せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

自然再生林は命をつなぐ 〜国際ふるさとの森づくり協会創立10周年記念講演の参加して〜

2018年10月22日 | 森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト



横浜で交流のある建築士の方より、
神奈川県建築士会へも呼びかけ頂いた
環境問題を考える講演会に参加してきました。

素晴らしい活動記念と講演でした。
基調講演は、環境考古学の第一人者である安田喜憲先生。

先生の講演を拝聴して、

やっぱり、日本人は凄かった!

と、思うと同時に、

やっぱり、このままでは、まずい!

という気持ちを強くしました。

何が凄いかというと、自然との共生のこと。

地球の中でも最も、山—里—海をつなぐ歴史があり、
自然を崇拝し、農耕民族として、保全に努めて来た歴史があるということ。

西欧の文明は、森林の崩壊と共に無くなったこと。
西欧は木を大事にするというが、それは、一度無くなっているから。

禿山の現状を、これが進んだ文明だという
日本教育で教えている世界史がおかしい!

と、強く強調され、まさに、私も目から鱗が落ちました。
西欧への憧れ。
それが、なんとなく、もしかして、嘘っぽい?
と感じつつあったからです。

エーゲ海を見て、いつかは私もセレブになって
バカンスをここで過ごす(というヨーロパ人のスタイル)
をやってみたいと思っていた建築を学ぶ学生時代。

しかし、故郷熊本の天草の海で久しぶりに泳いで
な〜んだ、ヨーロッパまで行かなくても
美しく豊かな海はここにあるではないか!
と気がついた数年前の自分の変化と、非常にリンクしました。

「エーゲ海など、魚はほとんどいません。ギリシャの山が禿山だからです。
すこしも豊かな海ではないのです。」という安田先生のご指摘に、
身を以て、実感があるだけに、うんうんと頷くのでした。

西欧の方が、文明が進んでおり、
日本は真似をして追いつけ追い越せの時代であったが、
それは、愚かなこと。

今の日本でも、このまま森林が崩壊すれば
愚かなことが起きるというお話し。

警鐘を鳴らされていると言っても良いでしょうか。

あ〜、気がついている人間はいるし、意識のある人もいるし
活動している人もいます。それでも、まだまだマイナーなのだなと
つくづく思ったのも、事実。

なぜなら、先生の教え子が環境省に入って活動しているが、
その中でマイナーであるとのお話
つまり、日本の方針を決めるお上でさえ、
まだ危機的状況に気がついていない。

