血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

ヤマニンパラダイス

2018-12-07 21:56:22 | 私的名馬
ヤマニンパラダイス(Danzig×Althea by Alydar)牝・94生

Ⅰ 主:8 結:8 土:3 弱:3 影:3 集:5 質:5 再:6 SP:5 ST:3 特:0
合計:(49/60)点 クラス:2A 
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇 
Ⅲ 距離適性
芝:S 〇 M ◎ I 〇 C □ L △
ダ:S 〇 M 〇 I 〇 C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:□ 成長型:晩成

〇 主導      (8)

 主導はNearcoの系列クロス及び、War Admiralの系列クロス。両者はそれぞれ4代目に存在し、互いに連動を果たしているものの、決して万全の体制とは言えない。しかしながら、両者が母母Courtly Dee内に存在したのは幸運で、連合勢力と言える形態にはある。

〇 結合      (8)

 2系統の主導勢力であるNearco及びWar Admiralの両者は、Speamint・St,Simonを介し連動を果たしている。他の強い影響を持つクロスである、HyperionはChaucerを通じて、BlenheimはSwynfordを通じてSir GallahadはSpeamintを通じて、Native DancerはPhalarisを通じて、それぞれ主導と結合を果たしている。また、Native Dancerは欧米系のクロスをしっかりとまとめているのが見て取れ、単一クロスではあるが当馬の血統構成上不可欠な働きをしている点を指摘しておきたい。

〇 土台・血の流れ (3)

 土台構造は、St,Simon(17連)で形成している。連数的には普通程度だと言えるが、全体の血の流れの良さがあり、Bay Ronald(8連)、Speamint(13連)の流れもしっかりと前面のクロス馬に流れている点は評価できる。

〇 弱点・欠陥   (3)

 特に無し。5代目を基準とした各ブロックにおいてしっかりと主導勢力に関するクロス馬が配置されている。4代目から系列クロスが始まる近親配合であるが、7代目においてクロスが存在しないヶ所ですら3ヶ所しかないのは、なかなか見られない形態である。

〇 影響度バランス (3)

 影響度バランスは(14-3-5-14)と両親のバランスが取れている。ややいびつではあるが、Vagurely Noble‐Alleged型だと言える。また強調された父父及び母母内に主導勢力がバランスよく配されているのもプラス。

〇 血の集合    (5)

 全体的な血の集合は、母母Courtly Deeにおいて見られる。若干惜しまれるのが、影響度バランス上でわかるように、父父Northern Dancer内の影響が同程度に強くなりながら、War Admiralが存在しない点で、非常に優秀な配合ではあるものの、血の集合に関しては明確だとはやや言い難い部分が残る点か。

〇 質       (5)

 血統全体において血の質の高いクロスを生かすだけでなく、War Admiral(1A)・Never Bend(1A)・Alydar(3A)と重ねた母の血の質が高い。底力勝負可能な血統構成。

〇 再限度     (6)

 父の主導であったNearcoと母の主導であったMan o’warの仔であるWar Admiralを主導とし、父母に強いTeddy系の流れをSir Gallahadのクロスにより引き継ぐだけでなく、特に母に強い米系を再度クロスさせNative Dancerの元に統一させた妙味ある形態。それだけ米系が濃い配合で、当馬が時代を先取りした血統であると言えるのだが、この米系の濃さが当時の国内の種牡馬プールが適応できなかった点は指摘しておきたい。

〇 スピード    (5)

 主導たるNrarcoを中核に、Nasrullahをクロスさせずそのスピード源となっている母方のMumtaz Mahalを父母共にクロスさせそのスピードを再現している。特にThe Tetarch~Lady Josephineとクロスさせる形態は、近年においても国内向きのスピード再現として非常に有用である。また、Sir Gallahadの系列クロスがPlucky Liegeを欠落させた為、スピード勢力として機能している点も、スピード面においては有用だと考えられる。

〇 スタミナ    (3)

 もう一方の主導である、War Admiralを中核とし、影響は弱いもののSon-in-Lowの中間断絶がスタミナをアシスト。父方Hyperionはその仔である、Lady Angelaの影響から、明確なスタミナ源としての機能が弱い点が惜しまれるが、平均点にはあるか。

〇 特別配点    (0)

