せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

木を美しく見せる隠し技

2017年07月31日 | A02監理_東京都町田市R店改修工事

⇧柱の根元に、事前に加工がされているのがわかりますか?
ボルトの頭と、プレートを仕込むためです。


今回の改修工事のご要望は、
木でなるべくスッキリと間仕切りを作りたいとのこと。

「今ある天井側の梁から、吊る程度で出来ないか?」
とのお話でした。



ところが、間仕切りを設置したい位置は
天井側の梁とは、構造的な通り芯のズレがあるため、
持ち出してつけなくてはならず、
構造的には、振れ止め程度にしか効きません。

これから来るであろう地震のことや
出入りで吊り部材に荷重がかかり、たわむことを考えると

構造的な考えをクリアしないと提案できない
というのが設計者の考えです。

そこで、間仕切りを柱付きでご提案すると、

「将来、間仕切りの取り外し視野に入れで、
なるべく、既存の建物を傷めたくない。」

とのご要望で、一旦、見送られました。

パーティションの案もご提案したり、、、

それでも、使い勝手を考えると、、
やはり開け閉めできる間仕切りが良いとのこと。

結局、構造の心配ゆえに、

「柱を立てさせてほしい」
(設計者の都合ですが、、、責任とも言えます)

とお伝えすると、納得してくださり、施工に取りかかれました。

クライアントさんは以前、直接施工者に頼んで、
結局使えない空間になったという経験をお持ちなので、

建築士のいうことを聞いてくださるというのも
大きいですね。

時間も費用もかかりますが、、、。

実際出来上がってみて、とても良かったとご評価いただき、
ほっとしているところです。

プロに頼んでいただく意味は、どこにあるのかというと

やはり、小さな箇所でも、

1)人の生命の安全を脅かさない空間であること、
  こちらもブレてはいけないということ。

2)そして、緻密な計画。
  スッキリ見せたい=ディテールをちゃんと考える

3)現場にきちんと伝えて施工してもらう
  目的を共有すると、職人さんもアイデアを出してくださり
  
より、良いものになります。

⇧柱のピンは施工者の提案

⇧埋木で金物を見せないのは、監理者の指示

暑さの最中、丁寧な隠し技で対応くださった、
大工さんはじめ工務店さんには感謝です。

これからも、考えがブレることなく、
手を抜かずに、コツコツとご要望に対応できれば幸いです。

ディテールスケッチや裏側の出来上がった様子など
見てみたい方は、当事務所のHPも良かったらご訪問くださいね。
http://www.mk-ds.jp/newworks/2017/07/20177-r.html
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