血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

ヤマニンエルブ

2010-09-28 22:06:17 | 07年生
ヤマニンエルブ(サッカーボーイ×ヤマニンソリテール-ティンバーカントリー)牡・08生

主:7 結:5 土:3 弱:2 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:31点 クラス:2B 芝:7~10F ダ:7~9F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

○ 主導   (7)

 主導は、中間断絶ではあるもののNorthern Dancer4×4。Northern Dancerは次いで影響の強いLady Angela、およびNasrullahの父Nearcoを内包し、血統を比較的強力にリードしている。また、血統全体でGainsboroughを核とした血の流れに良さがあり、その意味でもNorthern Dancerの主導は比較的明瞭だと言える。

○ 結合   (5)

 主導たるNorthern Dancerと、6代目までに存在するクロスである、Mahmoud・Pharos・Lady Angela~Hyperion・Nearco・Native Dancerは、Northern Dancerに含まれる血統である為、確実に結合している。Nasrullahはその父Nearcoを通じて、Wild RiskはBlandfordで結合している。また、そのWild Riskが7代目以降に存在するKsar~Bruleurを主導勢力と結合させる等、全体の結合力は悪くはない。ただし、7代目以降に存在するTeddy系の結合は9代目までに完了できないのは若干マイナスではある。

○ 土台   (3)

 Gainsboroughが15ヶで形成している。単体ではやや弱いがBlandfordが15ヶでサポートしているのは幸いで、この連合勢力が土台構造を形成した為、意外と堅牢だと言える。

○ 弱点   (2)

 父内Victoria Parkに欠陥を生じている。この欠陥はノーザンテーストを血統内に含むサラブレッドの最大のネックだが、この配合でもその問題は解消できていない。また、母母マダニナ内もいくつか弱い部分はあるが、Bold Reasonは9代目にNearco・Ksarを、LuthierはBlandford~Swynfordを含む為、さほど大きな欠陥にはなっていないと考えられる。

○ 影響   (2)

 影響度は(4-13-2-8)とあまりバランスは良くない。影響の強い部分に主導勢力が強い影響を持ったのは幸いか。

○ 質[近]  (2)

 父サッカーボーイは(2A)クラスで非常に質が高いが、母ヤマニンソリテールも(3B)クラスと決して悪くは無い。牝系も代々質の高い種牡馬を配している。強調されたのがダイナサッシュなのが多少気にはなるが、全体的には比較的優秀だと言って差し支えないだろう。

○ 質[遠]  (3)

 クロス馬の質は主導たるNorthern Dancerは悪くは無いが、強い影響を持ち実質的主導だと言えるLady Angelaや強い影響を持ったNasrullahは決して血の質が高いとは言い難い。ただし、Wild Risk・Native Dancer等も強い影響を持ったのは幸いか。

○ スピード (4)

 Lady Angelaを中心に、Nasrullahがサポートしている。従って、軽いスピードに良さがある内容で、日本の芝向きの配合内容となっている。また、9代目ではあるがTetratemaが生きているのはプラス。比較的優秀だと言える内容となっている。

○ スタミナ (3)

 Wild Riskを中核にした配合。Wild RiskはBlandford~Swynford・Ksarがクロスし、よりスタミナ要素が強化されている。他に強力なサポートを持たないのが惜しまれる点だが、粘り強いスタミナを獲得している。


 総合的に見ると、ノーザンテースト内の欠陥や影響度バランスの不安定さ等、決して一流の配合内容だとは言い難い。が、前述したように血統全体を通してGainsboroughを核とした血の流れに良さがあり、それをNorthern Dancerが上手くまとめているのが見て取れる。従って、仕上がった時の破壊力は秘めていると考えられる。更に、Wild Riskが粘り強いスタミナを確実に補給していると考えられる。距離延長は決して得意とするタイプではないだろうが、マイル~中距離において自分の競馬をした場合、決して過信は禁物であるものの、強さを見せる可能性は秘めているだろう。

スーパークリーク×マルシゲターナ

2010-09-22 11:42:51 | 仮想配合
(スーパークリーク×マルシゲターナ-ターナボス)-・-生

主:7 結:7 土:2 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:5
合計:35点 クラス:3B 芝:9~15F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (7)

 主導は、Hornbeam4×5の系列クロス及び、Dante(=Sayajirao)4×6の連合勢力。両者の影響はほぼ均衡している為、一見かなり不明瞭に見えるが、6~7代目において豊富に存在する、Nearco~Pharos(=Fairway)・Nogara等のクロスにより非常に強固な連動体制を構築している。更にこの両者は父母であるナイスデイを圧倒的に強調している。従って、この両者を連合勢力と判断した。ただし、全体的に見た場合やや良いといった程度の評価で、極めて強力にといかなかったのは惜しまれる点である。

