血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

ビッグウィーク

2010-10-26 16:47:08 | 07年生
ビッグウィーク(バゴ×タニノジャドール-サンデーサイレンス)牡・07生

主:5 結:6 土:2 弱:6 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:4 ST:3
合計:34点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:○

○ 主導   (5)

 主導は、Northern Dancer4×4の系列クロス。このNorthern Dancerは、その母系である、Natalma~Almahmoudとクロスさせ、近年国内では散見されるものの、未だ珍しい系列クロスを形成している。しかしながら、ビッグウィークの血統内においては、Halo5×3も派生したために、血の集合が非常に不明瞭になっている(Halo内はAlmahmoudが5代目から系列クロスを形成し、Northern Dancer程ではないものの非常に大きな影響を持つ)。また、父の主導となっていたNasrullahも5・7・7×6と派生したのは、やはり主導の明確性においてはマイナスだと言えるだろう。しかしながら、Northern Dancer・Halo・Nasrullahの三者によって、Blandford系及びPhalaris系の流れが集約されているのが見て取ることができ、その意味においては、見た目程血の流れが阻害されていないのは幸いだろうか。

○ 結合   (6)

 主導たるNorthern Dancerと、6代目までに存在するクロスであるNearco・Native Dancer・NatalmaはNorthern Dancerに含まれ、HaloはAlmahmoud・Nearco・Pharamond(=Sickle)で、NasrullahはNearco・Blandfordで非常に強固に結合を果たしている。Tourbillonは若干結合が弱いがRabelaisを通じ9代目でひとまず結合を完了している(実際にはTourbillonは9×6・7・8と6代目のクロス効果は若干疑問である為、Rabelaisを介しての結合がやや疑問ではある。この評価は6代目のTourbillonを効果ありとしている)。また、7代目以降に存在するクロスも多少雑多ではあるものの、良好な連動性を保っているのが見て取れ、かなりのレベルだと言えるだろう。

○ 土台   (2)

 土台構造はBlandfordが11ヶで形成している。単一の土台構造としてはかなり貧弱だが、Pharosが18ヶ、Gainsboroughが15ヶとサポートがしっかりしているのは幸いで、かなりアンバランスではあるものの、有効に作用していると考えられる。ただし、総合的には良好とは言い難い。

○ 弱点   (6)

 これといった弱点は存在しない。かなりの近親交配馬である為に、さほど驚くレベルだとは言えないが、ビッグウィークの血統においては、殆どのブロックにおいて主導勢力と結合するクロスが配置されているのが確認できる。かなり良好だといって差し支えないだろう。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(4-12-8-11)と決して良好とは言い難いが、影響の強い部分において、主導勢力がしっかりと配置されているのは幸いか。

○ 質[近]  (2)

 父母ともに悪くはないものの、決して質の高い内容ではない。しかしながら、母系タニノブーケ~タニノヒュールパスと続く流れは比較的優秀だと言える。平均点にはあるか。

○ 質[遠]  (4)

 主導たるNorthern Dancerは質が高いが、サポートしているHalo・Nasrullahは決して質が高いとは言い難い。しかしながら、ビッグウィークの血統においては、Tourbillonを始めとした底力あるクロスを生かしたのは幸いで、不安定さは残るものの底力勝負にも対応できるタイプだと考えられる。

○ スピード (4)

 影響の強いHalo・Nasrullahのスピードを前面に押し出した配合で、素軽いスピードに良さがある血統構成だと言える。次いでNatalma~Almahmoudとクロスしたために、更にスピードに良さがあると考えられる。これらのクロスから、切れ味鋭いマイラーとしての印象も受けるが、実際には血統の奥にあるスタミナ要素がしっかりと補給されている為に、実際のクロス効果よりも若干スタミナに良さがあるタイプとなっているのは、全体的に見ると痛し痒しと言えるだろうか。

○ スタミナ (3)

