風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

2012-5 三浦半島・灯台ハント1

2012-05-20 | 神奈川
2週間前、「三浦半島なんでも探偵団」のジェイク団長について、追浜・田浦方面のパトロールに参加しました。
予想を越えるマニアックルートにクラクラしましたが、どうもまだその余韻が残っています。
再び三浦半島へ行かなくては!と、胸が騒ぎます。

おりしも団長は出雲の国を旅行中で不在。これは、三浦国を乗っ取る絶好のチャーンス(笑)!
今回のテーマは灯台巡り。半島には岬があり、岬には灯台があるものですが、三浦半島は日本でも灯台さきがけの地です。
ときどき、「塔MAP」というサイトを眺めては、夢想にひたっている私。
塔の中でもお気に入りは、五重塔と灯台です。
好きだという割には、いつも行くだけで満足しているため、意識的に訪れようと思いました。

意気揚々とスケジュールを組み始めますが、意外と難しいことが次第に分かってきました。
なんと、1時間に1本しか来ないバス路線が結構あるのです。
実はとっても田舎なのね、三浦って…。
あれこれルートを悩みながら、プランニングしました。

当日は、半島まで快特で一気に南下しました。
横浜市内を抜けると、どんどん緑が濃くなってきて、山の中に入ったかと思うと、視界の先に海が開ける京急。
非日常感に嬉しくなります。

三浦海岸駅からバスに乗りかえて、まず向かったのが、剱崎灯台(塔高17m)。
キャベツ畑や大根畑の中の小道を進みますが、道のアップダウンが激しくて、ハーハー息を切らします。
でも、静かなロケーションの素晴らしさに、うっとりしました。



細道を通り抜けた先に、視界が開けて灯台の全景が見えてくる、秘密の場所のような感じ。
標高41mの高台にあるため、灯台の先に広がるのは、海と空、それだけ。
「目の前は青い空、青い海、そして白亜の灯台」という光景が、好きです。
鳥のような気分になって、辺りを見回します。
余計なものが一切ない、美しく気持ちのいい景色に、しばし見とれました。
ああ、ここに住みたいわ。こおれる~月かげ~空にさえて~♪



海岸の先には、間口港灯台(塔高9.8m)が見えました。
かなり近くに灯台が二つ。なぜかしら。やっぱり三浦半島は、灯台王国?



潮風と磯の香りを胸いっぱいに吸い込んで、先ほどのバス停へと戻ります。
1時間に1本しか来ない、次のバスを逃すと、その後の予定がすべてずれこんでしまうので、暑い中せっせと歩いて、予定通りバスに乗り込みました。
ところどころで、風車が回っています。気持ちのいい風が吹く日です。



それから、日の出バス停で降りました。
ここは三崎港そば。何回も通い詰めた寿司屋「紀の代」がありますが、今回はその隣の「くろば亭」に行ってみました。
いつ訪れても行列が途切れることのないくろば亭。この日も、開店して間もない時間でしたが、すでに10名ほど人が並んでおり、番が来るのを待ちました。



すると、店の中から、お盆に乗ったまぐろのカマを持った人が現れて、外の入り口からしずしずと二階へ上がって行きました。
その図はまさに、ヨカナーンの首を捧げ持つ、サロメ!
その後を、お客さんが数名続きます。
最後に現れたのが、入道というか修験僧というか、「ラスト サムライ」の勝元のような、なんだかすごい迫力の男性。
大きな数珠を首にかけ、ホラ貝を手に持ち、眼光鋭く辺りをねめまわしながら、二階へ上がっていきました。
えええ?

少ししてその人は降りてきたので、ちょっと身構えましたが、ほかのお客さんに尋ねられて、ホラ貝を吹いてみせてくれました。
実は気さくな人のようです。
どうやら、まぐろのカブト焼きのオーダーが出た時には、ホラ貝のおまじない(?)サービスがつくみたい。
サイトに、写真が載っていました。
カマは、以前、お隣のお店で冷凍を持たせてもらったことがあります。かなりの重さでした。



ジェイク団長は、ここのお店のおやじさんとtwitter仲間だそうですが、もしや、この海の山伏(?)みたいな人がおやじさん?
あまりに古めかしい装束が決まっていて、PCを動かす姿がどうも想像できませんでした。



名前が呼ばれて、カウンターに通されます。目の前には、からりとまるごと揚げられた魚が、口を開けて重ねられていました。
あんかけ用のお魚さん。なんだか「食べて食べてー♪」と言われているようで、目が合っちゃいますが、ここはやっぱりまぐろでしょう。
運ばれてきた中トロ丼は、鮮やかなまぐろ色で、見るからに新鮮。
舌の上でとろけるほどに柔らかかったです。うーんおいし~い!
そう広くはない店内に、客はびっしり入っていましたが、さほどお喋りで騒々しくなかったのは、みんながみんな、出された料理に舌鼓を打っていたからでしょう。



この味は、ほかの場所では出逢えません。どうしたって港のそばの店ならでは。
わざわざ出向いて、その土地の名産を味わうことの贅沢さを噛みしめました。

食事を済ませてから、城ケ島大橋を通り、島へと入ります。
三崎港の赤白防波堤灯台(塔高赤12m、白10m)が見えました。



それから、半島最南端、西の高台に建つの城ケ島灯台(塔高12m)に向かいます。
日本で5番目に灯った西洋式の灯台です。小さな島の灯台って、ケーキキャンドルみたいです。



灯台の先は、ごつごつしたリアス式岩礁の海岸。
千畳敷の広々した岩場を歩き、磯だまりで遊ぶ人々を眺めながら、島の散策をします。



海食洞穴の馬の背洞門は、いつ見ても不思議。高さは8mもあります。
自然が作ったダイナミックな景観。海から昇る朝日をここから眺めたら、誰でも詩人になれるでしょうね。



上から見下ろしてみました。うわあ、ここを歩くとなったら、こわくて泣いちゃいそう。泣きながらでも、歩いてみたーい。



楽しい散策地ですが、岩あり砂浜あり階段ありで、けっこうな運動量。



どんどん東へと歩き、東の果ての安房崎(あわざき)灯台(塔高11m)に着きました。
剱崎や城ケ島の、灯台らしいフォルムとは違う、トーチライトかロケットのようなモダンなデザイン。



岩場を伝ってそばまで行ってみました。宇宙船のような頑丈な扉。ああ、中に入ってみたいわ。
壁は、タイルでした。
波打ち際に立っている灯台は、なんだか海底秘密基地への入り口のような気がします。
下っていった先には、潜水艦ノーチラス号があって、ネモ艦長がいるんじゃないかしら。



灯台の前に座って、海を眺めました。目に映るのは広い海原にしぶきを上げる波、頬を撫でるやさしい潮風。
ああ、このままこうして、一日中のんびりしていたーい。
そうやって人は、釣り人になっていくのかも。大勢の太公望たちが、島のあちこちで釣り糸を垂れていました。

島の散策を済ませて、バス停に行きました。突然、何十人もの大勢の学生集団が現れてびっくり。
みんな同じバスに乗りこんで、つぶれそうにぎゅうぎゅう。
どうやら、教育実習の一環で、城ケ島に来た教職課程の人たちのようです。
三崎口駅にバスが着き、脱出できた時にはホッとしました。

その2に続きます。


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