


■1984年 日本 102分
■2007.10.17 BS-i
■監督 大林宣彦
■出演
原田知世(桂木万里)
高柳良一(タロウ・ワタナベ=日系三世)
峰岸徹(深谷有一) 赤座美代子(村田圭子)
エティエヌ・ワモウ(酋長)
ジル・ピーターソン(トム)
ジョルジュ・ワヘオ(ジェローム)
泉谷しげる(タイチ・ワタナベ=タロウの父)
高橋幸宏(桂木次郎)
小林稔侍(青山良男)
小河麻衣子(山本福子)
入江若葉(マダム・ヒロコ) 室田日出男(西尾久造)
松尾嘉代(桂木光子) 乙羽信子(石川貞)

桂木万里は、幼い頃に父に聞いた「天国にいちばん近い島」の話が忘れられないでいた。いつかいっしょに行こうと言っていた父が急死し、高校生ながらも冬休みを利用して旅に出る決意をした。目指すはニューカレドニア。ツアーでの参加だったが、現地では自転車を借りて一人で散策。そのとき、日系三世のタロウと出会うが名前も聞かずに分かれてしまう。その後、万里の話を聞いた深谷という男が、イル・デ・バン島に彼女を案内するが、思う島ではなかった。再び再会したタロウに教えられた島にも行ってみたがそこもちがっていた。万里はその島でエイにさされ倒れてしまう。ツアーの滞在は過ぎ、一人取り残されてしまった。ホテルを追い出され、タロウの家に行った。次の日、エッセイストの村田圭子と戦争未亡人、石川貞が訪れる。石川が滞在しているホテルに万里は移る。そこで、村田と深田が出会う。彼らは20年前の恋人どうしだった。万里の仲立ちで、離ればなれになっていた愛をむすび合うことができた。一方、タロウは手紙とお金を万里の荷物とともに送る。その手紙には、これで「日本に帰ってください」とあった。万里は、すぐにタロウのもとに飛んでいく。そしてタロウに告げる。「天国にいちばん近い島を見つけた」と。

そういえば学生の頃、この本を読んで同じ思いをしたことがあった。題名にわくわくしながら読んでいくんだけど、結局何が天国なのかわからずじまいだった。今でもそうだけど、「天国」のイメージがはっきりしないのだ。極楽浄土や天使の住む天国を思ってしまう。そこで、不思議なことが起こり、死んだ父親と会う。またはこの世ではありえないことが起こってあっと言わせる。そんなことをいつの間にか想像していたのだと思う。今回は、映画では何を天国と言っているのか確かめたくて、昔の原田知世が見たいのと、大林監督だから何か発見があるかもしれないと少し期待しながら見た。しかし、演技がイマイチ。時をかける少女では良かったが、あのままではね。ニューカレドニアに着いたとき、自然を天国というなら、その国自体が天国だと言えるだろうな。連れて行かれた島だって美しい空や海、緑がいっぱいあった。原住民だって親切だった。いったい何を天国というのだろうと、最後まで見たが、結局恋したことだったんだ。がっかりで終わった。戦争未亡人がここで登場する意味、タロウの存在。深田と村田の恋って何。頭が悪くて結びつかなくて、何かちぐはくのような気がして消化不良だった。ニューカレドニアである意味がわからない。