さてまずは宇宙は広がる事を優先し、そのあとで空間をエネルギーで満たした様です。
そのエネルギーの一部が物質粒子(フェルミオン)に変換され、それが集まって構造を作り出す、そういうシナリオになっています。
ところで構造を作り出すためには物質粒子を集めなくてはなりません。
つまり糊、あるいは接着剤、あるいは凝集力が必要になります。
この糊は最初はグルーオン:強い力(ハドロン・・・パイ中間子、中性子や陽子などの形成ー>原子核の生成)(注2)、次はクーロン力(原子の形成ー>分子の形成)、そうして最後に重力(星、銀河、銀河団などの形成)であります。
他方で最初からそのようなものの働きが強すぎれば、宇宙空間にまんべんなく物質粒子を拡散することはできません。
従って「まずはばらまく事」が必要で、しかる後に「集めて構造を作リ出す」と、そういう手順となります。
さてそれで、まずはだれが始めたのか、あるいは自然にはじまったのか、とにかく「ぽちっ」とスタートのスイッチが押されなくてはいけません。
そしてその後の展開についての記述は基本的にWiki「宇宙の年表」からの引用になります。
0秒~10^-44秒
「プランク時代」です。
時刻 10^-44秒、温度10^+32K
ここで重力と他の3つの力が分れたと考えられています。(KEK)
重力が存在しますから、アインシュタイン方程式が成立し、宇宙項、あるいはダークエネルギーも存在可能になったかと思われます。
そうしてその真空エネルギーによってインフレーションが可能になった、とその様に解釈できます。
加えて重力の存在により、原始ブラックホールも存在可能になったかと思われます。
宇宙誕生から10^-43から10^-36秒後
「大統一時代」
時刻10^-38秒、温度10^+29K (10^25eV)
大統一理論の相転移が起り、強い相互作用(強い力)と電弱相互作用(電磁気力と弱い力が統合されたもの)が分れた。(KEK)
宇宙誕生から10^-36から10^-32秒後
「インフレーション時代」
この急激な拡大は、初期宇宙の直径を少なくとも10^26倍にも増加させ、体積は少なくとも10^78にもなった。
大統一の時代にすでに素粒子があったとしたならば、宇宙の急速な拡大は、大統一時代から残る素粒子が非常にまばらに分散したことを意味する。
しかし、インフレーション時代の終わりにインフレーション場の巨大な位置エネルギーが解放され、再び宇宙は濃く熱いクォークグルーオンプラズマに満たされ、電弱時代が始まった。(注7)
また原始ブラックホールについてはこのインフレーションの時代に作られたのであろう、と主張するインフレーション モデルがある。
そして当方の主張はそのことに加えて「その大量に作られた原始BHは最初からプランクスケールであって、宇宙誕生からこれまでに一度もホーキング放射をしていないものが最良のCDM(コールドダークマター)の候補となる」というものであります。
宇宙誕生から10^-36から10^-12秒後
「電弱時代」
時刻10^-12秒
「宇宙図2018年版」によれば、この頃にヒッグス場が形成された、とされています。
時刻10^-11秒、温度10^+15K(10^11eV=100GeV)
観測可能な宇宙の半径 66光分(たとえば木星軌道半径42光分、土星軌道半径83光分)
密度 陽子5.56*10^43個/m^3(1ccで9.28*10^7tonの重量になります。ちなみにこれは中性子星の密度の9.3%相当です。)
(ダークマター1.25に対し通常物質0.25の割合
ダークエネルギー成分はこの時も陽子3.5個/m^3相当で物質密度に対して無視できる程度の値)
ワインバーグ・サラム理論の相転移が起り、電磁相互作用と弱い相互作用が分離。(KEK)
時刻10^-10秒
この頃にCDM(コールドダークマター)はすでに存在していたのでは、という絵が
「第3講: 宇宙は何からできているか?」の3ページに載っています。
宇宙誕生から10^-12から10^-6秒後
「クォーク時代」
クォークとグルーオンは存在しますが温度が高く、したがってそれぞれの粒子はばらばらに運動しているプラズマ状態であって、クォークが一緒になって次世代の粒子を作る(次世代の構造を作る)、という事ができない時代です。
ちなみにクォーク・グルーオンプラズマについては下記のような記事がありますのでご参考までに。
「クォーク・グルーオンプラズマ (QGP) by alice-j.org」
http://archive.fo/ynVki
