ゲーム・コミック・遊び雑談

TVゲームの話がメインですが、コミックやその他の遊びなど色々と。お気楽な話から業界への苦言まで。

昨日の続き (ボードゲーム)

2015年03月26日 12時37分45秒 | ボードゲーム
 続きというか、書き漏らした事などを。

 あまり同意見を目にしないのでここで書いておきます。
 別に大した事でもないのですが個人的な考えとしては、永瀬さんは角不成を指さずにそのまま普通に勝っておいた方が良かったんじゃないかと思います。

 団体戦として考えた場合は、その不成の秘策(?)はとっておいて後の出場棋士に教えた方が得だったんじゃないのか、と思うわけです。

 セレネのようにそのまま投了、という事態が起きるかどうかは分かりません。(というか普通はないでしょう)

 が、ソフトは全般的に不成に対してあまり強くない、という感覚が私の体感的なものなんですが。

 例えばゲーセンの天下一将棋会でボナンザを相手に不成とすると、成った時はノータイムなのに成らないだけで2・3秒考えてくれたりします。細かい事ですが、コンピューターには総じて不成の方が得ではないかと思っています。
 ただ、あまりにもそればかりやってると棋譜としては美しくないし、何だか乞食みたいな感じもします。

 第3局以降に登場するソフトに対して不成とやった場合にどれ程効果があるか分かりませんが、勝負として考えた場合はやはり残しておくのが得策だったんじゃないかと思う訳です。

 まあ第2局は不成によるバグがなくても恐らく永瀬さんが勝ったと思いますが仮に第3局以降にとっておいて、負けの局面でそれをやって勝ったりしたら……そんなものは見たくないという気もします。

 何故あのようなバグが生じたか、それは昨日書いたように効率アップを計っての省略でしょうが、そもそもそういう事をやる必要があるのはコンピューター将棋選手権などソフト同士の対戦のためにやっている事だと思います。

 短い時間で強豪ソフトとの対戦ですから僅かな事が勝敗を分ける訳です。

 だけど人間相手で、時間もたっぷりあるこの大舞台では、頭を切り替える必要がありました。

 これは完全に開発者の落ち度と言えるでしょう。第3局以降のソフトでは、絶対にこういう事が起きないようにするでしょう。

 それでも不成をやった方が若干の得、とは思います。ただ、それに心を囚われる事はマイナスだとは思いますが、悪びれずに純粋に得を追求するという考えもない事もないでしょう。
 まあアマ的な考え方です。プロ的な思想ではありません。

 対ソフトと対人では違う。
 これはアマとプロと違う、という事にも似ているような気もします。

 元奨励会員で、アマ将棋の質に違いに対応出来ず、アマ大会で活躍出来ないという人もいます。

 アマからプロ入りを目指すには(そんな人は僅かですが)、まずはアマ大会で活躍する必要があります。それが出来なければチャンスも何もないのです。

 だけどプロ入りに際してはプロの将棋に対応しなければならない……ソフトも、ソフトを相手に勝ち抜いて、そして対プロではそれに合わせる、そういう必要がありました。
 まあ素のままでもソフトは強いんですが。

追記:昨日95%の勝ちを――と書きましたが、控え室の検討では99%以上勝つと見ていたという旨を記者会見で立会人の三浦九段が話していたようです。

電王戦の角不成 (ボードゲーム)

2015年03月25日 13時33分40秒 | ボードゲーム
 将棋電王戦FINALが開幕して第2局まで終了しています。

 第1局ではコンピューターの往生際の悪さというか、駒を捨てまくって最後まで指す手に対して批判する声があったらしいです。

 これは昔からのコンピューター将棋の特徴で、私からすれば「何を今更」という感じです。

 あの醜態を避ける方法としては、ソフトの開発者がコンピューターに代わってタオルを投げる=投了するという手段と、事前の設定で最後まで指さずに一定の点数以上の差がついたら投了するようにしておく、の2手段のようです。

 それをしなかった以上はああいう負け方をするのは必然ですが、そういう負け方を見越していた事に対する批判という事なのでしょうか?

