血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

2019年 新種牡馬考察

2019-02-05 18:24:27 | 種牡馬考察
 今回の血統徒然草は、2019年に産駒をデビューさせる新種牡馬について簡単に考察を行いたいと思います。またその産駒の中で面白いと個人的に思える産駒を紹介したいと思います(注目の産駒は血統評価が優秀という基準ではありません。どちらかと言えば血の生かし方が面白いと個人的に思った配合です。また、関係者の方々への、それら産駒に対する問い合わせ等絶対になさらないようお願い申し上げます)。
 ※後日、数頭追加する予定です。

キズナ(ディープインパクト×キャットクイル by Storm Cat)牡・10生

Ⅰ 主:6 結:8 土:4 弱:2 影:2 集:4 質:3 再:5 SP:4 ST:4 特:0
合計:(43/60)点 クラス:1A
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I ◎ C 〇 L 〇
ダ:S × M △ I 〇 C □ L □
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:△ 成長型:普通

 主な勝ち鞍:2013年 日本ダービー(G1) ニエル賞(G2) 京都新聞杯(G2) 2014年 産経大阪杯(G2)

 主導は、Northern Dancer5×4の中間断絶を呼び水にした、Almahmoud5×6・7及びDonatello6×5の系列クロス。実質的にNorthern Dancer主導。父内ウインドインハーヘアと、母内パシフィカスが呼応し、質の高いスタミナを確保。また母内Northern Dancerが4代目に位置した為、主導と親和性の高い、Aurora~Hyperion、Donatelloだけではなく、Somethingroyal~Princequilloが直接結合した為に、スタミナに良さがある配合で、本質的には芝向きの中~長距離タイプ。また、主導としての明確性はやや不満が残るものの、全体の結合が非常に良好で、安定感のある血統構成。
 アトランダムな配合において想定される産駒の特徴は、芝向きもダート向きの産駒も出すものの、スピードに劣る産駒が多くなると想定され、結果的にダートを使われる産駒が多数になると考えられる。父は重厚なスタミナに良さがある配合だが、産駒の血統においても、自身のスタミナ要素を再現する、Aurora~Hyperion、DonatelloやSomethingroyal~Princequilloは、国内では比較的メジャーな血である為、父同様にスタミナ型が多くなると考えられる。反面、父父であるサンデーサイレンスの世代が後退した為に、そのスピードの再現は比較的容易でも、前面で強い影響を持たせる事は難しく、母内Storm CatやSecretariatの影響を強くすると、ダート向きの産駒を輩出すると考えられる。スピードに良さを出しつつ、父を再現するのであれば、Northern Dancerを主導に据え、それを母方Natalmaからの系列クロスにするのが最も現実的であるとは言える。また、父の傾向をややはずすものの、Haloをクロスさせ血を集合させた場合も、スピードに良さは出せるが、開花率や成長力にはやや不満が残る可能性が生じやすい点を指摘しておきたい。

産駒において、おさえておきたいキーホースは以下の通りです(これらすべてをおさえれば優駿と判断するものでもありません)。
スピード系:Almahmoud、Pharamond=Sickle、Nasrullah~Nearco、Turn-to
バランス系:Northern Dancer
スタミナ系:Crepello~Doatello(Clarissimus)、Acropolis~Aurora~Hyperion、Djebel~Tourbillon、Princequillo(Papayrus)、Lavendula
その他:Hail to Reason(結合のアシストとして)、Bull Lea~Bull Dog(=Sir Gallahad)~Teddy(Plucky Liege)、Man o’War~Fair Play、Blue Larkspur

〇注目の産駒
 プリティメイズの17
 主導はNorthern Dancerの系列クロス。Bold Ruler~Nasurullah、Turn-toからスピードを、Acropolis=Alycidonの系列クロスからスタミナを補給。全体的にはスタミナ優位の血統で、Man o’WarやBlue Larkspur等の米系や、Djebel~Tourbillon等の仏系との主導勢力との結合の弱さは残るものの、PocahontasがTeddy系の結合をアシストする等、かなり良くできている血統構成。本質は、晩成型の芝向きの中~長距離タイプ。開花には相当の鍛錬と時間が必要なタイプの血統構成だが、父母の再現は良好。血統構成的に父キズナの一般的な産駒とは言い難いが、父を超える可能性を秘める(アライ・グマ様ありがとうございます)。


エピファネイア(シンボリクリスエス×シーザリオ by スペシャルウィーク)牡・10生

Ⅰ 主:8 結:6 土:3 弱:2 影:2 集:5 質:3 再:4 SP:4 ST:3 特:0
合計:(40/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□ 
Ⅲ 距離適性
芝:S × M 〇 I 〇 C □ L △
ダ:S × M □ I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:普通 成長型:早め

 主な勝ち鞍:2012年 R-NIKKEI杯2歳S(G3) 2013年 菊花賞(G1) 神戸新聞杯(G1) 2014年 ジャパンカップ(G1)

