シンガポール(ダウ・ジョーンズ)米格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は14日、中国政府は今年、物価
上昇圧力に制御がきかなくなることを回避しようと、金融政策よりも財政政策に重点を置いた緩和措置を実施す
る可能性が高い、との見方を示した。
14日に公表した報告でS&Pは、いかなる緩和措置でも消費者と中小企業は恩恵を受けるはずだとした。地方自治
体がこれまでに実施した措置と相まって、緩和政策は政府予想を上回る経済成長をもたらす公算が大きいという
。
S&Pが予想する中国12年の国内総生産(GDP)成長率(インフレ調整後)は8.3%で、中国政府の公式予想である
7.5%よりも高い。12年の年間インフレ率については、4%近辺と見込んでいる。
S&Pのクレジットアナリスト、キム・エン・タン氏は、「不動産価格と消費者物価の高騰は、まだ人々の記憶に
新しい。従って経済活動の減速が明白だとしても、政策緩和は段階的に行われる必要がある」と語った。
地方政府の貸出制度により資金調達は比較的容易になるかもしれないが、経済成長率が急低下しているわけでは
ないため、中国の金融政策はほとんど変わらないだろうとキム氏は指摘した。
預金残高の伸び悩みが続いた場合、中国人民銀行(中央銀行)は銀行の預金準備率をさらに引き下げる見込みだ
という。「大手行の預金準備率は20.5%と依然高く、追加引き下げ余地は十分にある」とみる。
S&Pの金融機関格付けディレクター、リャオ・チャン氏は13日の電話会議で、中国の預金準備率は今年19%以下
に低下してもおかしくない、と述べた。
14日の報告でS&Pは、ユーロ圏と中東の情勢が悪化して中国の経済成長を脅かすような事態を警告しつつ、国内
の状況もまた成長を妨げる可能性があると指摘した。「国内の経済活動が政府予想よりも急激に減速した場合や
海外情勢が突然悪化した場合、中国政府は迅速に断固とした対応を取る必要がある。ただ、指導層の大幅な交代
が予定される年において、それは難しいかもしれない」とタン氏は語った。
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