血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

ヤマニンゼファー×タイシンリリィ

2012-01-26 15:01:07 | 仮想配合
(ヤマニンゼファー×タイシンリリィ-ラディガ)-・-生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/match.pl?gene=9&fdata=2073&mdata=8577

主:8 結:5 土:2 弱:6 影:2 質[近]:3 質[遠]:4 SP:5 ST:3
合計:38点 クラス:1A 芝:7~11F ダ:8~10F
日本適性:○ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (8)

 主導は、Abernant5×4の系列クロス。血統全体でHyperion~Gainsboroughの影響が強く、血統全体を非常に強力にリードしている。この血の流れは非常に優秀で、この流れを圧倒的に強調したのが、この配合の最大の長所だと言えるだろう。

○ 結合   (5)

 主導たる、Abernantと6代目までに存在するクロスである、Owen Tudor~Hyperion、Rustom Pasha、Mumtaz MahalはAbernantに含まれ、確実に結合している。また、NearcoはPharosで、EclairはThe Tetrarch、Polymelusで、Bull Dog(=Sir Gallahad)はBay Ronaldで、それぞれが直接結合を果たしている。また、Princequilloは、結合を果たしてはいないものの、血統全体でHyperionの流れが強いため、10代目において存在するBayardoによってかろうじて結合して連動をしたとしてもおかしくはない(この評価は結合を果たしていないと判断している)。

○ 土台   (2)

 土台構造は、Gainsboroughが10ヶで形成。単体の土台構造としては、非常に貧弱ではあるが、Pharos(=Fairway)が14ヶでアシストしているのは幸いか。

○ 弱点   (6)

 これといった、弱点や欠陥は存在しないものの、かろうじてという部分も存在する。しかし、総合的には優秀だと考えていいだろう。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは、(5-1-5-9)と決してバランスが良いわけではないものの、主導勢力を含む部分をしっかりと強調している。

○ 質[近]  (3)

 近い世代の血の質は全体的に優秀で、底力を感じられる内容。古きよき血を上手く活かしているのも好感がもてる。

○ 質[遠]  (4)

 主導たるAbernantを初め、クロス馬の血の質は全体的に高く、前述の質[近]と合わせ、底力のある内容。

○ スピード (5)

 圧倒的に強調された、主導のAbernantのスピードを再現し、その中核とした配合。また、Eclairなどもスピードをアシストしている。近代競馬のスピードの祖と言われるものの、血の質が高いとは言い難いNasrullahをクロスさせず、血統内のスピードを上手く引き出している、非常に妙味ある形態。

○ スタミナ (3)

 Rustom Pashaを中核にした配合。また、Bull Dog(=Sir Gallahad)や結合が弱いものの、Princequilloもクロスしている。決して長距離向きでは無いが、前面に存在するAbernantを上手く支えているのが見てとれる内容となっている。


総合的に見ると、Abernantのスピードを、欧州系のスタミナで支えることに成功した配合で、Nasrullahをクロスさせず、祖父のスピード源となった、Orby・Sundridgeを再度クロスさせる等、非常に妙味がある内容となっている。近年国内で見られなくなったタイプで(と、言うか世界的に見られなくなった形態)、もし完全開花した場合、半兄ナリタタイシン(3A級・芝・中~長距離)とはタイプこそ異なるものの、迫力はある内容となっていると考えられる。ただし、スタミナ値は半兄には遠く及ばず、クラシックディスタンス克服は展開の助けが必要だと言えるだろう(父や祖父よりスタミナによさはあるが)。

スマートファルコン(川崎記念)

2012-01-26 14:52:42 | 2012年GⅠ勝ち馬
スマートファルコン(ゴールドアリュール×ケイシュウハーブ-ミシシッピアン)牡・05生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=200629

主:5 結:6 土:3 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:3 ST:4
合計:31点 クラス:2B 芝:9~12F ダ:8~11F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

○ 主導   (5)