時刻10^-4秒後、温度10^+12K (10^8eV=100MeV)
観測可能な宇宙の半径 0.126光年(太陽系を取り囲むとされるオールトの雲までの距離)
密度 陽子5.56*10^34個/m^3(1ccで92.8kgの重量になります。)
(ダークマター1.25に対し通常物質0.25の割合
ダークエネルギー成分はこの時も陽子3.5個/m^3相当で物質密度に対して無視できる程度の値)
QCD相転移(参考:格子ゲージ理論)が起り、クォークとグルーオンからハドロン(パイ中間子、中性子や陽子など)が形成された。(KEK)
宇宙誕生から10^-6から1秒後
「ハドロン時代」
宇宙誕生から1秒から10秒後
「レプトン時代」
レプトン<-- 電子、ニュートリノなどの軽粒子と呼ばれる素粒子一族の名称
宇宙誕生から10秒後から38万年後
「光子時代」
光子時代の最初の数分間に元素合成が行われて原子核が生成した。
光子時代の残りの期間、宇宙は原子核、電子、光子からなる熱く濃いプラズマに満たされていた。
ビッグバンの約38万年後、宇宙の温度は、原子核が電子と結合して中性原子を形成できるほどに下がった。
その結果、光子は物質と頻繁に相互作用することはなくなったことから、宇宙が晴れ上がり、宇宙マイクロ波背景放射が形成され、その後構造形成が起こった。
↑
・・・とまあWikiでは「光子時代」について説明されています。
あるいはKEKによれば
時刻1分、温度10^+9K (10^5eV=100keV)
観測可能な宇宙の半径 126光年(たとえばレグルスは、しし座α星、距離79光年)
密度 陽子5.56*10^25個/m^3(約2mol相当の密度です。注5)
(ダークマター1.25に対し通常物質0.25の割合
ダークエネルギー成分はこの時も陽子3.5個/m^3相当で物質密度に対して無視できる程度の値)
中性子と陽子が反応してできる重水素が分解されないで残ることができるようになるので、それを種とした核融合反応が進み始め、ヘリウム、リチウム、ベリリウムと言った軽い原子核が合成されます。
このような宇宙初期の軽元素合成は、理論計算の結果と観測値がほぼ一致し、ビッグバン 宇宙モデルの重要な証拠になっています。
↑
1分から3分についてはこういう説明になります。
そうして3分から約38万年後までについては
↓
その後も軽元素の原子核、電子、ニュートリノ、光子からなる宇宙は、膨張とともに温度が下がり、時刻数十万年、温度数千度になると、原子核と電子が結合し、中性な原子を形成し始めます。
ほとんどの陽子と電子が中性水素原子になってしまうと、それまで荷電粒子と強く反応していた光子は以後、物質と反応をほとんどしなくなってしまうようになりました。
・・・という「宇宙の晴れ上がり」までの説明となります。
↓
宇宙誕生から38万年後 温度3000K (0.3eV)
観測可能な宇宙の半径 4200万光年(たとえばM 87(NGC 4486、おとめ座A)例のBHが初めて直接撮影された銀河までの距離が5440万光年)
密度 陽子1.5*10^9個/m^3(10^-11Pa程度の、人類が作りだせるぎりぎりの真空度に相当。)
(ダークマター1.25に対し通常物質0.25の割合
ダークエネルギー成分はこの時も陽子3.5個/m^3相当で物質密度に対して無視できる程度の値)
「宇宙の晴れ上がり」(注1)
そうして「軽元素の原子核、電子、ニュートリノ、光子からなる宇宙」というのは要するに「宇宙はプラズマで満たされていた」という事ですね。(注3)
原子を作れるクーロン力はそこにはあったのですが、温度が高すぎて原子核と電子が一緒になって安定した形での「原子という構造」をつくれない、そういう状況でした。
従ってその様な宇宙にはいまだ「原子が集まって作る次世代の構造」というものはどこにもなく、、、
と書いてしまうとうそになります。
確かにプラズマそのものには構造は見当たりません。
しかしながら宇宙がプラズマで満たされていた時点ですでにCDM(コールドダークマター)が作り出す構造の種がすでにそこにはあった、というのが最終的にこの宇宙が作り出すことになる大規模な銀河のつながりで作られる構造体、そのような巨大なものを作り上げるメカニズムの種明かしです。
そうして、その構造を作り出す糊は宇宙開闢の最初期に分離した力である重力がになう、とそういうストーリーになっております。
宇宙誕生から138億年後(<-現在)温度2.73K(<-光子の温度で代表させた場合)