 主導は、Hail to Reason4・7×5・6の系列クロス。父母内は位置の関係で動き出しが遅いものの、血統の4ブロックに存在し全体を強力にリードしている。反面、結合力は全体としては悪くは無いものの、父方6代目Gold Bridgeが完全に離反した点は無視できず、ここが当馬の血統構成を考える上で限界点となるだろうか。しかしながら、世代ズレを抱えたバランスの悪い配合であった、父シンボリクリスエスの配合として、その補正に成功したのは大きなセールスポイントで、国内向きのスピードは、母の主導であるAlmahmoudこそ欠落するものの、総合的には非常に豊かな配合で、自在性のあるマイル~中距離タイプだと言えるだろう。
 アトランダムな配合において想定される産駒の特徴は、自身がHail to Reasonの系列クロスを主導とした配合で、その継続はHalo~サンデーサイレンス及び、Roberto~ブライアンズタイムが浸透した国内においては比較的たやすい為、産駒は総じて開花が早いタイプが多いと考えられる。また、自身のスピード・スタミナを形成した血も、それら主導候補と相性が良く、自身の能力再現は比較的たやすい。主導によって大きく変わるが、芝向きもダート向きもだす可能性を秘める(Halo~サンデーサイレンス強調なら芝向きの、Roberto強調ならダート向きになる可能性が高い。ただし、Sadler’s Wells(Nijinsky)~Northern Dancerを強調した場合は、スピードに不安が残り開花も遅くなると想定される)。また、サンデーサイレンスクロスを用いた場合や、その部分を強調した場合のサンデーサイレンスの母方にほぼ弱点を生じる為、上位レベルの産駒を望むのであれば、この部分にも注意は必要である。

産駒において、おさえておきたいキーホースは以下の通りです(これらすべてをおさえれば優駿と判断するものでもありません)。
スピード系:Turn-to~Royal Charger、Nasrullah~Nearco、Mumtaz Begum~Mumtaz Mahal、Tom Fool~Menow、Occupy、Almahmoud
バランス系:Hail to Reason、Blue Eyed Momo~War Admiral
スタミナ系:Bull Lea~Bull Dog(=Sir Gallahad)~Teddy(Plucky Liege~Speamint)、Princequillo(Papyrus~Tracery)
  その他:Northern Dancer(結合のアシストとして)、Pretty Ways等Wishing Well内のクロス(サンデーサイレンス内の弱点を補正する為。)

〇注目の産駒
 ブロードピークの17
 主導は父母の傾向を引き継ぎ、サンデーサイレンス4×3の中間断絶を呼び水にしたHail to Reason5・6・7・8×5・6の系列クロス。次いで、Sir Gaylord6×7。この両者は血統全体で10連存在する、その父Turn-toによって非常に強固に結合し、父内では世代ズレをおこしていた、Princequilloを補正し、その母SomethingroyalからSir Gaylordが取り込んだのは妙味がある。また、土台構造からくる血の流れも、Pharos(=Fairway)16連、Bull Dog(=Sir Gallahad)17連と、なかなか強固なレベルだと言えるだろうか。惜しむらくは、実際に強調されたサンデーサイレンス内の血の流れ(Mahmoud主導)がやや弱い点と、前述した父内サンデーサイレンスの弱点が補正できなかった点か。サンデーサイレンスクロスの実績はこれからあらわになっていくが(アシストや生かした血の内容、またはクロスの形態にもよるが、芝向きの中距離型が基本だと考えられる。切れ味というより持続するタイプのスピード・スタミナを再現すると予測)、当馬の血統から見た場合においては、ひとまず有効に機能していると言える。本質は、マイル~中距離向きの芝・ダート兼用タイプ。


フェノーメノ(ステイゴールド×ディラローシェ by デインヒル)牡・09生

Ⅰ 主:6 結:7 土:4 弱:3 影:3 集:5 質:3 再:4 SP:4 ST:3 特:
合計:(42/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C 〇 L □
ダ:S × M □ I □ C □ L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:□ 成長型:〇

主な勝ち鞍:2012年 青葉賞(G2) セントライト記念(G2) 2013年 天皇賞・春(G1) 日経賞(G2) 2014年 天皇賞・春(G1)