 特に無し。

〇 短評

 94年の阪神3歳牝馬ステークス(G1)を、デビューから3連勝で制したヤマニンパラダイスの血統面からの考察をおこなってみました。当馬の血統構成は、母方に強いTeddy系、Fair Play系をはじめとした米系を切り捨てる事無く、しっかりと生かした当時としては異端の血統構成であります。再限度の項目でも触れましたが、当時の国内の血統プールからすれば異端である米系を生かした配合は、まさに〇外と言えますが、それだけに当時の種牡馬群との配合では生かしきれなかった、名血統であったと言えるでしょう。唯一、サンデーサイレンスが対応できたとも言えますが、サンデーサイレンス自身はBay Ronaldの血の流れを強く持った血統構成で、当馬の配合相手としては決してベストとは言えない部分はありました(※一番仔 ヤマニンセラフィム(3B)新馬から母と同じく3連勝を記録)。
 結果的に、直仔で母の血統を生かし切った配合を見る事はかないませんでしたが、当馬の持つ米系の価値は代が進むに連れその輝きを増していくと個人的には予測しています。いずれ、当馬の名を高める子孫が出ることを心待ちにしています。
 では、ヤマニンパラダイスの当代配合としては、どうした形態がよかったのでしょうか。個人的に考えた配合をいくつか挙げてみたいと思います(あくまでも紙面上の、個人的な考えに基づいています。また関係者の方々への問い合わせ等は絶対に行わないでください。あくまでも仮想の思索でしかありません。そのような方がいらっしゃるとは思いませんが)。

(エイシンワシントン×ヤマニンパラダイス by Danzig)-・-生

Ⅰ 主:7 結:6 土:2 弱:3 影:3 集:6 質:4 再:6 SP:4 ST:4 特:0
合計:(45/60)点 クラス:1A 
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:◎ 
Ⅲ 距離適性
芝:S □ M 〇 I ◎ C 〇 L □
ダ:S × M 〇 I ◎ C □ L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:□ 成長型:晩成

 主導は、母の傾向を引き継ぎ、War Admiral及びNearcoの系列クロス。父の主導であったSickleからスピードを、父母内では眠っていた、DjebelやHyperionからスタミナを補給。父のスタミナ源となった、Princequilloの欠落は惜しまれるが、欧米系が入り混じる血統でありながら、しっかりと血の結合が完了している点と、母母を強調した血の集合、更に父母の再限度にかなりの良さがある。父母共に距離に壁があるイメージから当馬もスプリント~マイル向きと見られるかも知れないが、生きている血からはむしろ10F前後に適性を示すと考えられる。父母共に質が非常に高く、底力ある中距離タイプ。

(オグリキャップ×ヤマニンパラダイス by Danzig)-・-生

Ⅰ 主:6 結:7 土:3 弱:2 影:2 集:5 質:3 再:5 SP:5 ST:3 特:0
合計:(41/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S 〇 M ◎ I 〇 C × L ×
ダ:S 〇 M 〇 I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:□ 成長型:普通

 主導は父の傾向を引き継ぎNasrullah。次いで、War Admiral、Fair Trial。主導勢力とそれらサポート血脈で母母を強調し血の集合をはかっている為、スピード競馬への対応は比較的早期から可能。半面スタミナ勢力が弱く、本質的には芝向きのマイラータイプ。また、Native Dancer3×5の単一クロスからくる結合のアシストは、父母が強く持つ米系対応へのひとつの解答だと言える。やや底力には欠けるが、父の配合としては比較的良くできている。

 天才少女だったヤマニンパラダイスは、本日26年の生涯を終えました。当馬の全姉であるAuroraからアルビアーノが出たように、ヤマニンパラダイスの子孫が鮮烈な輝きを放つ事を期待して、今回は筆を置きたいと思います。
 相変わらずの乱筆乱文をご容赦ください。

アドマイヤコスモス

2012-03-26 22:25:29 | 私的名馬
アドマイヤコスモス(アドマイヤマックス×アドマイヤラピス-Be My Guest)牡・07生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=208137

主:8 結:6 土:4 弱:3 影:1 質[近]:2 質[遠]:3 SP:5 ST:3
合計:35点 クラス:3B 芝:6~10F ダ:5~9F
日本適性:◎ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

○ 主導   (8)

 主導は、Northern Dancer4×3の中間断絶クロス。このNorthern Dancerはノーザンテーストと呼応してのクロスであるため、自動的にその中の、AlmahmoudとLady Angelaで血統をリードしている。当馬の血統構成上、前面で他のクロスを作成しなかったために、非常に強力に血統をリードしている。また、血統全体でGainsborough系の流れが圧倒的に強い配合で、その意味においてもNorthern Dancer内に血を集合させているのが有効に作用している。

○ 結合   (6)

