血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

オルフェーヴル(日本ダービー)

2011-06-14 21:00:31 | 2011年GⅠ勝ち馬
オルフェーヴル(ステイゴールド×オリエンタルアート-メジロマックイーン)牡・08生

主:7 結:5 土:4 弱:4 影:2 質[近]:2 質[遠]:2 SP:4 ST:3
合計:33点 クラス:2B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

○ 主導   (7)

 主導は中間断絶ではあるものの、ノーザンテースト4×3。ノーザンテーストは次いで影響が強く系列クロスを形成する、Lady Angela6・7×5・6および、Almahmoud5・7×6を内包し、他に影響の強いクロスが血統前面に存在しないのも幸いし、血統全体を比較的強力にリードしている。

○ 結合   (5)

 主導たる、ノーザンテーストと6代目までに存在するクロスである、Lady Angela~Hyperion、Almahmoud~Mahmoud、Nearcoはノーザンテーストに含まれる血統である為に確実に結合している。また、NasrullahはNearcoを通じて、PharamondはPhalaris・Seleneを通じ結合を完了している。オルフェーヴルは、血統の前面においてノーザンテースト以外に影響の強いクロスを、作成しなかったのは主導面において有効に作用しているが、結合面においても、比較的シンプルな形態を作成できたのは幸いだろう。ただし、7代目以降においての連動性は決して高いとは言えず、近交馬である点も踏まえると、不満が残る内容であることも確かだろう。

○ 土台   (4)

 土台構造は、Gainsboroughが16ヶで形成。単一の土台構造としては平均的なレベルを確保している。更に、Blandfordが17ヶでサポートしている。新しい世代の配合としては中々に強固な内容だと言えるだろう。

○ 弱点   (4)

 母方Victoria Park・Bronze Babu内に弱点を派生させている。しかし、前者は9代目においてSir Gallahadが、後者も同じく9代目にBlandford~Swynfordが配されている為に、さほどの弱点だとは言えないだろう。決して劣悪なレベルではないものの、近親度が高いのはやはりマイナスではあるだろうか。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(4-4-0-8)と母母エレクトロアートを強調している。父母のバランスは(8-8)と悪くはないものの、母父であるメジロマックイーンの影響度が0となったのが非常に惜しまれる。できることならば、質の高いサンデーサイレンス・ゴールデンサッシュ・メジロマックイーンを強調したいところだった。

○ 質[近]  (2)

 父母の血の質は決して高いとは言えないが、2代目に並ぶサンデーサイレンス・ゴールデンサッシュ・メジロマックイーンは非常に質が高い血統構成をしている。ただし、ノーザンテーストや、ダイナサッシュ等バランスを崩した配合も並び、総合的には平均的だと言えるだろうか。

○ 質[遠]  (2)

 主導たるノーザンテーストは決して質の高い配合とは言い難い。また、影響の強いLady Angela・Almahmoudも決して質が高いとは言えない。底力勝負には決して向かないタイプだと言えるだろう。

○ スピード (4)

 主導たるノーザンテーストは軽い短距離向きのスピードを再現するが、次いで影響の強いLady Angela・Almahmoudも軽いスピードをノーザンテーストへと補給している。更に、Nasrullahや8~9代目になるものの、Tetratemaが決め手を加えている。日本向きのスピードを良く再現しているだろう。

○ スタミナ (3)

 これといったスタミナの核を作れなかった配合だと言える。したがって距離延長は本質的には不利な血統構成をしている。芝12F以上の克服には展開の助けが必要だろう。しかしながら、7代目以降において、Donatello・Sir Gallahad(=Bull Dog・Noor Jahan)が前面のスピードを底支えしているのを見ることが出来、Lady Angelaの影響が強いものの、Hyperionが9連とスピード・スタミナ両面においてアシストしているのは幸いで、意外と長く脚を使えるタイプになり得る。


 総合的に見ると、決してバランスの良い血統構成だとは言い難いが、主導たるノーザンテーストへの血の集合力は非常に良好で、Gainsborough系の血の流れはかなりの迫力があると考えられる。スピード面で前述したように、Tetratemaの決め手や、9連あるHyperionは非常に魅力的で、差し脚に良さがあるタイプであるという事が血統構成からも見てとる事ができる。
 ただし、前述したようにバランスが良いとは言えず、スタミナの核を持たなかった点も惜しまれる点で、あくまでもジャパンスペシャルなスピード馬だと言えるだろう。

エリンコート(オークス)

2011-06-14 20:59:30 | 2011年GⅠ勝ち馬
エリンコート(デュランダル×エリンバード-Bluebird)牝・08生

主:6 結:5 土:3 弱:3 影:2 質[近]:1 質[遠]:2 SP:4 ST:3
合計:29点 クラス:1B 芝:6~9F ダ:5~8F
日本適性:○ 成長力:△ 成長型:普通 馬場適性:兼用 重馬場適性:◎

○ 主導   (6)