観測可能な宇宙の半径 450億光年(注6)
密度 陽子5個/m^3
(実際の内訳は
ダークエネルギー成分が水素原子で3.5個分相当
ダークマターが水素原子で1.25個分
そうしてようやく目に見える(?)物質成分が水素原子0.25個分相当)
追記
以下、10分程度の動画です。
1億光年までの地球を中心とした宇宙のサイズが良く分かりますのでご参考までに。
「1億光年までの旅 宇宙は想像を絶する大きさです」
注1
KEKについては「KEK・現代の宇宙像」からの引用になります。
http://archive.fo/1u9eq
「宇宙の晴れ上がり」については天文学辞典の記述が丁寧ですね。
「宇宙の晴れ上がり」
(http://archive.fo/k0KMG)
一応Wiki「宇宙の晴れ上がり」も見ておきましょう。
注2:強い力
四つの力の4番目は、強い力。
クォークを結びつけ、陽子や中性子等の核子を作り、またそれら核子から原子核を作る力。
http://archive.fo/OK649
wiki「強い相互作用」によれば『その名の通り電磁相互作用に比べて約137倍の強さがある。』とか。
そうであればこそ、クーロン力に打ち勝って原子核に陽子をつなぎとめる事ができる、と言う事になります。
注3:CDM(コールドダークマター)の海の中
そうして「軽元素の原子核、電子、ニュートリノ、光子からなる宇宙」というのは要するに「宇宙はプラズマで満たされていた」という事ですね。
↑
上記でKEKさんはこう言っていますが、その様なプラズマがCDMの海の中に存在していた、という事については言及がない様です。
しかしながら事実はCDMの海の中にプラズマが存在していた、という事であります。
注4
さてそう言う訳で宇宙初期の重要なイベントはスタートから3分間でほぼ終了してしまう、3分といえば「カップヌードルにお湯をいれて待つ時間」と同じです。
ということは我々の初期宇宙は本当に「インスタントに出来あがった」という事になります。
しかしながらこのインスタント初期宇宙に続く構造形成のストーリーはそれなりの時間が必要であり、そこで重要な働きをするのがCDM(コールドダークマター)と重力となる訳であります。
ちなみに強い力は原子核サイズで遮断され、クーロン力は原子、分子サイズで遮断されます。
それに対して重力は上記2つの力と比較すると「弱い力」なのですが、物質によって遮断されることはなく、理論上は無限の距離にまで作用を及ぼします。
こうやって宇宙はまずは小さなブロックを作り、そうしてそれらのブロックを組み合わせてその上のブロックを作り、最後に重力を使って大規模構造を作り上げました。
そうして下位の階層を形成する小さなブロック程頑丈に作るべきだ、と言う宇宙のやり方はなるほど合理的なものであります。
注5
「約2mol相当の密度」としましたが、ダークマターは化学反応しませんので、通常物質だけを取り上げると0.33mol相当となります。
ちなみに1molとは理想気体が標準状態0度、1気圧の条件下で22.4l(リットル)中に含むことになる粒子数6.02*10^23個の事となります。
注6:観測可能な宇宙の半径
宇宙誕生から38万年後および現在の値については2018年版の宇宙図から引用。
38万年以前については宇宙の大きさと宇宙の温度が反比例の関係にある事を使って算出したものです。
ちなみに現在の宇宙の臨界密度が陽子5個というのは「インフレーション宇宙論」からの引用です。
注7:素粒子の誕生
インフレーションモデルによれば「インフレーション終了時にインフラトン場が振動し、その振動開始は質量 m = ω ∼ 10^15GeV の重いヒッグス粒子の出現を意味し、その粒子が相互作用で急速に粒子・反粒子の対などに崩壊する。
これらの粒子は非常に大きな運動エネルギーを持って空間に充満するので、指数関数的膨張により冷やされた宇宙は再び加熱されてほぼ大統一温度 T ∼ 10^13GeV に戻り、その後はバリオン数非対称生成などを経て、標準宇宙論のシナリオに戻る。」とのこと。
インフレーション P7(第3段階) 再加熱
当面、すべての素粒子(ボゾン、フェルミオン、その他の超対称性粒子など)に対しては「この時に生成された」と考えてもよさそうです。
・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク
http://archive.fo/ys7P8
