統で開花した際には評価以上に力強い競馬を見せる事が可能。
 また、主導がNearcticという事もあり、父母のイメージ通りにダートは巧みだと考えられ、適正を外れたレースを使われる事は少ないだろう。ただし、本質的には芝向きの血がアシストされている点を考慮すれば、将来的に芝への対応も可能だと言える。
 母は非常に残念な事だが、当時として夢のまた夢であった世界の頂点を目指して、ドバイでその命を散らした。その母の血がもし残ったならこういった配合も可能であったと思う。
 砂の女王よ永遠に…

ヤマニンゼファー×タイシンリリィ

2012-01-26 15:01:07 | 仮想配合
(ヤマニンゼファー×タイシンリリィ-ラディガ)-・-生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/match.pl?gene=9&fdata=2073&mdata=8577

主:8 結:5 土:2 弱:6 影:2 質[近]:3 質[遠]:4 SP:5 ST:3
合計:38点 クラス:1A 芝:7~11F ダ:8~10F
日本適性:○ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (8)

 主導は、Abernant5×4の系列クロス。血統全体でHyperion~Gainsboroughの影響が強く、血統全体を非常に強力にリードしている。この血の流れは非常に優秀で、この流れを圧倒的に強調したのが、この配合の最大の長所だと言えるだろう。

○ 結合   (5)

 主導たる、Abernantと6代目までに存在するクロスである、Owen Tudor~Hyperion、Rustom Pasha、Mumtaz MahalはAbernantに含まれ、確実に結合している。また、NearcoはPharosで、EclairはThe Tetrarch、Polymelusで、Bull Dog(=Sir Gallahad)はBay Ronaldで、それぞれが直接結合を果たしている。また、Princequilloは、結合を果たしてはいないものの、血統全体でHyperionの流れが強いため、10代目において存在するBayardoによってかろうじて結合して連動をしたとしてもおかしくはない(この評価は結合を果たしていないと判断している)。

○ 土台   (2)

 土台構造は、Gainsboroughが10ヶで形成。単体の土台構造としては、非常に貧弱ではあるが、Pharos(=Fairway)が14ヶでアシストしているのは幸いか。

○ 弱点   (6)

 これといった、弱点や欠陥は存在しないものの、かろうじてという部分も存在する。しかし、総合的には優秀だと考えていいだろう。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは、(5-1-5-9)と決してバランスが良いわけではないものの、主導勢力を含む部分をしっかりと強調している。

○ 質[近]  (3)

 近い世代の血の質は全体的に優秀で、底力を感じられる内容。古きよき血を上手く活かしているのも好感がもてる。

○ 質[遠]  (4)

 主導たるAbernantを初め、クロス馬の血の質は全体的に高く、前述の質[近]と合わせ、底力のある内容。

○ スピード (5)

 圧倒的に強調された、主導のAbernantのスピードを再現し、その中核とした配合。また、Eclairなどもスピードをアシストしている。近代競馬のスピードの祖と言われるものの、血の質が高いとは言い難いNasrullahをクロスさせず、血統内のスピードを上手く引き出している、非常に妙味ある形態。

○ スタミナ (3)

 Rustom Pashaを中核にした配合。また、Bull Dog(=Sir Gallahad)や結合が弱いものの、Princequilloもクロスしている。決して長距離向きでは無いが、前面に存在するAbernantを上手く支えているのが見てとれる内容となっている。


総合的に見ると、Abernantのスピードを、欧州系のスタミナで支えることに成功した配合で、Nasrullahをクロスさせず、祖父のスピード源となった、Orby・Sundridgeを再度クロスさせる等、非常に妙味がある内容となっている。近年国内で見られなくなったタイプで(と、言うか世界的に見られなくなった形態)、もし完全開花した場合、半兄ナリタタイシン(3A級・芝・中~長距離)とはタイプこそ異なるものの、迫力はある内容となっていると考えられる。ただし、スタミナ値は半兄には遠く及ばず、クラシックディスタンス克服は展開の助けが必要だと言えるだろう(父や祖父よりスタミナによさはあるが)。

ノーリーズン×エバースマイル

2011-05-19 23:02:59 | 仮想配合
(ノーリーズン×エバースマイル-リアルシャダイ)-・-生

主:7 結:5 土:2 弱:5 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:3 ST:5
合計:37点 クラス:3B 芝:10~16F ダ:9~12F
日本適性:△ 成長力:◎ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:○

