血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

種牡馬考察(クワイトファイン)

2019-11-18 20:41:12 | 種牡馬考察
 今回の血統徒然草は、現在クラウドファンディングによって種牡馬入りのへ模索が行われている、トウカイテイオー最後のサイアーラインを継承する可能性が唯一残された、種牡馬クワイトファインの可能性についての考察を行いたいと思います(クワイトファインプロジェクト様から、ブログにする許可は頂いております。また、最後に仮想配合を掲載しておりますが、関係者の方々への問い合わせ等絶対に行わないでください。これは現実のプロジェクトです、それもかなりの熱量をもったプロジェクトだと認識しております)。

クワイトファイン(トウカイテイオー×オーロラテルコ by ミスターシービー)牡・10生

Ⅰ 主:6 結:6 土:3 弱:3 影:2 集:4 質:3 再:4 SP:4 ST:3 特:0
合計:(39/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:□
Ⅲ 距離適性
芝:S □ M 〇 I △ C × L ×
ダ:S × M △ I × C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:△ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:□ 成長型:普通

〇 短評

 グランデゴール(中央1勝 3B級)半弟。主導は、Princely Gift5×5の系列クロス。次いで、Hyperion。この両者は、Nearco~Pharos(=Fairway)系と、次いで影響の強いGainsborough系の結合を、Nogaraによってしっかりと行われている為、一見かなり明瞭に見えるが、当馬の血統構成上、主導内で土台構造を形成するべきPharos(=Fairway)が13連しか無く、Blandford・Gainsboroughがそれぞれ、19連・21連と、本質的にこの主導は当馬にとっては、決してプラスとは言えない。しかしながら、中長距離向きの血統構成をしていた兄とは異なるものの、当馬の血統構成も、マイル芝向きの血を生かし、7代目Tetratema等、なかなか妙味があるといえる。ただし、当馬の抱えた最大の問題は、BMSミスターシービー内の、ソシアルバターフライが抱える、Blue Larksupr~Black Servant等をはじめとした、米系を完全に落失した点で、成長力にはやや疑問が残る血統構成であるとも言える。ただし、その部分以外は母系に代々重ねられた、ミスターシービー・シンザン・タニノムーティエの血をしっかり生かし、これぞ国産と言える、非常に手作り感のある血統構成で、個人的には大いに魅力を感じるものである。最後に、競走馬としての本質は、これといったスタミナ勢力のアシストが弱く、前述の通り芝向きのマイルタイプだと言えるだろうか。

 以上が、競走馬クワイトファインの血統構成に対する考察になります。では、現在進行中のクラウドファンディングが成功したとして、どのような配合を目指すべきなのか、種牡馬として必要な血はなにか、を考察してみたいと思います。

