血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

血統評価基準変更

2018-08-16 20:45:08 | 血統評価基準
先日の投稿の際に、評価基準の変更をしましたと、アナウンスいたしましたが、細かい内容を投稿させていただきます。

Ⅰ 主要項目

① 主導      (1~10点)

主導とは、クロス馬の中から、当該のサラブレッドの血統を明確にリードする血を指します。この主導は、血統全体を通じ多数派であり、その他のクロス馬と強固に結合する事が好ましいと言えます。また、主導勢力は複数であっても構いませんが、その場合は強固に連動している事が条件になります。

② 結合      (1~10点)

結合とは、クロス馬が相互に連動しているかについて評価を行います。連動している否かの判断は、互いに共通の祖先を持つか否かによります。また、多数派のクロスが10代目で結合する場合、アナウンスをいれつつ、結合を果たしていると判断する場合があります。各クロスの結合は、近い世代においてシンプルに結合を果たしている状態を、好ましいと考えますが、結合単体の評価においてはそこまで重視はしません。

③ 土台・血の流れ (1~5点)

土台・血の流れとは、当該のサラブレッドの血統において主導と考えられる血統の祖先が7~9代目において、多数クロス馬として存在しているか否かで評価します。また、土台構造を形成する血は複数の連合勢力でも構いません。単純に連数が多ければ評価が高くなる訳ではなく、4代目の祖先を起点とした16箇所のブロックにおいて存在するか。更に、その土台構造を形成するクロス馬からの主導勢力への、血の流れがシンプルか否かで評価をします。

④ 弱点・欠陥   (1~3点)

弱点・欠陥とは、5代目に位置する祖先馬32頭を基準とした各ブロックにおいて、6~8代目においてクロスが存在しない場合を弱点。9代目においてもクロスが存在しない場合を欠陥として判定します。影響度バランス上、強力に主張している部分に弱点・欠陥が存在した場合、特に重視します。

⑤ 影響度バランス (1~3点)

影響度バランスとは、6代目までのクロス馬について調べます。6代目=1点、5代目=2点、4代目=3点…として配点を行い、どの部分から強く影響を受けているかを視覚化します。極端に影響が強い、もしくは弱い部分がある場合は評価が下がります。

⑥ 血の集合    (1~7点)

血の集合とは、当該のサラブレッドの血統内において血をしっかりと集合させている部分があるか否かで評価をします。この部分は複数あっても構いませんが、影響度バランス上協調された部分なのか否か、またその部分に主導勢力を含むか否かで評価を行います。

⑦ 質       (1~5点)

質とは、当該のサラブレッドの強い影響を持つクロス(遠い世代)を中心に、父母(近い世代)の血の質を含め評価を行います。近い世代については、基本的に祖父母までの血の質を考慮しますが、母方の血の質を特に重視します。

⑧ 再限度     (1~7点)

再限度とは、当該のサラブレッドの血統においてクロスした血によって、有用な祖先が再現されているか否かで評価を行います。この再現が良好な部分を多数持つ事により当該のサラブレッドにおいてその能力が再現されていると判断します。基本的には祖父母6頭までの再限度を見ますが、母方の再限度を特に重視します。

⑨ スピード    (1~5点)

スピードとは、当該のサラブレッドの血統内において、スピード系のクロスが多い場合評価が上がります。また、それらの血が主導と密接に結合を果たしているか否かによっても評価がかわります。距離適性に影響を与えます。また、7代目に配されたクロスも重要視します。

⑩ スタミナ    (1~5点)

スタミナとは当該のサラブレッドの血統内において、スタミナ系のクロスが多い場合評価が上がります。また、それらの血が主導と密接に結合を果たしているか否かによっても評価がかわります。距離適性に影響を与えます。また、7代目に配されたクロスも重要視します。

⑪ 特別配点    (0~5点)

特別配点とは、クロス馬のみを足掛かりにサラブレッドの能力を考察する五十嵐理論の原則から外れた項目です。当該のサラブレッドの血統内において、クロス馬以外に着目すべき部分がある場合、その部分に配点します。また、この特別配点によって、最高点である60点を超える事はできません。


Ⅱ その他評価 

〇日本適性:日本の軽い芝に対する適性です

(×~△~□~〇~◎)

〇成長力:サラブレッドの血統から想定される成長力です。

(×~△~□~〇~◎)

〇芝適性:サラブレッドの血統から想定される芝向きの適性です。

(×~△~□~〇~◎)

〇ダート適性:サラブレッドの血統から想定されるダート向きの適性です。

(×~△~□~〇~◎)

〇重馬場適性:サラブレッドの血統から想定される芝向きの適性です。

(×~△~□~〇~◎)