 主導たるNorthern Dancerと6代目までに存在するクロスである、Almahmoud~Mahmoud、Lady Angela~Hyperion、Nearco~Pharos(=Fairway)、Pharamond(=Sickle)はNorthern Dancerに含まれるために確実に結合している。また、単一クロスであるStymieは9代目に存在するFair Playによって結合を果たしている。近親度が強い配合の為に決して万全であるとは言い難いが、7代目以降においての連動性も高く、ひとたびNorthern Dancerが目覚めた場合は血統全体が連動する体制が整っている。

○ 土台   (4)

 土台構造は、Gainsboroughが20ヶで形成。さらに、Swynford(=Harry of Hereford)13ヶでそれをサポートしている。これは、世代の新しい配合としてはかなり脅威的で、近親度の強さはあるものの、堅牢な状態であると言って良い。

○ 弱点   (3)

 ノーザンテースト内Victoria Parkに弱点を派生している。ノーザンテーストを血統内に持つ配合馬全般に言えるが、非常に大きな課題で、当馬の場合も完全に解決はされていない。9代目においてSir Gallahadがかろうじてクロスしているのは幸いだが、影響の強い部分であるのはやはりマイナスだと言えるだろう。

○ 影響   (1)

 影響度バランスは(5-9-16-1)と、圧倒的にBMSのBe My Guestを強調している。この部分は主導勢力を含み、Be My Guestの生かし方も良いために、決して劣悪とは言えないものの、決して良好であるとも言い難い。

○ 質[近]  (2)

 近い世代の血の質は決して低くはないが、ノーザンテースト等バランスを崩した配合もいくつか存在するために、本質的な意味においての底力勝負はやや疑問がある。平均点にはあるか。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるNorthern Dancerは優秀な配合であるが、実質的に血統をリードしているAlmahmoudとLady Angelaは若干質に劣る血統構成である。ノーザンテーストを含むサラブレッドがNorthern Dancerクロスを作成した場合、避けて通れない道であるものの、惜しまれる部分である。

○ スピード (5)

 主導内AlmahmoudとLady Angelaを中核に、Pharamond(=Sickle)のスピードを補給した配合。国内向けの軽いスピードにかなりのよさがあり、7代目以降においてもTetratemaの決め手をしっかりと主導内に取り込んでいる。かなり優秀な内容だと考えられる。

○ スタミナ (3)

 10連あるHyperionを中核にした配合であるが、当馬の場合その殆どがLady Angelaの傘下にある為、明確なスタミナ勢力として機能しているかは若干疑問が残る。母方のハイハット内に存在するHyperionが不安定ながらもスタミナ源として機能していると考えられるが、本質的に距離延長は向いていないと考えられる。


 総合的に見ると、母アドマイヤラピスの産駒に共通するスタミナ優位の配合では決してないものの、非常にスピードに恵まれた配合で、またスタミナ勢力もある程度確保しているため、マイル~中距離においては優れた可能性を秘めた配合だと考えられる。また、圧倒的に強調されたBMSのBe My Guestはほぼ全開し、この父母の相性はかなり良好だと言えるだろう。それだけに、父方ノーザンテースト内の弱点やバランスの悪さは惜しまれる部分だが、マイラーとしての配合を考えるうえで参考になる部分も多数持ち合わせているといえるだろう。
 これからの活躍を期待したい配合であっただけに、夭折が非常に残念である。

スーパークリーク

2010-09-10 19:00:33 | 私的名馬
スーパークリーク(ノーアテンション×ナイスデイ-インターメゾ)牡・85生

主:6 結:7 土:4 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:5
合計:36点 クラス:3B 芝:10~15F ダ:9~12F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (6)

 主導は、Hyperion7・4×5の系列クロス。次いで、Nearco6・6×4・6で血統をリードしている。両者の結合は、Chaucerを通じて結合しているものの、決して強固な協力体制にある訳では無く、Hornbeam内に血の流れが集まっているのが見てとれるものの、鮮明に血の集合が判別できないのが惜しまれる点である。

○ 結合   (7)

 主導たる、Hyperionと6代目までに存在するクロスである、Nasrullah~Nearco~Pharos(=Fairway)は、Chaucer~St.Simonを通じて、Dark Ronaldは、Hamptonを通じて、BlandfordはNasrullahを通じて、確実に結合している。かなり強固な状態を形成しているうえ7代目以降のクロスのまとまりも良好。非常に優秀だといえる。

○ 土台   (4)

 St.Simonが22ヶで形成している。数字上はかなり良好だが、父母間のアンバランスさはやはりマイナスで(父方が4ヶしか存在せず、父父Green Dancer内においてはSt.Simonが9代目までに存在しないのは、明らかにバランスが劣悪だと言わざるを得ない)、影響の少ない部分である為に、悪影響は少ないだろうがかなり惜しまれる部分である(Green Dancer内10代目において7ヶ存在するのが非常に惜しまれる)。

