風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

夏は海底トンネルへ-1

2014-07-12 | 神奈川
○ prologue

長かった梅雨が明けて、夏の日差しが急に強くなった7月中旬、友人美優と会いました。
特にはっきりした行き先などは決めないまま、鶴見駅で待ち合わせします。
会って開口一番、「暑いね~」
「どこに行こうか、なにをしようか」と言いながらも、すぐには決められないまま、とりあえず横浜に行ってみました。

○ 遅かりしハラ博

「そうそう、原模型博物館に行ってみたいと思っていたの」
前に行った『きかんしゃトーマス展』で、トーマスのモデルとなった原模型博物館所蔵の機関車の模型が特別展示されており、その精巧さに心引かれたのです。
場所がはっきりわからないながら、(たしか日産ビルの隣だったような)と見当をつけて向かったところ、迷わずにたどり着きました。

子供たちで朝から行列ができているのかな~と思いましたが、建物内はとても静か。
「あっ見て」とミユが声を挙げます。
「開館 11:00」と書かれていました。

9時に待ち合わせして、今の時間は・・・9時半。
あと1時間半もあります。
どうりで、誰もおらずに静かだったんですね。
せっかく早めに待ち合わせしたことですし、今回はあきらめることにしました。



博物館の入っている横浜三井ビルのロビーにあったモダンチェア。
(椅子の下に入れそう)と思って、ミユに「乱歩の『人間椅子』って知ってる?」と質問したら、突然すぎて「は?ランポ?」と驚かれました。

○ ぴあ開店を待つ人々

この日のルートについて作戦会議を練ろうと、駅地下街のタリーズに行きました。
隣のチケットぴあの前では、大勢の人が折りたたみ椅子やピクニックシートに座り込んでいました。
一瞬、デモかストライキかと思いましたが、どうやらみんな、開くのを待っているようでした。
女性の方が多かったので、ジャニーズのライブチケット発売日かなにかだったのかも。
ハラ博を待てなかった私たちは、情熱が足りなかったのかしら~。
でもぴあはきっともうすぐ開くんでしょう。



モーニングセットを食べながら考え、鶴見線に乗って川崎方面へ行くことにしました。
鶴見線は、1時間に2本しかありません。
時間に遅れないよう、10時ごろに席をたちました。
ちょうど、チケットぴあが開くところで、待ち人たちが椅子をたたんで臨戦態勢に入っていました。

○ 鶴見線

待ち合わせ場所の鶴見駅に戻り、鶴見線ホームへ。
乗るのはまだこれで2回目です。用がないので。



埋立地の工場職員の足代わりの線なので、休日はガラガラかと思いましたが、それなりに乗客は多かったです。
圧倒的に男性比率が高くて(みんな鉄道マニアかな)と思いました。
考えてみれば、原模型博物館のあとで鶴見線に乗っている私たちも、充分鉄子度高いんですけどね(笑)!

電車はのんびり埋立地を通っていきます。
私たちは、浜川崎駅で降りました。
前を歩く人のあとをついていったら、関係者以外立ち入り禁止の工場専用出口に行ったので、私たちは一般乗り換え口へと向かいました。



前に来たときも、ここで乗換えをしたことを、ぼんやりと思い出します。
雑草の生い茂った線路の周りに倉庫が並ぶ、うらぶれた感満載の殺風景な駅。
でもそこが鉄っちゃんたちに人気なのか、線路沿いには長ーいカメラを構えた男性がいました。



無人改札を通って南武支線に乗り換えると、今度は2車両という短い電車。
全所要時間も短いですねー。
隣の川崎新町で乗り換えました。



○ 寺社めぐり

ここからは、お寺と神社をたどりながら、1~2キロ歩いていきます。
てくてく歩いて、向かったのは日枝大神社。



境内で、神主さんとすれ違いました。
子どもたちの絵が書かれたぼんぼりがたくさん準備されていました。
この週末の夜に、ぼんぼり祭があるようです。



よほど大きな観光寺院でなければ、普段のお寺は静かで閑散としていますが、この日はどこも、人が大勢訪れていました。
「もうすぐお盆なので、早めに見えている檀家さんが多いんですよ」
とお寺の人に教えていただきます。
そうだったんですか。
関東では、7月にお盆をするんですね。
我が家は8月です。地方によって違いがあるとは。



途中、線路にさしかかったら、長い貨物列車が通っていきました。
側面に「愛」の一字が見えます。
どういう意味なんでしょう?愛は愛?
まさか愛知や愛媛まで行くわけでもないでしょうし・・・ラブトレイン?



