血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

Harbinger(ハービンジャー)

2010-07-31 22:37:59 | 海外馬
Harbinger(Dansili×Penang Pearl-Bering)牡・06生

主:9 結:6 土:2 弱:4 影:2 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:5
合計:39点 クラス:1A 芝:8~15F ダ:~9~F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 Harbingerの主導は、Northern Dancer4・6×4・5。この、Northern Dancerは非常に珍しくあるが、Natalma~Almahmoudと系列クロスを形成し、血統の4ブロックにある点を含めて、血統全体を極めて強力にリードしている。この明確さは、近年ではかなりのハイレベルにあると言えるだろう。

 また、血統内において6代目までに存在するクロスである、Native Dancer・Crepello~Donatello(=Domenico Ghirlandaio)・Tom Fool・Grey Sovereign・Wild Risk・Hyperionは全て主導と直接結合を完了している。この結合力も非常に強固だと言え、競走馬の血統の根幹を成す主導・結合は相当のハイレベルだと考えられる。惜しむらくは、これだけのクロスを底支えする土台構造が貧弱な点で、Blenheimが14ヶと不満が残り、影響度バランスも(13-2-8-13)と安定感は少ない血統構成だと言えるだろうか。

 また、Time Call・Nagaika内はTourbillon~Ksarがクロスするものの、8代目以降でクロスしているうえに結合力も弱い為に弱点を形成している。近親度が強い為にやや不満が残る(平均点にはあるだろうが)。

 しかしながら、生かされたスピード・スタミナ勢力は非常に強靭で、スピードはGrey Sovereign~Nasrullah・Natalma~Almahmoud・Turn-to・Tom Fool~Menowと隙が少なく、意外と器用なタイプだと言える。スタミナ勢力は更に強靭で、Crepello~Donatello(=Domenico Ghirlandaio)をスタミナの核に、Hyperion・Wild Riskがスタミナをサポートしている。更に、7代目以降ではあるもののBois Roussel・Sir Gallahad・Bull Dogがその母Plucky Liegeの裏づけによって、隠し味的にスタミナを補給している。これだけの重厚さを持った配合は近年では中々見ることが出来ない。スタミナ優位かつスピードに良さもあるステイヤーだと言えるだろう。

 血統を構成する血の質も高く、底力勝負も十分可能な血統構成だと言え、これからの活躍も期待したい。

Overdose(ウーヴェルドーズ)

2010-07-25 11:32:46 | 海外馬
Overdose(Starborough×Our Poppet-ウォーニング)牡・05生

主:8 結:4 土:4 弱:4 影:3 質[近]:2 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:37点 クラス:3B 芝:7~10F ダ:6~9F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 Overdoseの主導は、Never Bend5×5の系列クロス。その父Nasrullahを5・6・7×6・7とクロスさせ、血統全体を強力にリードしている。若干惜しまれるのは、父父ソヴィエトスター・母父ウォーニング内においてNasrullahが7代目から存在する点であるが、ソヴィエトスター内ではNearcoが6代目から影響を行使しているのは、バランスの悪さが残るものの、幸運だといえるだろうか。

 また、血統全体でNearco~Pharos(=Fairway)系が強い血統構成で、その意味でも血統全体の血の集合力は強力で、土台構造もPharos(=Fairway)が22ヶとかなり強固な状態を作り上げている。更に影響度バランスも(3-7-2-3)と抜群のバランスを示し、仕上げやすく、安定感のある血統構成だと言えるだろう。

 反面、血統全体の結合力はやや不満が残る配合で、Native Dancer6×6はSickleを通じPhalarisでかろうじて結合こそするものの、War Relic(=Speed Boat)6・8×7・7は10代目まで遡ってはじめて、Fair Playを介し間接的に結合する程である(つまり実質的に未結合状態である)。この、結合力の弱さはOverdoseの血統において最も大きな不満で、真の意味においての一流であるとは言い切れないのはこの結合力に由来する。

 しかしながら、全体的にはかなり良く出来た血統構成で、7代目以降に存在するDjebel・Donatelloの影響から、主導たるNever Bendはスタミナに良さがあるNever Bendへと能力が変換されていると考えられ(スタミナよりのバランス血統)、また結合こそ弱いもののWar Relic(=Speed Boat)・Prince Rose・Bull Leaとスタミナの血をきめ細かく押さえている。また、スピード面はTom FoolやNasrullah内のスピード要素を完全に再現し、かなり良く出来ていると考えられる。

 血統の前面においては、スピード要素が圧倒的に強い為にけっして12Fを克服できるようなタイプではないものの、内在するスタミナ要素を引き出すことが出来れば、近年のチャンピオンディスタンスである芝10Fは、ペース次第でなんとか克服可能だろう。

 スピードに良さがある血統構成ではあるものの中々に重厚な配合で、一介のマイラーでは無く、スタミナに裏打ちされたスピードを持つタイプで、国内の芝ではスピード不足のレッテルを貼られかねない血統構成である。したがって、見た目の血統構成よりもずっと良く出来た内容で、今後の活躍も引き続き期待したい。

