「女性専用車両」で、あちこちで意見が交わされているようです。
それはそれなりに、その人その人の意見があるのでしょう。
それはそれでよいんですが。
痴漢被害に遭ったという人の一部の偏った情報が現実だというように流れるのは、ちょっと・・・と思うところがあります。
本当に現実的な被害の情報というのは、あまり表に出ないように思います。
大半のケースが、泣き寝入りだと思います。
わたしは都内23区内に生家があり、中学から私学に通っていました。
3駅、4駅、2駅と、二回乗り替えで3種の路線を使っていました。
中学入学は、痴漢被害体験のスタートでもありました。
学校は、中学で生徒募集があり、高校では外部募集がなく、短大と女子大とがある「純粋培養系」の学校でした。
わたしはスカートが長いでも短いでもなく、髪の毛が赤いでも茶色いでもなく、化粧をするでもなく。
真冬にコートというときに、マフラーの色でオシャレをしたり、ほのかに色のついたリップクリームを選んだり、そんな程度の中高生でした。
昨夜、USHIZOUさんの
CURRY DIARY (・x・)「女性専用車両についてのトラバへの考察」 にこんなコメントを残してきました。
わたしは生まれて初めて「男性器」というものを見たのは山手線の車内です。
13歳です。
手の甲に「皮膚」の感触があり、位置的に誰かの手かと思っていたのですが、目の前の人の両手の位置を確認したときに震撼しました。
少しずつ空間を作り、いきなり離れたら、大慌てでモノをしまえずにいる姿が大衆の面前にさらされました。
この方、次の駅でしまえないモノを出したまま、慌てて降りていきました。
車内の誰もがわたしを被害者と知っていましたが、誰も助けてくれるわけでもなく、「少しずつ空間を作り、いきなり離れたら」という自衛しかありませんでした。
その直後は、助けられる、フォローされるどころか、好奇の視線にさらされました。
生まれて初めて、男性の精液というものを知ったのも、通学中の電車の中です。
スカートにかけられました。
これは14歳のときです。
スカート切り魔の反抗跡を、目の前で目撃したこともあります。
横に切って縦に切り、ぺらっとめくれるように切ります。
被害に遭った子は、全く自覚なくやられていて、わたしが教えると泣き崩れました。
なかなか被害を言えない人間は泣き寝入りし、また、被害を口にできないタイプや年齢が狙われます。
女子高生よりは女子中学生の時代の方が、わたしは圧倒的に被害が多かったです。
ほぼ、毎日でした。
精神のどこかの部分が、慣れでマヒしました。
マヒすることに助けられていたこともあります。
親が私学に行かせたことを後悔すると思うと申し訳なくて、親に言ったことはありません。
(汚れたスカートは自分で処理しました)
自分のいる位置を、周囲の人間に合わせて選ぶということもよくやりました。
オッサンよけ、学生狙いという場所選択をよくやりましたが、制服の高校生さえ、手を出してくることがありました。
女性専用車両、必要かどうかということではなく、「いらないんじゃないか」「必要ないじゃないか」と簡単に言われると、ちょっと腹も立つ「経験者」のワタクシでした。
文中の「なぜ親に言わなかったか」ということ。
投稿後、思ったのですが、違いますね。
本当の理由は「騒がれることがイヤだったから」です。
これは友人たちもそうだと思います。
親に言ったという話は、特に聞いたことがありません。
いろいろなことを友達とのおしゃべりで乗り越えていく世代ですが、痴漢被害の話は、「痴漢に遭った」という話はよくしていても、何をされたかという具体的な話は出なかったように思います。
コメント文中の「男性器露見」の話は、わたしにはとても頑張った武勇伝だったので、登校後話し始めたら、みな出だしで恐怖というか嫌悪というかという感じで引きつってしまったのを感じて、すぐに話自体をやめました。
また、話すことで現場の「追体験」をするような感じも、イヤでした。
コメント文中の話は、人に体験談として「話せる」ようになったのは、前者が20代の後半になってから、後者は数年前が初めてです。
以下、その他の被害の具体的内容ですが。
*押しつけてくる
「日常的」でした。
堅いものが、太股、腰、等、下半身に押しつけられます。
一度に二人、三人というケースもあります。
自覚のポイントは、「堅い」ということと、電車が揺れたときにその一点が固定されたような動きをすることです。
押し返すと「うっ」と、奇妙な声で反応されてしまうことがあってから、カバンを持つ位置や、揺れた時に自分の立つ位置を変えていくということしかできませんでした。
朝のHRで、担任から何度も言われた話として「電車の扉のコーナー部に立つな」ということがありました。
ここに立つと、どこにも逃げ場が無くなり、何でもかんでも「され放題」になります。
この場所での「押しつけ」は恐怖です。
揺れではない、堅いものを中心とした腰の動きなど始まって、相手の呼吸が微妙に乱れ、その呼吸からも逃れられない。
当然、泣き寝入りです。
あなたは言えますか?
