血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

13年・NHKマイルC

2013-05-06 21:49:06 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、先日行われたNHKマイルCの上位馬及び人気馬、見所がある配合馬を取り上げてみたいと思います。簡単にではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。


マイネルホウオウ(スズカフェニックス×テンザンローズ-フレンチデピュティ)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=231927

主:5 結:3 土:2 弱:5 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:3
合計:29点 クラス:1B 芝:9~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:普通 馬場適性:芝 重馬場適性:○

 主導はNorthern Dancer4・5×5の中間断絶クロス。その中のAlmahmoudの系列クロスで、実質的に血統をリードしている。しかしながら、Hail to Reason4・6×5の単一クロスや、Prince John6×6の系列クロスの影響も強く、明確にとはいかなかったのが惜しまれる点である。また、各系列の結合力や土台構造も弱く、かなりちぐはぐな血統構成であると言えるだろう。
 しかしながら、これといった弱点や欠陥は無く、生かされた血の質自体は悪く無い。更に強調されたFairy Kingは全開し、血統全体での7代目以降においてもきめ細かく血を生かしている為、仕上がった際には底力ある血統構成であるとも言える。多分に結果オーライ的な配合であるものの、これは、当馬の大きなセールスポイントであると言えるだろうか。全体評価としては決して高くは無いが、この部分は記憶に留めておきたい部分で、底力勝負自体は可能であると指摘しておきたい。

インパルスヒーロー(クロフネ×クラシカルテースト-サンデーサイレンス)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=234607

主:7 結:4 土:3 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:4
合計:32点 クラス:2B 芝:7~11F ダ:6~9F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:◎

 主導はNorthern Dancer5×4の系列クロス。クロフネ産駒に多い形態でその父Nearcticを伴い、血統の3ブロックにおいてその影響力を強力に行使している。しかしながら、母父サンデーサイレンス内においては、若干動き出しが遅く、母方の影響が強い配合だけに、惜しまれる点ではある。重ねて、血統全体の結合力は万全では無く、特に米系の離反が著しく、土台構造も決して強固であるとは言い難い。また、父が持つ血統上の大きな問題点として、Pago Pagoの連動性の低さが挙げられるが、当馬も同様にPompilia内に弱点を発生させている。9代目においてSpearmint・Bayardo・Polymelusとクロスさせた為に、比較的軽微だと考えられるが、近親度の強さから考えればやはり軽視は出来ないと言えるだろう。
 反面、生かされたスピード・スタミナ勢力はなかなかに強靭で、特に強調された母母のダイナクラシック(=アンバーシャダイ 1A級)の生かし方は素晴らしく、好調期には強い競馬を見せる事ができるだろう。ただし、好不調の波は激しいタイプである事も付け加えておきたい。

フラムドグロワール(ダイワメジャー×シルクプリマドンナ-ブライアンズタイム)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=231661

主:7 結:5 土:3 弱:5 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:4
合計:36点 クラス:3B 芝:7~11F ダ:6~9F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

 主導はNorthern Dancer4×3の中間断絶クロス。その中の、AlmahmoudとLady Angelaで実質的に血統をリードしている。この主導は比較的明瞭で、血統全体においてGainsborough系の流れを維持しているのもあいまって、有用に機能しているといえるだろう。惜しむらくは、Hail to Reason4×4の中間断絶の影響もかなり強い点で、Hail to Reason自体は結合面において有効に作用しているものの、Royal Chargerが6代目から3ブロックにおいて系列クロスを形成している点である。できる事ならこのクロスは無いほうがよかった。しかしながら、各系統がGainsboroughを核に結合できたのは幸いで、これは当馬の大きなセールスポイントであると言える。
 また、近親度が高い為にある意味当たり前ではあるが、血統全体でこれといった弱点は無く、父ダイワメジャーが抱えたノーザンテースト内の欠陥も見事に補正されている。重ねて影響度バランスもかなり良好で、土台構造は若干散漫であるものの、非常に安定感のある血統構成であると言え、父ダイワメジャーの配合モデルとして、参考になる血統構成であると言えるだろうか。生かされたスピード・スタミナは強靭で、芝・ダート、重馬場もこなす全天候型の血統構成。また、将来的には8F前後の距離が適性になると想像される。

エーシントップ(Tale of the Cat×Ecology-Unbridled's Song)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=231648

主:4 結:3 土:2 弱:5 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:28点 クラス:1B 芝:6~9F ダ:5~8F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早熟 馬場適性:ダート 重馬場適性:○

 主導はBold Ruler5・6×5の系列クロス。この主導は父の主導をそのまま踏襲したため、父の配合を考える上での選択肢としては悪くは無いが、当馬の血統においては、Mr.Prospector3×5、Northern Dancer4・6×4の中間断絶クロスや、Princequilloを伴うRound Table(=Monarchy)5×4の単一クロスが形成され、非常に不明瞭な状態であると言わざるを得ない。もし、Mr.Prospectorをクロスさせるならば、主導をBold RulerからNashuaへと変更した方が、配合上はすっきりするだろう。また、6代目までに存在する各系列の結合は、主導たるBold Rulerがまとめきれずにいるものの、Mr.Prospector及びNorthern Dancerがそのアシストをしている為に、かろうじて完了している。ただし、間接結合に頼りすぎているのは、やはりマイナスで大きく評価できるものでも無い。
 生かされているスピードはなかなかに良好であると言えるが、前述の主導・結合の問題から、常に安定して発揮できる可能性が低いのは指摘しておきたい。近親度の強さから開花自体は早いと思われるが、成長力はやや疑問で勝負は他馬の成長前か。また、本質的に距離延長は向かないと考えられ、ベストはマイルまでだと思われる。

ザラストロ(ホワイトマズル×セクシーココナッツ-ダンスインザダーク)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=232981

主:7 結:5 土:4 弱:3 影:3 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:34点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導はNorthern Dancerを伴うLyphard3×5。途中Nearcticが断絶するもののNorthern Dancerは血統の3ブロックに存在し、明確に血統をリードしている。多少、位置が悪いものの、次いで影響の強いCourt Martial5・7×7の系列クロスを内包しているのは、当馬の血統構成を考える上で幸運だと言えるだろう。また、父方のLyphardが3代目からクロスした為に、各系統がひとまず結合を完了しているのは幸運で、近親度が高い為に決して高評価できるものでも無いが、かろうじての連動性が保たれているのが見て取れるだろうか。また、土台構造はなかなかに強靭で、Pharos(=Fairway)が23ヶで形成し、Blenheim・Gainsboroughがアシストしており、かなり優秀だと考えて良い。
 しかしながら、これだけ近親度が強い配合でありながら、父内Pago Pagoにおいて弱点を発生させたのはマイナスで、影響度が低い部分であり、かつ9代目に土台構造を形成するFairwayが配されたのは大きな幸運だと言えるだろう。
 全体のバランスとしてはややスピードが勝っているものの、Hurry Onを伴うCourt Martialがスタミナの核を形成した為に、10F克服は十分に可能で本質的には中距離馬だと言え、相当の鍛錬が必要ではあるが7代目以降において、Djebel~Tourbillon~Ksarを系列クロスにし、粘りあるスピードを発揮する可能性を指摘しておきたい。

 今回の血統徒然草は、先日行われたNHKマイルCにおいての上位馬と人気馬、及び見所のある血統構成馬を取り上げてみました。簡単にではありますが、今回はこんなところで。