これ以上の電力会社による、横暴を許してはならない。彼らの傲慢不遜な態度と、地域無視、国民愚弄の経営姿勢を徹底して糾弾する必要があります。
<信濃毎日社説>高浜再稼働 ルールなしで進めるな
責任の所在もルールも曖昧なままだ。
福井県にある関西電力高浜原発3、4号機が先日、再稼働に必要な原子力規制委員会の審査に「合格」した。
規制委は施設面の最低限の安全対策を確認したにすぎない。実効性のある事故時の避難計画を整備し、「地元」の同意を得る重要な手続きはこれからだ。
同意を得る地元の範囲について政府は、判断を福井県に丸投げしている。自治体の避難計画には不備が目立ち、住民の不安が拭えていない。このまま再稼働に向かうようなら、鹿児島県の川内原発に続き、民意がまた置き去りにされることになる。
高浜原発は14基の原発が集中する若狭湾沿岸にある。半径30キロ圏内には福井県の4市町のほか、京都府の7市町、滋賀県の高島市が含まれる。京都府舞鶴市は最短で3キロほどしかなく、ほぼ全域が30キロ圏に入る。
福島第1原発事故の影響は30キロ圏を大きく超えて広がった。原発の「地元」を行政区画で線引きするのは無理がある。京都や滋賀の首長が再稼働について、立地自治体と同等の発言権を求めているのは当然といえる。
福井県知事と関電社長は、同意が必要なのは「福井県と高浜町のみ」と主張している。両者で判断する決まりはない。調整すべき政府は「原発が立地する地域ごとに事情が異なり、国が一律に決められない」とし、無責任にも範囲を定めようとしない。
避難計画には住民の輸送手段の確保、大雪や海が荒れた際の避難経路などに課題が残る。政府は経済産業省の職員を派遣して支援するものの、地元に精通した自治体職員が頭を悩ませている問題だ。官僚が文面だけ整えても解決にはならないだろう。
高浜町は住民説明会は開かず、規制委が作る審査結果をまとめたビデオをケーブルテレビで放映するという。全国の人たちが再稼働に関心を持っている。ネットも使った公開の場で説明会を開き、質疑の機会を設けるべきだ。
誰が最終的に再稼働の是非を判断するのか、はっきりしない。地元同意の範囲を決める根拠はなく、住民説明会の有無さえ任意となっている。命綱である避難計画を審査する制度もない。
政府が再稼働を推進するというのなら、福島の教訓を基に手続きについて規則を定め、住民の意向を反映させて判断する仕組みを築かなければならない。いいかげんな進め方は認められない。