血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

ローレルゲレイロ(高松宮記念)

2009-07-25 19:55:20 | 2009年GⅠ勝ち馬
ローレルゲレイロ(キングヘイロー×ビッグテンビー-テンビー)牡・04生

主:4 結:3 土:4 弱:2 影:2 質[近]:1 質[遠]:3 SP:3 ST:3
合計:25点 クラス:3C 芝:8~10F ダ:7~9F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:遅め 馬場適性:兼用 重馬場適性:□

 09年・高松宮記念

 ローレルゲレイロは血統の前面でクロスを多用する、キングヘイローらしいと言える配合形態になっている。

 Turn-toを伴う、Hail to Reason4×6。Almahmoud・Nearco・Native Dancer・Hyperionを生かしたNorthern Dancer4×5・6。系列クロスを形成しているBuckpasser5×6。これだけのクロスを前面で多用しているにも関わらず、父内Pago Pago・Barraに弱点を抱え、決して褒められた配合では無い。

 また上記のクロス達は結合こそしているものの、9~10代目で結合を完了している為、決して強固とは言い難い。

 しかし、全く見所がない訳ではなく、主導と目されるHail to Reasonは血の集合力こそ弱いものの、Pharosが22ヶで土台構造を形成し、血統全体を底支えしているのは見てとれる。これが、ローレルゲレイロの能力の源泉だといえるかもしれない。

 ただし、総合的に見ると決して優駿のそれだと回答をするのは躊躇いを感じる血統だと言えるだろう。

マイネルキッツ(天皇賞・春)

2009-07-25 19:03:00 | 2009年GⅠ勝ち馬
マイネルキッツ(チーフベアハート×タカラカンナ-サッカーボーイ)牡・03生

主:6 結:6 土:2 弱:5 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:34点 クラス:2B 芝:8~11F ダ:7~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

 マイネルキッツは血統の前面でクロスを多用した配合で、Bold Rulerを主導とした、父チーフベアハートの良さである、シンプルさやNearco~Pharos系の流れを上手く生かせていない、やや勿体ない配合だと言える。

 その結果、血の流れがかなり不明瞭だと言える血統構成になり、主導としてはNasrullah5・6・6・8×6だと言えるものの、Lady Angela(系列クロス)を伴うNorthern Dancer4×5も中間断絶ではあるものの影響が強い。

 しかしながら、Northern Dancerクロスによって、結合のアシストを受けているのは見てとれる配合形態で、血統全体を眺めると痛し痒しと言ったところだろうか。

 また、血統の奥にあるもののBlenheim・Artist's Proof・Man o'War等の血がスタミナを主導勢力に直接、あるいは間接的に補給しているため、意外とスタミナにも良さがある。但し、本質的には中距離向きの配合だろう。更に軽いスピードには良さがある配合で、国内でなら早期の中距離で強いタイプだと推察される。

 最終的には、父系クロスBold Ruler4※5の影響もある為に(このBold RulerはFair Playの流れからスタミナを補給している)、徐々に距離延長に対する適性をみせるだろうが、決して過信は禁物で、更に言えば理論上はあまり推奨できない配合であるのは間違いないだろう。

アンライバルド(皐月賞)

2009-07-25 19:01:50 | 2009年GⅠ勝ち馬
アンライバルド(ネオユニヴァース×バレークイーン-Sadler's Wells)牡・06生

主:7 結:5 土:2 弱:6 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:4 特:1(主導牝馬クロス)
合計:38+1点 クラス:1A 芝:9~15F ダ:~9~F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 アンライバルドは、Almahmoud5×5を主導にした配合で、サンデーサイレンスを血統内に持つサラブレッドの基本的な血統構成をしている。次いで前面でクロスしている、Hail to Reason4×5によって欧米系統の結合をアシストしているが、若干ぎこちなさは残る。これは、Almahmoudを主導とした配合については全般的に言えることだが、欧米系統の結合をスムーズにするのはやや物足りない主導だとは言えるだろう。

 また、土台構造にも不満が残る配合で、影響度バランスは悪くは無いものの、常に安定感を期待できるタイプでもないと考えられる。

 しかしながら、この配合の最大の魅力はその重厚なスタミナ勢力で、血統の前面にはAlmahmoud・Hail to Reason・Fair Trial・等スピード系統が強いものの、7~8代目においてDonatello・Solarioがしっかりと生きたために、Almahmoud・Hail to Reasonについては、よりスタミナが強化されている。

 また、スピード面においてはTetratema・Nasrullahなど軽いスピードの血を押さえているために、合格点は与えられると考えられる。

 ただし、やはり全体的にはスタミナ優位の血統内容で、強調されたBMS、Sadler's Wellsを全開させた点も相まって、近年では珍しいスピードを兼ね備えたステイヤーだといえるだろう。本質は欧州のような深い芝向きの配合馬で、これからの成長に期待がかかる。

ブエナビスタ(オークス)