 主導は、中間断絶ではあるもののNorthern Dancer4×4。このNorthern Dancer内においてAlmahmoudとLady Angelaを並列させ、血統を比較的強力にリードしている。ただし本馬の場合、Hyperion・Nasrullah~Nearco・Turn-toと5~6代目にクロスさせた為に、その明確性は乱れていると考えられる。しかしながら、最終的にNorthern Dancerへと血の流れが見られるのは幸いか。

○ 結合   (5)

 主導たるNorthern Dancerと、6代目までに存在するクロスである、Almahmoud~Mahmoud・Lady Angela~Hyperion・Nearco・Native Dancer・Pharamond(=Sickle)は、Northern Dancerに含まれる血統のため確実に結合している。また、Turn-to~Source Sucree・NasrullahはNearcoで、Tom FoolはPharamond(=Sickle)を通じて、Banish FearはSpearmintでそれぞれ直接結合を果たしている。ただし、Chop ChopはTom Fool内Sir Gallahad(=Bull Dog)を経由して間接的に結合を果たしているのは惜しまれる点であるが、総合的にみると比較的優秀だと考えてよいだろう。

○ 土台   (3)

 土台構造を形成するのは、Gainsboroughが17ヶで、やや良いといったレベルを確保はしている。強力なサポートを得られなかったのは、やや残念か。

○ 弱点   (3)

 母方Home By Darkに弱点が存在する。ノーザンテースト内の欠陥は補正されている為に非常にもったいない配合だと考えられる。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(8-13-10-3)とサワヤカプリンセスを強調している。同じく主導勢力を含むBluebirdも強調されているのは良いが、出来ることならば比較的質も高く、その生かし方もよいBluebirdを強調したいところだった。平均点にはあるか。

○ 質[近]  (1)

 近い世代の血の質はあまり高いとは言い難い。底力勝負には向かない血統構成。

○ 質[遠]  (2)

 クロス馬の質は良好とは言い難い。主導たるNorthern Dancerは比較的良好だと考えられるが、実質的に血統をリードするAlmahmoudとLady Angelaは決して良好だとは言えない。前述の質[近]とあわせ底力勝負には向かないと考えられる。

○ スピード (4)

 血統全体においてスピード色が強く、AlmahmoudとLady Angelaを中核に、Pharamond(=Sickle)・Turn-toがアシストしているのが見てとれる。開花した場合、器用な競馬をするタイプに育つ可能性が高い。

○ スタミナ (3)

 これといったスタミナの核を作る事に失敗した配合。かろうじて、Tom Fool・Chop Chopが、そのクロスの内容から、スタミナ勢力として機能する可能性はあるか。


 総合的にみると、決してシンプルではないものの、血統内のスピードをかなり引き出した内容だということは見て取ることができる。また、ノーザンテースト・Bluebirdの生かし方はよく芝・ダート兼用で重馬場は得意なタイプだと考えられる。また、好調期にはそのスピードを生かし強い競馬を見せる事ができる可能性は秘める。しかしながら、これといったスタミナの核を作る事はできず、オークスを制してはいるが、本質的に距離延長は苦手とするタイプで、短距離~マイルに適性があると考えられる。

アパパネ(ヴィクトリアマイル)

2011-05-17 22:34:35 | 2011年GⅠ勝ち馬
アパパネ(キングカメハメハ×ソルティビッド-Salt Lake)牝・07生

主:5 結:4 土:3 弱:5 影:3 質[近]:1 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:30点 クラス:2B 芝:6~9F ダ:5~8F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:□

 アパパネは血統の前面で、Northern Dancer5・5・7×5及び、Nantallah7×6~Nasrullah6・7・8・8×6・7を形成した配合形態。このことから解るように、主導としては非常に不明瞭な配合形態で、実質的に評価項目からは削除しているものの、その位置も決して褒める事は出来ない。

 更に、Northern Dancer及び、Nantallah~Nasrullahの結合は、自身の土台構造を形成する、Nearco~Pharos(=Fairway)によって強固になされているものの、Count Fleetは10代目The Tetrarchで、Case Aceは10代目までに結合を完了できていない。実質的な異系交配であるものの、やはりこの結合力の弱さはひっかかる部分である。

 しかしながら、Northern DancerやMr.Prospector内のスピードの生かし方はなかなかきめ細かく、国内向きのマイラーとしては見るべき点もある。

 配合形態としては安易な内容だといえるだろうが(前面にNorthern Dancerクロスを作り生かし方が中途半端)、欧米系のスピードを再現できたのは幸運だと言えるだろうか。

グランプリボス(NHKマイルC)

2011-05-17 22:32:23 | 2011年GⅠ勝ち馬
グランプリボス(サクラバクシンオー×ロージーミスト-サンデーサイレンス)牡・08生

主:5 結:6 土:3 弱:5 影:3 質[近]:1 質[遠]:3 SP:4 ST:4
合計:34点 クラス:3B 芝:6~10F ダ:6~8F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (5)

 主導は、Nasrullah5・6×5の系列クロス。この主導は血統の2ブロックにしか存在しないが、4ブロック全てにおいて、その父Nearcoを散在させ強力に血統をリードしている。しかしながらグランプリボスの血統においては、Almahmoud6×5、Hyperion5・6・7×7・8・8も系列クロスを作成したため、その主導が不明瞭となっている。したがって、決して高評価できる状態にはない。ただし、この三者の結合がしっかりと強固になされているのは幸いだろうか。

