血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

Treve(トレヴ)

2013-09-30 13:31:23 | 海外馬
Treve(Motivator×Trevise-Anabaa)牝・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=236235

主:5 結:5 土:4 弱:6 影:2 質[近]:3 質[遠]:3 SP:3 ST:4
合計:35点 クラス:3B 芝:9~12F ダ:8~11F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:遅め 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:○ 距離短縮適性:□ 距離延長適性:○


○ 主導   (5)

 主導は、Nasrullah(=Malindi)7・7・8・8・8×5・7・7の系列クロス。非常に明確に見えるが、当馬の場合Northern Dancer4×4・5の中間断絶クロスや、Turn-toを伴う、Hail to Reason6×5が存在し、その状態は決して明確であるとは言えないのが惜しまれる点であるが、この三者がNearcoで強固に連動したのは幸いだと言えるだろうか。

○ 結合   (5)

 主導たるNasrullah(=Malindi)と6代目までに存在するクロスである、Northern Dancer、Hail to ReasonはNearcoで、Court MartialはPharos(=Fairway)で直接結合をはたしている。Native DancerはNorthern Dancerを通じて、LalunはHail to Reason内Teddyを通じて、Somethingroyal~PrincequilloはNorthern Dancer内Traceryを通じて、間接結合を果たしている。全体的に間接結合が多いものの、ひとまず結合を完了しているのは幸いだが、乱雑な血統構成であるのは否めない点であるのは指摘しておきたい。

○ 土台   (4)

 土台構造は、Pharos(=Fairway)が18ヶで形成。単一の土台構造としてはまずまずの堅牢さで、Blandfordが7ヶでアシストしたのも、プラスだといえるだろう。

○ 弱点   (6)

 5代目を基準とした、各ブロックにおいて弱点・欠陥は存在しない。近親度が強い配合ではあるものの、ブロックの殆どにおいて、主導勢力に含まれているクロスが存在しているのは特筆すべき形態であると言えるだろう。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(7-3-5-13)と決して良好とはいいがたいが、主導勢力を含む母母方をしっかり強調できたのはプラスだと言えるだろう。

○ 質[近]  (3)

 近い世代を構成する血の質は全体的に高い。底力勝負可能な血統構成。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるNasrullah(=Malindi)や影響の強いHail to Reasonは決して質の高い血統だとは言い難いが、その他のクロスの質は比較的高い。総合的には平均的と言えるだろうか。

○ スピード (3)

 主導たるNasrullah(=Malindi)を中核に、Hail to Reasonがサポートした形態。スタミナ勢力のアシストもある為に、短距離向きのスピードというより、中距離向きのスピードが強調されていると考えられる。

○ スタミナ (4)

 Somethingroyal~Princequillo及び、Hurry Onを伴うCourt Martialを中核にした形態。この両者の主導との連動性は、決して高いとは言い難いものの、ひとまず結合している為、この部分の引き出しかた如何によっては、ある程度の距離延長への適性を見せても不思議は無い事を指摘しておきたい。


 総合的にみると、主導勢力の不明瞭さはあるものの、結合の強固さや土台構造の堅牢さなど、見るべき点も多い血統構成となっている。また、牝馬としては重厚な血統構成で、本質的には10F以上での自力勝負に向いた血統構成だと言えるだろう。それだけに主導勢力の不明瞭さが、惜しまれる点ではあるが、全体的には良くできた血統構成で、当馬の戦績がそれを雄弁に物語っていると言えるだろうか。


Dawn Approach(ダウンアプローチ)

2013-08-29 23:44:00 | 海外馬
Dawn Approach(New Approach×Hymn of the Dawn-Phone Trick)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=231907

主:8 結:5 土:2 弱:4 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:5 ST:3
合計:35点 クラス:3B 芝:7~11F ダ:7~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:普通 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:○ 距離延長適性:□


○ 主導   (8)

 主導は、Nearctic5×5の系列クロス。この主導は、その父Nearcoを血統の4ブロックに散在させ、血統全体を強力にリードしている。惜しむらくは、Ⅱ・ⅣブロックにおけるNearcoが血統の7代目以降にしか存在しない点で、この部分の動き出しの遅さは当馬の血統構成上無視できない部分であると言えるだろう。また、Native Dancerを伴うRaise a Native6×5の中間断絶も、ある程度の影響力を持つのも、主導面においての評価に若干のマイナスを与えている点も指摘しておきたい。それでも、全体的にはPharos(=Fairway)系およびGainsborough系の流れが強く、両者を強力に統合するNearcticが主導であるのは、大きな幸運であると言えるだろうか。

