猫ずきです

体験したことや感じたことを日記調で書いています。老若男女をとわずにわかるよう書いていますので奮って書き込みしてください。

オーケストラ、それは我なり(朝比奈 隆 四つの試練)

2010-05-08 | 日記
やっと、タイトルの本を読み終わった。
なかなか在庫がなく、やっと見つけて買った

著者は中丸 美繪。
以前「取材」というタイトルでブログを書いたものである。

読後感は、まあまあであった。
綿密な取材は関東・関西・満州およびヨーロッパにまでおよび3年間の月日がかかっている。
そのあたりの調査・分析・文筆力はさすがのものがあった。
指揮者 朝比奈 隆のひととなりをまわりの人から浮かび上がらせる手法であった。

特にによかったのは、オーストリアのリンツの近郊にあるザンクト・フローリアンというところにブルックナーが入っていた修道院の学校があり、そこで演奏会をしたこと。
そこにはブルックナーの柩が眠っているのだが、シンフォニー7番の第二楽章が終わった瞬間にその教会の鐘が鳴り、まるでブルックナーが聴いているように感じたらしい。

もうひとつは、その演奏が地元のラジオで流れ、それをきいていたファンがあまりの感動に朝比奈宛に日本に手紙を送ったこと。
「今まで聴いたどの演奏よりも先日のあなたの演奏が一番良かった」と・・・
好き嫌いのはっきりしている性格であるため、朝比奈は敵味方がはっきりしていた。
しかし、持ち前の粘りと人間性で93歳まで現役でタクトを振った。
やはりすごい人だということは間違えない
生まれは東京だが、お墓は神戸の六甲山系の麻耶山の麓にあり、ポートアイランドや神戸空港がくっきり見える眺めの良いところらしい・・