2009-07-24 19:06:07 | 2009年GⅠ勝ち馬
ブエナビスタ(スペシャルウィーク×ビワハイジ-Caerleon)牝・06生

主:5 結:5 土:2 弱:5 影:2 質[近]:3 質[遠]:3 SP:4 ST:4
合計:33点 クラス:2B 芝:8~12F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (5)

 主導は、不明瞭ながらTurn-to5×5・6を伴うHail to Reason4×5。このHail to Reasonは、一見強力に血統をリードしているように見えるが、Royal Chargerが断絶した点と、単一クロスでありながらNijinsky4×3が作成された点、Almahmoud5・7×6の系列クロスを作成した点、などを考慮した場合決して高評価できる形態ではない。しかしながら、Hail to Reason・Nijinsky・Almahmoudの三者の連動性は比較的良好なのは幸いで、主導に対しての評価はかろうじて平均レベルにあると言えるだろう。

○ 結合   (5)

 主導たるHail to Reasonと、6代目までに存在するクロスである、Turn-to・NearcoはHail to Reasonに含まれる血統で確実に結合している。また、PharamondはPhalarisで、AlmahmoudはGainsboroughで、StymieはMan o'Warで、NijinskyはNearco・Sir Gallahad(=Bull Dog)を通じて非常に強固に、HyperionはGainsboroughを通じて、それぞれ強固に結合を果たしているものの、PrincequilloはAlmahmoud内White Eagleを通じて間接的に結合を完了している点と、FeolaはHyperion内Son-in-Law~Dark Ronald~Bay Ronaldを通じ間接的に結合している点は明らかにマイナスだと言える(FeolaはBay Ronaldを10代目に配したためにその結合具合は極めて疑問で、実質的に未結合状態と言って差し支えないレベル。この評価は結合を完了していると判断している)。結合の弱い部分は比較的影響が弱い点である事と、Hail to ReasonとNijinskyの結合が極めて強力であるのは幸いだろうか。

○ 土台   (2)

 Pharos(=Fairway)が14ヶで形成。近交馬にしては非常に貧弱で、安定味にかける内容だといえる。しかしながら、Gainsboroughが13ヶでサポートしているのは幸いだと言えるか。ただし、全体的に見るとかなり不満が残る。

○ 弱点   (5)

 近交馬ではあるものの、血統表上において大きな欠陥は存在しない。若干、母母アグサン内Ticinoにおける、8代目Dark Ronaldの結合が弱い点が気にはなるが、さほど大きなマイナスではないだろう。ただし、近交馬としてはやや良いと言った程度。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(10-6-16-4)と決して優れたバランスとは言えないが、強調された部分にHail to Reason・Nijinsky・Almahmoudが配されたのは幸いで、父父サンデーサイレンス、母父Caerleonの生かし方は良く、その意味でも一定の評価はできる。

○ 質[近]  (3)

 母ビワハイジの血統レベルは決して高いとは言い難いが(それでも平均点にはある)、父方スペシャルウィーク~サンデーサイレンス、母方Caerleon~Nijinskyと各父系のラインは質が非常に高い。底力ある血統構成。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるHail to Reasonは決して質が高いとは言い難いが、影響の強いNijinsky、Princequillo~Prince Rose、Hyperion等がそれをサポートしたのは幸いだと言える。主導の質が低いため、極めて良好とは言えないのが惜しまれる点である。

○ スピード (4)

 主導たる、Hail to Reason内Turn-toを中核に、Almahmoud・Pharamond・Menowと日本向きの軽いスピードを生かした配合形態。血統全体を見た場合、やや乱雑にすぎる為常に軽いスピードを見せられるタイプではないだろうが、仕上がった場合相応の破壊力を見せる事は可能だろう。

○ スタミナ (4)

 Hyperion・Princequillo~Prince Rose・Bull Lea(その父Bull DogがPlucky Liege
を伴いスタミナ勢力となっている)を中核にした配合。この底力溢れるスタミナを比較的上手く主導勢力に結合させたのは、ブエナビスタの大きなセールスポイントで、7代目以降においても、スタミナ優位で芝12F克服可能だと判断した。


 総合的に見ると、生かされたスピード・スタミナがかなり良好なだけに、主導の明確性が失われた点が非常に惜しまれる内容で、ちぐはぐな内容だと言える。しかしながら、仕上がった際にはかなりの破壊力を秘めた内容で、底力や成長力にも期待が持てる。牝馬としては非常に重厚で、本来は開花が困難なタイプだと言える。
 それだけに、欧州のような深い芝にも対応できるタイプだと考えられるが、主導の不明瞭さや、結合・土台構造の弱さ、また影響度バランスの悪さなどは明らかにマイナスポイントで、多種のスピード要素を生かしてはいるものの、決して器用なタイプだとも言えない。
 また、この手の配合タイプは全兄弟で能力が異なるタイプが多いと推測される。常に信頼できるタイプでは無いだろうが、それなりに魅力がある内容であるとも言えるか。

ブエナビスタ(桜花賞)