ものすごく長くて、全て通過し終わるまでに、かなりの時間がかかりました。
あれは、ホームに全部入りきらなくてもいいから、ずーっとつなげられるのでしょうか。



無人の神社の拝殿奥にある本殿の方にまわりこんだら、なにやら人けを感じます。
なんと、本殿の縁側(っていうのかな)に、ビーチチェアが置かれており、誰かが寝ていました。
えー?
とりあえず起こさないようにそのまま後ずさりし、離れてからミユとひそひそ話します。
「今の、なんだったんだろう?」
「神社の人じゃなさそうだよね」



浮浪者にしては、なんだかバカンスめいていたので、(地元ヤンキーのお昼寝かな)ということになりました。
いい昼寝場所を見つけたものです。

真っ黒い犬が暑そうにへばっていたので、うちわの風を送ってあげました。
黒すぎて、ハーハー言っている赤い舌しか見えませんね。
ヤンキーも犬も私たちも、みんな暑さにぐったり。
トンボだ~って、オケラだ~って♪



暑いので、ペットボトルを買おうと自販機を探していたら、そばに劇場を見つけました。
「劇団芸昇」と書いてあります。
地元に支えられた演芸場ですね。
ちょっと中をのぞいたら、芝居の格好をした和服姿の人が見えました。



外を歩いているだけで消耗する暑さですが、バスの通る大通りに出るまで、道すがらの寺社を参拝していきます。
犬の次は猫。
お寺の境内に、ネコにしか見えない石を発見。



絵で描かれた般若心経が飾られたお寺がありました。



もうすぐ咲きそうな蓮が、空に向かってまっすぐ伸びていました。



○ 海底トンネルその1

いよいよ暑くて、会話も途絶えがちになっていた頃、ようやくバス通りに出ました。
やってきたバスに乗り込んで、向かったのは川崎マリエン。
タリーズで(ここには行きたいね)と話していた場所です。

市街地を抜け、バスは地下トンネルに入っていきました。
東扇島にあるマリエンに行くには、海底トンネルを通っていくのです。

○ 川崎マリエン

バスは座席が埋まるくらいの乗客がいましたが、マリエンで降りたのは、私たちと男性一名。
その人は関係者のようで、通用口らしきところへと行きました。
もっと見学者が降りると思ったら、私たちだけ。
見上げたマリエンは、パリの新凱旋門のような形をしていました。



タワー棟10階にある展望室まで昇ってみます。
フロア全体が展望室になっており、360度の眺望を楽しめました。
気持ちい~い。





川崎港の海上出入り貨物取扱量(輸入・輸出を合わせた量)は、全国で9位だそうです。
もっと上なのかと思っていたら。1位は名古屋港でした。



上からは、テニスコートが見下ろせます。
その隣にある、白いのは・・・?
こんがりと日に焼けた水着姿の人たちがやってきました。ボールを持っています。
どうやら、ビーチバレーコートのようです。
海辺じゃなくても、できるんですねえ。



○ スカイレストラン・フロンティア

マリエン内のスカイレストランでランチをすることにしました。
入り口の呼び鈴を鳴らすと、店員さんが登場して、席に案内してくれました。
ほかにお客さんは、誰もいません。貸し切り~
ランチタイムからずれた時間に入ったからでしょう。
窓際に座って、海を眺めます。
各テーブルに双眼鏡があり、遠くまで臨めました。



私は平麺の蟹パスタをチョイス。おいしかったです。
ミユはチキングリルを頼みましたが、「暑くてなんだか食欲がないわ」と残したので、大丈夫かなと気になりました。

食後、また展望室をぐるりと周ります。
ジオラマがあり、カモメになった気分で、見下ろします。
位置関係がよくわかりました。



ここからまたちょっと歩く予定の私たち。
ジオラマで、方角を確認します。



点々の道がありますよね。
ここを通って、帰りは歩きで陸に戻るつもりです。

○ 海苔づくり資料館

下の階にある「川崎の海苔づくり資料館」も見学しました。
落ちそうなほどに小船から身を乗り出している人形が展示されています。
昔は、こんな風にして海苔を採っていたんでしょう。



多摩川河口から鶴見川河口に至る遠浅の海では、魚貝類が豊富に採れたそうです。
川崎が工業都市化していくことで漁業は衰退し、昭和47年に漁業権が放棄されたのだとか。
開発の影で失われた伝統産業があることを、知りました。

その2に続きます。


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