血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

オオエライジン

2011-09-28 10:37:00 | 08年生
オオエライジン(キングヘイロー×フンミアイドル-リンドシェーバー)牡・08生

主:8 結:5 土:3 弱:4 影:2 質[近]:3 質[遠]:3 SP:3 ST:3
合計:34点 クラス:3B 芝:8~10F ダ:7~9F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

○ 主導   (8)

主導は、Nearctic5×5の系列クロス。その父Nearcoを血統の4ブロックに散在させ(4ブロックの6代目全てにNearcoが存在する)、非常に強力に血統全体をリードしている。

○ 結合   (5)

主導たるNearcticと、6代目までに存在するクロスである、NearcoはNearcticに含まれるために確実に結合をはたしている。また、Bull Dog(=Sir Gallahad)はSpearmintで、Native Dancer・Pharamond(=Sickle)はPhalaris・Seleneで、MahmoudはGainsboroughで、Mumtaz BegumはSwynfordで、War AdmiralはSwynford(=Harry of Hereford)でそれぞれ結合を完了している。ほとんどのクロスの結合完了が9代目になるために、決して超一流とは言い難いが、優秀だといって差し支えないだろう。

○ 土台   (3)

土台構造はPharos(=Fair Isle)が16ヶで形成。単一の土台構造としては若干不満が残るが、Gainsboroughが12ヶと弱いながらサポートしているのは多少幸運かもしれない。平均点にはあるか。

○ 弱点   (4)

父方、Pago Pago、Discipline内に弱点を派生させている。前者は9代目において、Fairway(=Fair Isle)がクロスし、後者は同じく9代目においてTracery・War Admiralがクロスする為に、さほど大きな弱点とは言い難いが、ダンシングブレーヴが抱えた問題点を解決するに至らないのは惜しまれる点である。

○ 影響   (2)

影響度バランスは(4-2-6-3)と、主導勢力を含む部分をしっかりと強調しているのは好感が持てる。平均点にはあるか。

○ 質[近]  (2)

父母の血の質は決して高いとは言い難いが、3代目までに並ぶ血の質は決して低くは無い。できることなら、ダンシングブレーヴを強調した方が良かったか。

○ 質[遠]  (3)

主導たるNearcticはかなり質の高い配合だが、強い影響を持ってサポートする血の質は決して良好とは言い難い。平均点にはあるが、底力勝負にはあまり向かない内容か。War Admiralの影響が比較的強いのは幸いだろう。

○ スピード (3)

母の主導であり、主要なスピード源であるNasrullahの欠落や、父の決め手やスピードの源となったTurn-to・Almahmoudの欠落は残念であるものの、Pharamond・Mumtaz Begumなどのスピードは生かされている。

○ スタミナ (3)

これといったスタミナの核の形成には失敗している為に、本質的に距離延長は不向きなタイプだと考えられる。War Admiral・Bull Dog(=Sir Gallahad)のスタミナはかろうじて連動しているのは幸いだろう。父のスタミナ源となった、Princequilloの欠落が非常に惜しまれる。


総合的に見ると、決して超一流の内容だとは言い難いが、父の持つ煩雑すぎる血統構成を、Nearcticの元にシンプルに作り直した点は、配合の妙味を感じさせる内容となっている。また、母方において影響の強かった、Nasrullahをクロスさせずに、父方Royal Chargerと呼応させることによって、そのスピード源だけを抽出した点も、当馬の血統において、見るべき点である。
確かに、強力なスタミナの核の形成に失敗する等、細かい不満は残るが父キングヘイローの配合を考える上で、モデルケースになりうる部分を持つ血統構成で、見た目の血統より遥かに良さがあると考えて良いだろう。
また、連動性は弱いものの、米系の影響も強い為、芝・ダート、良・不良を問わない全天候型の血統構成だと言え、地方所属であるものの、芝への適性を感じさせる内容である。是非とも、大きな勲章をとってグッバイヘイローの血を、決してサヨナラなどと言わないように残して欲しいと願う。