 主導は、Northern Dancer5×4の系列クロス。このNorthern DancerクロスはBMSデインヒルと呼応してのもので、Natalmaがクロスし、Bay Ronald系の血の流れが強い当馬の血統構成をリードしている。しかしながら、当馬の血統構成上、主導勢力が2ブロックにしか存在しないのは惜しまれる点で、また母母内Nearcoの影響が強すぎるのも、主導の明確性という観点からはマイナスだと考えられる。反面、血統全体の結合力は比較的強固で、6代目までに存在するクロスは全て主導へと直接結合し、7代目以降のクロスも比較的連動性が高い。さらに血統を底支えする土台構造は強固で、そこからくる血の流れも良好で安定感のある血統構成。本質的には、芝向きの中距離タイプ。
 アトランダムな配合において想定される産駒の特徴は、自身がNorthern Dancerの系列クロスを主導とした配合である為、その再現はかなりたやすいと言える。また、Northern Dancerを二連しか持っていない為、位置に気を付ける必要はあるが、父同様にシンプルな配合になりやすく、産駒の開花自体は早いタイプだと考えられる。父自身は、天皇賞・春を二連覇しているものの、母が持つRibotを欠落させた為に、そのイメージ程にスタミナ優位という訳では無く、産駒にもその傾向があると考えられる。また、Northern Dancerを引き続き主導とした場合に、血統全体の結合がかなり弱くなる為、Hail to Reasonクロスを作成し、結合のアシストをする事は産駒にとっては有用だと言える。主導候補として、ノーザンテースト、Danzigとなる確率が高いと考えられ、その意味でも産駒の適性は芝向きのマイル~中距離タイプが基本型だと言えるだろうか。母内RibotやCourt Martial(Hurry On)を再現した少数の産駒が中~長距離への適性を秘める。

産駒において、おさえておきたいキーホースは以下の通りです(これらすべてをおさえれば優駿と判断するものでもありません)。
スピード系:Turn-to~Royal Charger、Mumtaz Begum~Mumtaz Mahal、Natalma~Almahmoud~Mahmoud、Pharamond、ノーザンテースト(Danzig)~Lady Angela
バランス系:Northern Dancer
スタミナ系:Bull Lea~Bull Dog(=Sir Gallahad)~Teddy(Plucky Liege~Speamint)、Ribot、Court Martial(Hurry On)
  その他:Hail to Reason(結合のアシストとして)

〇注目の産駒
 オリオンオンサイトの17
 主導は、父母の傾向を引き継ぎDanzig4×4の系列クロス。母であるオリオンオンサイトは、その父グラスワンダー産駒として非常に良くできた配合でスタミナ優位のステイヤー(特に、祖母内に存在するフィディオンの生かし方は、その代表産駒であるメジロデュレンを彷彿とさせる)。この両者の交配では、父に不足したスタミナを、Hurry Onを生かしたCourt MartialやHis Majesty~Ribotのクロスで補い(Ribot内の生かし方は弱いものの、その仔His Majestyの母系に存在するHyperion・Beau Pere~Son-in-Lawで補強できている)、母に不足したスピードを、Natalma~AlmahamoudやNasrullahで補っている。また、Hail to Reasonの単一クロスによって、米系の結合アシストをする形態で、血の濃さは残るものの両者の相性は良好。また、きめ細かく血を生かした配合で、特殊な仏系であるTorando~Tourbillon~Ksarをしっかりと抑えたのは好感が持てる。惜しむらくは、全体の結合だけでなく前述した仏系を含む7代目以降の血の結合が弱い点で、スタミナ優位の血統構成である事も相まって、開花には時間がかかると予測される点か。本質は、父のイメージ通り芝の中~長距離で真価を問いたい血統構成だと言える。ダートはこなせる程度。蛇足だがフェノーメノ×グラスワンダーは完璧では無いものの、かなり相性が良い事は指摘しておきたい。


リアルインパクト(ディープインパクト×トキオリアリティ― by Meadowlake)牡・08生

Ⅰ 主:5 結:5 土:3 弱:2 影:2 集:5 質:3 再:3 SP:4 ST:3 特:0
合計:(35/60)点 クラス:2B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S □ M □ I △ C × L ×
ダ:S 〇 M 〇 I △ C × L ×
芝適性:□ ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:△ 成長型:早め

主な勝ち鞍:2011年 マイルCS(G1) 2013年 阪神カップ(G2) 2014年 阪神カップ(G2) 2015年 ジョージライダーステークス(G1)

 主導は、非常にわかりにくいがMahmoud6・7・8・8×7の系列クロス。次いで、Pharamond(=Sickle)6・8・8×8。この両者で父父サンデーサイレンスのスピードを再現したのは見て取ることができる。この配合の最大の見どころは、Nothirdchance5×5の中間断絶が、Blur Larkspur・Sir Gallahad・Man o’Warなどの米系を内包し、スタミナの核となると共に、9代目に存在するSwynfordを通じ、主導たるMahmoudへと結合し能力参加できた点にある。また、血統全体として世代の問題を抱えてはいるものの軽微で、大きな欠陥が無いのは幸運。本質的にはマイル前後のダート向きと考えられるが、生きたスピードの血を考えると、芝対応への可能性は秘めていると言える。
 アトランダムな配合において想定される産駒の特徴は、自身の配合が米系主体となっている為に、自身やその父ディープインパクトのイメージと異なり、芝向きのタイプを出す可能性はかなり低い。反面、強い影響を出すほどにメジャーだとは言えない、Nothirdchance内米系の血を再現しHail to Reasonの傘下におさめる事が自動的に出来るのは、種牡馬としては大きなセールスポイントだと考えられる。また、自身は父内の主要な血である、Almahmoud~MahmoudやHyperionの生かし方が弱いものの、国内においては非常にメジャーな血で、産駒の血統においては、この血の取り込みは必須だと言え、その為にNorthern Dancerのクロスを使うのは産駒においては有用だと考えられる(ただし、主導に据えるのは避けたい)。自身を再現する為に有用な主導候補はNothirdchanceを伴うHail to Reasonが第一候補かと考えられるが、母内に存在するRaise a Nativeに着目し、そのスピードを再現しつつ主導候補とする事も考えられるか。産駒の大部分はダートのマイル前後に向くタイプが多いと考えられるが、Lypardを活用する事で芝向きの産駒を出す可能性を残していることは指摘しておきたい。

