血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

自由投稿欄

2022-12-31 23:59:59 | 雑記・その他

 血統に関する考察を、自由に書き込める場があれば良さそうなので、作成してみました。呟き程度の投稿でも構いませんので、お気軽にご利用ください。利用者がいればですが(笑)

 ※他者を誹謗中傷するような書き込みは、削除させていただきたいと思います。あくまでも自由意見の交換の場になるのが、望みです。

2020年クラシックロード(牡馬)

2019-07-25 19:12:05 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、2020年の牡馬クラシックロードにおける注目馬を何頭か取り上げたいと思います。
※後日、複数頭追加する予定です。

ビアンフェ(キズナ×ルシュクル by サクラバクシンオー)牡・17生

Ⅰ 主:5 結:5 土:3 弱:2 影:3 集:5 質:3 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(38/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S □ M 〇 I □ C × L ×
ダ:S □ M 〇 I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:△ 成長型:遅め

 主導は不明瞭な配合で、自身5代目にLady Angela-Hyperion、Almahmoud、Nasrullahと並び、BMSサクラバクシンオー(1A)を強調。これらクロスはNorthern Dancerが傘下におさめた為、実質的にノーザンテースト内Northern Dancerが主導と言えるか(全体の多数派で、血統内に20連存在するPharos=Fairwayの血の流れから見ても、主導は不明瞭だと言える)。母であるルシュクル(2B)は、サクラバクシンオー×アジアンミーティア(=Unbridled’s Song全妹)と、日米のスピード血脈を豊富に抱えた血統で、Hyperion、Nasrullah主導と、父のサクラバクシンオー再現には一定の効果を発揮し、国内向きのスピードを再現する点では良かったものの、母が抱える米系の連動と再現が非常に弱く、そこが限界点だと言える血統構成であった。当馬も母の再現という点では良好であるものの、父であるキズナ(1A)も豊富に米系を抱えた血統構成であり、母と同じく米系(Blue Larkspur、Man o’War、Princequillo)や、父との配合で生じた仏系(Tourbillon-Ksar)または、加系(Chop Chop)を生かす事は出来ても、その連動が比較的弱く、潜在的な成長力を秘めるものの、いまひとつもどかしいタイプになる可能性を指摘しておきたい。とは、言うもののBMSであるサクラバクシンオーを全開にし、その再現に成功したのは当馬の大きなセールスポイントだと言えるだろうか。また、全体的にスピード再現が強いが、Wild Riskクロスを通じて、Torbillon-Ksarのスタミナを連動させる事が出来たのは幸運で、7代目以降のスタミナ系のクロスのアシストもある為、単なる早熟の単距離馬では無いが、10F以上の克服には展開の助けが必要か。本質は、芝向きのマイルタイプ。

サリオス(ハーツクライ×サロミナ by Lomitas)牡・17生

Ⅰ 主:6 結:4 土:3 弱:1 影:3 集:5 質:3 再:3 SP:4 ST:3 特:0
合計:(35/60)点 クラス:2B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I □ C △ L ×
ダ:S × M □ I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:△ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:△ 成長型:早熟

 主導は、Northern Dancer5×5・6。Almahmoudが。父父サンデーサイレンス内で5代目から影響を行使したのが、主導の明確性にやや影を落とした点と、父方に特に豊富に存在する欧米系の連動をはかれていない点を考慮すると、主導や結合といった血統の屋台骨に対する評価は、やや不満を感じる血統構成ではある。また、母サロミナが豊富に抱えた独系統を全く生かしていない点も、母の強みを生かしておらず、この父母の相性は本格的にはあっていない。しかしながら、全体で14連あるHyperionをシンプルに生かし、それらの血の流れが良好であるのは、当馬の血統を考えるにあたって幸いか。またクロス種も41と少なく、結合を果たさないものの、強調されたトニービン(3B)内のスピードの源泉の一つであった、Orbyの流れを汲むGold Bridgeが生きた点や、Nasrullahのスピード。Bois Rouseel・Hurry On・La Farina等のスタミナが隠し味的に生きた点は、当馬にとっては幸運だったと言えるだろう。そうした意味でもあくまでも主役としてHyperionをシンプルに主導へと押し出した配合で、成長力に疑問が残るものの、開花は早く日本適性が高い血統構成だと言える。本質的には芝向きのマイル~中距離タイプで、ダートは不適だと言えるだろう。
 蛇足ではあるが、この母に配するべき父は、薄く独系統を持ち、かつNorthern Dancerが自身の血統において一定の役割を果たした種牡馬が良いと考えられる。具体的にはワールドエース等であるが、個人的には、わずか2年の供用であったもののマンハッタンスカイや、ヒルノダムール、ジョーカプチーノのようなマンハッタンカフェ産駒との配合が一定の相性を示すものと考える。配合とは父母相互に絡みあう血の流れを阻害することなく前面に流し、細かい血をおさえていくのが常道ではないだろうか。そうした意味では、全体的な配合レベルは別にして、結果的に生きた父母の血の流れを阻害しない当馬の配合にも一見の価値はあり、反応は早いタイプに育つ可能性を秘める点は指摘しておきたい。

