血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

テスタマッタ

2012-03-21 20:10:29 | 06年生
テスタマッタ(Tapit×ディフィカルト-Concern)牡・06生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=202961

主:6 結:4 土:3 弱:1 影:3 質[近]:3 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:30点 クラス:2B 芝:6~9F ダ:5~8F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

○ 主導   (6)

 主導は、Dr.Fager6×4。非常に珍しくあるが、ほぼ系列クロスを形成し、血統をリードしている。一見強力な主導に見えるが、Raise a Native5・6×6、Turn-to8・8×6・6、Northern Dancer5×4が派生。その明瞭さはいまひとつと言える。できる事なら、Mr.Prospectorを主導とした方が、配合としては面白かったと言えるだろう。

○ 結合   (4)

 主導たる、Dr.Fagerと6代目までに存在するクロスである、Raise a Native~Native DancerはTeddyで、Turn-toはPlucky Liegeで、結合を完了している。ただし、Northern Dancer・NearcoはRaise a Native内Native Dancerを通じて結合している為、ちぐはぐな印象を受ける(ただし。10代目に存在するSpearmintが目覚めている可能性がある。その場合5点の評価でも良いと考えられる)。

○ 土台   (3)

 Bull Dog(=Sir Gallahad)が、15ヶで土台構造を形成している。単一の土台構造としては平均的だと考えられるが、Man o'Warが9ヶでサポートしているのは幸いで、なかなかに強固な状態だと言えるだろう。

○ 弱点   (1)

 近親度が強い配合にもかかわらず、母方Mirra内に欠陥を派生している。この部分は影響が強い部分なだけに、非常に惜しまれる。

○ 影響   (3)

 影響度バランスは(3-4-3-13)と圧倒的に母母であるWings of Joveを強調している。この部分に主導を含め、影響の強い血を集合させているのは、好感が持てる。

○ 質[近]  (3)

 近い世代の血の質はなかなかに優秀で、意外と底力勝負に向くタイプだと言えるだろう。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるDr.FagerやNorthern Dancerは比較的質の高い配合だが、影響の強いRaise a NativeやTurn-toは決して質の高い配合とは言い難い。この部分がスピード面においては有利に働いているものの、惜しまれる部分ではある。

○ スピード (4)

 Raise a NativeやTurn-toを中核にした配合で、スピード面においてはかなりのよさがある配合だと言える。

○ スタミナ (3)

 主導たるDr.Fagerを中核にした配合で、Teddy系の粘りあるスタミナを発揮するタイプだと言えるが、血統全体を見渡した場合、明らかにスピード優位で、距離延長をこなせるタイプではない。


 総合的に見ると、決してバランスの良い配合とは言い難いものの、スピードという個性や、Teddy系を中核とした血の流れや、母母に血を集合させた事については、良さがある内容で、好調期にはその豊かなスピードで強い競馬を見せる事が可能なタイプだとは言える。しかしながら、欠陥の存在や明らかにスピード優位の血統構成は、配合という観点からはベストマッチとは言い難く、本質的に父母の相性はいまひとつだと言えるだろう。
 この手の配合は、自分から競馬を作れるタイプとは言い難く、過度な信頼は禁物だと考えられるだろう。

ブエナビスタ

2010-11-03 18:14:09 | 06年生
ブエナビスタ(スペシャルウィーク×ビワハイジ-Caerleon)牝・06生

主:5 結:5 土:2 弱:5 影:2 質[近]:3 質[遠]:3 SP:4 ST:4
合計:33点 クラス:2B 芝:8~12F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (5)

 主導は、不明瞭ながらTurn-to5×5・6を伴うHail to Reason4×5。このHail to Reasonは、一見強力に血統をリードしているように見えるが、Royal Chargerが断絶した点と、単一クロスでありながらNijinsky4×3が作成された点、Almahmoud5・7×6の系列クロスを作成した点、などを考慮した場合決して高評価できる形態ではない。しかしながら、Hail to Reason・Nijinsky・Almahmoudの三者の連動性は比較的良好なのは幸いで、主導に対しての評価はかろうじて平均レベルにあると言えるだろう。

○ 結合   (5)

