泰山木の花

朝風に泰山木の咲く気なり

＜この俳句の作句意図＞
泰山木の大きな蕾が朝風に揺れている、今日か明日かと気になっていたがこの様子ではもうじき開きそうだ、朝の光に花びらが一枚づつほぐれてゆくのが解るようだ。

菜種刈り

菜種刈ただひと束（つか）に腕まくり

＜この俳句の作句意図＞
菜種刈り、といっても猫の額ほどの菜園なのでほんの一束でしかないが、来年の種蒔きまでもが頭をかすめてちょっと力も入る。

青嵐

杜の木にシャルウィダンスと青嵐

＜この俳句の作句意図＞
昨日は猛烈な南風、青葉のこの季節にまさに青嵐か、洗濯物はとび、周りの木々はラテンダンスを踊るが如し！

俳句の方は上手く収まらず字余り’残念！

ダンスといえば、「シャルウィダンス」のリメーク版が上映されているようだがどんなものなのか、小生はあの役所宏司をリチャードギア、草刈民代をジェニファーロペスというのがどうも納得いかない。どうも派手すぎじゃあなかろうかなどとおもう、
別物として観る分にはなんも問題は無いのか・・・俳句の「類想」を思う。

えごの花

門を出で娘待つ背にえごの花

＜この俳句の作句意図＞
エゴの花が満開の門の前でご主人らしき人が佇んでいる、暫らくして自動車が着き娘さんらしき人が子供を抱いて降りてくると満面の笑みが浮かぶ、そうか、お孫さんが遊びに来るのをエゴの花と待っていたのか。

半夏（烏柄杓）

在りし日に菜のゆれし地や半夏生ふ

＜この俳句の作句意図＞
以前、桑畑だった荒地に半夏が花をもたげていた、飾り気の無い花だけにうら寂しさをおぼえる。
「荒れ畑に残りし桑や半夏生ふ」としてみたが異季重なり、推敲の結果は？

花筏（ママコノキ）

風渡る水棹（みざお）も無しや花筏

＜この俳句の作句意図＞
風の渡る林の中で花筏を見つける。小さな緑色のゴミ（失礼！）のような花になんと詩的な名前を付けたものだ。他に、ママコノキ、とか、ヨメノナミダとか云う名も有るらしいが此方の意味は不明。

紅空木

青き野に一枝ゆれし紅うつぎ

＜この俳句の作句意図＞
一雨ごとに緑が濃くなった林のはずれに、一本の紅空木が真紅の花を咲かせている。暫らくすれば飲み込まれてしまう緑の中で、いまこの時を精一杯生きているようだ。

棕櫚の花

みる人も絶えし荒れ庭棕櫚の花

＜この俳句の作句意図＞
新緑の美しい季節となり、住人の居なくなった家の荒れた庭の棕櫚も花を付けたが鬱蒼とした木立の中でこころなしさびしく見える。

草取り

草取りの老女背中を伸ばしけり

＜この俳句の作句意図＞
となりの菜畑でお婆さんが草取りをしている。せいが出ますね、と声を掛けると、ゆっくり背中を伸ばして、だいぶ伸びたんでね、と時候の挨拶もそこそこにまた仕事を始めた。

　のち　

石楠花

石楠花の咲きて高嶺の雲しのび

＜この俳句の作句意図＞
公園の石楠花が満開になった、過ぎし日に信州の高原で夏雲の流れる残雪の山を見上げて咲いていたのを思い出す。

写真は４／３０日薬師池公園にて