○ 弱点   (3)

 父父方、Green Dancer内Spy Songに欠陥を、Ampolaに弱点を生じている。Spy Song内は、9代目においてもクロスが存在せず、Ampola内は9代目Ajaxがかろうじてクロスしている。これはかなり明確な弱点だと言える。影響の少ない部分の為、若干軽微だと考えられるものの高評価を与える事は出来ない。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(1-4-14-15)と圧倒的に母ナイスデイを強調した内容となっている。従って、バランスは非常に悪く、安定感に欠けるタイプだと考えられるが、強調した母方において主導勢力が強い影響を持った事は、幸いだと考えられる。

○ 質[近]  (2)

 父ノーアテンション、母ナイスデイ共に、決して高評価できる血統構成では無いものの、3代目までに並ぶ血統は比較的良好だと考えられる。平均点にはあるか。

○ 質[遠]  (4)

 非常に質の高いHyperionを主導に、同様に質の高いNearcoがサポートと、かなり良好だと考えられる。若干惜しまれるのはNasrullahも強い影響を持った点だが、スピードといった側面から考えると痛し痒しといったところか。底力勝負可能な内容だと言える。

○ スピード (3)

 Nasrullah(Nasrullah内Mumtaz Mahal~The Tetrarchはしっかり生きている)を中核に、隠し味的にGrand Paradeのスピードを補給。若干、物足りなさは残るが、結合のよさを考えると平均点にはあるか。

○ スタミナ (5)

 血統内において影響が強い、Hyperion・Nearcoを中核にした配合。この両者は、もともとスタミナに良さがあるタイプだが、Blenheim~Blandford、Hurry On、Son-in-Law~Dark Ronald~Bay Ronald等によってスタミナをより強化されている。非常に良好だと考えられる。


 総括すると、父ノーアテンションが抱えた世代バランスの悪さを矯正できた内容ではないものの、欧州系のスタミナを存分に生かした配合で、15F克服は可能だと判断した。ただし世代バランスの悪さや、土台構造の曖昧さ、また影響度バランスや弱点・欠陥の存在等決して過信は禁物の血統構成ではあるだろう(ただし、父ノーアテンションの10代目の一部でも目覚めた場合、前述の問題はほぼ解決する。したがって、配合の方向性としては決して間違えた内容ではなく、瞬間的な能力発揮は可能なタイプだと言えるだろうか)。
 しかしながら、これだけ世代バランスが悪い配合ではあるものの、これといった世代ズレを抱えなかったのは驚異的で、結合力の良さも非常に優秀で、ここがスーパークリークの能力の源泉だと考えられる。本来であれば、非常に良質なスタミナの伝え手として後世に遺すべき血統のひとつではなかっただろうか。

 さらば、スーパークリーク。

 主な戦績:1着 - 菊花賞(G1)、天皇賞(秋)(G1)、天皇賞(春)(G1)、京都大賞典(G2)、産經大阪杯(G2)、京都大賞典(G2)
        2着 - 有馬記念(G1)
        3着 - 神戸新聞杯(G2)、きさらぎ賞(G3)

オグリキャップ

2010-07-06 20:48:19 | 私的名馬
オグリキャップ(ダンシングキャップ×ホワイトナルビー-シルバーシャーク)牡・85生

主:9 結:7 土:4 弱:6 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:5 ST:3
合計:42点 クラス:2A 芝:7~11F ダ:8~10F
日本適性:◎ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

 今さら、私ごときがオグリキャップの血統について語る無礼をお許しください。

 オグリキャップの主導は、Nasrullah4×5の系列クロス。このNasrullahは父Nearcoを3ブロックに配し血統全体を強力にリードしている。また、父(Ⅰブロック)にはNasrullah~Nearcoが存在しないものの、Phalarisが6代目からしっかりと影響を行使している。従って主導項目は、完璧ではないが極めて高い評価を下すことができる。

 また、結合項目においても高い評価を下すことができる。本来、主導たるNasrullahは4代目からクロスしたとしても、欧米系の血統をまとめるのが難しいが、オグリキャップの場合は、絶妙のバランスで配されたクロス馬によって、8~9代目において結合を確実に完了している。簡単にあげると、Black ToneyはGalopinからSt.Simonを通じ、Ben BrushはBlack Toneyを通じ、Man o'War~Fair PlayはPolymelus内Bend Orを通じしっかりと結合を完了している。従って、ほぼ完璧な結合力を見てとることができる。

