■2006年 日本 121分
■2006.10.1 TOHOシネマズ緑井 with r
■監督 佐々部清
■出演 市川海老蔵[11代目] (並木浩二) 伊勢谷友介(北勝也) 上野樹里(鳴海美奈子) 塩谷瞬(伊藤伸夫) 柏原収史(佐久間安吉) 伊崎充則(神田寛之) 香川照之(鹿島、イ号潜水鑑長) 古手川祐子(並木光江) 三浦友和(並木俊信)
《story》
「6年前の夏、甲子園の優勝投手は、二度と戻れないと知りながら『回天』に乗った」
1945年、日本の潜水艦が敵の爆雷を避けながら海底を航海していた。その潜水艦に乗っていた特殊な任務をもった4人。その任務とは、「回天」という人間が操縦する魚雷に乗り込み、敵の戦艦につっこんでいくものだった。
その中の一人である並木は、甲子園での優勝投手だった。いつもボールを片手にもち、魔球を編み出すことが夢だった。野球が大好きなのに、なぜ彼はそんな特殊な任務に志願しなければならなかったのか。
命令を受け、並木が乗り込んだ回天は、エンジンが作動せず、発射されることはなかった。しかし、こうして生き延びることは恥であり、彼は再び訓練に参加し、次の命令を待つのだった。だが、その訓練の途中、彼の乗った回天は海中に沈み、身動きできなくなるのだった。
◎なぜ戦争に反対しなかったのか、なぜ自分から回天に乗ることを志願したのか、これらの「なぜ」の答えは、大きな時代の背景であった。簡単に戦争に反対できなかった時代があった。命を大切にすることが、逃げることと同じ扱いをされる時代があった。実体のない国を愛さなければいけない時代があった。それが美しい国であった時代があった。大きな波に飲まれ、身動きできない。それは、まさに回天に乗ったまま死んでいく姿そのもの。「死」ななければできなかった美しい国、日本。時代の波は、まるでそれ自体生き物でもあるかのように、大きくうねり、人々を飲み込んでいく。でも、その生き物を生み出したものは、自分の欲を満たそうとした人間なんだということも事実なのだ。
今も怪しい時代だけど、どんなことがあっても、平和的に解決する道を探らなければ、その先は死への大きな波が待っているだけ。
公式サイト「出口のない海」