血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

スマートファルコン

2010-11-06 21:28:41 | 05年生
スマートファルコン(ゴールドアリュール×ケイシュウハーブ-ミシシッピアン)牡・05生

主:5 結:6 土:3 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:3 ST:4
合計:31点 クラス:2B 芝:9~12F ダ:8~11F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

○ 主導   (5)

 主導は、Royal Charger6×5の系列クロス。その父Nearcoを血統の4ブロックに散在させ強力に血統をリードしているのを見て取ることができる。しかしながら、Vaguely Noble5×3が中間断絶であるものの、スマートファルコンの血統内においては、かなり影響が強くなったのはマイナスで(Nearcoで強固に結合したのは幸いだと言える)、更にPharamond・Mahmoud・Sir Gallahad(=Bull Dog)・Admiral Drake等、系統が異なるクロスも同程度の影響を行使するクロスも存在するのは明らかに主導の明確性においてマイナスだと考えられる。したがって、決して良好であるとは言い難い。

○ 結合   (6)

 主導たるRoyal Chargerと、6代目に存在するクロスであるNative Dancer・PharamondはPhalaris・Chaucerで、Vaguely NobleはNearcoで、Mahmoud・HyperionはGainsborough・Chaucerで、Bull Dog・Admiral DrakeはSpearmintで結合を完了している。また、主導の明確性を乱しているVaguely NobleがGainsborough系、Blandford系、Pharos(=Fairway)系を参加に収めているため、結合の面においてはプラスに作用しているのが見て取ることができる。7代目以降は多少雑多なクロスを生じているが、総合的にはかなり良好であると考えられる。

○ 土台   (3)

 Gainsboroughが17ヶで形成。比較的良好で悪くはないレベルだと言える。また、Phalarisが14ヶでサポートしたのも幸いして、決して良好であるとは言い難いが、平均からやや良いと言える内容となっている。

○ 弱点   (3)

 母方Bella内に弱点を派生させているが、9代目において主導勢力であるPolymelusをクロスしたのは幸いだと言える。全体的に大きな欠陥は生じてはいないが、かろうじて…という部分が多く存在するのは確かで、決して良好であるとは言い難い。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(3-4-9-5)と、かなりバランスがとれてはいるが、強調された部分であるミシシッピアンには、主導たるRoyal Chargerは存在しない点が惜しまれる。ただし、安定感はある内容だと言える。

○ 質[近]  (2)

 父ゴールドアリュールの血統はやや良いといった程度だが、母方ケイシュウハーブ、ミシシッピアン、キョウエイシラユキと見た目の血統構成よりも、はるかに良好だと言える。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるRoyal Chargerの血の質は決して良好とは言い難いが、Vaguely Noble・Mahmoud・Sir Gallahad(=Bull Dog)・Admiral Drakeと影響の強い血はかなり質が高く、完全開花した場合ある程度の底力勝負に対応可能だと言える。惜しむらくはRoyal Chargerの質の低さだろうか。

○ スピード (3)

 主導たるRoyal Chargerを中核に、Mahmoudの中距離向きのスピードを補給した配合。また、Pharamondも強い影響を持ちながら、主導と強固に結合している。したがって短~中距離向きのスピードに良さがある。全体的に見ると比較的良好だと言える。

○ スタミナ (4)

 Vaguely Nobleを中核に、Plucky Liegeを核としたSir Gallahad(=Bull Dog)・Admiral Drakeの重厚なスタミナを補給した配合。7代目以降においては若干スタミナ優位といった程度の為、決してステイヤーと言えるレベルではないが、国内においては十分に重厚な配合だと言える。かなり良好だと考えられる。


 総合的に見ると、明らかに芝向きの配合内容で、本質的には芝の中~長距離で真価を問いたい配合内容だと言える。しかしながら本馬の場合、Sir Gallahad(=Bull Dog)等の米系の影響も強く、Mahmoud等の馬力型のクロスも多いためダートを主戦場としているものと考えられる。ただし、軽いスピードも多少なりと生きている為に、芝での走りを見たいタイプであるのは確かで、欧州の芝でも対応可能な配合内容である。重ねて言えば、主導が不明瞭かつ重厚な配合の為、非常に開花しにくいタイプであるのも確かだろう。
 総合的な評価としては、あと一押しの何かが必要だと考えられるものの、こういったタフなタイプである配合馬が、頭角を現すことは中々に珍しく、そういった観点からは貴重なサラブレッドだと言えるだろう。

オーロマイスター

2010-10-17 22:13:23 | 05年生
オーロマイスター(ゴールドアリュール×フェアリーワルツ-Lear Fan)牡・05生

主:6 結:6 土:2 弱:6 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:34点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:遅め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

○ 主導   (6)

 主導は、Royal Chargerが欠落した為に中間断絶ではあるが、Turn-toを伴うHail to Reason4×4。Hail to Reasonはほぼ系列ぐるみを形成し、比較的強力に血統をリードしている。ついで、同じく中間断絶ではあるがThong(=Lt.Stevens)5×4も比較的強い影響を持った為、主導の明確性が乱れたのはマイナス要素だと考えられる。したがってRoyal Chargerの欠落は非常に残念だと言えるが、両者がNearcoでひとまず連動しているのは、幸いだと言えるだろう。