① 自身の主導は、Nearco系直系子孫であるPrincely Giftだが全体ではやや弱いために、それらを取り込めるテスコボーイやトウショウボーイの有効活用。特にトウショウボーイは前述の通り、ソシアルバターフライを直接内包する為に、系列クロスにするには、血の濃さが残る為疑問が残るが、中間断絶クロスや単一クロスを作成しそこに血を集合させるのは有効だと考えられる。
② また、自身に強いBlandford・Gainsborough系だが、母系から大量のNearcoを投入し三者のバランスをとる事も有効で、その場合、母系でBuchan~Sunsutar等の米系を直接とりこめるファバージを母内4代目でクロスさせ、主導とすることも有効である。
③ 自身に欠けるスタミナの補給において、Hyperionの有効活用は大前提だが、自身の中で眠っていたPlucky Liegeを有効活用したい。その為Bois Roueelや、その産駒であり、やや質は劣るもののヒンドスタンのスタミナ補給は有効。ただし、ヒンドスタン内においてシンザンのスピード源となった、Sun Worship~Sundridgeを生かした場合、スピードの補給もかなり受けるため、長距離のスタミナというより、中距離のスタミナとして機能する可能性は念頭に置いた方が良い。
④ 父父であるシンボリルドルフ内において、質の高いスタミナ勢力であるDjbel~Tourbillonのアシストが世代後退によって、再現が難しい点は注意が必要で、これらを不必要にクロスすると、全体の連動が弱くなる可能性もある為、無理に生かす必要性が弱いものの、シンボリルドルフ自身では眠っていたスタミナ勢力であるPharisや、スピード源となったPalestinの血を有効活用したい。また、できるならTetratemaのクロスも欲しい。
⑤ 父である種牡馬トウカイテイオーの難しさの一端でもあった、Nice Princess内の特殊な仏系の生かし方には考慮が必要で、世代が後退する為にそこまでの難しさは無いが、His Grace~Blandford・Becteriophage等をおさえたい。
⑥ Northern Dancerクロスはあっても良いが、系列クロスなどにして明確な主導に据えるのは、自身の血の流れから考えて、行わない方が良いと考えられる。他に明確な主導としての機能を持つクロスを存在させ、中間断絶クロスで結合のアシストを行う程度なら良い。
⑦ 相性の良い血としては、Hyperionの強いトニービンや、Graustark等を抱えるタニノギムレット。テスコボーイを主導に据える事のできる、サクラバクシンオー。呼び水の効果が良好なトウショウボーイ。Alycidonから強力なスタミナを補給できるスイフトスワロー。また、その躍進の源となったAlmahmoudを生かせるサンデーサイレンス等が考えられる。
⑧ また、逆に相性の悪い血は、米系を豊富に抱えたMr.Prospectorや、ロージズインメイ。Seattle SlewやSecretariat。また、本質的にはNorthern Dancerも相性が良くない方だと言える。ただし、⑦や⑧で述べている、これらの相性は血の位置や配置などによって、相性の良さに変化がでるものであり、基本的には米系の血を避けていれば大きな問題は生じないと考えられる。
⑨ 一番の問題は、Princely Giftの直系が国内において、かなり衰退している為に、主導を明確にするのが難しい点で、ここは大きな課題だと言える。ただし、サクラバクシンオー(1A)という国内史上稀有のスプリンターの血がサイアーラインを伸ばしつつ、ある程度繁殖牝馬側に浸透しているのが幸いで、ここをうまく使えば、コンスタントに勝ち上がる産駒は望めるだろう。


 以上が種牡馬、クワイトファインに対する簡単な考察です。こうして見ると、現代的な種牡馬として米系の生かし方や、主導の明瞭さを出すのにやや難があるものの、母系から代々重ねてきたNearco・Hyperion・Blandfordの血の豊富さは非常に魅力的で、配合にもよりますが薄く米系も保有するため、アトランダムな配合でもある程度形にはなる種牡馬だと言え、血統表上のみを見る限り、一定の可能性を秘めた種牡馬だとも言えるでしょう。似たような境遇である、ギンザグリングラスやクレイドルサイアーにも言えますが、競馬華やかなりし頃の名馬達の血を直系で残して欲しいと切に願います。ここで、自身が考えた仮想配合をいくつかアップしたいと思います。当馬の競走馬としてのキャリアや、種牡馬としての名声から考えて、手が届かないであろう繁殖牝馬との交配もアップしておりますが、少しでも多くの方の目に触れるように、あえて書き連ねてみたいと思います(関係者の方への問い合わせ等は冒頭でも述べたように絶対に行わないでください。何卒宜しくお願い致します)。


(クワイトファイン×セレブリティ by タニノギムレット)-牡・-生

Ⅰ 主:7 結:5 土:4 弱:2 影:3 集:4 質:3 再:5 SP:4 ST:3 特:0
合計:(40/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:□ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S □ M 〇 I □ C △ L ×
ダ:S × M 〇 I □ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:□ 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:□ 成長型:普通

〇 短評

 主導は、トウショウボーイ4×4内、Princely Gift6×6・6の系列クロス。次いでMy Babu6・8×8。両者は弱いものの、全体で21連存在し土台構造を形成するPharos(=Fairway)で結合を果たし、そのスピードをしっかりと補給している。また、ミスターシービー内の生かし方が良く、本質的にはマイラーだが、ある程度の距離延長もこなす可能性を秘める。この配合の最大の長所は、呼び水となったトウショウボーイ内の米系であるBlue Larkspurをクロスさせる事に成功し、父母の血の流れを生かしつつ、米系の結合に一定の成果をあげている点である。実質的な異系交配である為、開花には時間がかかるだろうが、鍛えがいのある血統構成。ダートはこなせる。

(クワイトファイン×ブロンコーネ by ブライアンズタイム)-牡・-生

Ⅰ 主:8 結:5 土:4 弱:3 影:3 集:6 質:3 再:4 SP:4 ST:4 特:0
合計:(44/60)点 クラス:1A
Ⅱ 日本適性:△ 成長力:〇
Ⅲ 距離適性
芝:S × M □ I ◎ C 〇 L □
ダ:S × M × I △ C × L ×
芝適性:〇 ダート適性:× 重馬場適性:□
Ⅳ 開花率:低め 成長型:普通