 本日はこのあたりで筆を置きたいと思います。

2020年クラシックロード(牝馬)

2019-06-05 18:48:21 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、2020年の牝馬クラシックロードにおける注目馬を何頭か取り上げたいと思います。
※後日、複数頭追加する予定です。

リアアメリア(ディープインパクト×リアアントニア by Rockport Harbor)牝・17生

Ⅰ 主:5 結:6 土:2 弱:2 影:2 集:5 質:3 再:3 SP:3 ST:3 特:0
合計:(34/60)点 クラス:2B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I □ C × L ×
ダ:S × M □ I △ C × L ×
芝適性:□ ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:△ 成長型:早熟

 主導は、Sir Ivor及びNorthern Dancerを呼び水にしたMahmoudの系列クロス。次いで、父母共に系列クロスを形成したRoyal Charger。その意味では、血の流れ自体は比較的良好な配合だとは言えるが、全体的な世代の問題が大きい配合で、父の主導であったAlmahmoudや、その切れ味の源となったと考えられるTurn-toが世代ズレを起こしている等、クロス効果が予測しづらい配合だとは言える。とは言うものの、父と祖母であるBeer Baronessの相性の良さは何とか生かされており(父と祖母の配合であれば、3B級の芝向きマイル~中距離タイプの配合)、前述の二つのクロスを全体の先導役に、35という少ないクロス馬で全体を纏め、全体の血を父母であるウインドインハーヘアへと集合させたのは、比較的面白い部分だと言えるか。決して、きめ細かい配合では無く、奥も深いとは言い難いが、早期に芝のマイル~中距離対応は可能な血統構成だとは言える。また、生かされた血の内容から見て、父の様な切れ味を武器にするタイプでは無く、先行して良さがでるタイプ。また、距離の適性は前述の通りだが、少ないクロス馬から来る燃費の良さから、ペース次第ではあるものの、ある程度の短縮・延長への可能性を秘める事は、指摘しておきたい。


 本日はこのあたりで筆を置きたいと思います。

2019年 牡馬クラシックロード

2019-01-02 17:33:46 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、2019年の牡馬クラシックロードにおける、注目馬を何頭か取り上げたいと思います。
※後日、複数頭追加する予定です。

アドマイヤマーズ(ダイワメジャー×ヴィアメディチ by Medicean)牡・16生

Ⅰ 主:7 結:4 土:3 弱:1 影:1 集:4 質:3 再:4 SP:4 ST:3 特:0
合計:(34/60)点 クラス:2B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:△
Ⅲ 距離適性
芝:S 〇 M 〇 I □ C × L ×
ダ:S 〇 M □ I × C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:〇 成長型:早熟

 主導は、Northern Dancerの系列クロス。最前面でクロスしたHaloはHail to Reasonが世代ズレを起こした為に明確な主導勢力としての機能は無く、Almahmoudにより主導と結合をし、主に米系のクロスを取りまとめるアシストとしての役割が強くなったのは、シンプルさという面から見て幸いだと言えるだろう。とは言うものの、質の高い血を抱えた母の血統を生かした配合では無く、それらを上手く生かした、半兄フレッチア(1A 父Dansili)から見ると数段劣る配合だと言え、過度な成長力に対する期待や、距離延長に対する適性は低いと考えられる。救いは、Blenheim14連からくる血の流れの良さで、好調期のスピードにはかなりの良さを持つ。また、父ダイワメジャー産駒や、広義的にNasrullahを持たないサンデーサイレンス系列の種牡馬のスピードの引き出し方のひとつのセオリーとして、Nasrullahをクロスさせずに、3/4同血のRoyal Chargerとの呼応によって引き出す方法があるが、当馬もこれに該当する。早期有利のスプリント~マイルタイプで、ダートはこなせる。また、重馬場に対する適性を秘める点は指摘しておきたい。

サートゥルナーリア(ロードカナロア×シーザリオ by スペシャルウィーク)牡・16生

Ⅰ 主:5 結:5 土:4 弱:2 影:2 集:5 質:3 再:4 SP:4 ST:3 特:0
合計:(37/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C □ L △
ダ:S × M □ I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:□ 成長型:遅め

