いまや近代的なビルが立ち並ぶ品川ですが
一角はまだ昔ながらの店がぎゅっと凝縮して存在している。
この店はそんな味のある店の中のひとつ。
地下に存在する昔ながらの喫茶店だ。
遅いお昼を食べようと、なんとなくその辺をとおりかかって、
なぜかあまり何も考えずに、気がつくと階段を下りて
その店に入っていた。
壁にはダリ風のぐにゃっとした時計がかかっている。
壁に飾られている絵はダリじゃないっぽいけどダリなのか?どうか?
食事としてはピラフやカレーなどの喫茶店定番的メニューが並ぶ。
「カレーにしようかな?」と考えながらテーブルの上のメニューを見ていたら
「ランチはこっち(にも)」(にも、は聞こえなかったのだが)
と、注文をとりにきたおばさんに裏を見せられたら
そこにはパスタのセットが各種載っていた。
なんだかそこから選ばないといけないような気がしてきて、
まあそれに、パスタでもいいか、と思い、
「和風めんたいこスパ」のセット800円を注文。
メニューを良く見ると、「ハーフ300円。ハーフセット600円」
と書いてある。
こういう店のパスタって量少ないんじゃないのかなあ。
ハーフじゃ足りないのでは?とか考える。
この店は漫画雑誌が置いてある。
一人で来てゆっくりするにはよい。
雑誌を一冊持ってくると、1ページも読まないうちに
セットのサラダとスープとお箸が置かれた。
スープは、ざる蕎麦のおちょこよりひとまわり小さいくらいの入れ物に入っていて、最初はスープだとは思わなかった。
ちょうどサラダが食べ終わる頃、パスタがやってくる。
ん?パスタ?
それは、小さめのどんぶり状のおわんに入っていて
一瞬「ちいさいな」と思ったのだけど、
まさにおわん状なので、底が深かった。
そして、フォークは置かれなかった。
「箸で食べるのかな・・・・?」
普通だと「フォークください」と言うところだが、
なんとなくここは箸で食べるのがルールなのかな?
などと思うと言い出せず、素直に箸で食べる。
椅子がソファーだしテーブルも低いし、入ってるのはおわんなので
必然的におわんを手にもって、箸でずるずると食べることになる。
なんだか、パスタというより、うどんを食べているような気持ちになってくる。
しかし食べながらもまだ不安なのだ
「どうしよう。本当は、単にフォークを持ってくるのを
忘れただけじゃないのかな。
でもここまで食べていまさらフォークください、って言うのも変だし。
でももしかしたら、私のことを、
もともとパスタは箸で食べる人なんだわ、って思われてたらどうしよう。
っていうか、でも、これフォークだと底が深すぎて食べずらいかもしれない。
そもそもおわんに入ってるってことは
箸でこうやって食べることが前提なんだろうか。
でも、でも、このメニューのパスタのところには、
ナイフとフォークの絵が描いてある!」
などと、ずーっと考えていて、落ち着かなかった。
そして、この店の店員は、なかなか仕事熱心というか、
きちんと働いてるな、というかんじがあり、
口調がめちゃくちゃマイルドで優しげな声のマスター(たぶん)が
絶えず3人のウェイトレスさんたちに
「サラダがほぼ終わったらコーヒー出して」とか
頻繁に声かけをしているし、ウェイトレスさんも頻繁に確認している。
つまり客の動きは常にちゃんと把握している様子がみてとれるのだ。
確かに、ちょうど食べ終わる頃に次のものが絶妙に出てくるという
繊細な心遣いはなかなか。
そんな人たちがフォークを出し忘れちゃっている、
ということに気がつかないはずがない。
つまり、やっぱり、この店では、パスタは箸、なのだ。きっと。
と思ってもなかなか「うーむ?」と思いつつ
「きっとこの店では、食器はすべて箸なのだ。
確かにそういう洋食系の店というのはあるぞ」
とやっと心の落ち着けどころを見つけ、ふと目の前を見ると、
前の席に座っているおじさんが、
ピザトーストをフォークで食べていた!。
うむむむむ。
地下という店の雰囲気と、壁に飾られた怪しい絵と
それに似つかわしくないマスターのマイルドな口調と
不思議なパスタとおわんと箸をもつ私の手の不思議さなどが交じり合い、
ダリの絵の中にいるような次元がぐにゃっと曲がったような感覚にとらわれた。
パスタの味は単調でアルデンテから3分くらい多めにゆでたような
マイルドな食感なので途中で飽きてきたのだが
なぜだかこの雰囲気の中ではこういうかんじがむしろベストに思えてきて
完食した。
でも、ハーフでもいいかもな、とも思った。
食後のチャイは、甘すぎたけど、おいしかった。
やばい。何だかわからないけど、
ツボがいっぱいあって、また何度も通ってしまいそうな気がする。
次回は、本当にパスタは箸なのかどうかをもう一度確かめるか、
それとも無難にカレーとかにするか、迷うところである。
そして、カレーも箸だったら、どうしよう。
一角はまだ昔ながらの店がぎゅっと凝縮して存在している。
この店はそんな味のある店の中のひとつ。
地下に存在する昔ながらの喫茶店だ。
遅いお昼を食べようと、なんとなくその辺をとおりかかって、
なぜかあまり何も考えずに、気がつくと階段を下りて
その店に入っていた。
壁にはダリ風のぐにゃっとした時計がかかっている。
壁に飾られている絵はダリじゃないっぽいけどダリなのか?どうか?