○ 結合   (7)

 主導たる、Hornbeam・Dante(=Sayajirao)と6代目までに存在するクロスである、NasrullahはHornbeamに含まれ、NearcoによってDante(=Sayajirao)と直接結合している。BrantomeはBlandfordによってHornbeamと、Dante(=Sayajirao)とはCanterbury Pilgrimを通じ結合を完了している。また7代目以降のクロスも非常に連動性が高い。ひとたび、Hornbeamもしくは、Dante(=Sayajirao)が目覚めた場合、上記のクロス馬達も自動的に連動する体制が整っている。父スーパークリークも結合力が非常に強固な配合であったが、この配合は父とも形態が異なるものの、非常に優秀だと言える。

○ 土台   (2)

 父の土台構造を形成していたSt.Simonが、この配合では10代目以降に後退したため、自身の土台構造は、Pharos(=Fairway)が15ヶで形成している。この状態はかなり貧弱だと言え、サポートもGainsboroughが9ヶとかなり寂しい状況となっている。

○ 弱点   (3)

 父方ノーアテンション内、Flaming Pageに弱点を(実際には9代目にPhalarisが存在する為ほぼノーカウント)、Sly Pola内に欠陥を生じている。ただし非常に影響が少ない部分である為、その欠陥も若干軽微だと考えられる。また、母方Denturius内は8代目までにクロスが存在しないが、9代目においてHamptonをクロスさせている。同様にBubbles内も9代目にSt.Simonを配し、主導と直接結合している為、大きな欠陥と判断していない。ある意味においては絶妙なバランスだと言え、言葉を変えれば幸運だと言えるだろうか。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは、(1-17-4-5)と圧倒的に父方ナイスデイを強調している。非常にバランスが悪いのは異論を挟む余地は無いが、強調されたナイスデイ内は主導勢力が含まれ、生かし方も非常に良いのは幸運だと言えるだろうか。

○ 質[近]  (2)

 父スーパークリーク、母マルシゲターナ共に決して血の質が高いとは言い難い。ただし、3代目までに並ぶ血統の中にはBlakeney・インターメゾ等底力に通じるような質の高い血も含まれている。ややアンバランスだが、決して悪くもない。

○ 質[遠]  (4)

 主導たる、Hornbeam・Dante(=Sayajirao)は非常に血の質が高く、血統を構成する背骨にあたるクロスは優秀だと言える。また、Bahram等生かされた血の質も全体的に見ると高いレベルにあると考えられる。総合的に見ると優秀な部類に入るだろうか。

○ スピード (3)

 Grey Sovereign内及び、Princely Gift内Nasrullahを中核にスピードを補給した配合。父スーパークリークのスピード源となったGrand Paradeの欠落は惜しまれるが、父の配合時に眠っていたTetratemaが生かされている。その7~8代目において4連あるTetratemaが決め手を補給し、引き出しに成功すれば決め手するどい差し脚を発揮できるだろう(Tetratemaはその父The Tetrarchを通じ確実に補給されている)。

○ スタミナ (5)

 主導たるHornbeam、Dante(=Sayajirao)が中核となる配合。本来Nasrullahが生きたHornbeamは、若干スピードよりにシフトしていると考えられるが当馬の場合、NasrullahへとBrantomeがスタミナを補給している為、本来のスタミナとして機能していると考えられる。また、Blue Peterが更にスタミナを補給し、7代目以降においても、Son-in-Law・Bay Ronald等スタミナ優位。母のスタミナ源であった、Djebel~Tourbillonが欠落したのは惜しまれるが、全体的には優秀な部類に入るだろう。


 総合的に見ると、バランスの悪さは否めない配合形態だと考えられる。いくつか存在する弱点・欠陥は安定感や距離延長の適性にマイナスの修整を示すだろうし、土台構造の散漫さ、影響度バランスの悪さなど、決して超一流の血統構成ではない。
 しかしながら、血の流れなどには見るべき点もある内容で、仕上がった際の破壊力といったものは十分感じられる内容となっている。決して連戦連勝といったタイプではないが、面白い内容となっているのではないだろうか。また、父の持つスタミナ要素を完全ではないものの上手く生かした血統で、時代の流れに逆らうかのうようなステイヤータイプの血統構成となっている。こういったスタミナ優位の血統を遺せる日本競馬であって欲しいと願う。