 あれを見て、今後のソフトの負け方を気にしている人もいるようですが、問題はどちらが勝つかであって、負け方は二の次ではないかと思います。

 第2局では永瀬プロが2七同角不成とした手に対してソフト(Selene=セレネ)がその手を認識出来ずに、自玉に王手がかかっているにも関わらず2二銀という王手放置=反則の手を指して、その時点で自分の反則に気付いて投了した、という驚きの結末となりました。

 コンピューターの異例とも言える反則によっての決着で、その手を引き起こしたのは永瀬プロの、通常ではあまり登場する事のない角不成という一手でした。

 飛・角・歩の3種類の駒は、敵陣に入った時に成る・成らないを自由に選択出来るとはいえ、成れば必ずそれまで以上の性能になるので、通常では成るのが当たり前となっています。逆に銀・桂・香の3種類に関してはそれまでの動きを捨てて金の動きになるので一長一短で、選択の判断が必要になります。

 しかし例外もあって、単純に性能がアップする筈の飛・角・歩の3種類にも不成が有効な場合があります。それは打ち歩詰というルールに関する事で、敢えて駒の利き=動きを少なくする事によって打ち歩を回避して、その後の展開を有利にする(勝つ)という手段が生じる場合があります。また千日手というルールに関して、同一局面を避けるために……ちょっとこれらを説明すると長くなりますので省略しますが、いずれにしても、実戦での発生率はもの凄く低いもので、本局の永瀬プロの指した不成も、決して理論的に必要な手であった訳ではなくて、別に不成にしなくてもよくてむしろ普通に成るべき局面でした。

 では何故、永瀬プロは敢えて角不成という手を指したのか?

 一部では負けそうだからバグを利用して勝ったとか、バグがなければ勝てなかったなんて声もあるようですが、それは間違いです。

 確かに永瀬プロはコンピューター将棋、特にセレネに対して角不成が有効である事を知っていました。

 将棋ソフトは、読みの効率アップのために、こうした不成に関する部分を省略している場合があったりします。
 セレネと別のソフトでも、先程書いた『打ち歩』のルールを省いている物もあったりします。実戦の発生率を考えて、より勝ち易くするために敢えて知っていながらもそちらに賭けるというギャンブルですね。ある意味確信犯です。

 永瀬プロは事前の練習で、セレネにそうした不成によって投了する癖(?)がある事を知っていました。

 しかし100%確信がある訳ではなかった。
 本番ではそれが起きない仕様になっている可能性もあった。

 本局の最終図となった2七角不成の局面、ここで永瀬プロはほぼ自分の勝ちを確信していました。だけど、それも100%ではなかった。

 残り時間も切迫してきたこの局面、ならば角不成を実行してみよう。

 そのまま投了すればそれはそれで良し。正しく対応されても、不成にすれば成るよりはややセレネの精度が下がる、時間をかけてくれる、ならばやってみよう。

 95%の勝ちを、より100%に近付けるため、そのための角不成だったのです。

 その95%の勝ち(この数字は適当ですが……)に関しては、終局後に読み筋を披露していました。
 だけどこれは意地悪い見方をすれば、その前の協議の時間が長かった訳で、その間に研究したのではないか、と疑る事も出来ます。

 しかし、それ以前に、敵玉=敵の大将を危険地帯に誘い出すために、角という大きな駒を1枚犠牲にする手を決断しています。もっと前に遡って、相手に角を切らせて自玉の付近にと金という強力な駒を作らせる手を催促するための一手を決断しています。その時点でこの後の見通しが立っていなければ、決してその手は指せないのです。(残り時間が少ないならともかく、1時間半以上も残していました)

 肉を切らせて骨を断つような厳しい手順でした。

 ここら辺の感覚が分からなくて、ただ「バグで勝った」と言っているのでは「私は将棋を知りません」と言っている事と等しいのです。

 内容でも勝っていて、尚且つバグを指摘した、永瀬プロの完勝と言える内容でした。

 しかし私はプログラムの事は分かりませんが、S.E.の人が「恥ずかしい」と言っていたりしますが、そういうものなのでしょうか? 確かにどういう事情があろうと、お粗末という感じはしましたが。

 ともかく今シリーズは初のプロ2連勝スタート、終局も波乱含みという展開です。