○ 結合   (5)

 主導たるNearcticと、6代目までに存在するNearcoはその傘下に存在している。NasrullahはNearcoで非常に強固に結合している。Bull LeaはSpearmintで、War AdmiralはSwynford(=Harry of Hereford)で直接結合している。Djeddah、Raise a Native~Native DancerはBull Lea内Teddyを通じて間接的に結合を完了している。決して強固とは言い難いが、欧米系の混合された当馬の血統構成を、かろうじてであるものの、主導たるNearcticがまとめあげた点は、評価されてしかるべきだろう。

○ 土台   (2)

 土台構造はPharos(=Fairway)が12ヶで形成している。かなり貧弱だと言えるが、Hyperionが8ヶでアシストしているのは幸いだろうか。

○ 弱点   (4)

 父内Anatevkaに弱点を発生させている。9代目においてHyperion、Blandfordがクロスし、影響が少ない部分であった為に、その影響が比較的軽微だと言えるのは、当馬にとって幸いだと言えるだろうか。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(4-1-8-3)と、母父のPhone Trickを強調している。決して良好であるとは言い難いが、Phone Trick内に影響の強いクロスの殆どが存在している為に、仕上がった際の破壊力は否定できない点を指摘しておきたい。

○ 質[近]  (2)

 近い世代の血の質はかなり良好だと言える。強調されたのが決して質の高くないPhone Trickであるのが惜しまれるものの、全体的には良好な部類に入るだろう。

○ 質[遠]  (4)

 主導たるNearcticを初めとして、全体的に質の高いクロスで血統を構成している。非常に質の高い血統構成だと言える。底力勝負可能な血統構成。

○ スピード (5)

 主導たるNearctic(Nearcticは本来バランスよりのスピード血統だが、Royal Charger内のNearcoや6連存在するNasrullahから相当のスピードのアシストを受けている)を中核にRaise a NativeやBull Lea(Bull Leaがスタミナ勢力として明確に機能するためには、当馬が欠落させたPlucky Liegeのアシストが必要だと考えられる)がアシストする形態。この三者の連動は決してスムーズでは無い為、引き出しに時間はかかると考えられる上に、多少安定感にはかけるものの、開花した場合は粘りあるスピードを発揮できるだろう。

○ スタミナ (3)

 War AdmiralおよびDjeddahを中核にした血統構成。スピード勢力と比較して貧弱であるのは否めない事実だが、最低限のスタミナを確保しているとも言える。ただし、決して過信するレベルにはなく、距離延長に対しての適性は決して高いとは言い難い。


 総合的に見ると、父New Approachのイメージと異なり、圧倒的にスピード優位の血統構成だと言え、当馬の競争成績が雄弁に物語っている通り、血統構成からみた場合もスピード優位のマイラーだと言えるのは疑いの余地はない。また、最低限のスタミナも確保している為に、距離延長の適性は高いとは言い難いものの、芝10Fまでならば、Northern DancerとIcecapadeの連動によってもたらされた(当馬の場合、結果的に強調されたPhone Trickがほぼ全開になった点は無視できない事実で、Northern Dancerと≒Icecapadeの4×4だけでは、説明し難い部分もあるのは指摘しておきたい。それでも十分な相性の良さはあるが。)、質の高い血に支えられた、その豊なスピードを十二分に発揮できるだろう。
 惜しむらくは、影響度バランスの悪さや土台構造の散漫さからくる安定度の低さだと想定され、調子をくずした際にその回復には手間取る可能性が、高い点は指摘しておきたい事実である。

Novellist(ノヴェリスト)

2013-08-05 17:40:00 | 海外馬
Novellist(Monsun×Night Lagoon-Lagunas)牡・09生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=232473

主:8 結:6 土:3 弱:3 影:2 質[近]:3 質[遠]:4 SP:3 ST:5
合計:37点 クラス:3B 芝:10~16F ダ:9~12F
日本適性:× 成長力:○ 成長型:遅め 
芝適性:○ 砂適性:△ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:△ 距離延長適性:○