 主導たるHail to Reasonと、6代目までに存在するクロスである、Turn-to・NearcoはHail to Reasonに含まれる血統で確実に結合している。また、PharamondはPhalarisで、AlmahmoudはGainsboroughで、StymieはMan o'Warで、NijinskyはNearco・Sir Gallahad(=Bull Dog)を通じて非常に強固に、HyperionはGainsboroughを通じて、それぞれ強固に結合を果たしているものの、PrincequilloはAlmahmoud内White Eagleを通じて間接的に結合を完了している点と、FeolaはHyperion内Son-in-Law~Dark Ronald~Bay Ronaldを通じ間接的に結合している点は明らかにマイナスだと言える(FeolaはBay Ronaldを10代目に配したためにその結合具合は極めて疑問で、実質的に未結合状態と言って差し支えないレベル。この評価は結合を完了していると判断している)。結合の弱い部分は比較的影響が弱い点である事と、Hail to ReasonとNijinskyの結合が極めて強力であるのは幸いだろうか。

○ 土台   (2)

 Pharos(=Fairway)が14ヶで形成。近交馬にしては非常に貧弱で、安定味にかける内容だといえる。しかしながら、Gainsboroughが13ヶでサポートしているのは幸いだと言えるか。ただし、全体的に見るとかなり不満が残る。

○ 弱点   (5)

 近交馬ではあるものの、血統表上において大きな欠陥は存在しない。若干、母母アグサン内Ticinoにおける、8代目Dark Ronaldの結合が弱い点が気にはなるが、さほど大きなマイナスではないだろう。ただし、近交馬としてはやや良いと言った程度。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(10-6-16-4)と決して優れたバランスとは言えないが、強調された部分にHail to Reason・Nijinsky・Almahmoudが配されたのは幸いで、父父サンデーサイレンス、母父Caerleonの生かし方は良く、その意味でも一定の評価はできる。

○ 質[近]  (3)

 母ビワハイジの血統レベルは決して高いとは言い難いが(それでも平均点にはある)、父方スペシャルウィーク~サンデーサイレンス、母方Caerleon~Nijinskyと各父系のラインは質が非常に高い。底力ある血統構成。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるHail to Reasonは決して質が高いとは言い難いが、影響の強いNijinsky、Princequillo~Prince Rose、Hyperion等がそれをサポートしたのは幸いだと言える。主導の質が低いため、極めて良好とは言えないのが惜しまれる点である。

○ スピード (4)

 主導たる、Hail to Reason内Turn-toを中核に、Almahmoud・Pharamond・Menowと日本向きの軽いスピードを生かした配合形態。血統全体を見た場合、やや乱雑にすぎる為常に軽いスピードを見せられるタイプではないだろうが、仕上がった場合相応の破壊力を見せる事は可能だろう。

○ スタミナ (4)

 Hyperion・Princequillo~Prince Rose・Bull Lea(その父Bull DogがPlucky Liegeを伴いスタミナ勢力となっている)を中核にした配合。この底力溢れるスタミナを比較的上手く主導勢力に結合させたのは、ブエナビスタの大きなセールスポイントで、7代目以降においても、スタミナ優位で芝12F克服可能だと判断した。


 総合的に見ると、生かされたスピード・スタミナがかなり良好なだけに、主導の明確性が失われた点が非常に惜しまれる内容で、ちぐはぐな内容だと言える。しかしながら、仕上がった際にはかなりの破壊力を秘めた内容で、底力や成長力にも期待が持てる。牝馬としては非常に重厚で、本来は開花が困難なタイプだと言える。
 それだけに、欧州のような深い芝にも対応できるタイプだと考えられるが、主導の不明瞭さや、結合・土台構造の弱さ、また影響度バランスの悪さなどは明らかにマイナスポイントで、多種のスピード要素を生かしてはいるものの、決して器用なタイプだとも言えない。
 また、この手の配合タイプは全兄弟で能力が異なるタイプが多いと推測される。常に信頼できるタイプでは無いだろうが、それなりに魅力がある内容であるとも言えるか。

ナカヤマフェスタ

2010-07-06 17:09:54 | 06年生
ナカヤマフェスタ(ステイゴールド×ディアウインク-タイトスポット)牡・06生

主:6 結:5 土:4 弱:4 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:34点 クラス:3B 芝:7~10F ダ:7~9F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

 ナカヤマフェスタの血統前面でクロスしているのは、Hail to Reason4×5・6だが、Hail to Reasonは単一クロスの為に主導足りえなかった。従って、主導を形成するのはNorthern Dancer5×5・5である。

このNorthern Dancerは、父方サンデーサイレンス、母方デインヒルのアシストを受け、非常に珍しくはあるが、Natalma~Almahmoudと系列クロスを形成し、血統をリードしている。

 しかしながら、血統全体を見まわすとHail to Reason・Nasrullahを初めとした、Nearco~Pharos(=Fairway)系統が強く、極めて強力にとはいかなかったのが惜しまれる点である。