http://archive.fo/aDzqm
そのエネルギーの一部が物質粒子(フェルミオン)に変換され、それが集まって構造を作り出す、そういうシナリオになっています。
ところで構造を作り出すためには物質粒子を集めなくてはなりません。
つまり糊、あるいは接着剤、あるいは凝集力が必要になります。
この糊は最初はグルーオン:強い力(ハドロン・・・パイ中間子、中性子や陽子などの形成ー>原子核の生成)(注2)、次はクーロン力(原子の形成ー>分子の形成)、そうして最後に重力(星、銀河、銀河団などの形成)であります。
他方で最初からそのようなものの働きが強すぎれば、宇宙空間にまんべんなく物質粒子を拡散することはできません。
従って「まずはばらまく事」が必要で、しかる後に「集めて構造を作リ出す」と、そういう手順となります。
さてそれで、まずはだれが始めたのか、あるいは自然にはじまったのか、とにかく「ぽちっ」とスタートのスイッチが押されなくてはいけません。
そしてその後の展開についての記述は基本的にWiki「宇宙の年表」からの引用になります。
0秒~10^-44秒
「プランク時代」です。
時刻 10^-44秒、温度10^+32K
ここで重力と他の3つの力が分れたと考えられています。(KEK)
重力が存在しますから、アインシュタイン方程式が成立し、宇宙項、あるいはダークエネルギーも存在可能になったかと思われます。
そうしてその真空エネルギーによってインフレーションが可能になった、とその様に解釈できます。
加えて重力の存在により、原始ブラックホールも存在可能になったかと思われます。
宇宙誕生から10^-43から10^-36秒後
「大統一時代」
時刻10^-38秒、温度10^+29K (10^25eV)
大統一理論の相転移が起り、強い相互作用(強い力)と電弱相互作用(電磁気力と弱い力が統合されたもの)が分れた。(KEK)
宇宙誕生から10^-36から10^-32秒後
「インフレーション時代」
この急激な拡大は、初期宇宙の直径を少なくとも10^26倍にも増加させ、体積は少なくとも10^78にもなった。
大統一の時代にすでに素粒子があったとしたならば、宇宙の急速な拡大は、大統一時代から残る素粒子が非常にまばらに分散したことを意味する。
しかし、インフレーション時代の終わりにインフレーション場の巨大な位置エネルギーが解放され、再び宇宙は濃く熱いクォークグルーオンプラズマに満たされ、電弱時代が始まった。(注7)
また原始ブラックホールについてはこのインフレーションの時代に作られたのであろう、と主張するインフレーション モデルがある。
そして当方の主張はそのことに加えて「その大量に作られた原始BHは最初からプランクスケールであって、宇宙誕生からこれまでに一度もホーキング放射をしていないものが最良のCDM(コールドダークマター)の候補となる」というものであります。
宇宙誕生から10^-36から10^-12秒後
「電弱時代」
時刻10^-12秒
「宇宙図2018年版」によれば、この頃にヒッグス場が形成された、とされています。
時刻10^-11秒、温度10^+15K(10^11eV=100GeV)
観測可能な宇宙の半径 66光分(たとえば木星軌道半径42光分、土星軌道半径83光分)
密度 陽子5.56*10^43個/m^3(1ccで9.28*10^7tonの重量になります。ちなみにこれは中性子星の密度の9.3%相当です。)
(ダークマター1.25に対し通常物質0.25の割合
ダークエネルギー成分はこの時も陽子3.5個/m^3相当で物質密度に対して無視できる程度の値)
ワインバーグ・サラム理論の相転移が起り、電磁相互作用と弱い相互作用が分離。(KEK)
時刻10^-10秒
この頃にCDM(コールドダークマター)はすでに存在していたのでは、という絵が
「第3講: 宇宙は何からできているか?」の3ページに載っています。
宇宙誕生から10^-12から10^-6秒後
「クォーク時代」
クォークとグルーオンは存在しますが温度が高く、したがってそれぞれの粒子はばらばらに運動しているプラズマ状態であって、クォークが一緒になって次世代の粒子を作る(次世代の構造を作る)、という事ができない時代です。
ちなみにクォーク・グルーオンプラズマについては下記のような記事がありますのでご参考までに。
「クォーク・グルーオンプラズマ (QGP) by alice-j.org」
http://archive.fo/ynVki