○ 主導   (8)

 主導は途中Alchimistが断絶するものの、Birkhahn5×5・7・8を伴うLiterat4×4の系列クロス(8代目Birkhahnは位置的に微妙だが、血統全体でBay Ronald系の流れが強く、かろうじてクロスしていると判断している)。この主導は、比較的明瞭で、極めて強力にとはいかなかったものの、当馬の血統を上手くリードしていると言えるだろうか。

○ 結合   (6)

 主導たるLiteratと6代目までに存在するクロスである、OlympはLiteratに含まれ、NearcoはPhalarisで、Neckar(=Naxos)~Ticino、OlympはArjaman~Heroldで、Tornadoはその父Tourbillonで、Donatelloは直接結合をしないものの、Swynfordを経由してTornadoによって主導と結合をはたしている。7代目以降においても、Teddy系などの一部の米系を除き、かなり強固に結合をはたしている。かなり優秀だと考えて差し支えないだろう。

○ 土台   (3)

 土台構造は、Heroldが13ヶで形成している。決して強固とは言えないが、Phalarisが8ヶでサポートしている点と、Heroldが5代目を基準とした各ブロックにほぼ存在する点を考えると平均点にはあるか。

○ 弱点   (3)

 母方、Flaming Page及びWindy Answerに弱点を発生させている。比較的影響の弱い部分であるのは幸いだが、決して無視できるものでもない。当馬の血統構成を考えるに、非常に惜しまれる点であると言える。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは、(10-7-6-2)と決して良好とは言えない。出来ることなら父父方の影響をもう少しおさえた形が望ましかったか。やや安定感に欠ける血統構成だと考えられる。

○ 質[近]  (3)

 父母の血統構成は比較的優秀だと考えてよい。底力勝負可能な血統構成。惜しむらくは母方より父方が優秀な点だが、総合的には優秀な部類に入ると言えるだろう。

○ 質[遠]  (4)

 主導たる、Literatをはじめとして、優秀な独血統のクロスで血統を構築。前述の質[近]とあわせ、かなり優秀な血統構成である。完全開花した際には、自ら競馬を作れる内容だと考えられる。

○ スピード (3)

 Nearcoを中核にした配合。若干スピードが不足気味だと考えられるが、7代目以降においてRelic等が隠し味的にスピードを補給している。引き出しに苦労すると考えられるタイプで、鍛錬が必要以上に大切な血統構成であると言える。Mahmoud及びBlue Peterの欠落が惜しまれる。

○ スタミナ (5)

 Hyperion及びTourbillon・Donatelloを中核にした配合。それぞれが主導たるLiteratへと質が高く、非常に強靭なスタミナを確実に補給しているのが見て取れる。本来、主導たるLiteratはバランス型の血統構成であるが、前述したスタミナ勢力のアシストも受けている為に、スタミナ型へと能力変換をおこしていると考えて良い。近年まれに見るレベルで、ステイヤーといって差し支えないレベルで、本領発揮は12F以上必要だと考えられるか。


 総合的に見ると、質の高いスタミナを血統の背骨に全体の骨格を構成しており、古きよきステイヤーのたたずまいを見せている。若干、スピードに欠ける点が惜しまれるが、重厚なスタミナは、その弱点を補って余りある内容である。
 惜しむらくは、弱点を2ヶ所抱えた事で、この部分さえ無ければもうワンランク上の評価もありえただけに、重ねて惜しまれる点だと言える。更に、影響度バランスや土台構造なども鑑みると、安定感には劣る可能性は指摘しておきたい。爆発力はあるが、不可解な敗戦を喫するタイプであるとも言える。
 それでも、スタミナという質実剛健な武器をしっかりと確保した内容で、近年珍しいステイヤーだと言えるだろうか。
 それだけに、仮に国内でデビューした場合、勝ち上がりにすら苦労する血統構成であるのは確かで、ここまでの成績を収めるに至った、関係者の方々の努力にささやかながら敬意を表したいと思います。

Beauty Parlour(ビューティーパーラー)

2012-06-05 17:33:28 | 海外馬
Beauty Parlour(ディープインパクト×Bastet-Giant's Causeway)牝・09生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=229274

主:6 結:6 土:4 弱:5 影:2 質[近]:3 質[遠]:3 SP:4 ST:4
合計:37点 クラス:3B 芝:8~12F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:◎ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (6)

