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ワニと読むミステリ(ピグマリオンの冷笑)
![]() | ピグマリオンの冷笑 (ハヤカワ・ミステリ文庫) |
ステファニー・ピントフ | |
早川書房 |
![]() | A Curtain Falls |
Stefanie Pintoff | |
Minotaur Books |
読むと、深い恨みは人を変えます。
(ステファニー・ピントフ著)
1906年のニューヨークが舞台に設定されています。
サイモン・ジールはドブソン警察の刑事ですが、元同僚で現在はニューヨークの一九分署署長マルヴェイニーに依頼され驚愕の事件を追うことになります。美しいコーラス・ガール、アニー・ジャーメインがマンハッタンの舞台上で主演女優の衣装を身につけて死んでいるのが発見されます。そこには暴力の兆候は見られません。切り傷もなく、あざもないのです。検察医は自殺と断定しておかしくありません。ブロードウェイの興行主チャールズ・フローマンはこの事件をできるだけ穏便にすまそうと手をうち、切符の売れ行きに影響がでないようにします。アニーの死体のかたわらには不可解なメモが置かれていましたが、3週間前にも同じように女優が舞台上で美しい衣裳を着て死んでいるのが見つかって自殺と処理されていましたが、その死体のそばにも同じような不可解なメモが置かれていたのがわかると、これはにわかに連続殺人の様相を帯びてきます。ジールは、以前にも事件解決のため助力を得た犯罪学者のアリステア・シンクレアに協力を求めます。容疑者は多く、事件はますます謎めいてきます。
1906年ごろは、近代的な捜査方法が取り入れられていく時期なのですね。指紋の重要性が論じられ、故意に置かれた指紋が容疑者を絞り込むことになり、事件を混迷させることになるのですが、これにはジールの父親が重要な役割を果たすようです。ジールの父親は長い間行方不明でしたが、突然ジールの前に姿を現し、しかも肺病を患って余命いくばくもない有様です。ジールと父親の親子関係もこの作品に深みを与えていますね。
犯罪学者のシンクレアとその義理の娘イザベラが捜査に加わるのですが、だんだんと事件の捜査の方法が科学的になっていく過程が見られてこのあたりは興味深いです。 筆跡鑑定もようやく認められるようになってきた時期ですが、まだあまり信頼はされていないようです。
ブロードウェイがだんだんと演劇としての地位を固めつつある様子がよくわかりますね。
ワニはこの作品を初めて読みましたが、1作目(邪悪)があるのですね。
主人公: サイモン・ジール(ドブスン警察の刑事)
場所: USA、ニューヨーク
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 小
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