産駒において、おさえておきたいキーホースは以下の通りです(これらすべてをおさえれば優駿と判断するものでもありません)。
スピード系:Almahmoud~Mahmoud、Pharamond(=Sickle)、Nasrullah~(Mumtaz Begum~Mumtaz Mahal)~Nearco
バランス系:Native Dancer、Blur Larkspur、Man o’War
スタミナ系:Princequillo(Papyrus~Trecery)、Sir Gallahad~Teddy(Plucky Liege)
  その他:Hail to Reason~Nothirdchance(結合のアシスト、主導候補として)、Northern Dancer(結合のアシストとして)

〇注目の産駒
 スーヴェニアギフトの17
 主導は父母の傾向とは異なるものの、Raise a Native5×4の系列クロス。次いで、Tur-to・Nothirdchanceを伴うHail to Reason。父母に強い、米系を主導勢力へとしっかりと結合し、Hyperion等の欧州系のクロスもNorthern Dancerの中間断絶を通じ能力形成に参加しているのが見て取れる。また、本来結合しにくいCount Fleetだが、Prince Johnが系列クロスを形成した為、そのスピードを間接的に主導へと補給。さらに、きめ細かくクロスを作成した配合でDjebel(Torando)~Tourbillon~Ksarとクロスさせ、Gay CrusaderからPrince Johnを通じてそのスタミナを主導へと結合させたのは非常に妙味がある。本質的には、やや晩成型のダート向きのマイル~中距離タイプだと考えられる。血統構成は秀逸。



マジェスティックウォリアー(A.P.Indy×Dream Supreme by Seeking the Gold)牡・05生

Ⅰ 主:7 結:7 土:2 弱:1 影:1 集:7 質:4 再:5 SP:4 ST:4 特:0
合計:(42/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:△ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M × I △ C × L ×
ダ:S △ M 〇 I 〇 C □ L △
芝適性:△ ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:△ 成長型:早め

主な勝ち鞍:2007年 ホープフルステークス(G1)

 主導は、Secretariat3×4の系列クロス。その父Bold RulerからPolymelusまで連続でクロスし、またその母SomethingroyalがPrincequilloを伴い、父系・母系共に強い影響を示している。またSecretariat内部のDiscovery・Fair PlayやPomrey~Sun Briar~Sundridgeをしっかりと生かし、父母共に強い米系をしっかりと取り込むと共に、スピードを補給しているのを見て取ることができる。また、次いで影響の強いBuckpasserの中間断絶が、スタミナを補給するとともに、War AdmiralやBusinesslikeが系列クロスを形成し、結合の肝となっているのが見て取れる。この両者で名牝Weekend Surpriseに血を集合させたのが最大の長所で、スタミナタイプの配合でありながら早期の活躍ができた要因だと考えられる。反面、Hyperionをはじめとした欧州系の血がことごとく欠落したのも当馬の血統的特異性であり、血の濃さとバランスの悪さも相まって(影響度バランス 6-23-7-10)、潜在的な成長力は秘めていると想定されるものの、突然の不調や故障に注意が必要な血統構成だとも言えるだろう。
 アトランダムな配合において想定される産駒の特徴は、国内でも比較的浸透しているBold Rulerを継続的に利用しつつ、自身に強い米系をBuckpasserクロスによってまとめる事が比較的たやすいとは言える。また、Mr.Prospector内の血の生かし方は悪くなく、この血を利用するのも一つの手であるだろうか。前面で強い影響を持ちやすい血がSecretariat・Buckpasser・Mr.Prospecter程度で、産駒の血統が比較的シンプルになりやすいのも指摘しておきたい。また、自身が切り捨てた欧州系のHyperionやMahmoud等は国内で非常にメジャーな血である為に、産駒においてはクロスするのがほぼ確実だが、これらの血を纏める為にNorthern Dancerのクロスは有用。ただし、自身の血統構成から見て強い影響を持たせるのは避けたい。以上の様な理由から、産駒の大多数はダートの中距離タイプだと考えられる。芝対応可能な産駒を望むのはかなり難しいだろう。ある意味、国内でなかなか見られない個性的な種牡馬である。