 これといったスタミナの核を作れなかった配合で、クロス効果に若干の疑問が残るものの、Tourbillon~Ksarが中核となっている。したがって本質的には距離が伸びるほどパフォーマンスが低下するタイプだとは言えるだろう。しかしながら、7代目以降に存在するクロスにスタミナ型が多く、主導と強固に連動している為、長く脚を使う競馬には対応可能だと考えられる。


 総合的にみると、Northern Dancerを系列クロスにするなど、新時代の配合形態だと考えられるが、主導勢力が不明瞭になった点はビッグウィークといった血統構成を考えるうえで、非常に惜しまれる点だと言える。反面、血統全体の連動性といった観点から見た場合、非常にレベルが高い内容で、同期のローズキングダムと甲乙つけ難い内容となっている(実際に7点を配点しなかったのは近親度の強さを考慮したためで、Northern Dancerへの血の流れは非常に良好だと言える)。
 また、血統の前面にあるスピード要素を、血統の奥にあるスタミナが底支えすることが出来たため、長く脚を使う事ができる内容となっている。その為、本質的には10F前後に適性をみせる血統構成だと言える。ただし、五十嵐理論の原則からは外れるものの、父系クロスであるWild Risk(5※8)及び、母系クロスであるDjebel(5※7)が目覚めた場合、芝12Fへの適性を見せても不思議ではない(前者は世代の問題もある為にかなり疑問だが、後者は実際目覚めても不思議はないだろう。似たようなタイプにサクラローレルがいる)。したがって、決して過信は禁物だが、能力を開花させるにつれ不安定ながらも、距離を伸ばしていける可能性は秘めている。国内ではなかなか珍しいタイプだが、自分で競馬を作った時に良さがでる内容だと言えるだろうか。

ビッグウィーク(菊花賞)

2010-10-25 20:48:41 | 2010年GⅠ勝ち馬
ビッグウィーク(バゴ×タニノジャドール-サンデーサイレンス)牡・07生

主:5 結:6 土:2 弱:6 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:4 ST:3
合計:34点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:○

○ 主導   (5)

 主導は、Northern Dancer4×4の系列クロス。このNorthern Dancerは、その母系である、Natalma~Almahmoudとクロスさせ、近年国内では散見されるものの、未だ珍しい系列クロスを形成している。しかしながら、ビッグウィークの血統内においては、Halo5×3も派生したために、血の集合が非常に不明瞭になっている(Halo内はAlmahmoudが5代目から系列クロスを形成し、Northern Dancer程ではないものの非常に大きな影響を持つ)。また、父の主導となっていたNasrullahも5・7・7×6と派生したのは、やはり主導の明確性においてはマイナスだと言えるだろう。しかしながら、Northern Dancer・Halo・Nasrullahの三者によって、Blandford系及びPhalaris系の流れが集約されているのが見て取ることができ、その意味においては、見た目程血の流れが阻害されていないのは幸いだろうか。

○ 結合   (6)

 主導たるNorthern Dancerと、6代目までに存在するクロスであるNearco・Native Dancer・NatalmaはNorthern Dancerに含まれ、HaloはAlmahmoud・Nearco・Pharamond(=Sickle)で、NasrullahはNearco・Blandfordで非常に強固に結合を果たしている。Tourbillonは若干結合が弱いがRabelaisを通じ9代目でひとまず結合を完了している(実際にはTourbillonは9×6・7・8と6代目のクロス効果は若干疑問である為、Rabelaisを介しての結合がやや疑問ではある。この評価は6代目のTourbillonを効果ありとしている)。また、7代目以降に存在するクロスも多少雑多ではあるものの、良好な連動性を保っているのが見て取れ、かなりのレベルだと言えるだろう。

○ 土台   (2)

 土台構造はBlandfordが11ヶで形成している。単一の土台構造としてはかなり貧弱だが、Pharosが18ヶ、Gainsboroughが15ヶとサポートがしっかりしているのは幸いで、かなりアンバランスではあるものの、有効に作用していると考えられる。ただし、総合的には良好とは言い難い。

○ 弱点   (6)