 主導は位置の関係からNorthern Dancerの中間断絶を呼び水にしたAlmahmoud及びNearcoの系列クロス。前述の位置の関係からNijinskyクロスが結合のアシストをしてはいるものの、明確な主導勢力となれなかった点が非常に惜しまれる。また、前面のクロスの煩雑さが残る血統で、もどかしいタイプになりがちだとは言える。しかしながら、生かされた血には良さがあり、Northern Dancerが4代目からクロスした為に、Somethingroyalが実質的主導のNorthern Dancerと、ひとまず結合できたのは幸いで、決して長距離タイプのそれでは無いものの、距離延長に対する適性は比較的高い。また、結合自体は弱いが7代目以降の血の生かし方は良く、成長力を秘めるとも言える。また、血が濃いために高評価するものでも無いものの、これと言った弱点は無く安定感はある血統。本質は、ゆったりと流れる芝向きの中距離タイプ。

ワールドプレミア(ディープインパクト×マンデラ by Acatenango)牡・16生

Ⅰ 主:8 結:7 土:4 弱:2 影:3 集:5 質:4 再:4 SP:4 ST:4 特:0
合計:(46/60)点 クラス:1A
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I ◎ C 〇 L 〇
ダ:S × M × I □ C □ L ×
芝適性:〇 ダート適性:△ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:□ 成長型:遅め

 主導は、Northern Dancerを呼び水にした、Almahmoudの系列クロス。位置的にやや不満が残るものの、母母Mandellictへと血を集合させ、そのスピード・スタミナを再現している。この配合の最大の見どころは、Donatelloを系列クロスにするだけでなく、その内部のClarissimusやMieuxceをクロスしそのスタミナの裏付けを更に強固にした点で、この構造はなかなか見る事が出来ない。また、母内Tetratemaが6代目でクロスしThe Tetrachを通じ、その決め手を主導へと直接結合出来たのは非常に妙味があると言える。更に、PharamondのスピードやHyperionのスタミナを、前面に存在するNorthern Dancerを通じて補給できたのもまた、見どころがある。血統全体でBay Ronald系の流れにかなりの良さがあり、前述したスピードの血の生かし方から、スピードや決め手に良さのあるタイプではあるが、決してマイラーのそれでは無く、本領発揮は芝の10F以上。惜しむらくは、母内独系や父内米系の生かし方にやや弱さがある点だが、逆に言えばシンプルな配合を作り上げる一助にはなっている。血統構成的には世代トップレベルだと言え、是非とも無事な開花を願いたい。

ブーザー(マンハッタンカフェ×マンドゥラ by Danehill Dancer)牡・16生

Ⅰ 主:7 結:6 土:3 弱:3 影:3 集:6 質:3 再:4 SP:4 ST:3 特:0
合計:(42/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S △ M 〇 I 〇 C □ L ×
ダ:S × M □ I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:△ 成長型:遅め

 主導は、Almahmoud及び、Tudor Minstrelの系列クロス。この両者は、近い世代でGainsboroughを共有し連動している上、母内Be My Guest内において共存する為に、連合勢力と言って良い。母のマンドゥラはNorthern Dancer主導の配合だが、当馬の場合、父であるマンハッタンカフェがNorthern Dancerはおろか、Natalmaも持たない為に、非常にシンプルな配合となった。次いで影響の強いPharamondやNearcoはAlmahmoud単体で取り込むのが難しい血であるが、Tudor Minstrelの母系に存在する、Pharos~Phalarisがしっかりとこれらの血を取り込み、その能力を補給している。この部分が当馬の配合を考える上で最大の長所だと言え、質の高い血を生かした妙味のある配合と言えるだろうか。また、父の種牡馬としての難しさを端的に表現している、独系のSanta Lucianaだが、当馬の場合母母内のMandelaugeと呼応した為に、TicinoがしっかりとクロスしDark Ronaldを通じて、主導勢力と結合を果たしたのも非常に良好で、この部分の構造には一見の価値がある。惜しむらくは、明確なスタミナの核を作れなかった点で、父のイメージ程の距離延長適性に欠ける点だが、ただの早熟マイラーでは無く、芝のマイル~中距離で自力勝負可能な重厚な配合。

クラージュゲリエ(キングカメハメハ×ジュモー by タニノギムレット)牡・16生

Ⅰ 主:7 結:6 土:4 弱:2 影:2 集:6 質:3 再:4 SP:4 ST:4 特:0
合計:(42/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I ◎ C 〇 L □
ダ:S × M □ I 〇 C □ L △
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:△ 成長型:遅め

 主導はNorthern Dancerを伴うNureyev4×4。父に強い米系の取り込みに弱さが残るため、極めて強力にと言える内容では無いものの、全体のリード役としてしっかりと機能はしており、この主導は有効。次いで、Nashuaの系列クロスで血統全体をリード。このNashuaクロスによって米系である、Sir Gallahad~Teddyをしっかりと取り込めた上にこの両者で父父のKingmanboを強調し、血を集合させている。また、BMSタニノギムレットにおいてスタミナの補助や結合のアシストとなったGraustarkを再度クロスさせ、その内部の血である、Alibhai、Beau Pere、Boudoir、Papyrusをきめ細かくクロスし、スタミナの核としたのも非常に妙味があると言える。これら、スタミナ勢力のアシストのお陰で、本来はマイル向きのスピードを再現する主導のNureyevだが、中距離向きのスピード勢力に能力変換を起こしていると考えて良い。半兄であるプロフェット(3B)とは、またタイプが異なるものの、迫力のある血統だと言える。本質的には自力勝負に向く芝向きの中距離タイプで、決してステイヤーのそれでは無いものの、12Fの克服は可能。7代目以降の血の生かし方からゆっくり成長するタイプ。