 産駒において、おさえておきたいキーホースは以下の通りです(これらすべてをおさえれば優駿と判断するものでもありません)。
スピード系:Bold Ruler~Nsurullah、Tom Fool~Menow
バランス系:Native Dancer、Blur Larkspur、War Admiral~Man o’War
スタミナ系:Somethingroyal~Princequillo、Sir Gallahad~Teddy(Plucky Liege)、Buckpasser
  その他:Northern Dancer(結合のアシストとして)、Secretariat(主導候補として)

〇注目の産駒
 ウエスタンダンサーの17
 主導は、父の傾向を引き継ぎSecretariat4・5×4の系列クロス。Northern Dancerの中間断絶で結合をアシスト。4代目に存在するSecretariatでは、結合が弱くなりがちなTeddy系をHail to ReasonやTom Foolのアシストもあり、比較的強固に結合が果たされたのは幸運。また、結合こそ果たされていないものの、My Babuが7代目から系列クロスを形成するなど、欧米系が入り混じる血統でありながら、意外ときめ細かい血統とも言えるか。血の集合は父父であるA.P Indyにはかられており、好調期には強い競馬を見せる可能性は秘める。惜しむらくは、母方において弱点を存在させている点で、安定性には欠ける可能性を否定できない点と、デヒア内にも存在する弱点よりも、母母内Colorspinが完全に離反した事が、能力の限界を招くか。本質はダート単距離タイプで、芝適性には欠ける。


エスケンデレヤ(Giant’s Causeway×Aldebaran Light by Seattle Slew)牡・07生

Ⅰ 主:5 結:7 土:3 弱:3 影:2 集:3 質:3 再:6 SP:4 ST:3 特:0
合計:(39/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S △ M □ I △ C × L ×
ダ:S □ M 〇 I □ C × L ×
芝適性:△ ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:〇 成長型:普通

主な勝ち鞍:2010年 ウッドメモリアルS(G1) ファウンテンオブユースS(G2)

 主導はやや不明瞭だが、Bold Ruler5・6×5の系列クロス。次いで、Cosmah6×5の系列クロス。また、Polynesianを伴うNative Dancer6×5・6の影響もかなり強い。また、これら三者の血の流れが異なる上に、特定の部分への集合が図られていない為、これらを連合勢力とは認めがたく、主導としては不明瞭だと言える。しかしながら、この三者の結合は比較的強固に行われ、最前面で配された、Northern DancerやHail to Rasonが結合のアシストを行いつつ、主導勢力と連動している。また、PrincequilloがPapyrus~Treceryとクロスし、Northern Dancerの中間断絶を通じて連動したのは、非常に妙味がある。この連動性が、競走馬エスケンデレヤの能力形成に大きな寄与を果たしていると言って良い。血の集合は前述の通り散漫なものの、父母の傾向をほぼ引き継いだ為、開花率は比較的高く、開花速度も比較的早いと予測される。全体的には米系の影響が強く、本質的にはダートマイル前後向きの血統構成だと言える。
 アトランダムな配合において想定される産駒の特徴は、国内でも比較的浸透しているBold Ruler・Hail to Reason・Northern Dancerが引き続きクロスし前面で影響を持つ配合が基本だと考えられるが、一番可能性が高いのは自身が5代目にHaloを抱え、その母Cosmahから系列クロスを作成している為、サンデーサイレンス由来のHalo主導が多数派となると予測される。その意味でサンデーサイレンスの血とは相性が良いものの、BMSにサンデーサイレンスを配した場合Haloが6×3と世代ズレを起こす点には注意が必要(ただし、その場合でもサンデーサイレンスのスピードを再現する事はでき、その意味でハービンジャーと似たような部分を持つ)。また、自身ではそのスピードを再現したものの、眠っているAlydar~Raise a Nativeに着目し、自身と同じようなダート向きマイラーを出すことも可能で、長距離向きのタイプは厳しいものの、芝・ダート共に国内向きのスピードに良さがある産駒を出す可能性は、比較的高い種牡馬だと言える。ただし、前面でStorm CatやRoberto、Secretariatを持つため、シンプルな配合になりにくいという側面もあり、前面のクロスをある程度選定する必要が高い種牡馬だとも言え、基本はダート向きの種牡馬か。また、あまり見られないが、BMSダンスインザダークとは一定の相性の良さがあることを指摘しておきたい。

産駒において、おさえておきたいキーホースは以下の通りです(これらすべてをおさえれば優駿と判断するものでもありません)。
スピード系:Coamah~Almahomoud、Bold Ruler~Nasrullah、Raise a Native、Lady Angela
バランス系:Native Dancer~Polynesian、Discovery~Display、Blue Larkspur
スタミナ系:Sir Gallahad~Teddy(Plucky Liege)、Princequillo(Papyrus~Trecery)
  その他:Halo~Hail to Reason(主導勢力及び結合のアシストとして、ただしSecretariatと共存させるのは避けたい)、Northern Dancer(結合のアシストとして)、Secretariat(主導勢力として、ただしHaloと共存させるのは避けたい)