〇 短評

 主導はファバージ5×4の系列クロス。次いでヒンドスタン、Alibhai~Hyperion。これら三者の結合は決して強固とは言えないのものの、Royal Charger等を通じ結合を果たしたのは幸運か。全体的に結合の弱い面があるものの、主張の強い血とはそれぞれを媒介として連動をはたし、父の弱点であった米血もひとまずクロスさせている。また特筆すべき点は、母系のオーマツカゼが、シンザン内第5バッカナムビューチーと呼応し、シアンモア~Buchanとクロスさせそのスタミナを主導へと直接補給した点にある。また、トニービン内Hyperionやブライアンズタイム内AlibhaiやRockfella(=Rock Goddess)等のGaindsborough系のスタミナ補給に良さがあり、質は劣るもののヒンドスタンも中距離向きのスタミナ補給に一役かっている点で、全多的にはスタミナ優位の配合だと言える。近年珍しい、質が高い芝向きの中距離タイプで、開花率は低いだろうが、血統構成は秀逸。ダートは明らかに不向き。

(クワイトファイン×オモイデサクラ by サクラバクシンオー)-牡・-生

Ⅰ 主:5 結:4 土:4 弱:2 影:2 集:5 質:2 再:5 SP:5 ST:3 特:0
合計:(38/60)点 クラス:3B
Ⅱ 日本適性:〇 成長力:△
Ⅲ 距離適性
芝:S 〇 M □ I × C × L ×
ダ:S 〇 M 〇 I × C × L ×
芝適性:□ ダート適性:〇 重馬場適性:〇
Ⅳ 開花率:普通 成長型:早め

〇 短評

 主導は、テスコボーイ5×4の系列クロス。次いで、Lady Angela~Hyperion。この両者の結合はかなり強固に行われ、血統全体に強い、Gainsboroughの血の流れとNearcoの血の流れを上手く主導が統合している。この配合の惜しむらくは、7代目以降に生きる血の連動性が極めて低い点と、父母が抱える米系を全く生かせていない点にある。しかしながら、欧州系の特殊な血であるFine Topをクロスさせそのスタミナを補給し、Palestineを系列クロスにし、Tetratemaを再度クロスさせ父のスピード再現に成功した点にある。米系の落失から成長力には欠けるだろうが、BMSサクラバクシンオーを圧倒的に強調し、その再現も良好。好不調の波はあるだろうが、早期有利のダート向きスプリンター。芝もなれればこなせる。


 上記の仮想配合を見てもわかりますが、様々なタイプを出せる種牡馬で、アトランダムな配合でも、ある程度形になるのは往年のパーソロンのようなイメージを受けます。ただし、これはクワイトファインが代々積み上げてきた、日本競馬を作り上げてきたBlandford・Hyperion・Nearcoを多量に含み、ほんのわずかに米系を含むものの、ほぼ前記の血を強く持つ内国産種牡馬の血を重ねてきた部分が非常に大きく、安易に米系等を混ぜる事無い、配合を作り上げてきた、生産者の方の努力だと思います。
 海外では、非常に良く目にすることができる独自の父系。国内においてはサンデーサイレンスがようやく、といったところではありますが、サンデーサイレンスと共に、一時代を築いたトニービンやブライアンズタイムでさえ風前の灯であると認識しており、独自のサイアーラインを作れない国が、胸を張ってパートⅠ国であるのか、とさえ考えさせられます。私自身は、特に力がない一般市民です。それを承知の上で、手前勝手な望みであるのも重々承知で、こうした血を残していける競馬を見たいと思いますし、そうした生産界を望みます。


 非常に乱筆乱文で読みにくいと思いますが、何卒ご容赦ください。今回の血統徒然草はこの辺りで筆をおきたいと思います。
 少しでも多くの方の目に留まる事を、プロジェクトの成功を心から祈ります。


2 コメント

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Unknown (ヴァレスティ)
2020-04-22 15:12:06
先日、クワイトファインの相手がキネオスイトピーに決まりましたが、どのような血統評価になりますか。
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キネオスイトピー (taku.O)
2020-10-25 09:17:02
ヴァレスティさんコメントありがとうございます。

件のはいごうですが、芝は難しいかもしれませんが、それなりの配合となっております。個人的には面白いのではないかと考えております。
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