 主導は、Hail to Reason4×6。Hail to ReasonはRoyal Chargerが欠落するものの、ほぼ系列クロスを形成し、主導を形成している。更に、Sir Gaylord6×6が系列クロスを形成し、この両者で連合勢力を形成し、血統をリードしている。しかしながら、Almahmoud5・7×7の系列クロスや、Northern Dancer5×5の中間断絶クロスも存在しているため、極めて強力とはいかなかったのが、惜しまれる。

○ 結合   (6)

 主導勢力を形成するHail to Reasonおよび、Sir Gaylordは当然の事ながら、その父Turn-toで強固に結合を果たしている。また、6代目までに存在するクロスである、Northern DancerはNearcoで、AlmahmoudはGainsboroughで、PocahontasはSir Gallahad・Princequilloで、DonatelloはBlenheimで、Somethingroyal~PrincequilloはSir Gaylordに含まれる血統のために確実に結合を果たしている。また、7代目以降に存在するクロス馬も、非常に連動性が高く、目覚めた血がHail to Reason・Sir Gaylordへと集合する形態がとられているのが見て取ることができる。かなり優秀なレベルといって差し支えないだろう。

○ 土台   (4)

 土台構造はPharos(=Fairway)が17ヶで形成している。単体の土台構造としては平均的であるが、Gainsboroughが15ヶ、Sir Gallahad(=Bull Dog)が13ヶでサポートしている。これらが目覚めた場合、強固な土台構造だと言えるだろう。

○ 弱点   (5)

 母方Crimson Saint内に弱点を派生。しかしながら、9代目においてPharamond・Black Toney・Sir Gallahadとクロスしたため、その弱点は極めて軽微であると考えて良い。また、父方Queen's Hussar内も弱点を派生するものの、同様に9代目において、Fairwayが3連クロスしている為、やはり影響は軽微だと言える。かろうじてと言える部分ではあるが、総合的には優秀だと考えて良い。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(9-6-4-2)と父方サンデーサイレンスを強調している。決して良好なバランスとは言い難いが、主導勢力を含む部分を強調し、その生かし方が良いのは幸運だと言えるだろうか。

○ 質[近]  (3)

 近い世代の血の質はかなり良好だと言える。特に強調された父方は優秀な血が多く、その生かし方も良い。底力勝負可能な血統構成。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるHail to Reasonや影響の強いAlmahmoudは、決して良好な質を持つとは言い難いものの、Sir GaylordやDonatelloの影響も強く、総合的にはやや良いと言った内容だと言える。ただし、前述の質(近)とあわせ底力勝負は十分可能。

○ スピード (4)

 主導たるHail to Reason及びAlmahmoudを中核にした配合。軽いスピードにある程度の良さはあると言える。また、クロスこそしないもののNasrullahとRoyal Chargerの呼応により目覚めたスピードを、両者に上手く取り込んでいるのを見て取る事ができる。Court Martialの欠落が残念。

○ スタミナ (4)

 Sir Gaylord~PocahontasおよびPrincequilloとDonatelloを中核にした配合。非常に重厚で、距離延長への適性を秘めていると言え、それぞれが主導勢力を上手く結合をはたしている事もプラス。


 総合的に見ると、近年の英仏産馬によく見られる形態だが、最前面のクロスであるHaloが、3×6と世代ズレをおこしている割に、きめ細かくまとまった配合で、そのバランスの悪さをある程度、自身の血統内で解決できている点で妙味がある配合だとも言える。
 また、生かされたスピード・スタミナは強靭で、全体的にスタミナ優位の配合であり、8F戦のみ4連勝しているが本質的には10F前後に最も適性を秘めると考えられ、12Fの克服も十分に可能だろう。
 ただし、前述したように、影響度バランスの悪さや、Haloの世代ズレを抱えるなど決してベストマッチの配合であるとは言い難い。もし、このHaloが目覚めた場合、徐々にマイルタイプにシフトしていくと考えて良く、古馬になって戦績が安定しない可能性があるのは指摘しておきたい。父ディープインパクトの名声を欧州においても高めるように(サラブレッド生産のマーケット的な意味において)、今後の活躍も期待したい。

Frankel(フランケル)

