東京株式市場では日経平均株価の高値と安値の差が500円を超え、4日も不安定な相場が続いた。だが、取引終了にかけて目立ったのは、輸出株の堅調さだ。日中の円相場が1ドル=99円台の円高・ドル安水準で推移したにもかかわらず、自動車や電機株などには買いが膨らんだ。各社が想定する為替レートは今の相場より総じて円高。割安感に着目する投資家も増えてきた。
朝方下げていたトヨタ自動車の終値は2%高、リコーも3%上げた。最近は、株安で安全資産の円が買われ、それが再び株安を招く連鎖も見られたが、4日はひとまず歯止めがかかった。「相場反転の機会を待っていた海外投資家の買いが入った」(大和証券の藤倉敬グローバル・エクイティ・トレーディング部長)
投資家が注目するのは企業が業績予想の前提にする想定為替レートだ。トヨタなど輸出業の多くは1ドル=90~95円で予想を立て、全体の平均も92円80銭。直近の円高でも「のりしろ」はなおあり、業績の上ぶれ余地は残る。「急速な円高にならない限り、株価調整が進み、業績拡大余地の大きい輸出株には魅力がある」(アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの寺尾和之取締役)との声も出てきた。
野村証券は4日、1ドル=97円の前提で、今期の主要企業の経常利益を前期比36%増と、3月時点から4・5ポイント上方修正した。日経平均採用銘柄の利益水準と比べた株価水準を示す予想PER(株価収益率)は、急落前の17倍から直近で15倍に低下。松浦寿雄ヴァイス・プレジデントは「好調な業績に比べ株価に割安感が出てきた」と話す。
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