ringoのつぶやき

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株式「5月に売り逃げよ」に要注意 編集委員 前田昌孝

2015年04月29日 16時13分32秒 | 

日経平均株価は2万円をはさんで一進一退の展開だ。28日は予想以上の株主還元方針を発表したファナックが買われた一方、米アプライドマテリアルズとの経営統合計画を撤回した東京エレクロトンが大きく下げた。30日の金融政策決定会合で日銀が追加緩和を見送った場合に、失望売りが出て下がるのではないかと市場参加者は警戒している。「5月に売り逃げよ」という米ウォール街の常とう句も気がかりで、買いの勢いは弱い。

 

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 ファナックは4月1日に株主との対話窓口になるSR(シェアホルダー・リレーションズ)部を設け、株主還元策などを検討していた。27日の決算発表に合わせて打ち出した基本方針は(1)配当性向を2倍の60%に高める(2)今後5年間、平均総還元性向80%の範囲内で機動的に自社株買いを実施する(3)発行済み株式数の5%を超える金庫株は消却する――の3点だった。

 

 さっそく前期の配当を純利益の60%に当たる636円62銭(下期だけだと491円93銭)に引き上げた。28日の株価は一時1775円高の2万8575円高と急騰し、これだけで日経平均株価を一時70円押し上げた(終値では35円の押し上げ)。同じ超値がさ株のファーストリテイリングと配当利回りを比較すると、同社は0.7%強なので、約2.3%のファナックは3倍にもなる。

 この水準の配当が続くと、10年前にファナック株を6200円で購入し、持ち続けた株主は毎年、投資元本の10%強の配当を受け取る計算だ。もちろんほかにキャピタルゲインもある。株式市場で長期投資家を育てるためには、第2、第3のファナックが必要だ。コーポレート・ガバナンス(企業統治)改革を強力に進めて、透明で躍動感のある企業を増やすことが待たれる。

 ファナックに限らず、投資家の間では上場企業の株主還元姿勢への関心が強く、28日にはデンソーも大幅高で4カ月ぶりに上場来高値を更新した。前期の配当を予想よりも15円増の63円とし、同時に上限300億円の自社株買い計画を発表したためだ。東京エレクトロンも27日に前期の大幅増配と、上限1200億円の自社株買い実施を発表した。ただ、さすがに経営統合撤回への失望のほうが大きく、株価は14.8%安の6557円になった。

個別銘柄から離れて相場全体に目を向けると、市場参加者は30日に開かれる日銀の金融政策決定会合や、「5月に売り逃げよ」というウォール街の常とう句が気になっている様子だ。金融政策決定会合では追加緩和の有無が焦点。メガバンク株などは追加緩和実施を前提に買われてきたが、「ただでさえ政策手段が限られるのに、株価が高い今の局面で日銀が動くとは思えない」(外為トレーダーの石原順氏)との見方も強い。

 日銀が追加緩和を見送れば株式市場には失望売りが出る可能性もある。ただ、今回の上昇相場に乗り切れていない投資家は、「失望売りで下げたところで買おう」と考えている様子。押し目買い意欲の強さを考えると、日経平均が2万円を大きく割ることはないかもしれない。一方で「5月に売り逃げて、ハロウィーンのころ(10月末)に買え」というアノマリーもあり、相場が上にいく可能性も小さそうだ。

 

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 グラフは戦後66年間の日経平均の年間変動パターンを示している。前年12月末を100とすると、4月末には106.17まで上昇し、その後は上昇ペースが鈍り、10月末に108.00になる。10月末から12月末の111.40にかけてはまた上昇の勢いを取り戻している。つまり、購入から売却まで6カ月間の投資ならば、10月末に始めて翌年4月末に手じまうのが最も効率が良く、4月末に始め10月末に終えるのは最も報われないことを物語っている。

 

 直近でも昨年10月末から4月28日にかけて日経平均は22.2%上昇し、その前の6カ月間の上昇率の14.7%を上回った。戦後の米国のニューヨーク・ダウ工業株30種平均を使って同様の分析をしても、10月末から4月末にかけて平均7.53%上昇する一方、4月末から10月末にかけては平均0.65%の上昇にとどまる。日米に限らず、世界のほとんどの国・地域で夏相場は冬相場に比べて成績が悪い。

 米国では5月に売りが増える理由として、(1)5月になると、所得税の還付金を原資にした買いが一巡する(2)5月はヘッジファンドの決算の関係で手じまいが増える――などの理由が語られる。加えて春から秋にかけては人間が活動的になるため、実体経済の資金需要が増え、市場にお金が回りにくくなるのかもしれない。

 

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 日本の長期金利(データの継続性の関係で9年物国債の金利)に着目して1974年以降の利回りを月ごとに平均しても、新年から秋にかけては金利水準が上昇基調となり、10月から12月にかけて目立って低下している。夏はお金が逼迫し、冬は緩慢になることを示している。冬の足音が近づくと、余ったお金が株式市場などに入り、株価の押し上げ役になるわけだ。

 もう1つ気になるのは、米国経済のゆくえだ。三菱東京UFJ銀行の鈴木敏之シニアマーケットエコノミストは、24日に発表された米耐久財受注に関して「米国の景気拡大の成熟の様相が見えている」と指摘していた。航空機を除く非国防資本財の受注(コア受注)が7カ月連続前月比マイナスとなっているためで、「過去、これが減少している局面での金融政策は利上げではなく利下げだ」という。米国の金融政策をめぐる議論の混迷は、株式の売り要因になりうるだけに、要注意だ。



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