〇距離適性(芝):芝コースにおける距離適性です。

(5~16F)※9~11Fとされるサラブレッドにおいて基準距離は10Fになる場合
9~11F(10F)と表記します。

〇距離適性(ダ):ダートコースにおける距離適性です。

(5~12F)※9~11Fとされるサラブレッドにおいて基準距離は10Fになる場合
9~11F(10F)と表記します。

注:距離適性について、当該の配合における父母もクロスしたとしてカウントします。


Ⅲ 参考評価 ※開花率・成長型・距離延長適性・距離短縮適性の項目については、いまだ固まっていませんので試案です。

〇開花率:サラブレッドの血統から想定される能力の開花率です。

(△~□~〇)

〇成長型:サラブレッドの血統から想定される早熟性を判断します。

(早熟~普通~晩成)

〇距離延長適性:サラブレッドの血統から想定される、距離適性を外れて延長した場合の適性です。

(△~□~〇)

〇距離短縮適性:サラブレッドの血統から想定される、距離適性を外れて短縮した場合の適性です。

(△~□~〇)


Ⅳ 総合評価

 総合評価は、①~⑩の主要項目及び、⑪特別配点の点数を合計し3A~Cの7段階によるランク付けを行います。そのランク分けは以下のように行います。

3A(60~55点) 2A(54~49点) 1A(48~43点) 3B(42~37点) 2B(36~31点) 1B(30~25点) C (24点以下)

※すべての項目について変更する可能性はあります。

種牡馬考察 リヴリア

2018-08-13 16:03:42 | 種牡馬考察
種牡馬考察 (リヴリア)

 先日とある所で、種牡馬リヴリアがなぜ成功したかという質問を頂きました。そこで、簡単ではありますが、種牡馬としてのリヴリアを考察してみたいと思います(あくまでも血統面からの考察であり、また自分の主観としての考察でありますので、間違い等あるかと思いますが何卒ご容赦ください)。
 残念ながら早世し、これといった後継を出すことなく途絶えた系統ではありますが、種牡馬3強(サンデーサイレンス・ブライアンズタイム・トニービン)と言われた時代の種牡馬であり、長く種牡馬を続けられてさえいれば、個人的に種牡馬4強の時代を迎えていた、と言えるほどのポテンシャルを秘めた種牡馬であったと考えています。


 まずリヴリア自身の血統から解説をしていきたいと思います(以下は公式の8項目評価であり、参考程度に自己診断を載せてありますが、自己診断の基準は変更してあり、60点満点と変更してあります)。

 リヴリア

〇〇〇□◎〇□〇 □〇 1A (46/60)1A
芝8~12F ダ8~10F

 主導は父の傾向を引き継ぎSir Gallahad5×6の系列クロス、次いでBlenheim。Nearcoの4×4は中間断絶の為、影響力は弱いが結合をアシストしている。スピードを主導たるSir Gallahad(Plucky Liegeの欠落から明確なスタミナと機能せず、Romanの影響からも中距離向きのスピードを再現)から再現し、スタミナをVaguely Noble内NearcoやLoika・Tracery・Asterusから再現。そのバランスも良く、血統全体でBay Ronaldを結合の中核とし血の流れも良好だと言える。惜しむらくは、父Riverman内の米系を生かせず、そのスピード・スタミナの再現が不完全になった点で、ここが真の上位クラスとあたった際に勝ちきれなかった要因だと考えられる。