フォッサマグナ(War Front×River Belle by Lahib)牡・16生

Ⅰ 主:5 結:7 土:3 弱:2 影:2 集:5 質:3 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(39/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S 〇 M 〇 I □ C × L ×
ダ:S □ M 〇 I × C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:□ 成長型:遅め

 主導は、わかりにくいものの、Nasrullah~Nearco。次いで、Fair Traial・Mahmoudの系列クロス。これらを傘下におさめたNorthern Dancer3・6×4の中間断絶が実質的主導。前面のクロスが多可気味の配合で、前述のNorthern Dancerの中間断絶をはじめForli・Count Fleet・Warfareの中間断絶や、Princequilloを伴うRound Tableが存在し、このクロスの多さからかなり煩雑な血統構成だと言える。しかしながらこれらクロスは、不安定ながら主導とみなせるNorthern Dancerへと結合し、本来結合しにくいRound TableやCount Fleetが前者はForli内のPapyrusを通じ、後者がNasrullah内のThe Tetrachを通じて能力参加しているのが見てとれる。その上で、Forli及びNasrullahとNorthern Dancer結合が非常に強固に行われているのは幸運か。祖父母のバランスの悪さを補正できたのは妙味があるか。全体的にはスピードに良さがあり、キレるタイプでは無く粘りある芝向きマイルタイプ。

ラストドラフト(ノヴェリスト×マルセリーナ by ディープインパクト)牡・16生

Ⅰ 主:5 結:4 土:4 弱:1 影:2 集:5 質:3 再:3 SP:3 ST:3 特:0
合計:(33/60)点 クラス:2B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I □ C △ L ×
ダ:S × M × I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:△ 重馬場適性:△
Ⅳ 開花率:□ 成長型:早め

 主導はNorthern Dancer5・6×6・6の中間断絶を呼び水にした、Almahmoud及びCrepelloの系列クロス。この両者は、Blenheimを通じ結合し、実質的主導であるNorthern Dancerへとスピードとスタミナを補給しており、この両者の相性自体は悪くは無い。この配合の最大の問題点は、父自身の主導であるLiterat等をはじめとした、特殊な独系統をことごとく欠落させた点にある。父自身の血統はこれら特殊な独系統を満遍なく生かした、非常に妙味ある配合だったが(ノヴェリスト 1A)、産駒ラストドラフト内はこれらを全く生かせておらず、父とは違う血統を構成している。しかしながら、Djebel~Tourbillon~KsarやHyperion、Bahram等を生かした点は、他のノヴェリスト産駒より良さはある。また影響は弱いもののGrey SovereignやDanteのスピード・スタミナを隠し味的に生かしたのは面白い点だろう。また43という少ないクロス馬で構成された血統で、開花の早さや反応の良さは見込める配合。前述の不備から、父ほどの長距離適性や成長力は望めないだろう。早期有利の中距離タイプで、ダートは不適。

ヴェロックス(ジャスタウェイ×セルキス by Monsun)牡・16生

Ⅰ 主:7 結:5 土:3 弱:1 影:2 集:5 質:3 再:4 SP:4 ST:3 特:0
合計:(37/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M 〇 I 〇 C □ L ×
ダ:S × M 〇 I □ C × L ×
芝適性:□ ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:□ 成長型:早め

 主導は、位置の関係からNearctic5・7×6・6の系列クロス。その父、Northern Dancerが結合をアシスト。次いで、影響の強いAlmahmoud、Dante、Hyperionはしっかりと主導と連動し、そのスピード・スタミナを補給している。この連動させた血を、父母内のシビルに集合させたのが、当馬の最大の長所だと言えるだろう。しかしながら、この連動性を備えつつも当馬の最大の問題点は、母父Monsunが豊富に抱える独系の血を全く生かしていない点で、弱点や欠陥を生じており、米系の結合力の弱さも相まって、成長力に対しては疑問が残る血統構成だと言える。しかしながら、Bay Ronaldの流れを汲むHyperion系の流れにはかなりの良さがあり、前述した血の集合力と、49という少ないクロス馬から見て開花自体は早いものの、ただの早熟タイプでも無い。早期有利の芝向きマイル~中距離タイプ。