スーパークリーク

2010-09-10 19:00:33 | 私的名馬
スーパークリーク(ノーアテンション×ナイスデイ-インターメゾ)牡・85生

主:6 結:7 土:4 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:5
合計:36点 クラス:3B 芝:10~15F ダ:9~12F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (6)

 主導は、Hyperion7・4×5の系列クロス。次いで、Nearco6・6×4・6で血統をリードしている。両者の結合は、Chaucerを通じて結合しているものの、決して強固な協力体制にある訳では無く、Hornbeam内に血の流れが集まっているのが見てとれるものの、鮮明に血の集合が判別できないのが惜しまれる点である。

○ 結合   (7)

 主導たる、Hyperionと6代目までに存在するクロスである、Nasrullah~Nearco~Pharos(=Fairway)は、Chaucer~St.Simonを通じて、Dark Ronaldは、Hamptonを通じて、BlandfordはNasrullahを通じて、確実に結合している。かなり強固な状態を形成しているうえ7代目以降のクロスのまとまりも良好。非常に優秀だといえる。

○ 土台   (4)

 St.Simonが22ヶで形成している。数字上はかなり良好だが、父母間のアンバランスさはやはりマイナスで(父方が4ヶしか存在せず、父父Green Dancer内においてはSt.Simonが9代目までに存在しないのは、明らかにバランスが劣悪だと言わざるを得ない)、影響の少ない部分である為に、悪影響は少ないだろうがかなり惜しまれる部分である(Green Dancer内10代目において7ヶ存在するのが非常に惜しまれる)。

○ 弱点   (3)

 父父方、Green Dancer内Spy Songに欠陥を、Ampolaに弱点を生じている。Spy Song内は、9代目においてもクロスが存在せず、Ampola内は9代目Ajaxがかろうじてクロスしている。これはかなり明確な弱点だと言える。影響の少ない部分の為、若干軽微だと考えられるものの高評価を与える事は出来ない。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(1-4-14-15)と圧倒的に母ナイスデイを強調した内容となっている。従って、バランスは非常に悪く、安定感に欠けるタイプだと考えられるが、強調した母方において主導勢力が強い影響を持った事は、幸いだと考えられる。

○ 質[近]  (2)

 父ノーアテンション、母ナイスデイ共に、決して高評価できる血統構成では無いものの、3代目までに並ぶ血統は比較的良好だと考えられる。平均点にはあるか。

○ 質[遠]  (4)

 非常に質の高いHyperionを主導に、同様に質の高いNearcoがサポートと、かなり良好だと考えられる。若干惜しまれるのはNasrullahも強い影響を持った点だが、スピードといった側面から考えると痛し痒しといったところか。底力勝負可能な内容だと言える。

○ スピード (3)

 Nasrullah(Nasrullah内Mumtaz Mahal~The Tetrarchはしっかり生きている)を中核に、隠し味的にGrand Paradeのスピードを補給。若干、物足りなさは残るが、結合のよさを考えると平均点にはあるか。

○ スタミナ (5)

 血統内において影響が強い、Hyperion・Nearcoを中核にした配合。この両者は、もともとスタミナに良さがあるタイプだが、Blenheim~Blandford、Hurry On、Son-in-Law~Dark Ronald~Bay Ronald等によってスタミナをより強化されている。非常に良好だと考えられる。


 総括すると、父ノーアテンションが抱えた世代バランスの悪さを矯正できた内容ではないものの、欧州系のスタミナを存分に生かした配合で、15F克服は可能だと判断した。ただし世代バランスの悪さや、土台構造の曖昧さ、また影響度バランスや弱点・欠陥の存在等決して過信は禁物の血統構成ではあるだろう(ただし、父ノーアテンションの10代目の一部でも目覚めた場合、前述の問題はほぼ解決する。したがって、配合の方向性としては決して間違えた内容ではなく、瞬間的な能力発揮は可能なタイプだと言えるだろうか)。
 しかしながら、これだけ世代バランスが悪い配合ではあるものの、これといった世代ズレを抱えなかったのは驚異的で、結合力の良さも非常に優秀で、ここがスーパークリークの能力の源泉だと考えられる。本来であれば、非常に良質なスタミナの伝え手として後世に遺すべき血統のひとつではなかっただろうか。

 さらば、スーパークリーク。

 主な戦績:1着 - 菊花賞(G1)、天皇賞(秋)(G1)、天皇賞(春)(G1)、京都大賞典(G2)、産經大阪杯(G2)、京都大賞典(G2)
        2着 - 有馬記念(G1)
        3着 - 神戸新聞杯(G2)、きさらぎ賞(G3)