〇注目の産駒
 ニホンピロシュラブの17
 主導はHalo6×4の系列クロス。次いで、Lady Angela7・7×6・7・8。この両者で、BMSデュランダルを強調し、父母の持つスピード要素を再現している。父の主導であったBold Rulerは欠落するものの、その内部の血は生きており、さほどのマイナスでは無いと考えられる。また、その部分以外においては良く父母を再現し、デュランダルを強調した点も相まって、国内向きのスピードに良さがあるマイルタイプ。父とデュランダルの相性はかなり良好で、デュランダルの能力の一端を担ったHeliopolis等、デュランダル内は、きめ細かく血を再現できる。また、母母内マルゼンスキーの血が自身と連動しBull PageのスタミナやMenowのスピード等がしっかりと生き、主導と直接結合した点も指摘しておきたい。惜しむらくは、父の数少ないスタミナ源であったPrincequilloの結合が10代目になった点で、距離延長に対する適性は低いと考えられる。本質的には、BMSデュランダルのイメージと似て芝向きのスプリント~マイルタイプ。開花は早いと考えられるが、ただの早熟タイプでも無い。


ウインバリアシオン(ハーツクライ×スーパーバレリーナ by Storm Bird)牡・08生

Ⅰ 主:7 結:6 土:3 弱:3 影:2 集:5 質:3 再:6 SP:3 ST:3 特:0
合計:(41/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I □ C □ L ×
ダ:S × M □ I □ C × L ×
芝適性:□ ダート適性:□ 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:普通 成長型:早め

主な勝ち鞍:2011年 青葉賞(G2) 2014年 日経賞(G2)

 主導は、Northern Dancer5×3・5を呼び水にした、Almahmoud5・7×5・7の系列クロス。次いで、Nearco7・7・8・9・9×5・7・8。実質的に強調されたBMSのStorm Bird内Northern Dancerが主導。強調されたStorm Bird内の生かし方は非常に良好で、この部分が競走馬ウインバリアシオンの能力の中核だと言える。また、父内に存在するトニービン・ビューパーダンスが抱える、欧州系のスタミナ勢力の再現も良好。惜しむらくは、父母の抱える欧米系のクロスを満遍なく抑えたが、クロス馬の種類66が表しているように、全体の結合がやや間接的で、一息もどかしい血統構成だと言え、父の様なシンプルな配合にはならなかった点である。とは言うものの、母内Northern Dancerが3代目に存在する点と、Revoked・Precpitecの結合アシストにより、欧米系のクロスをNorthern Dancerと連動させた点には見どころがある。血統構成的には芝・ダート共にこなせる下地はあるものの、ややどっちつかずとも言えるか。
 アトランダムな配合において想定される産駒の特徴は、父同様にNorthern Dancerをクロスさせる産駒が大多数だと考えられるが、その場合、強調されやすいStorm Birdが比較的ダート向きになりやすい点は注意が必要か。また、Lypardクロスを作成するのも、父の再現や芝対応力を上げる点において非常に有効だが、Northern Dancerとの位置に問題を残すため、現実的な選択肢としてはやや疑問が残る。また、欧米系が入り混じる血統構成を持つが、自身の血統でそれらを取りまとめる事ができたのは、Northern Dancerが3代目からクロスをした点が大きく、産駒の血統において同様にクロスを作成したとしても、その部分の再現が困難になる点は考慮する必要がある(最も、これはウインバリアシオンだけが抱える問題では無く、むしろ比較的解決しやすい血統である部類ではある。)。以上の点を考慮すると、産駒の大多数は父同様に芝・ダートとも適性を秘める産駒の輩出が多くなると考えられるが、父をよく再現した場合、クロス種類の多さも引き継ぐ可能性が高く、スピードの引き出しに時間がかかる可能性が高くなりがちで、父同様に詰めの甘いタイプが多くなると考られる。また、産駒の血統において大きな弱点ができそうな箇所が少ない点も加味すると、じわじわと力をつける、やや晩成型の産駒が多数派を占めると考えられる。

産駒において、おさえておきたいキーホースは以下の通りです(これらすべてをおさえれば優駿と判断するものでもありません)。
スピード系:Almahmoud~Mahmoud、Sickle(=Pharamond)、Nasrullah、Khaled
バランス系:Blur Larkspur、War Admiral~Man o’War
スタミナ系:Court Martial(Hurry On)、Bull Lea~Bull Dog(=Sir Gallahad)~Teddy(Plucky Liege~Speamint)、Revoked・Precpitec
  その他:Storm Bird~Northern Dancer(主導候補として)、Hail to Reason(結合のアシストとして。他の種牡馬よりその存在は重要だと考えられる。)