○ 結合   (6)

 主導たるNasrullahと、6代目までに存在するクロスである、Nearco・Mumtaz BegumはNasrullahに含まれるために確実に結合している。またHyperionはChaucerによって、AlmahmoudはBlenheim・Mumtaz Mahalで、Bull LeaはSpearmintで、LavendulaはPharos・Swynfordで、Sickle(=Pharamond)はPhalarisで、Big GameはBlandfordでそれぞれ主導に直接結合している。Discoveryは、直接結合を果たしていないものの、Almahmoud内Fair Playを通じてNasrullahと結合を果たしている。この結合力はかなりのレベルで、非常に強固だと考えることができる。

○ 土台   (3)

 土台構造は、Pharos(=Fairway)が14ヶともの足りないが、Blandfordが13ヶでアシストしたのは幸いで、平均点にはあるか。

○ 弱点   (5)

 特に大きな弱点や欠陥は存在しない。ノーザンテーストを血統内に含む配合馬において最大の問題点であるVictoria Parkであるが、当馬の場合Buchan・Sir Gallahadをクロスさせ主導と連動させた為に、ひとまず補正されている。全体的に優秀だと考えてよいだろう。

○ 影響   (3)

 影響度バランスは、(10-6-4-5)と父サクラユタカオーを強調。Hyperionが強い影響を持ちながらノーザンテーストの影響を最低限に抑えた点は妙味がある。良好だと言えるだろう。

○ 質[近]  (1)

 近い世代の血の質は全体的に高いとは言い難い。サンデーサイレンスの影響が一番低い点も惜しまれる。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるNasrullahやAlmahmoudは決して質の高い配合だとは言い難いが、Hyperionも強い影響をもてたのは幸いか(血量的には最も多数)。ただし、平均かやや低いレベルだと考えられ、底力勝負にはむかないタイプだろうか。

○ スピード (4)

 主導たる、Nasrullahを中核に(クロスこそしないものの3/4同血のRoyal Chargerと呼応したために、Nasrullahは最大限にスピードが引き出されている)、Almahmoudのスピードを補給した配合。また、Lady Angelaの父系クロスが目覚めた場合、更にスピードに良さがでるタイプで、あくまでも国内の軽い芝向きのスピードではあるものの優秀な内容。

○ スタミナ (4)

 Plucky Liegeを伴うBull LeaとBig Gameを中核にした配合。決して長距離向きの血統構成ではないが、粘り強い末脚を出せるタイプで、芝10Fまでなら何とか対応可能か。


 総合的にみると、あくまでもジャパンスペシャルな血統構成ではあるものの、生かされたスピード・スタミナはなかなかに強靭で、父とは流れが若干異なるものの、迫力がある血統構成ではある。ただし、血統を構成する血の質はいまひとつ高くなく、本当の意味においての底力勝負には不向きだと考えられる。また、世代の新しい母に対して、父の世代がやや古いために、土台構造が若干散漫でこの部分から安定感や距離延長に対しての適性はあまり高いとは考えづらい。
 それでも貴重なテスコボーイ直系の後継者としての活躍をこれからも期待したい。また、それに応えられるだけの資質は有すると考えられる。

フリオーソ(かしわ記念)

2011-05-10 17:07:00 | 2011年GⅠ勝ち馬
フリオーソ(ブライアンズタイム×ファーザ-Mr.Prospector)牡・04生

主:7 結:6 土:3 弱:6 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:4
合計:37点 クラス:3B 芝:9~12F ダ:8~11F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

 フラッテローザ全兄

 フリオーソの血統において前面でクロスしているのは、Hail to Reason3×5及びNashua4×4になっている。前者は途中2世代断絶する単一クロスの為、主導はNashua4×4の系列クロス。その父Nasrullahを3ブロックに配し、フリオーソの血統を強力にリードしている。但し、父母Kelley's Day内にはNashua~Nasrullahが存在せず、Romanの影響が強い為、総合的にはやや良いといった程度になった。

 また、結合面においてはHail to Reasonの単一クロスを有効に作用させ、また主導たるNashuaがSir Gallahad(=Bull Dog)を内包する為、Romanの流れも上手く結合させている。残念なのはHyperionの系列の結合がやや弱く、主導内においては、9代目Chaucerで結合が終わる点であるが、総合的には強固な部類に入るだろう。

 生かされた血の質は全体的に高く、そのスピード・スタミナを上手く主導に結合させた点が最大の長所で、重厚で国内の芝ではキレ負けする可能性が大。

 本質的には、米血の比率が高いうえRoman~Sir Gallahad(=Bull Dog)の影響が強い為ダート向きだとは言えるが、鍛錬を積めば芝対応も可能な血統構成。ただし、スピードにはやや欠けるきらいがある為に、結果的にダートを主戦場とする可能性は高い。

 長い眼で鍛えて欲しい、好素質の配合。