食事としてはピラフやカレーなどの喫茶店定番的メニューが並ぶ。
「カレーにしようかな?」と考えながらテーブルの上のメニューを見ていたら
「ランチはこっち(にも)」(にも、は聞こえなかったのだが)
と、注文をとりにきたおばさんに裏を見せられたら
そこにはパスタのセットが各種載っていた。
なんだかそこから選ばないといけないような気がしてきて、
まあそれに、パスタでもいいか、と思い、
「和風めんたいこスパ」のセット800円を注文。
メニューを良く見ると、「ハーフ300円。ハーフセット600円」
と書いてある。
こういう店のパスタって量少ないんじゃないのかなあ。
ハーフじゃ足りないのでは?とか考える。
この店は漫画雑誌が置いてある。
一人で来てゆっくりするにはよい。
雑誌を一冊持ってくると、1ページも読まないうちに
セットのサラダとスープとお箸が置かれた。
スープは、ざる蕎麦のおちょこよりひとまわり小さいくらいの入れ物に入っていて、最初はスープだとは思わなかった。
ちょうどサラダが食べ終わる頃、パスタがやってくる。
ん?パスタ?
それは、小さめのどんぶり状のおわんに入っていて
一瞬「ちいさいな」と思ったのだけど、
まさにおわん状なので、底が深かった。
そして、フォークは置かれなかった。
「箸で食べるのかな・・・・?」
普通だと「フォークください」と言うところだが、
なんとなくここは箸で食べるのがルールなのかな?
などと思うと言い出せず、素直に箸で食べる。
椅子がソファーだしテーブルも低いし、入ってるのはおわんなので
必然的におわんを手にもって、箸でずるずると食べることになる。
なんだか、パスタというより、うどんを食べているような気持ちになってくる。
しかし食べながらもまだ不安なのだ
「どうしよう。本当は、単にフォークを持ってくるのを
忘れただけじゃないのかな。
でもここまで食べていまさらフォークください、って言うのも変だし。
でももしかしたら、私のことを、
もともとパスタは箸で食べる人なんだわ、って思われてたらどうしよう。
っていうか、でも、これフォークだと底が深すぎて食べずらいかもしれない。
そもそもおわんに入ってるってことは
箸でこうやって食べることが前提なんだろうか。
でも、でも、このメニューのパスタのところには、
ナイフとフォークの絵が描いてある!」
などと、ずーっと考えていて、落ち着かなかった。
そして、この店の店員は、なかなか仕事熱心というか、
きちんと働いてるな、というかんじがあり、
口調がめちゃくちゃマイルドで優しげな声のマスター(たぶん)が
絶えず3人のウェイトレスさんたちに
「サラダがほぼ終わったらコーヒー出して」とか
頻繁に声かけをしているし、ウェイトレスさんも頻繁に確認している。
つまり客の動きは常にちゃんと把握している様子がみてとれるのだ。
確かに、ちょうど食べ終わる頃に次のものが絶妙に出てくるという
繊細な心遣いはなかなか。
そんな人たちがフォークを出し忘れちゃっている、
ということに気がつかないはずがない。
つまり、やっぱり、この店では、パスタは箸、なのだ。きっと。
と思ってもなかなか「うーむ?」と思いつつ
「きっとこの店では、食器はすべて箸なのだ。
確かにそういう洋食系の店というのはあるぞ」
とやっと心の落ち着けどころを見つけ、ふと目の前を見ると、
前の席に座っているおじさんが、
ピザトーストをフォークで食べていた!。
うむむむむ。
地下という店の雰囲気と、壁に飾られた怪しい絵と
それに似つかわしくないマスターのマイルドな口調と
不思議なパスタとおわんと箸をもつ私の手の不思議さなどが交じり合い、
ダリの絵の中にいるような次元がぐにゃっと曲がったような感覚にとらわれた。
パスタの味は単調でアルデンテから3分くらい多めにゆでたような
マイルドな食感なので途中で飽きてきたのだが
なぜだかこの雰囲気の中ではこういうかんじがむしろベストに思えてきて
完食した。
でも、ハーフでもいいかもな、とも思った。
食後のチャイは、甘すぎたけど、おいしかった。
やばい。何だかわからないけど、
ツボがいっぱいあって、また何度も通ってしまいそうな気がする。
次回は、本当にパスタは箸なのかどうかをもう一度確かめるか、
それとも無難にカレーとかにするか、迷うところである。
そして、カレーも箸だったら、どうしよう。