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里やまのくらしを記録する会

埼玉県比企郡嵐山町のくらしアーカイブ

梅の香と人の世は 菅谷城跡を尋ねて 3 熊谷泰作 1957年

2010-02-05 10:36:00 | 熊谷泰作

 私の幼時を追憶すると今もなお自然は忘れることの出来ない存在となっていることに気づくことが多い。一木一草を眺める毎々に故郷の姿幼き日のいろいろのこと等が頭に浮んでくる。城跡といえば戦国の昔故郷の偉人二木豊後守重高は松本城主小笠原氏を甲斐武田の軍勢の手より救い、故山の中塔*に迎え攻め寄せた武田勢と戦い城を固く守って遂に信玄の計画である私の郷土征服の野望を、挫折させたこの重高の本城中塔城跡の姿が目に浮んで消えない。私はこの城跡に遊んで荒れはてた城のあとに戦国の世を偲ぶ日が多かった。「不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて空に吸われし十五の心」と啄木も歌っているが眼を閉じれば高塁樹々皆眼底に残り、忘れることの出来ない印象の一つとなっていて、又しても今日十五の心が脈うつのを覚える。

   菅谷中学校生徒会報道部『青嵐』8号 1957年(昭和32)3月

*:『城と古戦場』さんの「中塔城


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