ランフォザローゼス(キングカメハメハ×ラストグルーヴ by ディープインパクト)牡・16生

Ⅰ 主:7 結:5 土:4 弱:2 影:3 集:5 質:3 再:5 SP:3 ST:4 特:0
合計:(41/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C 〇 L □
ダ:S × M □ I □ C △ L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:△ 成長型:遅め

 ドゥラメンテ(3B)7/8同血。主導は、ドゥラメンテと同じくHornBeam6×5の系列クロス。次いで、Lady Angela、Almahomud。主導の明確性においてドゥラメンテと比較すると、サンデーサイレンスが一代後退した事により、Almahmoudの影響が弱まったのがプラスに作用している。反面、サンデーサイレンス内のスピードの再限度はほぼ同様であるものの、その血が一代後退した事により影響力が弱まり、ドゥラメンテ程のスピードは持ち合わせてはいない。しかしながら、母父内のウインドインハーヘアの細かいスタミナの血であるMieuxceや、父内Gold Bridge等隠し味的な血の生かし方にかなりの良さがある。Princequillo系の結合やKsar等の仏系のクロスの連動が非常に弱く、また、ドゥラメンテにおいて弱くはあるものの、Almahmoud内Fair Playにより主導勢力と連動させたMan’o War等の米系が、当馬の配合では完全に離反し、この部分は大きく劣る。この結合の弱さが当馬の血統上の限界点と言える。とは言うものの、総合的にはかなり良くできた内容で、芝12Fの克服も十分に可能。前面のクロスがHyperionの流れを汲むものが多く、上位レベルにおいては、切れ味には劣るものの長く脚をつかうタイプ。本質は芝向きのクラシックディスタンスに向いた血統構成。

ロジャーバローズ(ディープインパクト×リトルブック by Librettist)牡・16生

Ⅰ 主:6 結:6 土:3 弱:2 影:3 集:5 質:3 再:4 SP:4 ST:3 特:0
合計:(39/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C □ L ×
ダ:S × M □ I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:△ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:□ 成長型:普通

 主導は、Northern Dancerを伴う、Lyphard4×4・6。主導内仏系の生かし方がかなり良く、Hurry On・Ksarをおさえ、ある程度は血統全体をリードしているものの、母父内Northern Dancerの位置が4代目と主張が強く、血の集合がやや散漫になったのが惜しまれる(この部分は近親であるジェンティルドンナ(3B)と同様)。反面、父母が抱える欧米系をAlmahmoud内Speamint・Fair Playを介しBanish Fear・Man o’Warを連動し、Pocahontasを介しPrincequilloを主導勢力と辛うじて連動させたのは当配合の長所で、Hail to Reasonに頼らずにある程度連動させた点も評価に値する。全体として見ると、今一つ詰めの甘さを感じる血統構成で、父のイメージの様なキレは望めない配合。本質は、ゆっくりと成長する芝向き、中距離タイプの血統構成。

ラクローチェ(ハービンジャー×ウインデンファーレ by ダンスインザダーク)牡・16生

Ⅰ 主:7 結:6 土:3 弱:3 影:2 集:6 質:4 再:6 SP:3 ST:5 特:0
合計:(45/60)点 クラス:1A
Ⅱ 日本適性:△ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M △ I 〇 C ◎ L 〇
ダ:S × M × I □ C □ L △
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:△ 成長型:晩成

 主導は、Nijinsky6×4の系列クロス。この主導はかなり明瞭で、欧米系が入り混じる現代的な血統構成から考えるとNijinskyの母方が抱える米系を直接主導内へ取り込める点で、可能性を秘める主導だと言える。次いで、Turn-toを伴うHail to Reasonの影響が強く、米系を取りまとめ、結合をしっかりとアシストしている。生かされたスタミナ勢力は強靭で、His Majesty=Graustark、Aureoleが明確にスタミナの核を形成。また、7代目以降においてもきめ細かくスピード・スタミナを生かしており、仏系の結合の弱さは残るものの全体的には良くできた血統構成。反面、スピード勢力はやや弱く、現代的なキレ勝負では不利だと言え、自力勝負が向くタイプ。血統全体で強調されたダンスインザダーク(1A)を再現するだけで無く、その部分に血の集合をはかり、完全開花した際には破壊力ある血統構成。本質は、芝向きのステイヤーだと言え、よどみない流れの中長距離戦において、真価を発揮するタイプ。蛇足だが、ハービンジャー×ダンスインザダークは、ハービンジャーが欲する血をそこだけで賄える相性の良さがある為、古典的なニックス配合だと言える。古典的と評するのは、現代日本競馬が必要とするスピードの主張が弱くなるためであり、この部分を母母方で補える配合であれば優駿輩出の可能性を秘めていると言えるだろう(現三歳世代までにおいては、この母母のスピードアシストが強い配合は存在しない)。