○ 結合   (6)

 主導たる、Hail to Reasonと6代目に存在するクロスのうち、Turn-to・Nearco・Man o'Warは、Hail to Reasonに含まれる血統で確実に結合している。PharamondはPhalarisで、Mahmoudは、Gainsborough・Mumtaz Mahalで、Thong(=Lt.Stevens)・NasrullahはNearcoで、Bull Leaは、Sir Gallahad(=Bull Dog)で、Native Dancerは直接結合を果たしていないものの、Pharamond(=Sickle)を介し間接的に結合を完了している。また、7代目以降に存在するクロスも、比較的良好な連動性を保っているのが見てとれる。したがってかなり優秀なレベルであると言えるだろう。

○ 土台   (2)

 Pharos(=Fairway)が17ヶで形成。若干貧弱だといえるレベルで、サポートするのもGainsboroughが12ヶとかなり弱い。決してレベルが高いとは言い難いだろう。

○ 弱点   (6)

 これといった弱点や、欠陥は無い。近親度が強い配合の為に、決して完璧だとは言えないだろうが、血統表に大きな不備は存在しない。良好だと言って差し支えないだろう。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(7-4-13-3)と決してバランスが良いとは言えない。しかしながら、強調されたLear Fan内にHail to Reason・Thong(=Lt.Stevens)が存在し連動しているのは幸いだろうか。

○ 質[近]  (2)

 父ゴールドアリュール(3B)、母フェアリーワルツ(3B)とも決して超一流とは言い難く、2~3代目に並ぶ祖先も平均的と言えるだろうか。決して悪くは無いが、父母の流れが異なるのも若干マイナス。

○ 質[遠]  (3)

 主導たる、Hail to Reasonおよび強い影響を持った、Thong(=Lt.Stevens)は決して良好だとは言えない。しかしながら、Man o'War・Native Dancer等が生きたのは幸いで、かろうじて平均点にあると言えるか。

○ スピード (4)

 主導たる、Hail to ReasonやThong(=Lt.Stevens)はスピードに良さがある血統構成で、本質的にスピードに良さがある内容だと言える。また、Pharamond・Mahmoudと短~中距離向きのスピードも生かされ、結合も良好だと言える為しっかりと生かされている。総合的には優秀だと言えるだろう。

○ スタミナ (3)

 これといったスタミナの核を作る事が出来なかった配合ではあるが、Bull Lea・Man o'WarがHail to Reasonへと、スタミナを補給しているのが見て取れる。また、血統の奥に存在するものの、Sir Gallahad(=Bull Dog)・Hyperionが隠し味的にスタミナを補給。これらの引き出し次第ではあるが、中距離に適性を見せて不思議の無い血統構成だと言えるだろう。


 総合的に見ると、決して超一流とはいい難い内容ではあるが、Hail to Reasonをほぼ系列ぐるみにするなど、新しいタイプの血統構成だと言える。こういったタイプの配合馬は、古い時代の配合馬よりもスピードに優れている場合が多いが、当馬の場合もスピードに良さを見せる可能性は高いと考えられる。それだけにRoyal Chargerの欠落は惜しまれるが、3/4同血のNasrullahを7・7×6・6・7とクロスさせている為に、Hail to Reasonは、ほぼ系列ぐるみだと考えて良いだろう。従って、主導項目の評価はかなり微妙だが6点とした(仮にRoyal Chargerがクロスしたならもう少し加点できるだろうが)。
 また、一介のスピード馬ではなく、血統の奥に存在する欧米系のスタミナ勢力が、前面に存在するスピードを底支えできた血統構成で、距離延長に適性を見せるタイプでは無いだろうが、早熟スピード馬では決して無いだろう。
 完全開花した場合、芝の中距離にも適応できる内容ではあるが(父、ゴールドアリュールもそういったタイプだった)、ダート適性が高い血統構成であるのも確かで、今後ともダートマイル~中距離で、自分から競馬を作るようなレースを見せて欲しい。

サマーウインド

2010-01-28 17:43:10 | 05年生
サマーウインド(タイキシャトル×シンウインド-ウエスタンウインド)牡・05生

主:7 結:5 土:2 弱:6 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:36点 クラス:3B 芝:7~11F ダ:7~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:兼用 重馬場適性:□

○ 主導   (7)

 主導は、Mahmoud6・6×5の系列クロス。このMahmoudは、血統の2ブロックにしか存在しないが、父母ウェルシュマフィン内において8代目に2ヶ存在する事と(Mahmoudが母方5代目に存在するため8代目におけるクロス効果はやや疑問。この評価は効果有りと判定している。)、中間断絶ではあるものの、Turn-to5・7×5が比較的大きな影響力を持ったために、主導としての評価に影を落としている。したがって、見た目程協力に血統全体をリードできなかったのが、やや惜しまれる点である。