エリンコート

2011-06-14 20:59:55 | 08年生
エリンコート(デュランダル×エリンバード-Bluebird)牝・08生

主:6 結:5 土:3 弱:3 影:2 質[近]:1 質[遠]:2 SP:4 ST:3
合計:29点 クラス:1B 芝:6~9F ダ:5~8F
日本適性:○ 成長力:△ 成長型:普通 馬場適性:兼用 重馬場適性:◎

○ 主導   (6)

 主導は、中間断絶ではあるもののNorthern Dancer4×4。このNorthern Dancer内においてAlmahmoudとLady Angelaを並列させ、血統を比較的強力にリードしている。ただし本馬の場合、Hyperion・Nasrullah~Nearco・Turn-toと5~6代目にクロスさせた為に、その明確性は乱れていると考えられる。しかしながら、最終的にNorthern Dancerへと血の流れが見られるのは幸いか。

○ 結合   (5)

 主導たるNorthern Dancerと、6代目までに存在するクロスである、Almahmoud~Mahmoud・Lady Angela~Hyperion・Nearco・Native Dancer・Pharamond(=Sickle)は、Northern Dancerに含まれる血統のため確実に結合している。また、Turn-to~Source Sucree・NasrullahはNearcoで、Tom FoolはPharamond(=Sickle)を通じて、Banish FearはSpearmintでそれぞれ直接結合を果たしている。ただし、Chop ChopはTom Fool内Sir Gallahad(=Bull Dog)を経由して間接的に結合を果たしているのは惜しまれる点であるが、総合的にみると比較的優秀だと考えてよいだろう。

○ 土台   (3)

 土台構造を形成するのは、Gainsboroughが17ヶで、やや良いといったレベルを確保はしている。強力なサポートを得られなかったのは、やや残念か。

○ 弱点   (3)

 母方Home By Darkに弱点が存在する。ノーザンテースト内の欠陥は補正されている為に非常にもったいない配合だと考えられる。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(8-13-10-3)とサワヤカプリンセスを強調している。同じく主導勢力を含むBluebirdも強調されているのは良いが、出来ることならば比較的質も高く、その生かし方もよいBluebirdを強調したいところだった。平均点にはあるか。

○ 質[近]  (1)

 近い世代の血の質はあまり高いとは言い難い。底力勝負には向かない血統構成。

○ 質[遠]  (2)

 クロス馬の質は良好とは言い難い。主導たるNorthern Dancerは比較的良好だと考えられるが、実質的に血統をリードするAlmahmoudとLady Angelaは決して良好だとは言えない。前述の質[近]とあわせ底力勝負には向かないと考えられる。

○ スピード (4)

 血統全体においてスピード色が強く、AlmahmoudとLady Angelaを中核に、Pharamond(=Sickle)・Turn-toがアシストしているのが見てとれる。開花した場合、器用な競馬をするタイプに育つ可能性が高い。

○ スタミナ (3)

 これといったスタミナの核を作る事に失敗した配合。かろうじて、Tom Fool・Chop Chopが、そのクロスの内容から、スタミナ勢力として機能する可能性はあるか。


 総合的にみると、決してシンプルではないものの、血統内のスピードをかなり引き出した内容だということは見て取ることができる。また、ノーザンテースト・Bluebirdの生かし方はよく芝・ダート兼用で重馬場は得意なタイプだと考えられる。また、好調期にはそのスピードを生かし強い競馬を見せる事ができる可能性は秘める。しかしながら、これといったスタミナの核を作る事はできず、オークスを制してはいるが、本質的に距離延長は苦手とするタイプで、短距離~マイルに適性があると考えられる。

グランプリボス

2011-05-17 22:32:30 | 08年生
グランプリボス(サクラバクシンオー×ロージーミスト-サンデーサイレンス)牡・08生

主:5 結:6 土:3 弱:5 影:3 質[近]:1 質[遠]:3 SP:4 ST:4
合計:34点 クラス:3B 芝:6~10F ダ:6~8F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (5)