 主導は、Royal Charger6×5の系列クロス。その父Nearcoを血統の4ブロックに散在させ強力に血統をリードしているのを見て取ることができる。しかしながら、Vaguely Noble5×3が中間断絶であるものの、スマートファルコンの血統内においては、かなり影響が強くなったのはマイナスで(Nearcoで強固に結合したのは幸いだと言える)、更にPharamond・Mahmoud・Sir Gallahad(=Bull Dog)・Admiral Drake等、系統が異なるクロスも同程度の影響を行使するクロスも存在するのは明らかに主導の明確性においてマイナスだと考えられる。したがって、決して良好であるとは言い難い。

○ 結合   (6)

 主導たるRoyal Chargerと、6代目に存在するクロスであるNative Dancer・PharamondはPhalaris・Chaucerで、Vaguely NobleはNearcoで、Mahmoud・HyperionはGainsborough・Chaucerで、Bull Dog・Admiral DrakeはSpearmintで結合を完了している。また、主導の明確性を乱しているVaguely NobleがGainsborough系、Blandford系、Pharos(=Fairway)系を参加に収めているため、結合の面においてはプラスに作用しているのが見て取ることができる。7代目以降は多少雑多なクロスを生じているが、総合的にはかなり良好であると考えられる。

○ 土台   (3)

 Gainsboroughが17ヶで形成。比較的良好で悪くはないレベルだと言える。また、Phalarisが14ヶでサポートしたのも幸いして、決して良好であるとは言い難いが、平均からやや良いと言える内容となっている。

○ 弱点   (3)

 母方Bella内に弱点を派生させているが、9代目において主導勢力であるPolymelusをクロスしたのは幸いだと言える。全体的に大きな欠陥は生じてはいないが、かろうじて…という部分が多く存在するのは確かで、決して良好であるとは言い難い。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(3-4-9-5)と、かなりバランスがとれてはいるが、強調された部分であるミシシッピアンには、主導たるRoyal Chargerは存在しない点が惜しまれる。ただし、安定感はある内容だと言える。

○ 質[近]  (2)

 父ゴールドアリュールの血統はやや良いといった程度だが、母方ケイシュウハーブ、ミシシッピアン、キョウエイシラユキと見た目の血統構成よりも、はるかに良好だと言える。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるRoyal Chargerの血の質は決して良好とは言い難いが、Vaguely Noble・Mahmoud・Sir Gallahad(=Bull Dog)・Admiral Drakeと影響の強い血はかなり質が高く、完全開花した場合ある程度の底力勝負に対応可能だと言える。惜しむらくはRoyal Chargerの質の低さだろうか。

○ スピード (3)

 主導たるRoyal Chargerを中核に、Mahmoudの中距離向きのスピードを補給した配合。また、Pharamondも強い影響を持ちながら、主導と強固に結合している。したがって短~中距離向きのスピードに良さがある。全体的に見ると比較的良好だと言える。

○ スタミナ (4)

 Vaguely Nobleを中核に、Plucky Liegeを核としたSir Gallahad(=Bull Dog)・Admiral Drakeの重厚なスタミナを補給した配合。7代目以降においては若干スタミナ優位といった程度の為、決してステイヤーと言えるレベルではないが、国内においては十分に重厚な配合だと言える。かなり良好だと考えられる。


 総合的に見ると、明らかに芝向きの配合内容で、本質的には芝の中~長距離で真価を問いたい配合内容だと言える。しかしながら本馬の場合、Sir Gallahad(=Bull Dog)等の米系の影響も強く、Mahmoud等の馬力型のクロスも多いためダートを主戦場としているものと考えられる。ただし、軽いスピードも多少なりと生きている為に、芝での走りを見たいタイプであるのは確かで、欧州の芝でも対応可能な配合内容である。重ねて言えば、主導が不明瞭かつ重厚な配合の為、非常に開花しにくいタイプであるのも確かだろう。
 総合的な評価としては、あと一押しの何かが必要だと考えられるものの、こういったタフなタイプである配合馬が、頭角を現すことは中々に珍しく、そういった観点からは貴重なサラブレッドだと言えるだろう。