○ 主導   (7)

 主導はRoberto3×3の中間断絶クロス。この、Roberto内のNashuaを5・5×5と血統の3ブロックに配置し強力に血統をリードしている。ただし母母方はNashua~Nasrullahが存在せず、この部分の動きだしが遅いのは明らかにマイナスで、6代目にFairwayがかろうじて存在している。非常に残念だが、比較的良好だと言えるレベルにはあるか。

○ 結合   (5)

 主導たるRoberto・Nashuaと、6代目までに存在するクロスである、Bull LeaはSir Gallahad(=Bull Dog)で、Native DancerはPhalaris・Fair Playで、AlibhaiはGainsboroughで、War AdmiralはMan o'Warで、TofanellaはSardanapaleで、それぞれ結合している。惜しむらくはCount Fleetが結合を果たしていない点で、近親度が強い配合にもかかわらず、これは大きなマイナスだと言えるだろう。ただし、7代目以降の連動性も非常に高く、全体的に見ると優秀な部類に入ると考えられる。

○ 土台   (2)

 Pharos(=Fairway)が12ヶで形成。単一の土台構造としてはかなり貧弱だが、Teddyが15ヶでサポートしたのは幸いだろうか。ただし、決して良好であるとは言い難い。

○ 弱点   (5)

 血統表全体でこれといった弱点・欠陥は存在しない。近親度の高い配合ではあるものの、殆どのブロックにおいて主導勢力が配されているのもプラスだろう。

○ 影響   (3)

 (9-8-9-2)とブライアンズタイムとリアルシャダイを強調。近親度が高いわりにバランスがとれている。良好だと言えるだろう。

○ 質[近]  (3)

 近い世代の血の質は高い。血統全体において質が高い内容で、底力勝負に対応可能。

○ 質[遠]  (4)

 主導たるRoberto・Nashuaは質が高い配合で、他のクロスも質が高いものが多い。前述の質[近]とあわせ、優秀であると考えられる。

○ スピード (3)

 これといったスピード源は少ないものの、Nashua~Nasrullahのスピードをストレートに主導勢力に含んでいるのは幸いだろうか。また、母方Blue Peter内のFairwayがひとまずスピード勢力として能力参加をしている。それだけに、母方Menowの欠落は惜しまれる。

○ スタミナ (5)

 主導たるRobertoのスタミナを強力な核に、War Admiral・Alibhai・Bull Leaのスタミナを補給した血統構成で、非常に良好だと考えられる。


 総合的に見ると、主導勢力の配置には若干不満が残るものの、Robertoへの血の流れは非常に良好で、かなりの迫力を秘めた配合だと考えられる。更にスタミナ値としては非常に優秀で、母の全兄であるライスシャワーを彷彿とさせる内容となっている。近年国内では見られなくなったタイプの配合内容で、血統構成上の適性は芝の長距離だと考えられる。反面、スピード勢力は物足りない内容で、かろうじて平均点にはあるものの、国内ではスピード不足のレッテルを貼られかねない血統構成である。細かい部分では不満が残るものの全体的にみると、完全開花した場合、欧州の長距離路線でもトップレベルの内容だといえるだろう。

 淀の刺客、ライスシャワーよ永遠に。

スーパークリーク×マルシゲターナ

2010-09-22 11:42:51 | 仮想配合
(スーパークリーク×マルシゲターナ-ターナボス)-・-生

主:7 結:7 土:2 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:5
合計:35点 クラス:3B 芝:9~15F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (7)

 主導は、Hornbeam4×5の系列クロス及び、Dante(=Sayajirao)4×6の連合勢力。両者の影響はほぼ均衡している為、一見かなり不明瞭に見えるが、6~7代目において豊富に存在する、Nearco~Pharos(=Fairway)・Nogara等のクロスにより非常に強固な連動体制を構築している。更にこの両者は父母であるナイスデイを圧倒的に強調している。従って、この両者を連合勢力と判断した。ただし、全体的に見た場合やや良いといった程度の評価で、極めて強力にといかなかったのは惜しまれる点である。

○ 結合   (7)

