血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

バンデ

2013-10-16 13:26:35 | 10年生
バンデ(Authorized×Logica-Priolo)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=234428

主:8 結:4 土:4 弱:5 影:2 質[近]:3 質[遠]:4 SP:5 ST:3
合計:38点 クラス:1A 芝:7~11F ダ:7~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:遅め 
芝適性:○ 砂適性:△ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:○ 距離延長適性:□


○ 主導   (8)

 主導はNorthern Dancer4・5×4。このクロスは国内では未だ珍しい、血統の4ブロックに存在する、父Nearcticからの系列クロスを形成し、血統全体を非常に強力にリードしている。この強力さは近年まれにみるレベルだと言えるだろう。

○ 結合   (4)

 主導たるNorthern Dancerと、6代目までに存在するクロスである、Nearctic~Nearco・Mahmoud・Native DancerはNorthern Dancer傘下のクロスであり直接結合を果たしている。また、Nasrullah(=Malindi)はNearcoで、Court Martial及びHerbagerはPharos(=Fairway)で、自身の土台構造を形成する、Nearco~Pharos(=Fairway)を介し、非常に強固に結合を果たしていると言えるだろう。この連動性は非常に優秀ではあるものの、Lalunは9代目までに結合を果たせず、重ねて7代目以降の連動性はいまひとつであるために、完全開花には比較的時間を要するタイプであるだろうことは、指摘しておきたい。

○ 土台   (4)

 土台構造は、Nearcoが17ヶで形成。単一の土台構造としても比較的優秀だが、当馬の場合Gainsboroughが14ヶでアシストしているのもプラスに作用しているだろう。

○ 弱点   (5)

 これといった弱点や欠陥は存在しないが、かろうじてと言える部分も少なからず存在する。また、それらの部分が主導勢力との連動性が低いのも見逃せない事実ではある。近親度の強さも勘案すると、それでもやや良いと言えるレベルにはあるか。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(8-6-11-4)とかなりバランスをくずしているのが見てとれる。安定性は決して高くないと言えるだろう。

○ 質[近]  (3)

 近い世代の血の質は比較的高い。底力勝負が可能な血統構成だと言えるだろう。

○ 質[遠]  (4)

 主導勢力であるNorthern Dancerを初めとして、クロス馬の血の質は全体的に高い。前述の質[近]と併せ、底力勝負は十分に可能。

○ スピード (5)

 主導勢力内、Nearctic・Mahmoudを中核に、Nasrullah(=Malindi)・Court Martialを中核にした配合で、見た目の血統よりも遥かにスピードに良さがある血統構成であると言える。また、隠し味的にTetratemaも生きているのは当馬にとって少なからずプラスだと言えるだろう。総合的には非常に優秀であると言ってよい。

○ スタミナ (3)

 主導たるNorthern Dancerは、本来中距離向きのスタミナ勢力であるものの、当馬の血統構成上スピードに相当のアシストを受けている為に、明確なスタミナの核としての機能は若干疑問であると言える。Hyperion・Herbagerがスタミナをアシストしているものの、スピード勢力に比して貧弱であるのは否めない点で、母が豊富に抱えるスタミナ勢力を、上手く活用できなかった事は、惜しまれる点である。


 総合的に見ると、スピードがやや優位のバランスである為に、芝12F以上の距離では若干の割引を必要と考えられるものの、中距離向きの豊なスピードは当馬にとって大きなセールスポイントであると考えて良い。
 惜しむらくは、影響度バランスの不安定さや(ややいびつだが、天秤型と言えなくもない)、スピード勢力に比してスタミナ勢力の弱さは当馬の限界点を端的に示していると言えなくもない。さらに、特殊な欧州系の結合が弱く、本当の意味での開花には時間がかかるタイプである点を指摘しておきたい。
 それでも、主導勢力の明確性や、自身を構成する血の質の高さ、豊なスピードなど、個性は中距離タイプになれる資質は十分に秘めていると言え、是非とも無事な開花を望みたい配合馬である。