 これといった弱点は存在しない。かなりの近親交配馬である為に、さほど驚くレベルだとは言えないが、ビッグウィークの血統においては、殆どのブロックにおいて主導勢力と結合するクロスが配置されているのが確認できる。かなり良好だといって差し支えないだろう。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(4-12-8-11)と決して良好とは言い難いが、影響の強い部分において、主導勢力がしっかりと配置されているのは幸いか。

○ 質[近]  (2)

 父母ともに悪くはないものの、決して質の高い内容ではない。しかしながら、母系タニノブーケ~タニノヒュールパスと続く流れは比較的優秀だと言える。平均点にはあるか。

○ 質[遠]  (4)

 主導たるNorthern Dancerは質が高いが、サポートしているHalo・Nasrullahは決して質が高いとは言い難い。しかしながら、ビッグウィークの血統においては、Tourbillonを始めとした底力あるクロスを生かしたのは幸いで、不安定さは残るものの底力勝負にも対応できるタイプだと考えられる。

○ スピード (4)

 影響の強いHalo・Nasrullahのスピードを前面に押し出した配合で、素軽いスピードに良さがある血統構成だと言える。次いでNatalma~Almahmoudとクロスしたために、更にスピードに良さがあると考えられる。これらのクロスから、切れ味鋭いマイラーとしての印象も受けるが、実際には血統の奥にあるスタミナ要素がしっかりと補給されている為に、実際のクロス効果よりも若干スタミナに良さがあるタイプとなっているのは、全体的に見ると痛し痒しと言えるだろうか。

○ スタミナ (3)

 これといったスタミナの核を作れなかった配合で、クロス効果に若干の疑問が残るものの、Tourbillon~Ksarが中核となっている。したがって本質的には距離が伸びるほどパフォーマンスが低下するタイプだとは言えるだろう。しかしながら、7代目以降に存在するクロスにスタミナ型が多く、主導と強固に連動している為、長く脚を使う競馬には対応可能だと考えられる。


 総合的にみると、Northern Dancerを系列クロスにするなど、新時代の配合形態だと考えられるが、主導勢力が不明瞭になった点はビッグウィークといった血統構成を考えるうえで、非常に惜しまれる点だと言える。反面、血統全体の連動性といった観点から見た場合、非常にレベルが高い内容で、同期のローズキングダムと甲乙つけ難い内容となっている(実際に7点を配点しなかったのは近親度の強さを考慮したためで、Northern Dancerへの血の流れは非常に良好だと言える)。
 また、血統の前面にあるスピード要素を、血統の奥にあるスタミナが底支えすることが出来たため、長く脚を使う事ができる内容となっている。その為、本質的には10F前後に適性をみせる血統構成だと言える。ただし、五十嵐理論の原則からは外れるものの、父系クロスであるWild Risk(5※8)及び、母系クロスであるDjebel(5※7)が目覚めた場合、芝12Fへの適性を見せても不思議ではない(前者は世代の問題もある為にかなり疑問だが、後者は実際目覚めても不思議はないだろう。似たようなタイプにサクラローレルがいる)。したがって、決して過信は禁物だが、能力を開花させるにつれ不安定ながらも、距離を伸ばしていける可能性は秘めている。国内ではなかなか珍しいタイプだが、自分で競馬を作った時に良さがでる内容だと言えるだろうか。

リベルタス

2010-10-22 19:46:34 | 08年生
リベルタス(ディープインパクト×カーリング-Garde Royale)牡・08生

主:6 結:5 土:4 弱:6 影:3 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:5
合計:38点 クラス:1A 芝:9~15F ダ:8~11F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (6)