 本日はこのあたりで筆を置きたいと思います。

2019年 牝馬クラシックロード

2018-12-21 22:23:25 | 雑記・その他
 
 今回の血統徒然草は、2019年の牝馬クラシックロードにおける注目馬を何頭か取り上げたいと思います。
※後日、複数頭追加する予定です。

ダノンファンタジー(ディープインパクト×ライフフォーセール by Not for Sale)牝・16生

Ⅰ 主:5 結:6 土:3 弱:1 影:2 集:4 質:3 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(36/60)点 クラス:2B 
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□ 
Ⅲ 距離適性
芝:S □ M 〇 I □ C △ L ×
ダ:S 〇 M □ I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:〇 成長型:早め 

 主導はLyphard4×5の中間断絶を呼び水にした、Nearcticの系列クロス。次いで、Court Martial。それぞれ6代目に存在するSir Gaylord、Mahmoud、Khaled、Pharamondから、マイル~中距離向きのスピード・スタミナを補給し主導へと集合させた配合で、開花自体は早い。惜しまれるのはAlmahmoudが世代ズレをおこした点や、米系の取り込みの弱さ。また、祖母Doubt Fireの世代が新しく弱点を派生させた点で、やや信頼には欠けるか。しかしながら、開花自体は早いものの、7代目以降のクロス自体の生かし方は良く、ただの早熟タイプでも無い。多種のスピードの血が生き、実質的主導のLyphardへとしっかりと結合を果たした為に、ここの部分をしっかりと引き出せれば器用な競馬ができる可能性は秘める。早期有利のマイラータイプ。ダートはこなせる。

クロノジェネシス(バゴ×クロノロジスト by クロフネ)牝・16生

Ⅰ 主:4 結:5 土:4 弱:1 影:1 集:7 質:2 再:4 SP:4 ST:3 特:0
合計:(36/60)点 クラス:2B 
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:□ 
Ⅲ 距離適性
芝:S 〇 M □ I △ C × L ×
ダ:S 〇 M □ I × C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:□ 成長型:早め 

 主導は不明瞭な配合で、おそらく父系母系ともに系列クロスを形成したNorthern Dancer。次いでMr.Prospecter、Halo。近親度がかなり強く、バランスも良好だとは言い難いものの、強調された父母Moonlight’Box内に前述の三者を存在させ、Nearco及びAlmahmoudで強固に結合させた上で、血を集合させたのは幸運で近親度の高さを考慮しなければ、その生かし方はかなり良好。この部分が本馬の能力の源泉だと言える。圧倒的にスピード優位の配合で、そのスピードにかなりの良さがあるとは言えるものの、決して器用なタイプでは無く、そのスピードで押し切る競馬が本質的にはあっているか。しかしながら、明確なスタミナの核を持たないため、距離延長に対する適性や成長力は高いとは言い難い。早熟スプリント~マイルタイプ。米系の影響からダートもこなせる下地はある。土台構造からの血の流れは良好で、信頼には欠けるものの好調期には強い競馬を見せる事も。

グランアレグリア(ディープインパクト×タピッツフライ by Tapit)牝・16生

Ⅰ 主:6 結:5 土:3 弱:1 影:2 集:5 質:3 再:3 SP:4 ST:3 特:0
合計:(35/60)点 クラス:2B 
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□ 
Ⅲ 距離適性
芝:S △ M 〇 I 〇 C □ L ×
ダ:S △ M □ I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:普通 成長型:普通 

 主導は、位置の関係からTurn-toの系列クロス。その仔であるSir Gaylordが母系であるSomethingroyalを取り込み、結合とスタミナのアシストを行っている。また、Turn-toのクロスでは取り込めないHyperionをNorthern Dancerが取り込んでいる。しかしながらHail to ReasonやAlmahmoudが世代ズレを起した点や、Nijinskyを主導にSecretariatをスタミナの核とした母の傾向とは著しく傾向が離反し、この父母の相性は本質的にはあっていないと言える。救いは、39と少ないクロス馬で全体を構成し、父父サンデーサイレンスのスピードを再現した事で、この部分は、全体としての血統構成を比べるべくも無いが、祖父の最高傑作であるサイレンススズカ(2A)と相似性はある。本質的には芝向きマイル~中距離タイプだが、距離延長に対する適性自体は低くは無い。

シェーングランツ(ディープインパクト×スタセリタ by Monsun)牝・16生

Ⅰ 主:7 結:6 土:3 弱:2 影:2 集:5 質:4 再:3 SP:3 ST:4 特:0
合計:(39/60)点 クラス:3B 
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇 
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C 〇 L □
ダ:S × M □ I □ C △ L ×
芝適性:〇 ダート適性:△ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:普通 成長型:遅め