どこの誰とも、どんな人かもわからない人に、「あなたの性器をわたしに押しつけないでください」と。
駅員に被害を訴えるということもできません。
乗降駅は全て通勤通学ラッシュにてんてこまいですし、そんなヒマな駅員もいないと思います。
大人の男の人にさんざんな目に遭って、大人の男の人に性被害を訴えに行くということは、発想にはありませんでした。
*さわってくる
太股、腰等、下半身のあらゆる部分がターゲットになります。
まず、手の甲。
電車の揺れのときに、その手の甲は絶対に場所を変えません。
一定の時間の経過後、手の甲が裏返ります。
電車の揺れのときに、その手のひらで重心を支えてもらう、なんていう馬鹿げたことも日常です。
「さわられる」ケースは、「押しつけてくる」ケースと違って、勇気を出せば、声に出して言うこともできます。
「さわらないでください」と言う。
ただし、余程、はっきりと「被害」が明確になっていないと言えません。
逆ギレされることも、もちろんあります。
手首をつかんで、相手の顔を凝視し続けると、たいがいやめます。
にらむというより、凝視の方が、撃退の威力はあったと思います。
ひどいケースでは、制服のジャンパースカートの、ウェストから腿の部分に位置するスナップをはずされ、手が入って来そうになったことです。
学習したことは、下を向いてうつむけばうつむくほど、相手は「喜ぶ」ということです。
手の存在を感じて、動き始めたときから、絶対にうつむかない。
これも自衛の一つでした。
*奇妙なケース
1.「おテテつないで仲良し」
手を握ってきました。
離しても離しても、手を求めて握ってきました。
顔を見ると、とてもうれしそうなのが不気味でした。
相手を凝視すると、にっこりとされたのが怖くて、途中の駅で降りました。
2.「変な動物」
お尻を押しつけてきました。
かがんで、お尻を押しつけてきて、腰を左右に振るのです。
呼吸がだんだん荒くなって、前傾姿勢で、左右に大きく腰を振っていました。
恐怖というより、(この動物は何だろう・・・)という感じがしました。
明らかに目立つ動きでしたが、周囲の人は知らん顔でした。
23か24の頃に、夕刻の新宿の雑踏の中で、男性にこんな風に声をかけられたことがあります。
「毎朝、○○線の○○駅から××分に乗ってくる方ですよね」
すごくうれしそうでした。
しかし、間髪入れずにわたしはこう答えました。
「明日からその電車に乗りません」。
気の毒なほどがっくりとうなだれて、「すみませんでした」と去って行かれました。
わたしは、電車の中の男性から受けた全ての被害の嫌悪感を、感情的にこの方に渡してしまったのだと思います。
申し訳なくて、申し訳なくて、毎朝同じ電車に乗り続けましたが、二度と出会うことはありませんでした。
ごめんなさい。
さて、以上がわたしの「電車」での具体的な体験談です。
「女性専用車両」、このことに関しての意見は人それぞれだと思います。
でも、反対だと言われる方、本当にその被害の実態を知っていますか。
泣き寝入りが大半だということを、知っていますか。
そんなことをわたしは問うてみたいです。
*すでに40代に入っている年齢でも、具体的に内容を書くことは、ちょっときつかったです。
申し訳ないのですが、コメントは不可にさせてください。
*追記
わたしは知的障害のある娘に電車通学をさせていますが、「空席を見つけることのできる下り線」です。
これは学校選択において、重要なポイントでした。
*2005.6.25追記
関連記事
続「電車の中で」