フリオーソ

2010-07-21 17:42:54 | 04年生
フリオーソ(ブライアンズタイム×ファーザ-Mr.Prospector)牡・04生

主:7 結:6 土:3 弱:6 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:4
合計:37点 クラス:3B 芝:9~12F ダ:8~11F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

 フラッテローザ全兄

 フリオーソの血統において前面でクロスしているのは、Hail to Reason3×5及びNashua4×4になっている。前者は途中2世代断絶する単一クロスの為、主導はNashua4×4の系列クロス。その父Nasrullahを3ブロックに配し、フリオーソの血統を強力にリードしている。但し、父母Kelley's Day内にはNashua~Nasrullahが存在せず、Romanの影響が強い為、総合的にはやや良いといった程度になった。

 また、結合面においてはHail to Reasonの単一クロスを有効に作用させ、また主導たるNashuaがSir Gallahad(=Bull Dog)を内包する為、Romanの流れも上手く結合させている。残念なのはHyperionの系列の結合がやや弱く、主導内においては、9代目Chaucerで結合が終わる点であるが、総合的には強固な部類に入るだろう。

 生かされた血の質は全体的に高く、そのスピード・スタミナを上手く主導に結合させた点が最大の長所で、重厚で国内の芝ではキレ負けする可能性が大。

 本質的には、米血の比率が高いうえRoman~Sir Gallahad(=Bull Dog)の影響が強い為ダート向きだとは言えるが、鍛錬を積めば芝対応も可能な血統構成。ただし、スピードにはやや欠けるきらいがある為に、結果的にダートを主戦場とする可能性は高い。

 長い眼で鍛えて欲しい、好素質の配合。

フリオーソ(帝王賞)

2010-07-21 17:37:29 | 2010年GⅠ勝ち馬
フリオーソ(ブライアンズタイム×ファーザ-Mr.Prospector)牡・04生

主:7 結:6 土:3 弱:6 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:4
合計:37点 クラス:3B 芝:9~12F ダ:8~11F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

 フラッテローザ全兄

 フリオーソの血統において前面でクロスしているのは、Hail to Reason3×5及びNashua4×4になっている。前者は途中2世代断絶する単一クロスの為、主導はNashua4×4の系列クロス。その父Nasrullahを3ブロックに配し、フリオーソの血統を強力にリードしている。但し、父母Kelley's Day内にはNashua~Nasrullahが存在せず、Romanの影響が強い為、総合的にはやや良いといった程度になった。

 また、結合面においてはHail to Reasonの単一クロスを有効に作用させ、また主導たるNashuaがSir Gallahad(=Bull Dog)を内包する為、Romanの流れも上手く結合させている。残念なのはHyperionの系列の結合がやや弱く、主導内においては、9代目Chaucerで結合が終わる点であるが、総合的には強固な部類に入るだろう。

 生かされた血の質は全体的に高く、そのスピード・スタミナを上手く主導に結合させた点が最大の長所で、重厚で国内の芝ではキレ負けする可能性が大。

 本質的には、米血の比率が高いうえRoman~Sir Gallahad(=Bull Dog)の影響が強い為ダート向きだとは言えるが、鍛錬を積めば芝対応も可能な血統構成。ただし、スピードにはやや欠けるきらいがある為に、結果的にダートを主戦場とする可能性は高い。

 長い眼で鍛えて欲しい、好素質の配合。

エスポワールシチー(かしわ記念)

2010-07-21 17:36:09 | 2010年GⅠ勝ち馬
エスポワールシチー(ゴールドアリュール×エミネントシチー-ブライアンズタイム)牡・05生

主:6 結:4 土:3 弱:3 影:1 質[近]:1 質[遠]:2 SP:3 ST:3
合計:27点 クラス:1B 芝:7~9F ダ:6~8F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:普通 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

 主導はNever Bend6×4の系列クロス。父Nasrullahを3ブロックに配したものの、父父サンデーサイレンスはNasrullahを持たない為この部分の動き出しが遅く、見た目程強力な主導となりえなかった。更に、主導となったNever BendはDjebel~Tourbillonを欠落させた為、踏ん張りがきかない一本調子のスピードを再現している。反面、Pharosが16ヶで土台構造を形成する等、全く見所が無いわけではない。

 しかしながら、強調したヘップバーンシチー内のブレイヴェストローマンの生かし方は悪くはないが、ジーゲリン内に弱点を生じたのは非常に残念で、世代の新しい配合の為にHyperion~Gainsboroughの結合具合には疑問が残り(Hail to Reason内Gainsboroughにて9代目で結合)、結果的にダート路線で頭角を現したのもうなづける内容となっている。

 クロスの字面を追っていくと芝対応が可能な配合ではあるが、実際にはSir Gallahad(=Bull Dog)~Teddyの影響が強いうえに、ブレイヴェストローマンを強調した為にかなり厳しいであろう事が予測される。実績通りのダート短距離に適性を示す配合だろう。