 主導は、祖父サンデーサイレンス・父ディープインパクトの流れを組む、Mahmoud6・7・8・8×6の系列クロス。次いでHyperionの影響が強く、血統全体においてGainsborough系の影響が強く血の流れ自体は悪くない。しかしながら、Mahmoudは母母Corralejaにおいて存在せず、その意味においては血統全体を強力にリードできる存在では無かった。また、Nearco・Court MartialといったPhalaris系の影響も強い為(特に母方において強い。したがって、配合という意味において、ディープインパクトとカーリングは決してベストマッチとは言い難い)、主導勢力といった評価においては決して高評価できる形態では無い。ただし、前述したように血統全体においてはGainsborough系の流れが強いのが幸いで、平均点~やや良いといったレベルにはあるだろう。

○ 結合   (5)

 主導たるMahmoudと6代目までに存在するクロスである、Court MartialはGainsboroughによって、Mumtaz BegumはBlenheimによって、Princequillo~Prince RoseはBayardoによって、Wild RiskはBlandfordを通じて、それぞれ直接結合を果たしている。しかしながら、かなり強い影響を持ったNearcoはHyperion~Gainsboroughを通じ、Chaucerによって間接的に結合を完了しているのはやはりマイナスで、同様に影響は弱いもののRialtoはその仔Wild Riskを通じ間接的に結合している。これは、主導たるMahmoudの問題というよりは、リベルタスの血統構成自体は新しいものの、明確な主導勢力を形成できなかった血統全体の問題だと言える。また、7代目以降に存在するクロスであるものの、Teddy系は結合を果たせていない点も不満が残る。ただし、完全異系交配である点も考慮すると比較的良好だと言えるレベルにはある。

○ 土台   (4)

 Gainsboroughが17ヶで形成。次いで、Blandfordが14ヶでそれをサポートしている。単体の土台構造としては平均的だと言えるが、Blandfordが強力にそれをアシスト出来たのは幸いで、かなり強固なレベルだと言える。安定感のある血統構成。

○ 弱点   (6)

 父内Pretty Waysは9代目Teddyのみがクロスし、結合も果たせていないために弱点を派生させているが、完全異系交配である点と非常に影響が弱い部分である為にさほど大きなマイナスだとは考えにくい。同様に、母内Anademにおいても8代目までクロスが存在しないが、9代目においてBlandford・Pharos・Gay Crusaderと主導勢力と直接及び間接的に結合するクロスが配された為に、弱点の派生は無いと考えられる。若干の不満は残るが、全体的には高いレベルにあると考えられる。

○ 影響   (3)

 (1-1-8-2)と非常に安定感のある影響度バランスで、完全異系交配でありながら、強調された部分を形成しているのも好感が持てる。開花した場合、安定した能力発揮を期待できる内容だと言える。

○ 質[近]  (2)

 母カーリングの血統構成は決してレベルの高いものだとはいい難いが、父方においては父ディープインパクト、父父サンデーサイレンス、父母ウインドインハーヘアと隙が少ない。また、母方においても強調された母父Garde Royaleの血の質は悪くなく、総合的に見るとそれなりのレベルにはあると考えられる。

○ 質[遠]  (4)

 主導たるMahmoudをはじめ、Nearco・Hyperionがアシストをする配合形態である為に、血統を構成する屋台骨となったクロス馬の質はかなり高い。また、Princequillo~Prince Rose、Wild Riskとサポートするクロス馬の質もかなり良好だと言える。底力勝負といった観点においては、父ディープインパクトを超えていると言って良いだろう。

○ スピード (3)

 父の主導であり、そのスピード源となったAlmahmoudの欠落は明らかにマイナスで、また決めての源だと考えられるTurn-toも欠落させた点も考慮すると、父のような素軽いスピードは期待し難い。しかしながら、Court Martial~Fair Trialが生きたのは幸いで(Son-in-Lawこそ生きたものの、Hurry Onが欠落しLady Josephineが生きた為にスピード勢力となっている)、父のスピードの一端を担った欧州系統のスピードがかろうじて再現されている。また、Royal ChargerとNasrullahの呼応により、6代目からMumtaz Begum~Mumtaz Mahal~The Tetrarch・Lady Josephineが生きたのは当馬においてはプラスに作用していると考えられる。

○ スタミナ (5)

