血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

13年 各国ダービー馬

2013-07-31 22:45:36 | 雑記・その他
 今回の血統徒然草は、世界各国のダービー馬を血統構成から振り返ってみたいと思います。簡単にではありますが、お付き合い頂ければ幸いです。

※日本ダービー馬
キズナ(ディープインパクト×キャットクイル-Storm Cat)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=231960

主:6 結:5 土:3 弱:6 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:38点 クラス:1A 芝:8~12F ダ:8~11F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:普通 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:□ 距離延長適性:○

 主導は、Northern Dancer5×4の中間断絶クロス。その中のAlmahmoud5×7・6で実質的に血統をリードしている。決して明瞭とは言い難いものの、ひとまずNorthern Dancerに血が集合している事と、血統全体でGainsboroughの流れが強く、父母から継続しその維持が出来たのは大きなセールスポイントで、仕上がった際には非常に迫力のある内容だと言う事ができるだろう。また、血統全体の結合力は、やや間接結合に頼る部分はあるものの、ひとまず完了しているのも見て取ることができる。更に生かされたスピード・スタミナ勢力は強靭で、スピードは主導たるAlmahmoudを中核に、Pharamond(=Sickle)。スタミナは更に強靭で、Aurora~Hyperion・Donatello・Somethingroyal~Princequilloと隙が少ない。惜しむらくは父の決め手の源となったTurn-toや、スタミナを支えたCourt Martialの欠落だが、全体的には非常に良くできた血統構成。是非、無事な開花を望みたい。

※英ダービー馬
Ruler of the World(Galileo×Love Me True-Kingmambo)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=235550

主:5 結:5 土:3 弱:3 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:3
合計:33点 クラス:2B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:早め 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:○ 距離延長適性:○

 主導はMr.Prospector4×3の系列クロス。このクロスはRaise a Native~Native Dancerを伴い、比較的強力に血統をリードしている。途中、Polynesian~Unbreakableが断絶するものの、6連存在するNasrullahが屈曲的ながら主導をサポートしている為に、不安定ながらも主導として機能はしている。しかしながら、この状態は決して良好であるとは言えず、Northern Dancerも3×5と中間断絶ながら強い影響力を行使したのはマイナスだと言えるだろう。反面、血統全体の結合力は近親度が強いものの比較的強固で、主導内Nearco~Pharos/Sickle(=Pharamond)~Phalarisを核に結合を完了しているのが見てとれる。
 惜しむらくは、父内Almyraにおいて弱点を発生させた点で、9代目においてPharos~Phalaris、Teddyとクロスさせるものの、近親度の強さから若干のマイナスだと言えるだろう。
 しかしながら、これだこの近親度が強い配合ながら、影響度バランスは(15-9-15-10)と比較的良好で、血統を構成する血の質もかなり良好で、仕上がった際の破壊力は感じられる内容だと言えるだろう。また、全体的にはスピード優位の配合で、芝12Fは守備範囲外だと考えられるが、7代目以降において質の高いスタミナを多数クロスさせ、主導と連動させている為に、距離延長に対し、ある程度の適性を秘めているのは指摘しておきたい。

※愛ダービー馬
Trading Leather(Teofilo×Night Visit-Sinndar)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=235891

主:8 結:4 土:2 弱:6 影:2 質[近]:2 質[遠]:3 SP:4 ST:3
合計:34点 クラス:3B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:○ 距離延長適性:□

 主導は、Northern Dancer4・5×5・6を伴うDanzig4×5の系列クロス。この主導はNatalma~Native Dancerと継続し、他に強い影響を持つクロスも少ない事から、位置の悪さを残すものの比較的明瞭で、当馬の血統を強力にリードしている。
 しかしながら、当馬の血統構成の最大の弱点は、近親度が強い割りに結合力が弱い点である。6代目までに存在するクロスはほぼDanzig~Northern Dancerの傘下にあるものの、Lalunは完全に離反し、そのスタミナを取り込むことに失敗したのは非常に勿体ない部分であると言えるだろうか。加えて、その土台構造は散漫で、常に安定した走りを望むのは難しい配合であるとも言えるだろうか。
 ただし、これといった弱点はかろうじてと言える部分もあるが、存在せず本質的に両親の相性は良くない配合だと言えるものの(父母の持った影響の強いクロスの殆どを欠落させている。ただし、そのおかげでバランスの悪い配合だったと言える、母の血の流れを断ち切ったのは評価に値するが。)
 また、生かされたスピード勢力はなかなかに良好で、主導たるDanzigを中核にNasrullahがアシストし、7代目以降であるものの、Turn-to~Royal Chargerを上手く生かしているのが見て取れる。反面、スタミナ勢力はかなり貧弱で、Sadler's Wells内Northern Dancer程度であるのが見て取れる。それでも、当馬が12Fを克服できた要因を血統的に解釈すれば、前述した父母の欠落したクロス馬達(Buckpasser・Ribot・Wild Risk・Hurry Onを伴うCourt Martial等、その殆どがスタミナ系のクロス)に求められるかと考えられる。従って本質的にはマイル~中距離馬であり、将来的には10F前後に最も適性を示すと考えられるだろうか。

※仏ダービー(ジョッキークラブ賞)馬
Intello(Galileo×Impressionnante-Danehill)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=236123

主:7 結:5 土:2 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:4 ST:3
合計:32点 クラス:2B 芝:8~11F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:早め 
芝適性:○ 砂適性:□ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:□ 距離延長適性:□