 ここでリヴリアの種牡馬としての特徴を、当時の繁殖牝馬プールを念頭において、箇条書きで、あげてみたいと思います。

 ① 血統としては欧米系が入り混じった血統構成であるが、割合としては7:3程度で欧州系が優位(父Rivermanが、やや欧州系がつよく、母Dahliaが欧州系主体)。この為、種牡馬導入当時において国内に浸透したノーザンテースト・マルゼンスキー・トウショウボーイ・リアルシャダイ等の欧州系主体かつ米系を含む種牡馬群との相性の良さが期待できた。
 ② 自身の土台構造をSt.Simon26ケで形成し、結合の肝となったBay Ronaldが14ケも存在し、自身が種牡馬となった際に自身の産駒にSt.Simonを8ケBay Ronaldを6ケ残す事ができ、産駒のⅠ・Ⅱブロックにおいてこのクロスから流れる血の流れの良さを維持できた(他の種牡馬、サンデーサイレンス・ブライアンズタイム・トニービンと比較しても、非常に多くSt.SimonやBay Ronaldを産駒の血統内に残す事ができた)。
 ③ 欧米系が混じる血統構成でありながら欧州系主体の配合に対応でき、Riverman内の米系Man o`War・Black Toney・Blue Larkspurの存在により、米系にもある程度対応できる血統構成である(上位レベルを望むならクロスさせたい血ではある)。
 ④ 国内においてメジャーな血統となっていた、Nasrullah及びHyperionを持ち、浸透し始めていたTeddy系を自身の主導としている。アトランダムな配合を試みた場合において、仮にNasrullah・Hyperion・Sir Gallahadが同時にクロスしたとしてもそれぞれの世代がリヴリア内において、4・6・6代目となりNasrullahが明確な主導として機能するため、極端にバランスの悪い産駒ができる可能性が低い。
 ⑤ 自身の血統構成は、ひと息不満が残る部分を残すものの、父母の血統構成が非常に優秀で(特に母Dahlia)、Nasrullahをクロスさせなかった場合、日本適性にかける事が想像されるが、Hyperion・Sir Gallahadを用いて突き抜けた優秀な配合(ナリタタイシン=3Aの様な)を作る事もできた。
 ⑥ ⑤でも述べたようにトップクラスの産駒を望むなら、Nasrullahをクロスさせないほうが望ましくはあるものの、主導を明確にしつつ、クロスさせる事によって日本向きのスピードを前面で確保し、父のスピードの再現が比較的簡単にできた。また、産駒の4代目にNasrullahが存在するために、Nasrullah内の8代目にSpearmint、9代目にSt.Simonを残す事が出来、米系の取り込みにおいて優位に働く事が想像される。特に、8代目に存在するSpearmintの存在は、サンデーサイレンス産駒において主導となりやすいAlmahamoudが産駒の8代目においてSpearmintを持つ事と同等の強みを種牡馬として潜在的に抱えていると考えてよい。
 ⑦ 父Rivermanの母系において仏系であるDjbel~Tourbillonを抱え、国内に浸透したパーソロンの系統を、特段の相性の良さを発揮しないものの、離反させる事が無く利用でき9代目Bayardo・Teddyによって主導と連動させる事ができた。
 ⑧ アトランダムな配合で、前面でクロスしやすい血はNasrullah~Nearco・Alibhai~Hyperion・Roman~Sir Gallahad等が考えられるが、世代のバランスをさほど考慮しない(Aランクまでは望まない)のであれば、Nearco・HyperionでNortern Dancerを、Nasrullah・Hyperionでテスコボーイを、Sir GallahadでRobertoやNijinsky、更にはMr. ProspectorやAlydarさえも、活用できた。その能力の再現は個々の配合(当たり前だが母母方をも含めた母内の血の形態。父と母父だけで語る血統はナンセンスです)によるものであるために、一概にその血を持っていれば良配合とは言えないが、どの種牡馬群とも壊滅的な相性の悪さは無く、近親度がかなり強くなる為、一流馬の輩出は難しかっただろうが、ミルジョージやブレイヴェストローマン等とも、一応は血を合わせる事が可能であった。
 ⑨ 当たり前ではあるが国内においてRivermanの系統を持つ種牡馬が存在せず、ミルジョージ等のMill Reef系を除けば、極端な近親配合が出来づらい血統構成で繁殖と血をあわせやすかった。

 かなり大ざざっぱな考察ではありますが、種牡馬リヴリアの血統を考察してみました。リヴリアの代表産駒と言えば、ラディガとの組み合わせであるナリタタイシン(3A)でありますが、欧米系の血を生かした配合として、マルゼンスキーとの組み合わせでケイパーソン(2A)や、マイヨジョンヌ・メイショウデンゲキ兄弟(1A)、ノーザンテーストとの組み合わせでペガサス(1A)・マーブルリヴァー(3B)等をだし、欧州系主体の血を生かして、サティンゴとの組み合わせでシルキーパレード(3B)、タイテエムとの組み合わせでナリタプリマドンナ(3B)を出し、また米系主体であるホープフリーオン(=Alydar)との組み合わせでリンデンリヴリア(3B)を輩出するなど、その血の融通性を結果として残しています。
 この血統からくる融通性・上位配合を狙える血統構成こそが、種牡馬リヴリアをサンデーサイレンス・ブライアンズタイム・トニービンと比肩しうる可能性を秘めたと、個人的に考える最大の理由であります。
 リヴリアは残念ながら、わずか11歳という若さで亡くなりましたが、国内において浸透しはじめた米系を有用に使いつつ、St.Simon及びBay Ronaldを活用できた種牡馬であり、世界的に繁栄していると言い難いRiverman系を国内に根付かせる事の出来た種牡馬であったと思います。彼の早世が、国内の血統プールにおいてどれほどの損失だったかは、各人の判断に任せたいと思いますが、もしもう少し長く、その血を残す事が出来たなら、今日の日本競馬の彩りはもう少し鮮やかだったかもしれません。

 今回は、このあたりで筆を置きたいと思います。相変わらずの、乱筆乱文はどうかご容赦ください。