アドマイヤセプター

2010-09-05 21:00:03 | 08年生
アドマイヤセプター(キングカメハメハ×アドマイヤグルーヴ-サンデーサイレンス)牝・08生

主:6 結:5 土:3 弱:6 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:35点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (6)

 主導は若干不明瞭ながら、Hornbeam6×5の系列クロス。次いで、Almahmoud7・7×5・7で血統をリードしている。中間断絶ではあるが、Northern Dancer5・5・7×5も作成された為、かなり不明瞭に見えはするものの、Gainsborough系の流れが血統全体でよく生かされており、その意味においてもHornbeamが主導だと考えられる。惜しむらくは、前述したNorthern Dancerクロスの派生で、全体的に見たときには決して不要とは言い難いものの、シンプルさが失われたのは残念な部分であるだろう。また、HornbeamとAlmahmoudが連合勢力と言える程の、協力体制に無いのも惜しまれる部分である。

○ 結合   (5)

 主導たるHornbeamと、6代目までに存在するクロスである、Lady Angela・Northern DancerはHyperionで、AlmahmoudはGainsboroughで確実に結合している。また、NasrullahはHornbeamに含まれている。しかしながら、Native DancerはNorthern Dancerを通じ間接的に結合をはたしているのが惜しまれる(Native Dancer内ではPhalarisが9代目に存在するものの、Hornbeam内においてはPhalarisが10代目に1ヶしか存在しない為に、直接結合を果たしていないと判断した)。また、7代目以降に存在するクロスも雑多にすぎる為、その部分においても若干のマイナスがあると言える。

○ 土台   (3)

 Gainsboroughが16ヶで形成。若干不満が残るものの、Nearcoが17ヶでそれをサポートしたのは幸いで平均点にはある。父方と母方の土台構造のアンバランスさが惜しまれる。

○ 弱点   (6)

 これといった弱点は存在しない。若干気になるのは母方Pretty Ways内だが、8~9代目において主導勢力と間接的に結合を果たしている、Man o'War・Bull Dog~Teddyが配されているため、さほど大きなマイナスではないだろう。

○ 影響   (3)

 影響度バランスは(5-3-4-6)とかなり安定している。強調されたエアグルーヴ内に主導たるHornbeamが含まれているのもプラス。かなり良好な部類に入ると言える。

○ 質[近]  (2)

 母アドマイヤグルーヴ(3B)、祖母エアグルーヴ(3B)と極めて良好とは言えないが、母方サンデーサイレンス・トニービンなど、代々質の高い血を重ねている点を考慮すると、比較的良好だと言えるだろうか。

○ 質[遠]  (3)

 血統全体で、Hornbeam・Northern Dancerなど質の高い血をクロスさせてはいるものの、Lady Angela・Almahmoudの影響がかなり強くなったのは若干マイナス。

○ スピード (4)

 Almahmoud・Lady Angela・Nasrullahと日本向きの軽いスピードを上手く生かした配合。更に、血統の奥に存在するもののTetratemaが生きたのは明らかにプラス。差し脚に良さがある内容。

○ スタミナ (3)

 主導たるHornbeamが中核の内容だが、他にこれといったスタミナの核を作ることに失敗した配合で、Hornbeam自身もNasrullahの影響により、若干スタミナが減少したと考えられるのは痛し痒しといった所か。


 総合的に見ると、日本向きの軽いスピードに良さがある配合で、Tetratemaの決め手を生かした点も考慮に入れると、平均ペース以下で差し脚を発揮するタイプだと言え、自分で競馬を作ろうとすると、意外と脆さも秘める可能性がある。この手のタイプは牝馬同士ならかなりのポテンシャルを見せる事が多く、Hornbeam主導である点も考慮すると一介の早熟馬ではないだろう。
 また、日本向きとは言えないHornbeamが主導の血統構成だが、Almahmoud・Lady Angela・Nasrullahの影響によって、Hornbeam・Northern Dancerが若干でもスピードに良さが出ているのは幸運だと言えるだろうか(軽いスピードを生かした配合であるものの、日本適性が○では無く、Hornbeamが主導であるものの日本適性を△にせず、最終的に日本適性を□にしたのはここが理由)。
 ただし、前述した通り牝馬同士でなら上位だと言える内容で、親子四代の牝馬GⅠ制覇を見せる可能性は十分に秘めているだろう。連綿と続く血統の魅力を魅せて欲しい。