 主導たる、Hornbeam・Dante(=Sayajirao)と6代目までに存在するクロスである、NasrullahはHornbeamに含まれ、NearcoによってDante(=Sayajirao)と直接結合している。BrantomeはBlandfordによってHornbeamと、Dante(=Sayajirao)とはCanterbury Pilgrimを通じ結合を完了している。また7代目以降のクロスも非常に連動性が高い。ひとたび、Hornbeamもしくは、Dante(=Sayajirao)が目覚めた場合、上記のクロス馬達も自動的に連動する体制が整っている。父スーパークリークも結合力が非常に強固な配合であったが、この配合は父とも形態が異なるものの、非常に優秀だと言える。

○ 土台   (2)

 父の土台構造を形成していたSt.Simonが、この配合では10代目以降に後退したため、自身の土台構造は、Pharos(=Fairway)が15ヶで形成している。この状態はかなり貧弱だと言え、サポートもGainsboroughが9ヶとかなり寂しい状況となっている。

○ 弱点   (3)

 父方ノーアテンション内、Flaming Pageに弱点を(実際には9代目にPhalarisが存在する為ほぼノーカウント)、Sly Pola内に欠陥を生じている。ただし非常に影響が少ない部分である為、その欠陥も若干軽微だと考えられる。また、母方Denturius内は8代目までにクロスが存在しないが、9代目においてHamptonをクロスさせている。同様にBubbles内も9代目にSt.Simonを配し、主導と直接結合している為、大きな欠陥と判断していない。ある意味においては絶妙なバランスだと言え、言葉を変えれば幸運だと言えるだろうか。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは、(1-17-4-5)と圧倒的に父方ナイスデイを強調している。非常にバランスが悪いのは異論を挟む余地は無いが、強調されたナイスデイ内は主導勢力が含まれ、生かし方も非常に良いのは幸運だと言えるだろうか。

○ 質[近]  (2)

 父スーパークリーク、母マルシゲターナ共に決して血の質が高いとは言い難い。ただし、3代目までに並ぶ血統の中にはBlakeney・インターメゾ等底力に通じるような質の高い血も含まれている。ややアンバランスだが、決して悪くもない。

○ 質[遠]  (4)

 主導たる、Hornbeam・Dante(=Sayajirao)は非常に血の質が高く、血統を構成する背骨にあたるクロスは優秀だと言える。また、Bahram等生かされた血の質も全体的に見ると高いレベルにあると考えられる。総合的に見ると優秀な部類に入るだろうか。

○ スピード (3)

 Grey Sovereign内及び、Princely Gift内Nasrullahを中核にスピードを補給した配合。父スーパークリークのスピード源となったGrand Paradeの欠落は惜しまれるが、父の配合時に眠っていたTetratemaが生かされている。その7~8代目において4連あるTetratemaが決め手を補給し、引き出しに成功すれば決め手するどい差し脚を発揮できるだろう(Tetratemaはその父The Tetrarchを通じ確実に補給されている)。

○ スタミナ (5)

 主導たるHornbeam、Dante(=Sayajirao)が中核となる配合。本来Nasrullahが生きたHornbeamは、若干スピードよりにシフトしていると考えられるが当馬の場合、NasrullahへとBrantomeがスタミナを補給している為、本来のスタミナとして機能していると考えられる。また、Blue Peterが更にスタミナを補給し、7代目以降においても、Son-in-Law・Bay Ronald等スタミナ優位。母のスタミナ源であった、Djebel~Tourbillonが欠落したのは惜しまれるが、全体的には優秀な部類に入るだろう。


 総合的に見ると、バランスの悪さは否めない配合形態だと考えられる。いくつか存在する弱点・欠陥は安定感や距離延長の適性にマイナスの修整を示すだろうし、土台構造の散漫さ、影響度バランスの悪さなど、決して超一流の血統構成ではない。
 しかしながら、血の流れなどには見るべき点もある内容で、仕上がった際の破壊力といったものは十分感じられる内容となっている。決して連戦連勝といったタイプではないが、面白い内容となっているのではないだろうか。また、父の持つスタミナ要素を完全ではないものの上手く生かした血統で、時代の流れに逆らうかのうようなステイヤータイプの血統構成となっている。こういったスタミナ優位の血統を遺せる日本競馬であって欲しいと願う。