ゲーム・コミック・遊び雑談

TVゲームの話がメインですが、コミックやその他の遊びなど色々と。お気楽な話から業界への苦言まで。

ソフト不正の問題のこと…… (その他)

2017年01月06日 03時50分24秒 | ボードゲーム
 昨年秋頃に某将棋棋士の不正疑惑の問題がありました……

 今更ながらここで当たり障りのない事を述べてみます。
 このブログではTVゲームの話が中心ですが、私は相当な将棋マニアであってそれなりの深い話は出来るのですが……

 私はチキンなので無難な事だけを書いてみます。某HPなんかは炎上してますし……

 白か黒かの真実は神でない限りは断言出来ないでしょう。

 それをハッキリさせるのは不可能ではないようには思うのですが、私は法律や裁判に関しては無知なのでどうにも歯切れの悪い発言にしかなりません。(刑事事件ならば私の考える方法は実現されるのか……?)

 まあとにかく現時点の結論としては表向きは白と判断するよりないようです。

 私がどうにも気に入らないというか力が抜けるのは、将棋について全く分かっていない人達がおかしな噂話に花を咲かせている(いた)事です。

 曰はく「『彼』は今までずっと不正をしてきたのか。不正で九段まで上がったのか」といった類のトンチンカンな話です。

(別のプロが角不成のおかげで勝った、という噂と似たようなものですね)

 黒である事を当たり前の前提としていたり、ワイドショーなんかでもおかしな検証をしていたり、散々と訳のわからない話の肴にされていました。

 将棋ソフトがプロをも凌ぐような強さを発揮し出したのはここ数年の事です。まあ大雑把に言って2010年頃としておきますか。それ以前から、という意見もあるでしょうけど。(ちょっと『凌ぐ』という言葉が曖昧ではありますね)
 2010年というのは女流棋士の清水市代さんが公の場でソフトと対局して敗れた年です。この頃はまだ男性棋士が本気を出せば勝てる、という雰囲気でした。

『彼』は1992年に四段となってプロデビュー、2001年にA級に昇級して八段となり、2013年に九段となりました。九段へは八段からの勝ち星が250勝に達しての昇段で、八段の時点で(というかそれ以前に)すでに一流棋士としての地位を確立していました。その頃の将棋ソフトなんてまだまだ弱くてアマチュアにすら勝てないくらいのレベルでした。

『ソフトとの一致率』というものが結構な焦点となっているようですが、これは実に難しくもありあてにならないものです。研究し出せばキリがないくらいにややこしく、かなり面白い要素もあるんですが、とにかくこれは証拠とはとてもならないものです。

「プロ棋士がこれを根拠に黒を主張した」という話もありますが実際の所はあくまでも「参考にした」というのが正しいように思います。
 黒だと確信したのは、むしろ長年この道で生きてきたプロとしての肌で感じた『感覚』だと思います。こういった嗅覚は分かる人にしか分からないものであり、余人に説明するのは大変に困難なものです。
 一致率の理屈はあくまでも、そうした直観を裏付けする・後押しする要素に過ぎなかったのではないかと思います。

 それにしても一致率っていうのは――ソフトによっても違うし時間の設定によっても変わるし、同じソフトを使ってでさえバラけるという……。しかもどの手から、何手目から調べるとか、他の棋士との比較だとか……
 何年何月にどのソフトが発売されただとか、スマホ版がいつ出たとか。不正した本人もソフト使用の疑いをそらすために、使った対局と使わなかった対局があるだの、1局の中で全ての指し手をカンニングする必要はないしまた出来ないから、急所で使っただの、ここで使った、ここで使わなかっただの……
 何月まではどのソフトを使って、何月からはどれを使っただの。どのソフトはどのくらいのレーティング(強さ)で、スマホ版がどうだのスペックによってどうだの……

 とにかくあまりにも複雑怪奇でとても簡単に分かるものとは思えません。非常に興味深く面白い話だとは思いますが、正直言って難しすぎてよく分かりませんね……。この事を正確に把握している人が果たしてどのくらいいるものなのか。

(必ずしも一致率の高い方が勝つとも限りません。将棋というのは最後に間違えた方が負けるゲームですし)
(羽生さんの四段時代(=当然ソフトは弱かった)に広義一致率100%という将棋があったそうです。元々はコンピューター将棋が強くなる過程で羽生さんの将棋を入力して参考にしたという話ですし。江戸時代の天才棋士で一致率の非常に高い棋士もいるようです)

 将棋連盟の処分についてですが――

 どうも将棋連盟の処分はスタート地点から間違っていたと思います。
 黒だと判断した上で、『彼』の処分を曖昧なものにしようとした。

 それが「ソフトを使った不正の疑いがある」しかし「休場すると言いながら休場届を提出しなかったために出場停止処分とした」という実におかしな理由の処分です。実に中途半端なやり方でした。

 黒ならばこれはもう『彼』を除名・追放処分にするしかなかった。
 どんなに強い棋士だろうと、人気があろうと実績があろうと、これは絶対に許される問題ではありません。心を鬼にしなければならなかった。

 だから、というかそもそも本来ならば普通にタイトル戦が開催されるべきでした、挑戦者の変更などせずに。
 不正防止をキチンと施せば何の問題もなかったと思います。

 何がまずかったかというと『ソフト』という言葉を出したのが、上にも書いたようにあらぬ噂が世間で飛び交う事を計算しなかった致命的なミスです。事は『彼』だけの問題では済まなかったわけです。
 結果が黒であれ白であれ、これから先ずっと業界について回る決して拭われる事のない疑惑、根本的な問題として決定的に印象付ける事となりました。

 ですから『ソフト』という言葉を出す以上は『彼』の黒を明らかにして処分するよりなかったと思います。

 そうでなければ、汚ない話ではありますが『ソフト』による不正というものを徹底的に隠すべきだったと思います。
 何か別の理由で『彼』を出場停止にする(或いは引退を勧告する)、これしかなかったように思います。
 前会長だったならこれが出来たのではないかと思えてならないのですが……

 とにかく黒でありその事実を公表するならば除名・追放、これを腹を括って実行するべきでした。
 タイトル戦は不正防止を万全にして行い、『彼』を泳がせておき、決定的な証拠を突きつける――

 そうするべきだったと思います。(或いは規定がしっかり出来ていなかったのだから、これまでのは不問にして今後は不正防止を万全にする、か)

P.S. どうあがいても確かめようのない事ですが、果たして『彼』は仮に不正によって挑戦権を得ていたのだとしても、そのまま不正を続けたのかどうか? という疑問を当初から私は感じていました。7番勝負でまでもソフトを用いたのかどうか。
 棋戦によって使ったり使わなかったりという事はよく言われていますが、そのままあのビッグタイトルまでも獲ってしまう気はあったのかどうか。
 私は「なかった」ような気がしているのです。
 というのも7番勝負というTV中継にネット中継、全国のファンの見守る注目度抜群の環境の中、そのまま不正をするつもりがあったのかどうか。
 タイトルを獲ればより注目されるし、徹底的にマーク・研究されます。
 某HPで噂されているように「お金が目的」であったのなら、タイトル獲得すれば確かに大きな賞金を手に出来ますが、「とりあえずは挑戦」だけで満足するという考え方もあると思うのです。
 そのまま普通に戦っても勝てる可能性は充分にあるわけですし、そこまでリスクを冒すつもりがあったのかどうか……私としては「なかった」のではないかと見ているのですが、まあ真実は闇の中です。そもそも白なのかも知れませんし。