“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

アメリカ社会の矛盾と閉塞感

2013年01月03日 11時00分00秒 | 臼蔵の呟き
良い意味でも悪い意味でもアメリカ社会の政治経済の動きは世界的なニュースとなっています。人口、経済力、科学技術力、軍事力などで抜きんじたアメリカ社会。
同じ人間が作っている社会でも銃規制が出来ないアメリカ。銃を持つことが権利であり、安心安全を担保するために、自らが武装すべきであるとの主張は、アメリカ以外の多くの国では理解できないことです。今回の銃撃事件を受けて「唯一の効果的対策は、全ての学校の適切な武装だ。時間の浪費で、効果も不明な議会の銃規制論議などを待っていては、大切な子供の命は守れない」真顔でこう語った全米ライフル協会副会長の発言などは狂っているとしか思えない言動です。しかし、このような人物がアメリカ政治、アメリカ国民に思想的に影響を及ぼしていることも現実です。アメリカ社会が共和党の政治思想を強く受け継ぎ、そこから抜け出せない闇を感じないわけにはゆきません。
「経済の崖」問題も分かっていながら、この期限切れまで来てしまったこと。この問題もアメリカ社会の矛盾の深さを感じさせます。2大政党制の矛盾、アメリカ政治経済の閉塞感が2大政党制では打開策が見つからないことを立証しています。このことは多くのアメリカ国民が感じていることと思います。しかし、この矛盾を政治的に解決させるためには2大政党制を打破し、選挙戦制度の変更へと進むことが必要です。その歴史の進歩には多くの時間と巨大なエネルギーが必要になっているのかもしれません。
1%富裕層が99%国民を収奪し、支配する政治経済制度を変革することが必要です。この問題は自由貿易協定、世界銀行、IMFなどを通じて世界各国に持ち込まれ、影響を与え続けています。その意味では形を変えて日本の問題でもあると思います。黒人大統領であるオバマ選出がアメリカ政治経済を変えるほど簡単ではない、アメリカ社会構造の問題です。

<アメリカという戦場>

 世界各国で重要選挙が相次いだ一年。国論を二分した米大統領選挙の際、民主党大会に登壇したギフォーズ前下院議員の笑顔が忘れられない。昨年一月、アリゾナ州の市民集会で狙撃され、脳に重い損傷を負ったギフォーズ氏。驚異的な回復力で、数カ月後にはリハビリに励む溌剌(はつらつ)とした表情を公開、全米に希望を与えた。
 党大会では最終日、オバマ大統領の指名受諾演説の前に登壇。国への忠誠を誓う宣誓を一語一語確認するように暗唱し、満場の拍手と涙を誘った。米中枢同時テロの日に生まれた少女が犠牲になったことでも話題となったこの事件以降、今月のコネティカット州での小学校乱射事件まで、一体何件の悲劇が続いたことか。
 「唯一の効果的対策は、全ての学校の適切な武装だ。時間の浪費で、効果も不明な議会の銃規制論議などを待っていては、大切な子供の命は守れない」真顔でこう語った全米ライフル協会副会長の論法は、対テロ戦争で展開されたブッシュ前政権下の勧善懲悪、力の信仰一辺倒の論理に重なる。平時の論理と倫理が倒錯する戦時の論理そのものではないか。
 ギフォーズ氏の夫ケリー氏は事件後、ネットで銃規制に向けた「意味ある議論」の必要性を訴えている。「悲劇は終結せねばならない」。弔問で語ったオバマ大統領の言葉の行方を世界が見ている。

<米下院が崖回避の法案修正検討 「転落」続く事態も>

米下院の共和党指導部は1日、減税失効と歳出の強制削減が年初に重なる「財政の崖」の回避に向けた法案を修正する検討に入った。上院が同日未明に超党派の賛成多数で可決した法案だが、下院共和党内で支出削減が不十分との反対意見が強いため。
 共和党が多数派の下院が修正法案を可決しても、法成立には民主党が過半数を占める上院での再可決が必要。与野党はあらためて妥協点を探る交渉が迫られる。全世帯で増税となる「崖からの転落」が当面続く可能性があり、金融市場の混乱を招きそうだ。
 米メディアによると、下院共和党のカンター院内総務は「上院合意を支持しない」と語った。

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1月1日社説

2013年01月03日 07時00分00秒 | 臼蔵の呟き
年末の選挙結果、安倍政権の動き、政治経済の閉塞感を作った政党、今後の自公政権の動きと注意点が簡潔にまとめられています。また、その打開策としての国民としての自覚などに触れています。