 主導はNorthern Dancerを呼び水にした、父父内Almahmoudの系列クロス。次いでHurry Onを生かしたCourt Martial。優秀な配合である姉ソウルスターリング(1A)程の迫力は無いが、ウインドインハーヘア内はRomanこそ世代ズレするものの、生かし方が良く、特にBurghclere内は、Donatelloの系列クロスがスタミナの核を形成し、MassineやSolarioのスタミナや、Fair TrialやGold Bridgeのスピード等も隠し味的にしっかりとクロスしている。Allegrettaを全開させた姉に及ぶべくも無いが、当馬のウインドインハーヘア全開もなかなか妙味があると言えるだろう。惜しむらくは、母スタセリタが抱えたドイツ系統の生かし方が弱い点だが、46という少ないクロス馬から外交的な配合ではあるものの、開花自体は晩成と言うほどには遅くなく、姉よりもシンプルな配合になっている点は言及しておきたい。本質的には芝向きの中距離タイプで、ダートは不適。距離延長に対する適性は比較的高いと言える。

タニノミッション(Invincible Spirit×ウオッカ by タニノギムレット)牝・16生

Ⅰ 主:7 結:5 土:4 弱:2 影:2 集:5 質:4 再:4 SP:4 ST:3 特:0
合計:(40/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S □ M 〇 I 〇 C △ L ×
ダ:S □ M 〇 I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:低め 成長型:遅め

 主導はNever Bendの系列クロス。次いで、My Babu。My BabuはDjbelによって結合を果たし、芝向きのスピードを補給している。また、前面でクロスした、Turn-toはNearcoを通じ切れ味を補給。母ウオッカ(3B)内において、一定の役割を果たしていた、Hyperionの結合の弱さは残るものの、Owen Tudorが7代目からクロスした事によって辛うじて結合したのは幸運な形態だと言えるか。惜しむらくは、中距離向きのスタミナを表現するPrincequilloは9代目までにおいて未結合である点や、母の血統内で一定の役割を果たしていた、Teddy系の結合の弱さは、端的にこの配合の限界点や母の繁殖牝馬としての難しさを表していると言える。しかしながら、Pharos=Fairwayが20連で形成する土台構造からくる、血の流れの良さはかなりのもので、この部分は当馬の大きな魅力だと言える。やや重厚な配合であるために開花まで時間はかかるだろうが、開花後の安定化のある血統だと言えるだろう。母よりは、ややスピードタイプの芝向きマイラータイプ。

クラサーヴィツァ(ハーツクライ×メジロルバート by メジロライアン)牝・16生

Ⅰ 主:7 結:7 土:3 弱:2 影:2 集:6 質:3 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(42/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇 
Ⅲ 距離適性
芝:S △ M 〇 I 〇 C □ L ×
ダ:S △ M 〇 I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:〇 成長型:早め 

 主導は、Northern Dancerを伴うLypard4×4の系列クロス。次いでAlmahmoud、Khaled。前面においてややクロスが多いものの、これらのクロスは主導内のクロスや、強固に結合するクロスでこの主導は有効。主導にNorthern Dancer系を用いた場合において、本来結合しにくいPrince Rose系のクロスであるが、Prince Chevalierが7×6とクロスし、主導内のLady Angela内のAbbots Traceを通じそのスタミナをしっかりと補給できたのは非常に妙味があると言える。血統的な質が低いノーザンテーストではあるが、当馬の配合においてそのスピードを再現するだけでなく、この結合のアシストが大きな役割を果たしていると言って良い。また、この配合の最大の見どころは、母母であるメジロラモーヌ(3B)内に血を集合させ、そのスピードを再現し全開した点にある。メジロラモーヌの血統構成は強力なスピード勢力であるTetratema~The Tetrachをクロスし、母方Khaledを強調した点に妙味があったが、当馬の血統構成はこれを良く再現している。惜しむらくはTeddy系の結合の弱さが見える点だが、全体的にはかなり良くできた配合で、BMSメジロライアンの血も良く生きており、古き良きメジロの血の生かし方に好感が持てる。本質は10F前後に向く芝向き中距離タイプ。

ラヴズオンリーユー(ディープインパクト×ラヴズオンリーミー by Storm Cat)牝・16生

Ⅰ 主:8 結:7 土:2 弱:2 影:2 集:4 質:4 再:4 SP:4 ST:3 特:0
合計:(40/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□ 
Ⅲ 距離適性
芝:S □ M 〇 I 〇 C □ L ×
ダ:S □ M 〇 I □ C △ L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:〇 成長型:□ 


