血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

キンシャサノキセキ(高松宮記念)

2010-03-30 17:33:02 | 2010年GⅠ勝ち馬
キンシャサノキセキ(フジキセキ×ケルトシャーン-Pleasant Colony)牡・03生

主:7 結:3 土:3 弱:5 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:3 特:1(主導牝馬クロス)
合計:35+1点 クラス:3B 芝:7~10F ダ:~8~F
日本適性:□ 成長力:□ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 主導はAlmahmoud5×6の系列クロス。次いで、Nasrullah7×6で血統をリードした完全異系交配馬。主導たるAlmahmoudは、血統の2ブロックにしか存在しないが、父Mahmoudを6・7×7・7・7・8と3ブロックにではあるが血統に張り巡らせ、全体を比較的強力にリードしている。

 ただし、完全異系交配であるとの点を考慮したとしても、全体の結合力はやや弱く、Princequillo6×6は、8~9代目Gay Crusader~Bayardoを通じ結合こそ果たしているものの、その効果はやや疑問である。更にNasrullahは7代目Blenheimで、その父NearcoはNasrullahを通じ、Tourbillonは10代目St.Simonを通じなんとか結合をしている。このように影響の強いクロス馬達を、主導たるAlmahmoudがまとめきれなかった点が、この配合の最大の弱点であると言える。

 しかしながら、生かされたスピード勢力は中々に強靭で、Fairway・Nasrullahを上手く主導たるAlmahmoudへと補給しているのを見て取れる。

 スタミナ勢力は、スピード勢力に比較すると頼りないがHyperionを中核に、結合こそ弱いもののPrincequillo・Tourbillonと引き出しの難しさは残るものの、中々に良好だと言える。

 本質的には、マイル~中距離タイプだと言える血統構成で、スピードタイプでありながら、重厚なスタミナをしっかりと持ち、日本向きの素軽いマイラーとは一線をかくしている。今後の活躍も期待したい。

スティルゴールド

2010-03-17 20:02:46 | 07年生
スティルゴールド(フジキセキ×カーラパワー-Caerleon)牡・07生

主:5 結:5 土:2 弱:5 影:3 質[近]:3 質[遠]:4 SP:3 ST:5 特:1(主導牝馬クロス)
合計:35+1点 クラス:3B 芝:9~15F ダ:8~11F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 スティルゴールドは血統の前面で、Almahmoud5×6を作成し主導とした配合。次いでMilan Mill5×5をほぼ系列クロスにし、血の集合はかなり不明瞭で主導としての評価はいまひとつだろう。更に、単一クロスではあるもののHail to Reason4×5のクロスも生じている。

 この事からも簡潔に解るが、Hail to Reasonが単一クロスで影響が弱く、結合面をアシストをしてはいるものの、当馬の配合における最大の問題点は、個々の主張の強い血脈を主導たるAlmahmoudがまとめきれなかった点である事は疑いようが無いだろう。

 したがって、これだけでは決して評価しようがない血統構成であるが、スティルゴールドの最大の長所は、その問題点と背反の関係にあると言える。つまり、前述したMilan MillがPrincequillo~Prince Roseと継続クロスを形成した点である。本来、Almahmoudを主導とした場合、Princequilloのスタミナを取り込む(結合させる)ことは非常に難しいが、Milan MillがHyperion~Gainsborough~Bayardoを内包しているために、極めて強固とは言い難いものの確実に結合を果たしている(自身の土台構造を形成しているのもGainsboroughであり、その面でもプラスに作用していると考えられる)。この重厚な血脈をスタミナの核とし、フジキセキの産駒としては非常に珍しい中~長距離型の血統を作り上げる事に成功している。

 また、父母をはじめサンデーサイレンス、Caerleon~Nijinsky、Shirley Heights~Mill Reefと血統を構成する血の質も高く、成長力・底力共に期待できるが、それだけに日本向きの血統だとは言えない(軽いスピードで、強い影響を持つのはNasrullah(=Malindi)7×6・7・7程度)。

 しかし、それでも非常に興味深い血統構成をしているのは間違いなく、距離適性の考察(真性のステイヤーではないものの15F克服可能と判断した)も含め注目に値すると考えている。この、異端児とも言えるフジキセキ産駒の飛躍を期待したい。

セイルラージ

2010-03-04 20:34:57 | 07年生
セイルラージ(アグネスタキオン×ビワパシフィカス-ブライアンズタイム)牡・07生

主:5 結:5 土:3 弱:6 影:2 質[近]:3 質[遠]:4 SP:4 ST:5 特:1(主導牝馬クロス)
合計:37+1点 クラス:1A 芝:8~15F ダ:8~12F
日本適性:△ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

 セイルラージは、血統の前面でAlmahmoud5×5を作成し主導とした配合形態で、単一クロスであるHail to Reason4×4で結合をアシストした比較的ありふれた配合形態だと言えるだろう。

 しかしながら、主導たるAlmahmoudは、父Mahmoudを3ブロックに配したものの、Ⅲブロック(母父ブライアンズタイム)内においては8代目に存在する為、決して血統全体を強力にリードする存在ではない。

 また、結合力という側面においても、Hail to Reasonがアシストをするものの、TeneraniはNearco内Havresacを通じかろうじて結合を果たし、その効果はやや疑問である。

 しかしながら、これといった弱点のない血統と、安定感のある影響度バランスには見所があり、ややクロス多可気味であるものの、仕上がった際には非常に迫力がある内容だと言えるだろう。

 また、生かされたスピード・スタミナ勢力は強靭で、スピード面はNasrullah・Pharamond
(=Sickle)・My Babuとクロスさせ、主導たるAlmahmoudへと補給され、Hyperionが7連と開花した場合は器用なレースを見せる可能性を秘めている。スタミナ勢力は更に強靭でAlycidon(=Acropolis)・Bull Lea~Sir Gallahad(=Bull Dog)~Plucky Liege、前述したHyperion。隠し味的にBlue Larkspur・Tourbillonと隙が少ない。前面のクロスを鑑みるに、本質的なステイヤーではないだろうが日本の芝でなら間違いなく15F克服可能。

 偉大な叔父の背中は遥か彼方にあるだろうが、追いかけられるだけの素質は秘めている。その馬名(セイルラージ=順風満々)どおりの競争生活を送れる事を願う。