さらに、この会場に来たのも、
神奈川建築士会への呼びかけであったにもかかわらず、

懇親会まで残ったのは、
私の知る限り、呼びかけ本人と、その事務担当と、
私の3人しかいないのです。

うそ!?と思われるかもしれません。

前の日に、呼びかけの人が声掛けして少し、
人数は増えたものの、建築士会からの参加者は奮わなかった
とおっしゃっていました。

このことからも、ものづくりの人間の
森づくりへの関心の薄さが窺われ、ちょっと残念でした。
やっぱり私はマイナーなのだなぁとしみじみ、笑。

森や林業とユーザー、使い手や担い手を結べるのは、
建築士だと思うのだけどなぁ。。。

他にも
間伐材を商品化し、ブランド化しようと
里山整備を頑張っておられる方のお話。

東北で広葉樹による自然林での
「森の防潮堤」を作る活動をされている住職のお話。

植樹祭を企画してボランティアを募り、
森づくりを活動している協会の10年の歩みのお話を伺って、

本当に、ありがたい!の一言につきました。

建築のものづくりは、環境との共生にはまだまだ程遠く、
津波への防潮堤もコンクリートをいかに高くするかで議論され、
東北では、実際に工事に入っており、

その中でも、広葉樹林の大切さを論されている
宮脇先生の地震後の調査で、
タブの木が残っていたことから、
そして、タブの木が、被害を食い止めている実際の出来事から

海沿いは、松ではなく、防潮には適しているとのことで、
広葉樹を植樹し、森の防潮堤を作っておられる皆さん。

建築ではできないことをやってくださっているからです。

行政からは、静岡の県知事がいま、
それを始めようとしているという活動報告があり
素晴らしい。と思うと同時に、うらやましくもあり。。。

『神奈川県と静岡県は隣なのだからぜひ手を取り合って!』
と、現在は静岡で
「ふじのくに地球環境史ミュージアム」館長を務める
安田先生からの提言も。

実際の地質調査で、花粉分析により、
1万年前のギリシャでは森林が豊かで、
5千年前には破壊されているということが分かるそう。

データをみながら安田先生のお話に、私の想いは
ギリシャのヨーロッパでの最初の経済破綻は、
やはり、時代の先を入っているからに違いないと密かに思うのでした。

ギリシャ文明は、人間の文明の源と言っても過言ではないと思っています。
人間の学問の発端、知恵や工夫、哲学がギリシャ文明にはあり、ギリシャ神話の教訓も、今でも本質です。

アーキテクト(=建築家)という言葉が生まれたのも、
パルテノン神殿という古典的建築物が生まれたのもギリシャから。
東大合格するに必須な!?記憶術も、ギリシャ古代からある手法なのです。

(記憶術は、最近知りました。もっと早く知っていれば受験に苦労しなかった!?
というのは、わかりませんが。)

その文明国家が立ち行かなくなるのですから。。。

日本は、欧米に真似る、流される時代から、ここで足を踏ん張り
流れを変えていかねば、

暮らしの豊かさ、人間らしさ、自然の美しさも
残せないと危機感をますます、募らせました。

子どもにも聴かせたかったなぁ。。。もったいないと思いつつ、
次の日、子どもの教科書を覗いてびっくり!

何と中学校の国語の教科書は、ちょうど
安田先生の「モアイは語る 地球の未来」
なんという連動。

これは、ちゃんと子どもにも真実と危機を伝えていかねばという
ことですよね。先生!

著書をしっかりと読んだことはなかったので、早速
「人類一万年の文明論」を読ませていただこうと思います。

このタイミングで、講演会に参加できたことは
なかなか進捗が鈍い、森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクトへの
私の焦りをかき消してくれました。

超有名な先生の教え子でも、マイナーなら、
私なぞ、超マイナーで、進むしかないのです。

焦らず、腐らず、諦めず

できることから、取り組みます!

声掛けくださったTさん、事務方の皆様にも
多大な感謝です。

せっかくなので、講演頂いた皆様の活動のリンク先をご紹介します。
活動の素晴らしさがわかると思います。ぜひチェックくださいね!

・NPO法人・時ノ寿の森クラブ
http://tokinosunomori.com/
・一般社団法人森の防潮堤協会
http://morinobouchoutei.com/
・KALAプロジェクト NPO縄文楽校
https://joumon.hamazo.tv/e7941428.html
・NPO法人国際ふるさとの森づくり協会(レナフォ)
http://renafo.com/
・静岡県 ふじのくに森の防潮堤づくり
http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-760/boutyoutei/boutyoutei.html

追伸:
そして、大いに気になるのが水道の民営化、これはダメです。
今夏、衆議院で可決されたと知った時は、背が凍りました。
参議院は見送られたようですが、中止必須です。

森の現状を知るにつれ、山の土が腐っており、
ろ過の役目を果たしていない現状で、
美味しい水が10年後には飲めなくなる!

水の有料化もさほど、遠い日本ではないだろうと
感じたことが現実にならないように、
活動を進めている訳です。

活動始めた当初、水に関して調べた6年前、
海外の民営化の弊害を知り
水の利権争いが、最もこれから起きるであろうと感じ

第三次世界大戦は、水に関して起きるであろうとの予測もあり、
(これは、根拠を私は示せないので、つぶやきでしかありませんが)

最も大事なことは、未来の命を考えて水を守らないとなりません。

引き続き、水を守るための山にしていくことの
啓蒙と活動、、、具体的に行っていかなければと
身を引き締めています。

長文、最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。
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