 主導たるMahmoudは、Mumtaz Begumと呼応しスピードを補強されてはいるものの、Wild Risk・Princequillo~Prince Roseといった重厚な欧州系統のスタミナを補給しているため、スタミナに良さがあるMahmoudへと能力変換されていると考えられる。この3者をスタミナの核にし、7代目以降に豊富に存在する、Hyperionがそのスタミナをアシストしている。非常に重厚でステイヤーと言って差し支えないレベルにあると言える。若干惜しまれるのが、母カーリングのスタミナ源となったDjebelの欠落であるが、血統全体を考えた場合、結合力の観点からはクロスしなかったのは幸いだろうか。とは言え、かなりのレベルにあるのは疑いようがなく、仮に欧州の芝15Fであっても克服できるだろう。


 総合的にみると、父ディープインパクトの配合を継承したといった内容では無く、父母ウインドインハーヘアの良さを、母カーリングとの呼応で再現したと言える内容で、欧州系が非常に強い重厚な内容となっている。したがって父のような切れ味鋭い競馬を見せるタイプではなく、どちらかと言えば叔父であるニュービギニングを彷彿とさせる。それだけに父のイメージで競馬をすると、上位レベルにおいてスピード不足が懸念されるが、ことスタミナ値という観点においては、父を超えるレベルにあるのは間違いないだろう。仮に完全開花した場合(国内においては、非常に開花困難な内容であるのは間違いないが…)、前述したように欧州トップクラスに混じったとしても、十分に主役級となれる内容だと言える。
 日本近代競馬の結晶とまで言わしめた、父ディープインパクトでも叶えられなかった凱旋門賞制覇や、ハーツクライが惜敗したキングジョージでの走りを見てみたい血統構成で、それだけに携わる人間の手腕が問われる内容となっている。是非とも、その秘めたる才能の開花を切に望みたい。

アパパネ(秋華賞)

2010-10-17 22:17:45 | 2010年GⅠ勝ち馬
アパパネ(キングカメハメハ×ソルティビッド-Salt Lake)牝・07生

主:5 結:4 土:3 弱:5 影:3 質[近]:1 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:30点 クラス:2B 芝:6~9F ダ:5~8F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:□

 アパパネは血統の前面で、Northern Dancer5・5・7×5及び、Nantallah7×6~Nasrullah6・7・8・8×6・7を形成した配合形態。このことから解るように、主導としては非常に不明瞭な配合形態で、実質的に評価項目からは削除しているものの、その位置も決して褒める事は出来ない。

 更に、Northern Dancer及び、Nantallah~Nasrullahの結合は、自身の土台構造を形成する、Nearco~Pharos(=Fairway)によって強固になされているものの、Count Fleetは10代目The Tetrarchで、Case Aceは10代目までに結合を完了できていない。実質的な異系交配であるものの、やはりこの結合力の弱さはひっかかる部分である。

 しかしながら、Northern DancerやMr.Prospector内のスピードの生かし方はなかなかきめ細かく、国内向きのマイラーとしては見るべき点もある。

 配合形態としては安易な内容だといえるだろうが(前面にNorthern Dancerクロスを作り生かし方が中途半端)、欧米系のスピードを再現できたのは幸運だと言えるだろうか。

オーロマイスター

2010-10-17 22:13:23 | 05年生
オーロマイスター(ゴールドアリュール×フェアリーワルツ-Lear Fan)牡・05生

主:6 結:6 土:2 弱:6 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:34点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:遅め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

○ 主導   (6)

 主導は、Royal Chargerが欠落した為に中間断絶ではあるが、Turn-toを伴うHail to Reason4×4。Hail to Reasonはほぼ系列ぐるみを形成し、比較的強力に血統をリードしている。ついで、同じく中間断絶ではあるがThong(=Lt.Stevens)5×4も比較的強い影響を持った為、主導の明確性が乱れたのはマイナス要素だと考えられる。したがってRoyal Chargerの欠落は非常に残念だと言えるが、両者がNearcoでひとまず連動しているのは、幸いだと言えるだろう。

