三菱電機とNEC、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は次世代衛星を使う世界最高精度の位置測定技術を共同開発した。現在の全地球測位システム(GPS)と比べ位置の測定誤差を1000分の1の1センチ程度にできる。自動車や鉄道の無人運転など次世代交通システムの基盤技術となる。2018年にも企業が国内でサービスを始める。日本のインフラ輸出の切り札にもなりそうだ。
政府は1月策定の宇宙基本計画で日本版GPSと呼ばれる「準天頂衛星」プロジェクトを成長戦略の柱に据えた。高度な位置情報技術は国内で多様なサービスの開発につながるうえ、海外でも需要が見込める。アジア・太平洋地域では同サービス市場が年4兆円規模になるとの予測もある。
日本では米国の衛星から位置データを取得しており、測定の誤差は10メートル程度。政府は日本の上空を旋回する準天頂衛星を3個以上配備する計画で、同じ米国のGPSデータを使っても位置の誤差を1メートル以下にできるとされていた。三菱電機などは1~2センチ程度にする技術にメドをつけた。
宇宙空間に近い上空には電波を反射する層などがある。位置測定に使うデータはこれらの影響を受けて乱れが生じる。三菱電機は高度な解析技術でデータを補正する装置を開発。補正データをJAXAの通信基地から準天頂衛星に送り、位置の測定精度を飛躍的に高める。NECは衛星と地上のデータをやりとりする次世代通信技術の開発を担う。
政府は18年に衛星や基地局設備などを整え、民間企業が高度な位置情報サービスを24時間提供できるようにする。7月には東芝やホンダなど約200社が参加するGPS関連の協議会が発足。各社は用途開発で世界に先行し成長事業に育てる。
自動車や鉄道車両に位置情報を受信するチップを組み込めば、道路の渋滞を避ける信号の制御や交通案内のほか、鉄道車両の自動運転も可能になる。車道のレーン識別もできるため、将来の自動車の無人運転の基盤技術になる。建機や農機の操作の無人化にも役立つ。穀物の育成状況を把握、農薬の散布や収穫をより効率的に行える。
スマートフォン(スマホ)などに専用チップを搭載しておけば、より正確に自分の位置を確認し目的地にたどりつける。災害時には人の流れを正確に把握し、避難ルートを的確に指示できる。
政府は準天頂衛星の設備をアジアの新興国を中心に売り込む。一部アジアでは日本の準天頂衛星を活用できるため、1000億円規模の地上設備を建設すれば高度な位置情報サービスができる。
位置情報サービスの利用料金などはまだ決まっていない。サービスを国内外で普及させるためには、民間企業が準天頂衛星に対応する車載用の受信端末などを低価格で開発する必要がある。
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