ringoのつぶやき

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原発解体、膨らむ負担、廃炉費用、米国は半分、「プロ」が請け負い効率化(真相深層)

2013年06月05日 07時12分16秒 | 社会経済

役目を終えた原子力発電所を解体し、更地に戻す「廃炉」が電力会社の緊急課題に浮上している。日本で商業用原発が稼働して47年。福島第1原発の事故を受け多くの原発は予想外に早く、コストのかさむ店じまいを余儀なくされることになりそうだ。難題に対処するヒントは米国にある。
作業終了は2020年
 国内初の商業用原発、日本原子力発電東海原発(茨城県東海村)は解体のまっただなかだ。海沿いの松林に囲まれた古びたコンクリートの建屋の中で、ロボットが金属構造物を黙々と切り刻む。
 廃炉はタービンなど汚染の少ない周辺機器の解体から始まり、最後に残るのが原子炉の解体と建屋の取り壊しの作業だ。「ひとつひとつ課題を乗り越えながらやっている」と柳原寛司東海事務所副所長は語る。常時50~60人が作業にあたるが、更地に戻るのは2020年度という。
 一方で原発の解体風景は今後、国内各地でみられることになりそうだ。
 5月22日、東京の原子力規制庁。原子力規制委員会は日本原電敦賀原発2号機の直下に活断層を認定した。今夏に適用される原発の新規制基準は活断層上に原子炉を建てることを認めておらず、2号機は廃炉となる公算が大きい。規制委は北陸電力志賀原発(石川県)など5施設でも活断層の有無を調べている。
 新基準は老朽原発の廃止規定を従来より厳しく定める。基準の運用によって古い原発が、想定より早く廃炉に追い込まれるケースも増えそうだ。
 世界ではこれまでに145原発が運転を終えているが、廃炉まで済ませたのは十数基。日本で完了したのは小型試験炉1基にとどまる。
 その試験炉は、解体が進む東海原発から南にわずか500メートルの場所にあった。日本原子力研究開発機構の「JPDR」。跡地の空き地では雑草が海風に揺れる。
 機構は様々な工法で炉の解体を試みてきた。圧力容器は大電流で溶かし切り、原子炉を囲む分厚いコンクリートは高圧の水噴射などで切断。「既存の技術の組み合わせで作業は完遂できることを確認した」と機構の担当者は語る。
 今後の課題は「コストの削減、期間の短縮」と機構の原子炉廃止措置研究開発センターの岩永茂敏技術主席は指摘する。実験用の超小型炉であるJPDRで廃炉費用は230億円かかった。東海原発も普通の原発の数分の一の規模だが、廃炉の総費用は885億円と日本原電は見積もる。経済産業省の試算では、国内の全原発を廃炉にした場合のコストは約2兆7900億円。原発1基あたり300億~800億円という計算だ。
積み立て不足
 11年度末までに国内の電力会社が積み立てている廃炉のための準備金は1兆5600億円にとどまる。積み立て不足は深刻で、廃炉が重なれば電力会社の経営を圧迫しかねない。
 米国では先例が積み重なる。11基の廃炉の作業を終了。米原子力規制委員会(NRC)がはじく1基あたりの廃炉費用は3億~4億ドル(約300億~400億円)。解体法や土地の費用など比べにくい面もあるが、日本の半分前後と安い。
 コストを抑えられる理由の一つは廃炉のプロが多く、競争が働いていることだ。専門会社の米エナジーソリューションズ(ユタ州)は廃炉や放射性廃棄物処理の世界最大手。5千人を超える従業員を抱え、廃炉技術の開発と効率化を進めながら、電力会社から廃炉や使用済み燃料の処分を一括して請け負う。
 フランスでは今年1月、水処理や廃棄物処理事業などを手がけるヴェオリア・エンバイロメントが仏原子力庁との間で原発の廃炉や原子力施設の解体を一括受注する契約に調印した。仏経済財政省の試算によると、同国58基の原発の廃炉費用は320億ユーロ(約4兆1800億円)。フレロCEO(最高経営責任者)は「廃炉は巨大市場。ヴェオリアの技術をいかせる分野だ」と語る。
 日本は研究機関と電力会社が細々と研究に着手した段階で、廃炉を実行する民間の主体は育っていない。自前の技術に固執せず、米仏などから大胆に学ぶ姿勢も必要だ。(古谷茂久)
【図・写真】商業用の原発として初の解体が進む東海原発で公開された熱交換器(5月16日、茨城県東海村)



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