 惜しむらくは、血統全体の血の質の低さとスタミナの核の欠如だが、再現されたスピードは現代でも通用するレベルで、Mumtaz Mahal~The Tetrarch・Lady Josephineなど主導たるNasrullahへと補給されている。こと、マイラーというカテゴリーにおいては世界的に見ても屈指の血統構成で、非常に優れて美しい血統構成をしている。

 見た目の血統や、笠松デビューといった競争生活からはマイナーなイメージが相当強いが、五十嵐理論というフィルターを用いると、紛れもない良血であるのがまざまざと見せ付けられる。血統の不思議とは?良血とは?競馬の醍醐味とは?様々な質問(多角的な)に回答を用意してくれた、まさに不世出の名馬である。

 さらば…オグリキャップ。

 主な勝ち鞍:1着 - 有馬記念(G1)、マイルチャンピオンS(G1)、安田記念(G1)、有馬記念(G1)、NZT4歳S(G2)、高松宮杯(G2)、毎日王冠(G2)、毎日王冠(G2)、ペガサスS(G3)、毎日杯(G3)、毎日放送京都4歳特別(G3)、産經賞オールカマー(G3)
         2着 - 天皇賞(秋)(G1)、天皇賞(秋)(G1)、ジャパンC(G1)、宝塚記念(G1)
          3着 - ジャパンC(G1)

バブルガムフェロー

2010-04-28 14:14:55 | 私的名馬
バブルガムフェロー(サンデーサイレンス×バブルカンパニー-Lyphard)牡・93生

主:6 結:6 土:2 弱:6 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:4 特:1(主導牝馬クロス)
合計:38+1点 クラス:1A 芝:8~12F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 バブルガムフェローは、血統の前面でAlmahmoud4×5を形成し主導とした配合。次いで、Hyperion6・7×6・6・6及びNearco6×5でリードしている。この三者は、自身の土台構造を形成するGainsboroughや、Chaucerによって強固に結合しているのが見てとれる。また、直接の影響は弱くAlmahmoud内において10代目に位置するため、土台構造足りえなかったものの、8~9代目にSt.Simonを15ヶ配し結合をサポートしている。

 惜しむらくは、主導たるAlmahmoudは途中Blandfordが断絶する為に、3ブロックに影響を及ぼしながらも、明確な主導としての評価を下げてしまっている点で、できることならAlmahmoudを系列クロスとし明確な主導とするか、AlmahmoudをクロスさせずにHyperionとMahmoudを並列させ連合勢力と言える主導とした方が全体としては好ましかったかもしれない。ただし、後者の場合距離延長に適応しやすくなるものの、日本向きの軽いスピードには欠ける事が予想され、相当の鍛錬を必要とするタイプに変身するだろう。この手のタイプはダート短~中距離を使われることが多く、バブルガムフェローには幸運だったかもしれない。

 また、7~8代目においてPlucky Liege・Mumtaz Mahal・Lady Josephine・The Tetrarch・Son-in-Law等、きめ細かく欧州系のスピード・スタミナ要素を生かした配合で、父の米系統を生かしきった配合とは言い難いものの、底力自体は悪くは無い。ただし、公式でも言われているように、その父の米系統であるMan o'War・Sir Gallahad(=Bull Dog)や母バブルカンパニーのHurry On・Ksar等、キーホースを一部欠落させたのは大きなマイナスで、現役時代に度々詰めが甘い競馬を見せたり、距離延長にあまり適性を見せなかったのはここが原因だと考えられる。

 しかしながら、抜群の影響度バランス(9-2-8-3)や、これといった弱点・欠陥が無い配合で、上記のようなマイナス点はあるものの、欧米系が入り混じった配合としては十分合格点を与える事ができるだろう。

 種牡馬としてダート向きの産駒が多く出たのは、前面にこれといったスピード要素が少なかった為に、切れ味に劣るタイプが大多数だった為だと考えられる。つけ加えるならば、Pharamond(=Sickle)が5×8と世代ズレを抱えたのもマイナスだったかもしれない(自身の血統内ではクロスとカウントせず)。

 血統的に似たようなタイプである、ディープインパクトも種牡馬としてこの克服が最大の課題だと言えるだろうか。

 バブルガムフェローよ、安らかに…

 主な戦績:1着 - 朝日杯3歳S(G1)、天皇賞(秋)(G1)、フジTVスプリングS(G2)、鳴尾記念(G2)、毎日王冠(G2)
        2着 - 宝塚記念(G1)、天皇賞(秋)(G1)
        3着 - ジャパンC(G1)、毎日王冠(G2)