 また、これといったスタミナの核を形成することが出来なかった血統構成で、本質的には距離延長を苦手とするタイプだろう。ただし、母系クロスであるHis Majesty3※5が徐々に目覚めてくれば、11F程度までならば対応可能だろう。

 反面、スピードには良さがある血統内容で、Nasrullah・Almahmoud・Lady Angelaと日本向きの軽いスピードはきっちりクロスされ、Nearco・Gainsboroughなどによって確実にNorthern Dancerへと補給されている。

 総括すると、決してよく出来た内容とは言い難いものの、国内向きの中距離馬だと言えるだろうか。また、ノーザンテースト内の影響から、重馬場も得意とするタイプだろう。

フォゲッタブル

2010-04-30 20:59:47 | 06年生
フォゲッタブル(ダンスインザダーク×エアグルーヴ-トニービン)牡・06生

主:7 結:6 土:3 弱:4 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:35点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

 フォゲッタブルの主導は、見た目の血統通りNorthern Dancer4×4。このNorthern Dancer内でLady Angela6×5・6及び、Almahmoud5・6×6を並列させ血統を強力にリードしている。更に、次いで影響の強いNearcoも内包しているために、中間断絶クロスであるものの明確な主導として機能している。

 また、土台構造はGainsboroughが16ヶが形成し平均的ではあるが、6代目にあるクロスのうちLa Farina以外は全てNorthern Dancer内で6代目で結合を完了し、La Farinaも9代目St.Simonで結合を完了している。これは、かなりのレベルの結合力であると言え、非常にシンプルな形態を保っている(La Farinaは9×6で効果自体はやや疑問。Sans Souciを欠落しているもののスタミナ勢力として引き出せれば…)。

 惜しむらくは、これといったスタミナの核を形成できなかった点で、本来は強力なスタミナ勢力となるHyperionだが、Lady Angelaの影響を受けた為にややスピードよりにシフトしていると考えられる。7代目にあるPrince Rose7×7・7は、10代目Bayardoで結合してはいるものの、できる事ならもう少し前面でクロスしていてほしかった所だろうか。

 反面スピード勢力は、Lady Angela・Almahmoudを中核に、NasrullahとRoyal Chargerの呼応により引き出している。これらは皆、日本の芝に実績のあるスピードの血で、クロス馬の少ないシンプルな血統構成も鑑みると、中距離で切れのある競馬を見せることができるだろう。

 父母のイメージや自身の実績からは、切れのある中長距離配合といったところだろうが、実際そこまでのスタミナは確保できておらず、日本向きの中距離馬だというのが本当のところだと考えられる。12Fを超えるレースにおいて、本当の意味で厳しい流れになった場合、どういったレースをするか注目しながら見たいと思う。

スリーロールス

2009-10-26 18:57:39 | 06年生
スリーロールス(ダンスインザダーク×スリーローマン-ブライアンズタイム)牡・06生

主:5 結:5 土:3 弱:6 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:3 ST:5
合計:37点 クラス:3B 芝:9~15F ダ:8~12F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

 09年:菊花賞

 スリーロールスの血統は明確な主導が無く、Nearco6・7×6・7・7、Bull Lea6・7×6で血統をリードしている。

 この両者は、Hail to Reasonの中間断絶を有効に活用させつつ、9代目Spearmintを介し、直接結合している。したがって両者は協力体制にあるとは言えるものの、その結合は決して強固とは言えない。また、6代目までに存在するクロスのうち、Sun Againは8代目Teddyに直接結合するものの、Mahmoud・Blue Swords(=Bluehaze)はHail to Reasonによって、なんとか結合している。したがって、主導・結合といったサラブレッドの血統において根幹をなす部分については、決して高評価は出来ない。

 しかしながら、この配合の最大の長所は、その強靭とも言えるスタミナ勢力である。具体的には、Plucky Liegeを伴うSir Gallahad(=Bull Dog)・Hyperion、7代目にあり結合は10代目になるものの、Prince Rose7×7や、単一クロスであるものの内包するスタミナ勢力が生きた、Graustark5×4等、質が高いスタミナを存分に生かした配合となっている。

 反面、スピード勢力はNasrullahとRoyal Chargerの呼応により、及第点を与えられるものの、父の主導となったAlmahmoudの欠落など(その為に長距離への適性を得ている側面もある為、痛し痒しだろうが)、決して日本の軽い芝向きのスピードは少ない。

 その為、国内では父や、BMSのイメージどおりのステイヤーだと言えるだろう。欧州の重い芝での走りを見てみたい配合馬。