2009-07-24 18:01:00 | 2009年GⅠ勝ち馬
ブエナビスタ(スペシャルウィーク×ビワハイジ-Caerleon)牝・06生

主:5 結:5 土:2 弱:5 影:2 質[近]:3 質[遠]:3 SP:4 ST:4
合計:33点 クラス:2B 芝:8~12F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (5)

 主導は、不明瞭ながらTurn-to5×5・6を伴うHail to Reason4×5。このHail to Reasonは、一見強力に血統をリードしているように見えるが、Royal Chargerが断絶した点と、単一クロスでありながらNijinsky4×3が作成された点、Almahmoud5・7×6の系列クロスを作成した点、などを考慮した場合決して高評価できる形態ではない。しかしながら、Hail to Reason・Nijinsky・Almahmoudの三者の連動性は比較的良好なのは幸いで、主導に対しての評価はかろうじて平均レベルにあると言えるだろう。

○ 結合   (5)

 主導たるHail to Reasonと、6代目までに存在するクロスである、Turn-to・NearcoはHail to Reasonに含まれる血統で確実に結合している。また、PharamondはPhalarisで、AlmahmoudはGainsboroughで、StymieはMan o'Warで、NijinskyはNearco・Sir Gallahad(=Bull Dog)を通じて非常に強固に、HyperionはGainsboroughを通じて、それぞれ強固に結合を果たしているものの、PrincequilloはAlmahmoud内White Eagleを通じて間接的に結合を完了している点と、FeolaはHyperion内Son-in-Law~Dark Ronald~Bay Ronaldを通じ間接的に結合している点は明らかにマイナスだと言える(FeolaはBay Ronaldを10代目に配したためにその結合具合は極めて疑問で、実質的に未結合状態と言って差し支えないレベル。この評価は結合を完了していると判断している)。結合の弱い部分は比較的影響が弱い点である事と、Hail to ReasonとNijinskyの結合が極めて強力であるのは幸いだろうか。

○ 土台   (2)

 Pharos(=Fairway)が14ヶで形成。近交馬にしては非常に貧弱で、安定味にかける内容だといえる。しかしながら、Gainsboroughが13ヶでサポートしているのは幸いだと言えるか。ただし、全体的に見るとかなり不満が残る。

○ 弱点   (5)

 近交馬ではあるものの、血統表上において大きな欠陥は存在しない。若干、母母アグサン内Ticinoにおける、8代目Dark Ronaldの結合が弱い点が気にはなるが、さほど大きなマイナスではないだろう。ただし、近交馬としてはやや良いと言った程度。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(10-6-16-4)と決して優れたバランスとは言えないが、強調された部分にHail to Reason・Nijinsky・Almahmoudが配されたのは幸いで、父父サンデーサイレンス、母父Caerleonの生かし方は良く、その意味でも一定の評価はできる。

○ 質[近]  (3)

 母ビワハイジの血統レベルは決して高いとは言い難いが(それでも平均点にはある)、父方スペシャルウィーク~サンデーサイレンス、母方Caerleon~Nijinskyと各父系のラインは質が非常に高い。底力ある血統構成。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるHail to Reasonは決して質が高いとは言い難いが、影響の強いNijinsky、Princequillo~Prince Rose、Hyperion等がそれをサポートしたのは幸いだと言える。主導の質が低いため、極めて良好とは言えないのが惜しまれる点である。

○ スピード (4)

 主導たる、Hail to Reason内Turn-toを中核に、Almahmoud・Pharamond・Menowと日本向きの軽いスピードを生かした配合形態。血統全体を見た場合、やや乱雑にすぎる為常に軽いスピードを見せられるタイプではないだろうが、仕上がった場合相応の破壊力を見せる事は可能だろう。

○ スタミナ (4)

 Hyperion・Princequillo~Prince Rose・Bull Lea(その父Bull DogがPlucky Liege
を伴いスタミナ勢力となっている)を中核にした配合。この底力溢れるスタミナを比較的上手く主導勢力に結合させたのは、ブエナビスタの大きなセールスポイントで、7代目以降においても、スタミナ優位で芝12F克服可能だと判断した。


 総合的に見ると、生かされたスピード・スタミナがかなり良好なだけに、主導の明確性が失われた点が非常に惜しまれる内容で、ちぐはぐな内容だと言える。しかしながら、仕上がった際にはかなりの破壊力を秘めた内容で、底力や成長力にも期待が持てる。牝馬としては非常に重厚で、本来は開花が困難なタイプだと言える。
 それだけに、欧州のような深い芝にも対応できるタイプだと考えられるが、主導の不明瞭さや、結合・土台構造の弱さ、また影響度バランスの悪さなどは明らかにマイナスポイントで、多種のスピード要素を生かしてはいるものの、決して器用なタイプだとも言えない。
 また、この手の配合タイプは全兄弟で能力が異なるタイプが多いと推測される。常に信頼できるタイプでは無いだろうが、それなりに魅力がある内容であるとも言えるか。