<政治の方向 自壊と強権のはざまで 01月01日(火)>信濃毎日新聞
 〈目出度さもちう位也おらが春〉
 生誕250年を迎える一茶の句が胸に落ちるのは、身近な年金や医療、子育てにはじまり原発や領土問題に至るまで、なにかと心配事が尽きないからだろうか。家内安全、商売繁盛の祈願も、個人の問題では片付けられない時代である。
 そんな空気を察してか、安倍晋三首相は自らの内閣を「危機突破内閣」と名付けた。「国家、国民のために目前の危機を打ち破っていく」と言う。だが、危機とは何か、原因をつくったのは誰なのか。そこが肝心である。
 英語のクライシス(危機)には分岐点の意味がある。危機感をあおられて、有権者が冷静さを欠くようだと進むべき方向を見失う恐れがある。昨年の衆院選に続き、ことし夏の参院選を政治の分かれ道と位置付けたい。

   <暮らしの再建先送り>
 「この3年間、民主党政治の結果として、経済においても外交・安全保障においても、あるいは教育、暮らしにおいてもさまざまな課題が山積しております」。安倍首相は先月の就任記者会見で、こう述べた。暮らしや経済に不安を感じているのは確かだが、すべて民主党政権のせいであるかのような口ぶりには、違和感を覚える。2009年、自民党から民主党へと政権が交代したのは、国民が自民・公明党の連立政権に失望したからではなかったか。
 もとより暮らしの課題は、民主党政権下で表面化したわけではない。第一に、現行の社会保障制度が急速に進む少子高齢化とずれていることは、自公政権のときから分かっていたことだ。
 例えば、小泉内閣は「100年安心」の看板を掲げて負担増と給付削減の年金改革を断行したが、100年どころか、すでにさまざまなほころびが露呈している。第二に雇用問題がある。労働市場の自由化のかけ声の下に派遣労働を製造業に広げたのは、2004年のことだ。この結果、08年のリーマン・ショックの荒波を受けて多くの非正規雇用の労働者が解雇され、「年越し派遣村」に押し寄せる事態となった。いずれも自公政権の“付け”といえる。09年の総選挙で「国民の生活が第一」を掲げた民主党に期待が集まったのは当然の流れだった。その民主党政権が「公約違反」に問われ、大敗したのが昨年の総選挙である。政治不信を一段と深めた民主党の罪は重い。
 民主党政権になって新たに生じた課題が二つある。東京電力福島第1原発事故と領土問題である。
 原発事故は東日本大震災が引き金になったとはいえ、東電と国のずさんな安全管理が原因だ。こちらも自民党政権による原発推進政策によるところが大きい。民主党政権も安全神話にあぐらをかき、厳しいチェックを怠った。事故は積年の政治の怠慢が招いた「人災」とみるべきだろう。

   <政権党の能力が劣化>

 領土問題はどうか。尖閣諸島付近で起きた中国漁船衝突事件や国有化をめぐる一連の対応で、民主党政権の見通しの甘さが事態をこじらせたことは否定できない。ただし、領土問題も自民党政権が先送りにしてきた外交案件である。靖国参拝や従軍慰安婦、歴史教科書への対応で、日韓、日中関係がぎくしゃくした過去も何度か経験している。
 社会保障、雇用、原発、領土問題―。いまそこにある危機は、最近になって生まれたものではない。自民、民主の歴代政権が日本社会や国際情勢の変化に的確に対応できなかった結果である。言い換えれば、政権党の統治能力の劣化こそが危機の本質なのだ。
 有権者は09年に自民党に、昨年は民主党にノーを突き付けた。2度の政権交代でわたしたちが見たものは、二大政党がそろって自壊する姿ではなかったか。今度の安倍内閣は課題を解決する力を発揮できるのか。あるいはタカ派色の濃い姿勢を強調することで、求心力を高めようとするのだろうか。現在の政治をめぐる状況は、自壊と強権のはざまを揺れ動いているように見える。
   <普段からものを言う>

 安倍首相は「戦後レジームからの脱却」が持論の改憲論者である。9条を変え、自衛隊を「国防軍」と位置付ける公約を掲げて衆院選に臨み、集団的自衛権行使にも道を開く姿勢を崩していない。
 まずは経済対策で成果を示し、夏の参院選で勝利する。それを踏み台に改憲に向けて着々と布石を打つ―。そんな戦略が予想される。参院選の結果によっては、戦後初めて改憲が具体的な日程に上るかもしれない。ことしは憲法にとっての分岐点でもある。政党や政治家に任せきりでは有権者が望む社会は実現しない。普段からものを言い、政党がそれを受け止める。双方のキャッチボールを政治再建の原点としたい。

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