 主導はNorthern Dancerを呼び水にした、父父内Almahmoudの系列クロス。父とBMSが同じキズナ(1A)と同じように、Somethingroyal~Princequilloをクロスさせスタミナの核とした配合だが、母母内の違いから、キズナ程のスタミナや血統構成の良さは無い。しかしながら、その母母内のアシストが悪いわけでは無く、Mr.Prospector~Raise a Nativeのスピード源であるものの、質が高いとは言えないNasrullahをクロスさせずに、父内Royal Chargerとの呼応で引き出し、主導たるAlmahmoudへとしっかりと結合させた為、当馬の距離適性は10F前後を得意とするマイル~中距離タイプになった。惜しむらくは、土台構造の弱さや血の集合の散漫さだが、強調されたSrorm Cat内へひとまずの血の集合は見られる。この配合の最大の見どころは主導のAlmahmoud内の生かし方で、当馬の血統構成上、主張こそ弱いものの一定の役割を果たしている、Fair Play、Broomstick等の米系をしっかりと取り込んでいる点や、Sir Gallahad等のTeddy系もSpeamintを介し直接結合している点に良さがある。したがって当馬の主導のAlmahmoudの能力はややスタミナに良さがあるタイプへと能力変換を起こしていると考えて良い。父内の欧州系のスタミナを生かせなかった為に、クラシックディスタンスの克服はやや厳しいタイプだと考えられるが、全体的には良くできた血統構成だと言える。

フィリアプーラ(ハービンジャー×プリンセスカメリア by サンデーサイレンス)牝・16生

Ⅰ 主:6 結:5 土:3 弱:1 影:3 集:6 質:3 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(38/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S □ M 〇 I 〇 C △ L ×
ダ:S □ M 〇 I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:□ 成長型:早め

 主導は、父の傾向を引き継ぎNorthern Dancer5・5・6・7×5の系列クロス。Northern Dancer内のAlmahmoudがBMSサンデーサイレンス内において、5代目でクロスした為に、その明確性にやや影を落としたのが惜しまれる。できる事なら、母内Northern Dancerが4代目でクロスした方が良ったとは言える。また、BMS内Hail to Reason~Turn-toが世代ズレを起こし、Teddy系や影響が非常に弱いもののMan o’War、Blue Larkspurを取り込めなかったのが惜しまれる。この世代ズレに付随して弱点を父方内に2か所抱えたのも全体的な世代の問題から生じている点も、当馬の血統構成を考える上で致命的では無いものの、無視できない問題ではある。しかしながら、当馬の血統構成上の魅力は母母である、ラトラヴィアータ(サクラバクシンオー全妹 1A)を全開にした点や、BMSサンデーサイレンスの抱えるスピードも引き出している点である(父ハービンジャー 母父サンデーサイレンスは世代の問題を残すもののスピードの引き出しに良さが出る)。従って、同父産駒の中ではかなりスピードに良さがあるタイプで、血統全体においてBay Ronaldの流れを汲むHyperionが強く、同様に強いParos系の血の流れもしっかりと主導内へ取り込んだのが最大の長所。父のイメージ程に距離延長に対する適性は欠けると予想されるが、44という少ないクロス馬からくる、切れ味や反応の良さは見込めるか。本質は芝向きのマイルタイプで、ノーザンテーストの影響から重はこなす可能性を秘める。

アクアミラビリス(ヴィクトワールピサ×アクアリング by Anabaa)牝・16生

Ⅰ 主:6 結:5 土:3 弱:3 影:3 集:4 質:4 再:5 SP:4 ST:4 特:1(主導牝馬クロス)
合計:(41+1/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C 〇 L △
ダ:S × M □ I □ C △ L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:□ 成長型:遅め

 クイーンズリング(3B)半妹。主導はNatalma6×5・7の系列クロス。その母Almahmoudを血統の4ブロックに存在させ非常に明確に見えるものの、5代目に存在するNatalmaでは、欧米系の混在する当馬の血統を明確にリードするに至らなかったのが惜しまれ、この部分では姉に劣る(姉は5代目Almahamoud主導。Spearmintを介し米系の血を上手く取り込んだ。特にBanish Fearを介しての米系の連動に妙味がある)。しかしながら、当馬は母母シーリング内の欧州系のスタミナ要素であるSicambreを系列クロスにし、9代目Rabeleisを介しWild Riskと連動。そのWild Risk内Blandfordを通じ、主導たるNalalmaと連動させた点は現代的な血統ではなかなか見られない部分で、ハイハット内Hyperionと並び、当馬のスタミナの核として機能している。また、スピードはNasrullah、Turn-toから補給し、スピード・スタミナに関してはかなり優秀なレベルにあると言えるだろう。Teddy系やTourbillon系またはMan’o WarやBlue Larkspurなどの欧米系の結合の弱さから見て(9代目までは未結合。10代目において米系は結合を果たす。当馬は、近年珍しい5代アウトクロスの完全異系交配であり、10代目で結合を果たしたとしても不思議は無い。この評価は結合を9代目で切っているが、10代目を追った場合、もうワンランク上の評価もありえる)、ゆっくりと成長し、競馬ぶりもややもどかしいタイプになると予測されるが、全体的な血統レベルは優秀。また、本質的には芝の10F以上での走りを見てみたい配合である。


 本日はこのあたりで筆を置きたいと思います。