2011-06-19 18:56:58 | 海外馬
Frankel(Galileo×Kind-デインヒル)牡・08生

主:7 結:6 土:2 弱:5 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:36点 クラス:3B 芝:7~11F ダ:7~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (7)

 主導は、Northern Dancer3×4の中間断絶クロス。このNorthern DancerはNearctic・Almahmoudが欠落するものの、デインヒル内のNorthern Dancerと呼応したために、Natalmaを伴いほぼ系列ぐるみのクロスを形成している。したがって非常に明確に血統をリードしていると考えられるが、明確に影響を行使しているのは2ブロックでしかないために、若干評価を落としていると考えられる。ただし血統全体において、Northern Dancerの影響力は大きく、総合的に見るとやや良いといった評価に落ち着くだろうか。

○ 結合   (6)

 主導たるNorthern Dancerと6代目までに存在するクロスである、Natalma・Native Dancer・Nearco・Hyperion・Mahmoudは、Northern Dancerに含まれる血統で確実に結合している。BuckpasserはPhalarisで、Raise a NativeはNative Dancerで、PrincequilloはPrince Palatineで、NasrullahはNearcoで、それぞれ直接結合をはたしている。7代目以降におけるクロス馬の連動も強固で、ひとたびNorthern Dancerが動きだした場合、血統全体が自動的に連動する体制が整っている。非常に優秀だと考えられるが、近親度が高いのはややマイナスか。

○ 土台   (2)

 Blandfordが15ヶで形成。単一の土台構造としては弱く、決して強固だとは言い難いが、Pharos(=Fairway)が17ヶでサポートできたのは幸いか。ただし、かなりちぐはぐな内容である事は間違いなく、高評価できるものでもない。

○ 弱点   (5)

 これといって大きな欠陥は存在しないが、父方Almyra、母方Herbagerに弱点を派生させている。それぞれ9代目において、両者ともPharos・Phalaris・Teddyとクロスさせ、主導たるNorthern Dancerと連動させたのは幸いで、さほどおおきな弱点ではないと考えられる。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(14-6-12-3)と近親度が強い配合だけにかなりバランスが悪いと考えられる。強調された部分に主導勢力がしっかりと配置されているのは幸いか。

○ 質[近]  (2)

 近い祖先の血の質は比較的高い。良好であると言えるが、父方と比較して母方がやや劣るのは多少気にはなる。底力勝負に対応可能。

○ 質[遠]  (4)

 主導たるNorthern Dancerは質が高い配合で、影響の強いクロス馬も比較的良好なレベルを保っている。前述の質[近]とあわせ優秀な内容だと考えられる。

○ スピード (4)

 主導たるNorthern Dancerは本来スタミナによさが出るクロス馬であるが、本馬の場合、Natalmaを伴い若干スピードタイプへと能力変換されていると考えられる。また、Raise a Native・Nasrullahのスピードもアシストされ、決して器用なタイプでは無いだろうが、血統全体においてスピード面によさがある内容だと考えられる。

○ スタミナ (4)

 血統内において、Princequillo・Buckpasserのスタミナを核にした配合。本来結合しにくいため、その能力を発揮されにくい、Princequilloのスタミナであるが、本馬の場合、父父方の血統構成が古く、近親度が高い配合の為、ひとまず結合を完了したのが幸いしている。また、7代目以降においてもスタミナに良さがある内容で、長く脚を使えるタイプになる可能性を秘めるだろう。


 総合的に見ると、近親度の高さやバランスの悪さを抱えながら、かなりの迫力を秘めた配合で、とくに血統全体において血の流れによさがあり、仕上がった際にはかなりの破壊力を秘める内容だと考えられるだろう。ただし、やはりそのバランスの悪さはかなり深刻で、一度調子を崩した場合、その回復には意外と手間取る可能性も高い。
 また、一部で言われるようなマルゼンスキーとの比較だが、血統面だけで総合的に見た場合、マルゼンスキーには及ばないと考えられる。それでも、マイル~中距離のスピード型配合としては見るべき点もあり、父Galileoのスピードを最大限引き出しているのは見て取ることができる。スタミナの値も良好で、芝12Fの克服は厳しいタイプだろうが、芝10F前後までなら、その豊かなスピードで押し切れる、強い競馬をする事は十分に可能だろう。更に、成長力も秘めた内容で、今後の活躍も期待したい。