時刻10^-4秒後、温度10^+12K (10^8eV=100MeV)
観測可能な宇宙の半径 0.126光年(太陽系を取り囲むとされるオールトの雲までの距離)
密度 陽子5.56*10^34個/m^3(1ccで92.8kgの重量になります。)
(ダークマター1.25に対し通常物質0.25の割合
ダークエネルギー成分はこの時も陽子3.5個/m^3相当で物質密度に対して無視できる程度の値)
QCD相転移(参考:格子ゲージ理論)が起り、クォークとグルーオンからハドロン(パイ中間子、中性子や陽子など)が形成された。(KEK)
宇宙誕生から10^-6から1秒後
「ハドロン時代」
宇宙誕生から1秒から10秒後
「レプトン時代」
レプトン<-- 電子、ニュートリノなどの軽粒子と呼ばれる素粒子一族の名称
宇宙誕生から10秒後から38万年後
「光子時代」
光子時代の最初の数分間に元素合成が行われて原子核が生成した。
光子時代の残りの期間、宇宙は原子核、電子、光子からなる熱く濃いプラズマに満たされていた。
ビッグバンの約38万年後、宇宙の温度は、原子核が電子と結合して中性原子を形成できるほどに下がった。
その結果、光子は物質と頻繁に相互作用することはなくなったことから、宇宙が晴れ上がり、宇宙マイクロ波背景放射が形成され、その後構造形成が起こった。
↑
・・・とまあWikiでは「光子時代」について説明されています。
あるいはKEKによれば
時刻1分、温度10^+9K (10^5eV=100keV)
観測可能な宇宙の半径 126光年(たとえばレグルスは、しし座α星、距離79光年)
密度 陽子5.56*10^25個/m^3(約2mol相当の密度です。注5)
(ダークマター1.25に対し通常物質0.25の割合
ダークエネルギー成分はこの時も陽子3.5個/m^3相当で物質密度に対して無視できる程度の値)
中性子と陽子が反応してできる重水素が分解されないで残ることができるようになるので、それを種とした核融合反応が進み始め、ヘリウム、リチウム、ベリリウムと言った軽い原子核が合成されます。
このような宇宙初期の軽元素合成は、理論計算の結果と観測値がほぼ一致し、ビッグバン 宇宙モデルの重要な証拠になっています。
↑
1分から3分についてはこういう説明になります。
そうして3分から約38万年後までについては
↓
その後も軽元素の原子核、電子、ニュートリノ、光子からなる宇宙は、膨張とともに温度が下がり、時刻数十万年、温度数千度になると、原子核と電子が結合し、中性な原子を形成し始めます。
ほとんどの陽子と電子が中性水素原子になってしまうと、それまで荷電粒子と強く反応していた光子は以後、物質と反応をほとんどしなくなってしまうようになりました。
・・・という「宇宙の晴れ上がり」までの説明となります。
↓
宇宙誕生から38万年後 温度3000K (0.3eV)
観測可能な宇宙の半径 4200万光年(たとえばM 87(NGC 4486、おとめ座A)例のBHが初めて直接撮影された銀河までの距離が5440万光年)
密度 陽子1.5*10^9個/m^3(10^-11Pa程度の、人類が作りだせるぎりぎりの真空度に相当。)
(ダークマター1.25に対し通常物質0.25の割合
ダークエネルギー成分はこの時も陽子3.5個/m^3相当で物質密度に対して無視できる程度の値)
「宇宙の晴れ上がり」(注1)
そうして「軽元素の原子核、電子、ニュートリノ、光子からなる宇宙」というのは要するに「宇宙はプラズマで満たされていた」という事ですね。(注3)
原子を作れるクーロン力はそこにはあったのですが、温度が高すぎて原子核と電子が一緒になって安定した形での「原子という構造」をつくれない、そういう状況でした。
従ってその様な宇宙にはいまだ「原子が集まって作る次世代の構造」というものはどこにもなく、、、
と書いてしまうとうそになります。
確かにプラズマそのものには構造は見当たりません。
しかしながら宇宙がプラズマで満たされていた時点ですでにCDM(コールドダークマター)が作り出す構造の種がすでにそこにはあった、というのが最終的にこの宇宙が作り出すことになる大規模な銀河のつながりで作られる構造体、そのような巨大なものを作り上げるメカニズムの種明かしです。
そうして、その構造を作り出す糊は宇宙開闢の最初期に分離した力である重力がになう、とそういうストーリーになっております。
宇宙誕生から138億年後(<-現在)温度2.73K(<-光子の温度で代表させた場合)