○ 結合   (5)

 主導たるMahmoudと、6代目に存在するクロスである、Mah MahalはMahmoudに含まれる血統のため確実に結合している。また、Turn-toはBlenheim・Gainsborough・Mumtaz Mahalによって強固に結合し、PrincequilloはWhite Eagleによって、SolarioはGainsboroughで、Pharos(=Fairway)はCanterbury Pilgrimで、Plucky LiegeはTurn-toを通じ間接的に、MieuxceはTeddy~Ajaxを経由してTurn-toを通じ間接的に(ただし、非常に貧弱で、ほぼ未結合状態)にそれぞれ結合している。ただしGold Bridgeは、9代目までに結合ができず、決して良好であるとは言えない。それでも、異系交配としては比較的優秀な部類に入るか。

○ 土台   (2)

 土台構造は、Gainsboroughが12ヶで形成。非常に貧弱ではあるものの、Blenheimが10ヶでサポートしたのは幸いで、かろうじて最低限の土台構造を形成している。ただし、あくまでも最低限のレベルで決して高評価できる状態では無い。

○ 弱点   (6)

 父方Azurineが、一見すると弱点を派生しているように見えるが9代目において主導勢力であるBlandfordが配されただけでなく、Pharos(=Fairway)もクロスしたため、大きな弱点とは言えない。他の部分においても、大きな弱点や欠陥は存在しない。異系交配馬としてはかなり良好なレベルだと言える。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(4-1-10-5)と母父ウエスタンウインドを極端に強調している。決して良好とは言えないが、強調されたウエスタンウインドの生かし方が良いのは幸いだと言えるか。ウェルシュマフィンの影響が極めて弱いのが惜しまれる。

○ 質[近]  (2)

 父タイキシャトル、母シンウインド共に極めて良好とは言い難い血統構成で、近い祖先においても決して良好とは言い難い。かろうじて平均点にはあるか。

○ 質[遠]  (4)

 主導たるMahmoudは質の高い配合で、影響の強いPrincequillo・Plucky Liege・Solario・Pharos(=Fairway)などの血統も極めて良好だと言える。主導に次いで影響の強いTurn-toの血の質自体は良好とは言い難いが、全体的に見ると優秀だと言えるだろう。底力勝負可能な配合形態。

○ スピード (4)

 主導たるMahmoudの中距離向きのスピードを中核に、Turn-to・Mah Mahal~Mumtaz Mahal~The Tetrarchと軽いスピードにも良さがある。多種のスピードを生かした訳ではないので、決して器用なタイプだとは言えないが、Mahmoudへの流れのよさは非常に良好で、仕上がった際は重厚なスピードを見せる可能性を秘めている。

○ スタミナ (4)

 Princequillo・Plucky Liege・Solario・Blenheimをスタミナの核にした配合。スピードにも良さがある為、決して長距離向きの内容ではないが、全体としてみた場合かなり良好で、7代目以降においてもSir Gallahad(=Bull Dog)が生きるなどスタミナに良さがある内容。長く脚を使えるタイプ。


 総合的に見ると、若干古めかしさを感じさせる見た目の血統よりも、ずっと良さがある配合だと言える。また、強調されたGallant Manの生かし方には非の打ち所が無いほどで、仕上がった際の迫力はある。生かされたスピード・スタミナ共に本来は芝向きの血統で、本質的には芝中距離で真価を問いたいサラブレッドだと言える。
 個人的にではあるが、Mahmoud主導のタイプは馬力型のサラブレッドが多いように感じられる。本馬の場合、世代の問題もある為に(若干世代ズレ気味の配合である事は確か)、ダートを主戦場にしているものと考えられる。

ディープスカイ

2009-06-25 21:22:53 | 05年生
ディープスカイ(アグネスタキオン×アビ-Chief's Crown)牡・05生

主:7 結:5 土:3 弱:6 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3 特:3(母・伴性血縁牝馬)
合計:36+3点 クラス:1A 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:□

 08年・NHKマイルC・日本ダービー馬

 ディープスカイはBold Ruler5×5・5を主導にした配合。比較的明瞭な主導だと言えるが、Almahmoud5×6も系列クロスを形成し強い影響を持った点や、父父サンデーサイレンスがBold Ruler~Nasrullahを含まない為に、主導としての評価に影を落としている。

 しかし、抜群の影響度バランス(4-4-5-4)や、5代目からクロスを作る配合にも関わらずこれといった弱点や欠陥も無く、父を生かすために必要なTourbillon~Ksar・Man o'Warもしっかりとクロスされている。

 惜しむらくは、これといったスタミナの核を作れなかった点だが、Belle Mere(=Beau Pere)~Son-in-Law・Hyperion~Gainsborough等、Key to the Mint内の生かし方が良く、本質的に12Fは厳しいが11Fまでなら十分守備範囲内。

 また母アビが抱える母系クロス、Miss Carmie(4※5)がX染色体径路上にある為、もう一皮剥ける可能性を秘める。今後も安定感のある走りを期待したい。