〇注目の産駒
 ダーティダンシングの17
 主導は、Northern Dancer4・6・6×5の系列クロス。次いで、Rockefella、Nasrullah。この両者によって、スタミナとスピードをバランスよくアシスト。また、父自身をよく再現しているものの、雑多に存在する欧米系のクロスをHail to Reason及び、Damascusの単一クロスによりしっかりと主導と連動させたのが最大の長所。特に、Damascus内は、Sun Agein・Djebel・Blue Larkspur・Sickle(=Pharamond)・Tetratema・Fair Playときめ細かくおさえている。Damascusは、現代的なサラブレッドが抱える欧米系を持ち、Hail to Reasonと似たような働きをする。その浸透度の低さからあまり見られないものの、非常に有効なクロスとなりうる可能性が高いと言え、当馬の血統内においても欠かせない働きをしている点は指摘しておきたい。惜しむらくは、母母内のVaguely Nobleが抱えるスタミナ勢力の再現が弱い点だが、国内においては有利か。本質的には芝向きの中距離タイプだが、ダートも一応はこなせる下地がある。血統構成的には十分妙味がある内容。


クラグオー(クラキングオー×クラシャトル by ワカオライデン)牡・10生

Ⅰ 主:6 結:5 土:4 弱:2 影:2 集:5 質:2 再:5 SP:4 ST:4 特:0
合計:(37/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇 
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I 〇 C □ L ×
ダ:S × M □ I □ C △ L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:△ 成長型:晩成

主な勝ち鞍:14年 ステイヤーズカップ(H1)

 主導は、父母の傾向を引き継ぎNasrullah6・8×5・6・7の系列クロス。次いで、Persian Gulf6×5及びFlaring Top6×6の系列クロス。この両者によってバランスよくスピードとスタミナを補給し、極めて明確にとはいかなかったものの、Nasrullahの主導を良くアシストしている。また次いで影響の強い、War Admiral、月友、プリメロ(=アスフォード=Harina)からスタミナを補給しており、見た目の血統よりも良さがあると言えるだろう。また、自身の血統を構築する上で重要な血の大部分を、強調した母母クラネバダンサーに集合し、血統全体をリードしているのも、評価に値するだろう。惜しむらくは、全体的に外交的な配合である事も相まって、Native Dancerがそのアシストをするものの結合の弱さが見られる点で、開花には時間のかかるタイプだと言える点だろうか。しかしながら、結合が弱いとは言うものの、7代目以降の血の生かし方も良く、じわじわと力をつけていく晩成タイプ。生きた血を追った場合、本質的には芝向きだが、米系の影響も強い為、ダートもこなせると考えられ、距離適性の幅は比較的広いタイプ。極めて良好とは言えないものの、親子2代のステイヤーズカップ制覇も頷ける血統構成ではある。
 アトランダムな配合において想定される産駒の特徴は、前面において主導候補となりえる血が自身の主導となったNasrullah直系である、Never Bend、Bold Ruler、Never Say Dieを同位置に抱えたため、自身の継続は比較的たやすいと考えられるものの、主導とするのはこのうちの一つを選ぶ形態が好ましい。また、自身のスピードをアシストしたFair TrialがCourt Martialの父として存在する為、この血を主導とするのも好ましいとは言える。しかしながら、これらを主導に据えたとしても、自身が抱える欧米系の血を取りまとめるのはかなり困難で、結合のアシストとして、血統全体が重くなるのを承知の上で、自身も活用したNative Dancerや眠ったままのNorthern Dancerクロスは必須だと言える。また、視点を変えて、マルゼンスキーの生かし方が良い点を利用し、マルゼンスキー~Nijinskyを主導に据えるのも面白くはある。これらクロスが存在しない場合、産駒の限界点は低くなりがちで、この部分は、2010年生でありながらNasrullahを主導とした当馬が、種牡馬として抱える問題点の一つだとは言えるだろうか。これらを考慮すると、芝向きもダート向きの産駒を出せる下地があるものの、開花に時間がかかるタイプが多くなりがちな上に、産駒の成長力はやや欠けるタイプが大多数になると予測される。

産駒において、おさえておきたいキーホースは以下の通りです(これらすべてをおさえれば優駿と判断するものでもありません)。
スピード系:Nasrullah、Flaring Top~Menow、Fair Trial、Sun Worship~Sundridge、Tetratema~The Tetrach
バランス系:War Admiral、Persian Gulf
スタミナ系:月友、プリメロ(=アスフォード=Harina)、Tourbillon、Bull Lee~Bull Dog(=Sir Gallhad)~Teddy(Plucky Liege~Speamint)
  その他:Native Dancer(結合のアシストとして)、マルゼンスキー~Nijinsky ~Northern Dancer(主導候補及び、結合のアシストとして)、Never Bend、Bold Ruler、Never Say Die(それぞれ主導候補、もしくはスピードアシストとして)