 主導は、Nasrullah5・6×5の系列クロス。この主導は血統の2ブロックにしか存在しないが、4ブロック全てにおいて、その父Nearcoを散在させ強力に血統をリードしている。しかしながらグランプリボスの血統においては、Almahmoud6×5、Hyperion5・6・7×7・8・8も系列クロスを作成したため、その主導が不明瞭となっている。したがって、決して高評価できる状態にはない。ただし、この三者の結合がしっかりと強固になされているのは幸いだろうか。

○ 結合   (6)

 主導たるNasrullahと、6代目までに存在するクロスである、Nearco・Mumtaz BegumはNasrullahに含まれるために確実に結合している。またHyperionはChaucerによって、AlmahmoudはBlenheim・Mumtaz Mahalで、Bull LeaはSpearmintで、LavendulaはPharos・Swynfordで、Sickle(=Pharamond)はPhalarisで、Big GameはBlandfordでそれぞれ主導に直接結合している。Discoveryは、直接結合を果たしていないものの、Almahmoud内Fair Playを通じてNasrullahと結合を果たしている。この結合力はかなりのレベルで、非常に強固だと考えることができる。

○ 土台   (3)

 土台構造は、Pharos(=Fairway)が14ヶともの足りないが、Blandfordが13ヶでアシストしたのは幸いで、平均点にはあるか。

○ 弱点   (5)

 特に大きな弱点や欠陥は存在しない。ノーザンテーストを血統内に含む配合馬において最大の問題点であるVictoria Parkであるが、当馬の場合Buchan・Sir Gallahadをクロスさせ主導と連動させた為に、ひとまず補正されている。全体的に優秀だと考えてよいだろう。

○ 影響   (3)

 影響度バランスは、(10-6-4-5)と父サクラユタカオーを強調。Hyperionが強い影響を持ちながらノーザンテーストの影響を最低限に抑えた点は妙味がある。良好だと言えるだろう。

○ 質[近]  (1)

 近い世代の血の質は全体的に高いとは言い難い。サンデーサイレンスの影響が一番低い点も惜しまれる。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるNasrullahやAlmahmoudは決して質の高い配合だとは言い難いが、Hyperionも強い影響をもてたのは幸いか(血量的には最も多数)。ただし、平均かやや低いレベルだと考えられ、底力勝負にはむかないタイプだろうか。

○ スピード (4)

 主導たる、Nasrullahを中核に(クロスこそしないものの3/4同血のRoyal Chargerと呼応したために、Nasrullahは最大限にスピードが引き出されている)、Almahmoudのスピードを補給した配合。また、Lady Angelaの父系クロスが目覚めた場合、更にスピードに良さがでるタイプで、あくまでも国内の軽い芝向きのスピードではあるものの優秀な内容。

○ スタミナ (4)

 Plucky Liegeを伴うBull LeaとBig Gameを中核にした配合。決して長距離向きの血統構成ではないが、粘り強い末脚を出せるタイプで、芝10Fまでなら何とか対応可能か。


 総合的にみると、あくまでもジャパンスペシャルな血統構成ではあるものの、生かされたスピード・スタミナはなかなかに強靭で、父とは流れが若干異なるものの、迫力がある血統構成ではある。ただし、血統を構成する血の質はいまひとつ高くなく、本当の意味においての底力勝負には不向きだと考えられる。また、世代の新しい母に対して、父の世代がやや古いために、土台構造が若干散漫でこの部分から安定感や距離延長に対しての適性はあまり高いとは考えづらい。
 それでも貴重なテスコボーイ直系の後継者としての活躍をこれからも期待したい。また、それに応えられるだけの資質は有すると考えられる。

クレスコグランド

2011-05-05 18:21:19 | 08年生
クレスコグランド(タニノギムレット×マンハッタンフィズ-サンデーサイレンス)牡・08生

主:5 結:5 土:1 弱:5 影:2 質[近]:3 質[遠]:4 SP:3 ST:4
合計:32点 クラス:2B 芝:9~12F ダ:8~11F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

○ 主導   (5)

 主導は判断が難しいものの、Nasrullah6・7×7の系列クロス。しかしながら、Romanが6・6×8、Alibhaiも6・7×8と系列クロスを形成し、同程度の影響力を行使したのは明らかにマイナス要素で(単体の血量的にはRomanのほうが強く、その意味でもちぐはぐな配合)、更に単一クロスであるものの、Hail to Reason4×4や、Ribot5・6×7が主導の明確性を妨げている。したがって、主導項目の評価は決して良好であるとは言い難い。ただし、ある程度の血の流れがNasrullahへと見られるのは幸いだろうか。