○ 結合   (6)

 主導たる、Hail to Reasonと6代目に存在するクロスのうち、Turn-to・Nearco・Man o'Warは、Hail to Reasonに含まれる血統で確実に結合している。PharamondはPhalarisで、Mahmoudは、Gainsborough・Mumtaz Mahalで、Thong(=Lt.Stevens)・NasrullahはNearcoで、Bull Leaは、Sir Gallahad(=Bull Dog)で、Native Dancerは直接結合を果たしていないものの、Pharamond(=Sickle)を介し間接的に結合を完了している。また、7代目以降に存在するクロスも、比較的良好な連動性を保っているのが見てとれる。したがってかなり優秀なレベルであると言えるだろう。

○ 土台   (2)

 Pharos(=Fairway)が17ヶで形成。若干貧弱だといえるレベルで、サポートするのもGainsboroughが12ヶとかなり弱い。決してレベルが高いとは言い難いだろう。

○ 弱点   (6)

 これといった弱点や、欠陥は無い。近親度が強い配合の為に、決して完璧だとは言えないだろうが、血統表に大きな不備は存在しない。良好だと言って差し支えないだろう。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(7-4-13-3)と決してバランスが良いとは言えない。しかしながら、強調されたLear Fan内にHail to Reason・Thong(=Lt.Stevens)が存在し連動しているのは幸いだろうか。

○ 質[近]  (2)

 父ゴールドアリュール(3B)、母フェアリーワルツ(3B)とも決して超一流とは言い難く、2~3代目に並ぶ祖先も平均的と言えるだろうか。決して悪くは無いが、父母の流れが異なるのも若干マイナス。

○ 質[遠]  (3)

 主導たる、Hail to Reasonおよび強い影響を持った、Thong(=Lt.Stevens)は決して良好だとは言えない。しかしながら、Man o'War・Native Dancer等が生きたのは幸いで、かろうじて平均点にあると言えるか。

○ スピード (4)

 主導たる、Hail to ReasonやThong(=Lt.Stevens)はスピードに良さがある血統構成で、本質的にスピードに良さがある内容だと言える。また、Pharamond・Mahmoudと短~中距離向きのスピードも生かされ、結合も良好だと言える為しっかりと生かされている。総合的には優秀だと言えるだろう。

○ スタミナ (3)

 これといったスタミナの核を作る事が出来なかった配合ではあるが、Bull Lea・Man o'WarがHail to Reasonへと、スタミナを補給しているのが見て取れる。また、血統の奥に存在するものの、Sir Gallahad(=Bull Dog)・Hyperionが隠し味的にスタミナを補給。これらの引き出し次第ではあるが、中距離に適性を見せて不思議の無い血統構成だと言えるだろう。


 総合的に見ると、決して超一流とはいい難い内容ではあるが、Hail to Reasonをほぼ系列ぐるみにするなど、新しいタイプの血統構成だと言える。こういったタイプの配合馬は、古い時代の配合馬よりもスピードに優れている場合が多いが、当馬の場合もスピードに良さを見せる可能性は高いと考えられる。それだけにRoyal Chargerの欠落は惜しまれるが、3/4同血のNasrullahを7・7×6・6・7とクロスさせている為に、Hail to Reasonは、ほぼ系列ぐるみだと考えて良いだろう。従って、主導項目の評価はかなり微妙だが6点とした(仮にRoyal Chargerがクロスしたならもう少し加点できるだろうが)。
 また、一介のスピード馬ではなく、血統の奥に存在する欧米系のスタミナ勢力が、前面に存在するスピードを底支えできた血統構成で、距離延長に適性を見せるタイプでは無いだろうが、早熟スピード馬では決して無いだろう。
 完全開花した場合、芝の中距離にも適応できる内容ではあるが(父、ゴールドアリュールもそういったタイプだった)、ダート適性が高い血統構成であるのも確かで、今後ともダートマイル~中距離で、自分から競馬を作るようなレースを見せて欲しい。