〇注目の産駒
 ポンデュガールの17
 主導は、父母の傾向を引き継ぎ、Never Bend5×5の系列クロス。次いで、Lady Angela。父同様にNative Dancerが米系の結合をアシストし、父では眠っていたNorthern Dancerの中間断絶が結合をアシスト。主導内は、Djebel~Tourbillonだけでなく、Black Toney、Blue Larkspurがクロスし、非常にきめ細かいのが最大の長所。また、Ribotが7×5とクロスしスタミナの核となり、そのスタミナを裏付けるPapyrusをクロスさせるだけで無く、このPapyrusを通じて、本来結合しにくいPrincequillo~Prince Roseがそのスタミナを補給し、間接的にでも主導と連動しているのは注目に値する。惜しむらくは、Teddy系をはじめとした結合が弱い点と、血の集合が散漫な点で、開花には時間がかかると予測される点か。しかしながら、見た目の血統よりはるかに良さがある内容で、本質は芝の中距離向きタイプ。当馬の所属がどこになるかは不明だが、親子三代ステイヤーズカップ制覇の資格は十分。国内唯一となった、貴重なマルゼンスキー直系の血をつなげる活躍を切に望みたい。


ゴールドシップ(ステイゴールド×ポイントフラッグ by メジロマックイーン)牡・09生

Ⅰ 主:5 結:6 土:3 弱:3 影:1 集:4 質:2 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(36/60)点 クラス:2B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S △ M 〇 I 〇 C △ L ×
ダ:S □ M 〇 I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:□ 成長型:早め

主な勝ち鞍:2012年 皐月賞(G1) 菊花賞(G1) 有馬記念(G1) 共同通信杯(G3) 2013年 宝塚記念(G1) 阪神大賞典(G2) 2014年 宝塚記念(G1) 阪神大賞典(G2) 2015年 阪神大賞典(G2) 天皇賞・春(G1)

 主導は、Princely Gift5×5の系列クロス。次いで、Northern Dancerを呼び水にしたAlmahamoud5・7×7。Lady Angela6・7×7。この3者をスピードの核として、日本的スピードに非常に恵まれた血統構成となっている。また、血統全体で欧米系が入り混じった配合ではあるものの、Hail to Reasonの単一クロスでこれを結合しており、わりとありふれた内容ではあるものの理にかなった血統構成だと言える。また、影響度こそ0であるもののBMSメジロマックイーンのスピード・スタミナは再現されており、弱点の無い血統構成と相まって安定感はある血統構成(ステイゴールド×メジロマックイーンの相性の良さは、メジロマックイーンの再現が良好になる為。ただし、影響が極めて弱い為手放しでニックスとまでは言えない)。
 アトランダムな配合においては、主導をとりやすい血がノーザンテースト、The Minstrel程度しか無く、自身の傾向を産駒に引き継ぎやすい点は、種牡馬としての大きなセールスポイントで、この部分においては父とBMSまで同じ配合であるオルフェーヴルよりは上だと想定される。また、それら主導候補で血を纏めるのが困難な為、Hail to Reasonのアシストは必須に近い。ただし、前面でスタミナを補給する血の少なさがネックの為、父ほどの長距離適性を持つ産駒は少数だと考えられるが、メジロオーロラを上手く生かせば父を彷彿とさせる産駒を望めるか。前述した、ノーザンテーストとThe Minstrelの呼応でダート向きの産駒も出せる点は指摘しておきたい。また、勝ち上がり自体は早い産駒が多いと考えられるが、そこから伸び悩む産駒が多数派になると予測される。また、主導をどれにするかにもよるが、ディクタスやシェリルのクロスで結合のアシストをする形態も考えられるか。

産駒において、おさえておきたいキーホースは以下の通りです(これらすべてをおさえれば優駿と判断するものでもありません)。
スピード系:Princely Gift~Nasrullah、Almahmoud、Lady Angela
バランス系:Mahmoud
スタミナ系:Prince Chevalier、リマンド~Alcide~Alycidon、ヒンドスタン~Bois Rouseel
  その他:ノーザンテースト(The Minstrel)~Northern Dancer(主導候補として)、Hail to Reason(結合のアシストとして。ただしサンデーサイレンス~Haloをクロスさせて強い影響を持たせるのは避けたい)

〇注目の産駒
 ウッドシップの17
 主導はNorthern Dancer6・6×6・4の系列クロス。このクロスはBMSクロフネと呼応してのもので、その父Nearcticから系列クロスを形成。4代目にあるNorthern Dancerはこの世代の産駒としては珍しく、明確に主導として機能している。また主導で拾えないクロスを、血の流れが異なるものの、Hail to Reason5・7×7を伴うRoberto6×6が結合をアシストしつつ、明確では無いもののスタミナの核として機能している。また影響こそ弱いもののメジロマックイーンの再現も良好。惜しむらくは、血の集合がやや散漫な点と、強調された母母内フィリップオブスペインに弱点を派生させた点。ややムラのある中距離タイプで芝・ダート共にこなす下地はある。また、蛇足だが父とBMSクロフネはかなり相性が良く、母母次第で優駿が狙える可能性がある事を指摘しておきたい(本質的には、ステイゴールド産駒とクロフネの相性が良い)。


相変わらずの乱筆乱文ですが、どうかご容赦ください。今回の血統徒然草は、このあたりで筆を置きたいと思います。


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