○ 結合   (5)

 主導たるNasrullahと6代目までに存在するクロスである、Hail to ReasonはNearcoで、RibotはPharosで、MahmoudはBlenheimでそれぞれ結合を完了している。しかしながら、Roman・Solario・AlibhaiはHail to Reasonを介して間接的に結合しているのはマイナスだと考えられる。これは、明確な主導勢力を形成できなかった血統構成全体の問題であると考えられるが、7代目以降に存在するクロスや、前述のRoman・Solario・AlibhaiがHail to Reasonによってしっかりと結合している状態は見てとることができる。つまりHail to Reasonのクロス自体は有効で、主導勢力の明確性において多少のマイナスは生じるものの、クレスコグランドの血統においては重要な役割を果たしていると考えられる。

○ 土台   (1)

 Pharos(=Fairway)が11ヶで形成。単一の土台構造としてはかなり貧弱で、決して安定感のある形態とは言い難い。また、サポートもBlandfordが7ヶとかなり弱い。決して良好であるとは言い難い。

○ 弱点   (5)

 これといった大きな弱点や欠陥は存在しない。母方Ticinoに欠陥は存在するが実質的に異系交配である点と、影響が非常に弱い部分であるのは幸いしているだろうか。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは、(9-3-5-0)とけっして良好とは言い難い。母母方7代目の影響度0は大きなマイナスだが、7代目においてNasrullahが存在しひとまず連動をはたしているのは幸いだろうか。

○ 質[近]  (3)

 近い血の質は比較的高い。母マンハッタンフィズは平均的だと言えるが、3代目までに存在するサラブレッドの質はかなり高い。底力勝負可能。

○ 質[遠]  (4)

 主導たるNasrullahの血の質は良好であるとはいい難いが、Ribotをはじめクロス馬の質は総じて良好である。前述の質[近]とあわせ、優秀だと考えられる。

○ スピード (3)

 主導たるNasrullahを中核に、Roman・Blue Peterがアシストする配合。比較的良好で芝・ダート兼用の素質を備えている。ただし、決して器用なタイプだとは言い難い。

○ スタミナ (4)

 Plucky Liegeを伴うBull Leaを中核にした配合。血統全体でTeddy系のスタミナが生きている為に比較的良好だと考えられる。また、父系クロスであるGraustark・Sicambreが目覚めた場合、距離延長に適性を見せても不思議は無い(この評価はGraustark・Sicambreを効果ありと判断している)。


 総合的に見ると、主導の不明瞭さをはじめ、土台構造の貧弱さなど決して褒められた内容であるとは言い難い。しかしながら、生きた血の質はかなりのレベルで、タニノギムレットやマンハッタンカフェ(=マンハッタンフィズ)を血統表に含むサラブレッドが血統評価以上に活躍しやすいのは、近い世代の血の質がかなり良好であるのが理由だと個人的には考えている。
 また、本馬の場合12F克服はクロスだけを考えた場合、やや厳しいと考えられるが、7代目以降のスタミナ勢力を確実に補給できた点や、前述した父系クロスのスタミナを確保できた場合、12Fをギリギリ克服できる可能性は考えられる。
 したがって、本質的にはパワー型の配合だと考えられるため、長い眼で鍛えて欲しい配合で、総合評価こそ2Bだが底力は秘める。ただし、実質的にはノーカウントだが世代のバランス(母母方が特に悪い)や土台構造の貧弱さなどを考えると、決して信用を置ける内容だとは言い難い。面白い血統構成ではあるので、無事な開花を願う。

オルフェーヴル

2011-04-25 17:57:30 | 08年生
オルフェーヴル(ステイゴールド×オリエンタルアート-メジロマックイーン)牡・08生

主:7 結:5 土:4 弱:4 影:2 質[近]:2 質[遠]:2 SP:4 ST:3
合計:33点 クラス:2B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:○ 成長力:□ 成長型:早め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

