窓際日記・福島原発

窓際という仕事の雑感

バベルの塔

2007-10-28 16:30:19 | Weblog
かつて学生時代に人間の自然を知りうる認識力には限界があるという
私論を展開したことがある。

何のことはない、加速器を作るのには金がかかるし、そのトリガーとなる
研究成果の経済への波及効果が落ちるからと言うのが論旨である。

実際、ここ30年を見てみればこの予測が正しかったことがわかる。

現にアメリカはSSCの建設を中止した。

これは、高いおもちゃを作っても、金は儲からんというのが議会の
結論であり、30年前のわたしの結論と同じ。

しかしながら、CERNは違う価値観を持っておりLHCを作っている。

これは2008年にも稼働する予定である。

素粒子論でいう標準理論の検証とそれを超える領域の探索が期待されている。

近頃のひも理論は可能性が多すぎて、現実のこの宇宙に対応する解答を
出せないでいる。

ひも理論の実験的な検証は人間わざを超えており、LHCの実験でも
なんのフィードバックもかからない。

余剰次元理論によれば、LHCの実験で5番目の次元の影響が見られる
可能性があるとしている。

LHCは現代版のバベルの塔である。

但しまだ究極の形には至っていない。

世界中の全ての国が協力して、史上最大の加速器を作ることになれば
それがバベルである。

いわゆる加速器による実験はそれをもって最後の形を迎えることになる。

人間が力ずくで自然にその神秘を語らせようとする最たる物が加速器実験である。

CERNからWWWが生まれたことを思い起こすと、何とも奇妙な思いになる。

バベルの塔の建設に関わっていた人々の言葉を多様にすることで
かつて神はバベルの塔の建設を中止させた。

WWWが存在するようになってからは、神のこのような戦略は有効ではなくなった。

ということは、LHCの実験で自然は隠し持っている神秘を我々に
見せてくれるのだろうか?

2008年がたのしみである。




コメント
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