 主導は、Natalma~Native Dancerと継続させた、Northern Dancer3×4・5の系列クロス。Northern Dancer~Natalmaは血統の3ブロックに存在し血統を強力にリードしているものの、父母内(Ⅱブロック)においては6代目Native Dancerから、影響を行使しているのは、やはりマイナスで惜しまれる点である。反面、近親度が強い配合ではあるものの、その結合力は強固で、6代目までに存在するクロスにとどまらず7代目においても、ほぼ結合を完了している点は当馬の血統構成を考える際に、大きなアドバンテージを与えていると考えて良いだろう。
 ただし、近親度が強い配合でありながら、父方Almyra内に弱点を発生させており、土台構造も決して強固とは言えず、影響度バランスもさほどの安定感は無く、これらを勘案すると決して安定的な血統構成だとは言い難い。
 しかしながら、明確な主導を武器に、Raise a NativeのスピードとBuckpasserのスタミナを上手く補給しているのも見て取ることができ、仕上がった際の破壊力は期待出来る内容であるのは指摘しておきたい。

※伊ダービー(デルビーイタリアーノ)馬
Biz the Nurse(Oratorio×Biz Bar-Tobougg)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=235641

主:7 結:5 土:3 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:4 ST:4
合計:34点 クラス:3B 芝:8~12F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 
芝適性:○ 砂適性:○ 重馬場適性:○ 距離短縮適性:□ 距離延長適性:□

 主導はDanzig3×4の系列クロス。この主導はAlmahmoudこそ欠落するものの、Northern Dancer~Natalmaと継続させ、血統を強力にリードしているのが見て取ることができる。また、近親度こそ強いものの、6代目までに存在するクロスの全ては主導と結合し、連動しているのも当馬の大きなセールスポイントであると言えるだろう。
 しかしながら、近親度が強い配合にもかかわらず、母方Fairy Bridge内に弱点を発生させているのは無視できないマイナスで、影響度バランスもかなりいびつな為、安定感にはやや劣る事は指摘しておきたい部分である。
 それでも、本質的にはスタミナ優位で、生かされたスピード・スタミナも強靭な為、距離適性の幅は広いタイプに育つ可能性を秘めているとも言え、生かされた血の内容から本質的には芝向きであるものの、ダートへの適性をある程度、秘めている可能性も考えられ、全天候型の血統構成であると考えて良い。

※独ダービー(ドイチェスダービー)馬
Lucky Speed(Silvano×Lysuna-Monsun)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=236524

主:7 結:6 土:2 弱:4 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:3 ST:4
合計:34点 クラス:3B 芝:10~15F ダ:~10~F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:普通 
芝適性:○ 砂適性:△ 重馬場適性:□ 距離短縮適性:△ 距離延長適性:○

 主導はSurumu4×4の中間断絶クロス。Literatが断絶するものの、その父Birkhahnを6×5・6と血統の3ブロックに配置しひとまず主導としての機能を果たしていると言える。また、主導たるSurumuは欧州においても異端児的な独血統であるため、この血を主導とした場合、全体の結合力が弱くなりがちだが、当馬の場合Northern Dancerが血統全体の結合力を多少なりとも、引き締める役割を果たしているのは幸いだと言えるだろうか。惜しむらくは、土台構造がかなり散漫な点と影響度バランスの不安定さに加え、母方Hardiemma内の弱点だが、ここまで明確に独血統中心で構築された血統もかなり珍しく、やや古臭さを感じるものの、全体的にBay Ronald系の流れを強く維持しているのは、大きなセールスポイントであると考えられ、厳しい流れを押し切るような底力を秘めていると考えてよい。
 また、全体的にスタミナ優位で、本質的にはステイヤーといっても構わない内容だがOwen Tudorをはじめとして、NasrullahやAlmahmoudも隠し味的に不足しがちなスピードを補給しているのは、当馬の競争成績に少なからず影響を与えていると考えてよいだろう。

※ケンタッキーダービー馬
Orb(Malibu Moon×Lady Liberty-Unbridled)牡・10生

9代血統表:http://pednet.k-ba.com/cgi-bin/ped/pedigree.pl?gene=9&data=234996

主:5 結:5 土:4 弱:3 影:2 質[近]:2 質[遠]:4 SP:5 ST:3
合計:33点 クラス:2B 芝:7~10F ダ:5~9F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:早め 
芝適性:□ 砂適性:○ 重馬場適性:○ 距離短縮適性:○ 距離延長適性:□

 主導はMr.Prospector3×4の中間断絶クロス。Raise a Nativeが断絶するものの、ひとまず主導として機能している。しかしながら、当馬の血統においてはBold Rulerが5・6×5と系列クロスを形成し、両者はNasrullahで非常に強固に結合するものの、その明確性を大きくみだしているのが、惜しまれる点である。ただし、近親度の強い配合である為にある意味当たり前であるが、血統全体の結合力は非常に強固で、土台構造もSir Gallahad(=Bull Dog)を中心としてPharos(=Fairway)、Man o'Warと連合勢力であるものの、良好な状態を作り出していると言えるだろう。
 ただし、近親度が強いゆえに影響度バランスは不安定で、母方Anguar内に弱点を発生させるなど、かなりちぐはぐな印象も受ける内容となっている。
 それでも、生かされたスピード勢力は非常に強靭で、スタミナ勢力もそれには劣るものの、なかなかに優秀な内容となっている。決してシンプルな血統構成では無く、前述の問題も併せて鑑みるに、安定感には程遠いと言えるだろうが、本質的には爆発力があるマイル向きのダート馬だと言えるだろう。


今回の血統徒然草は、世界各国のダービー馬を簡単に見ていきました。簡単にではありますが今回はこんなところで。