○ 主導   (7)

 主導は中間断絶ではあるものの、ノーザンテースト4×3。ノーザンテーストは次いで影響が強く系列クロスを形成する、Lady Angela6・7×5・6および、Almahmoud5・7×6を内包し、他に影響の強いクロスが血統前面に存在しないのも幸いし、血統全体を比較的強力にリードしている。

○ 結合   (5)

 主導たる、ノーザンテーストと6代目までに存在するクロスである、Lady Angela~Hyperion、Almahmoud~Mahmoud、Nearcoはノーザンテーストに含まれる血統である為に確実に結合している。また、NasrullahはNearcoを通じて、PharamondはPhalaris・Seleneを通じ結合を完了している。オルフェーヴルは、血統の前面においてノーザンテースト以外に影響の強いクロスを、作成しなかったのは主導面において有効に作用しているが、結合面においても、比較的シンプルな形態を作成できたのは幸いだろう。ただし、7代目以降においての連動性は決して高いとは言えず、近交馬である点も踏まえると、不満が残る内容であることも確かだろう。

○ 土台   (4)

 土台構造は、Gainsboroughが16ヶで形成。単一の土台構造としては平均的なレベルを確保している。更に、Blandfordが17ヶでサポートしている。新しい世代の配合としては中々に強固な内容だと言えるだろう。

○ 弱点   (4)

 母方Victoria Park・Bronze Babu内に弱点を派生させている。しかし、前者は9代目においてSir Gallahadが、後者も同じく9代目にBlandford~Swynfordが配されている為に、さほどの弱点だとは言えないだろう。決して劣悪なレベルではないものの、近親度が高いのはやはりマイナスではあるだろうか。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは(4-4-0-8)と母母エレクトロアートを強調している。父母のバランスは(8-8)と悪くはないものの、母父であるメジロマックイーンの影響度が0となったのが非常に惜しまれる。できることならば、質の高いサンデーサイレンス・ゴールデンサッシュ・メジロマックイーンを強調したいところだった。

○ 質[近]  (2)

 父母の血の質は決して高いとは言えないが、2代目に並ぶサンデーサイレンス・ゴールデンサッシュ・メジロマックイーンは非常に質が高い血統構成をしている。ただし、ノーザンテーストや、ダイナサッシュ等バランスを崩した配合も並び、総合的には平均的だと言えるだろうか。

○ 質[遠]  (2)

 主導たるノーザンテーストは決して質の高い配合とは言い難い。また、影響の強いLady Angela・Almahmoudも決して質が高いとは言えない。底力勝負には決して向かないタイプだと言えるだろう。

○ スピード (4)

 主導たるノーザンテーストは軽い短距離向きのスピードを再現するが、次いで影響の強いLady Angela・Almahmoudも軽いスピードをノーザンテーストへと補給している。更に、Nasrullahや8~9代目になるものの、Tetratemaが決め手を加えている。日本向きのスピードを良く再現しているだろう。

○ スタミナ (3)

 これといったスタミナの核を作れなかった配合だと言える。したがって距離延長は本質的には不利な血統構成をしている。芝12F以上の克服には展開の助けが必要だろう。しかしながら、7代目以降において、Donatello・Sir Gallahad(=Bull Dog・Noor Jahan)が前面のスピードを底支えしているのを見ることが出来、Lady Angelaの影響が強いものの、Hyperionが9連とスピード・スタミナ両面においてアシストしているのは幸いで、意外と長く脚を使えるタイプになり得る。


 総合的に見ると、決してバランスの良い血統構成だとは言い難いが、主導たるノーザンテーストへの血の集合力は非常に良好で、Gainsborough系の血の流れはかなりの迫力があると考えられる。スピード面で前述したように、Tetratemaの決め手や、9連あるHyperionは非常に魅力的で、差し脚に良さがあるタイプであるという事が血統構成からも見てとる事ができる。
 ただし、前述したようにバランスが良いとは言えず、スタミナの核を持たなかった点も惜しまれる点で、あくまでもジャパンスペシャルなスピード馬だと言えるだろう。