観測可能な宇宙の半径 450億光年(注6)
密度 陽子5個/m^3
(実際の内訳は
ダークエネルギー成分が水素原子で3.5個分相当
ダークマターが水素原子で1.25個分
そうしてようやく目に見える(?)物質成分が水素原子0.25個分相当)
追記
以下、10分程度の動画です。
1億光年までの地球を中心とした宇宙のサイズが良く分かりますのでご参考までに。
「1億光年までの旅 宇宙は想像を絶する大きさです」
注1
KEKについては「KEK・現代の宇宙像」からの引用になります。
http://archive.fo/1u9eq
「宇宙の晴れ上がり」については天文学辞典の記述が丁寧ですね。
「宇宙の晴れ上がり」
(http://archive.fo/k0KMG)
一応Wiki「宇宙の晴れ上がり」も見ておきましょう。
注2:強い力
四つの力の4番目は、強い力。
クォークを結びつけ、陽子や中性子等の核子を作り、またそれら核子から原子核を作る力。
http://archive.fo/OK649
wiki「強い相互作用」によれば『その名の通り電磁相互作用に比べて約137倍の強さがある。』とか。
そうであればこそ、クーロン力に打ち勝って原子核に陽子をつなぎとめる事ができる、と言う事になります。
注3:CDM(コールドダークマター)の海の中
そうして「軽元素の原子核、電子、ニュートリノ、光子からなる宇宙」というのは要するに「宇宙はプラズマで満たされていた」という事ですね。
↑
上記でKEKさんはこう言っていますが、その様なプラズマがCDMの海の中に存在していた、という事については言及がない様です。
しかしながら事実はCDMの海の中にプラズマが存在していた、という事であります。
注4
さてそう言う訳で宇宙初期の重要なイベントはスタートから3分間でほぼ終了してしまう、3分といえば「カップヌードルにお湯をいれて待つ時間」と同じです。
ということは我々の初期宇宙は本当に「インスタントに出来あがった」という事になります。
しかしながらこのインスタント初期宇宙に続く構造形成のストーリーはそれなりの時間が必要であり、そこで重要な働きをするのがCDM(コールドダークマター)と重力となる訳であります。
ちなみに強い力は原子核サイズで遮断され、クーロン力は原子、分子サイズで遮断されます。
それに対して重力は上記2つの力と比較すると「弱い力」なのですが、物質によって遮断されることはなく、理論上は無限の距離にまで作用を及ぼします。
こうやって宇宙はまずは小さなブロックを作り、そうしてそれらのブロックを組み合わせてその上のブロックを作り、最後に重力を使って大規模構造を作り上げました。
そうして下位の階層を形成する小さなブロック程頑丈に作るべきだ、と言う宇宙のやり方はなるほど合理的なものであります。
注5
「約2mol相当の密度」としましたが、ダークマターは化学反応しませんので、通常物質だけを取り上げると0.33mol相当となります。
ちなみに1molとは理想気体が標準状態0度、1気圧の条件下で22.4l(リットル)中に含むことになる粒子数6.02*10^23個の事となります。
注6:観測可能な宇宙の半径
宇宙誕生から38万年後および現在の値については2018年版の宇宙図から引用。
38万年以前については宇宙の大きさと宇宙の温度が反比例の関係にある事を使って算出したものです。
ちなみに現在の宇宙の臨界密度が陽子5個というのは「インフレーション宇宙論」からの引用です。
注7:素粒子の誕生
インフレーションモデルによれば「インフレーション終了時にインフラトン場が振動し、その振動開始は質量 m = ω ∼ 10^15GeV の重いヒッグス粒子の出現を意味し、その粒子が相互作用で急速に粒子・反粒子の対などに崩壊する。
これらの粒子は非常に大きな運動エネルギーを持って空間に充満するので、指数関数的膨張により冷やされた宇宙は再び加熱されてほぼ大統一温度 T ∼ 10^13GeV に戻り、その後はバリオン数非対称生成などを経て、標準宇宙論のシナリオに戻る。」とのこと。
インフレーション P7(第3段階) 再加熱
当面、すべての素粒子(ボゾン、フェルミオン、その他の超対称性粒子など)に対しては「この時に生成された」と考えてもよさそうです。
・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク
http://archive.fo/ys7P8
http://archive.fo/aDzqm