ringoのつぶやき

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【始動 ニッポン取引所】(上)アジアNO1へ、課題はデリバティブ強化

2013年01月05日 08時30分23秒 | 社会経済

 日本の株式市場が久しぶりに上昇相場の熱気に包まれる中、東京、大阪の2大証券取引所が統合して1日に発足、4日に上場した「日本取引所グループ」。アジアナンバーワン取引所の座を確固たるものにできるか、行く手には多くのハードルが待ち受けている。

 「本質的には同じだ」

 昨年12月、デリバティブ(金融派生商品)大手の米インターコンチネンタル取引所(ICE)が、米ニューヨーク証券取引所(NYSE)を傘下に持つNYSEユーロネクストの買収を発表したことについて、斉藤惇・東京証券取引所社長(現日本取引所最高経営責任者=CEO)は、日本取引所の誕生に重ね、そう評した。

 国内の現物株で圧倒的なシェアを誇る東証と、デリバティブに強みを持つ大阪証券取引所。確かにその構図はICEとNYSEに似る。

 だが、買収されたのは現物株中心で上場企業の時価総額が世界最大のNYSE。「収益性が高いデリバティブを重視する世界的な流れ」(野村総合研究所の大崎貞和主席研究員)を印象づけた。それは東証主導の日本取引所にとって、世界での競争環境の厳しさを物語る。

 世界の取引所順位で、東証は現物株の売買代金で3位、上場企業の時価総額の合計で4位。だが、大証のデリバティブは10位にも入っていない。デリバティブ売買高が昨年、最高を更新した大証だが、定例会見で米田道生社長(現日本取引所最高執行責任者=COO)は「世界市場と比べると極めて低い」と嘆いた

日本取引所が掲げる「アジアナンバーワンの取引所」を考えても、これは重大だ。現物株はアジア首位だが、デリバティブも扱い、昨年、非鉄金属先物取引で世界最大のロンドン金属取引所を買収した香港証券取引所の時価総額は、日本取引所の約6倍だ。

 世界の取引所は、自ら商品を開発できるデリバティブ市場を中心に再編が進行。シカゴ商品取引所を傘下に持つ最大手の米CME、デリバティブの世界最大級の電子取引所「ユーレックス」を持つドイツ証券取引所など、大手グループは着々と巨大化を進める。

 ICEによるNYSE買収も、NYSEが保有するロンドン国際金融先物取引所を取り込むことが最大の目的とされる。出遅れた日本取引所は、「ローカル取引所になりかねない」(大手証券関係者)状況だ。

 生き残るには、デリバティブの強化が課題。野村総研の大崎氏は「大証が蓄積してきたものを生かせるかがカギとなる」と指摘。大証はコメなどの先物取引を行う関西商品取引所との連携を模索する。斉藤CEOは、「何らかの関係を結ぶという選択は否定できない」と海外取引所へのM&A(企業の合併・買収)を含む世界的な再編への参戦も示唆する。

海外の成長を取り込む戦略も加速する。ラオスやカンボジアの取引所設立で韓国取引所の支援が決まり、東証の関係者を慌てさせたが、2015年までの取引所設立を目指すミャンマーへの支援を決めた。「他国からも『一緒にやろう』という引き合いが増えた」(日本取引所総合企画部の高田雅裕課長)という。

 東証と大証が統合しても世界で主要なプレーヤーになるにはなお遠い。だが統合しなければもっと厳しい状況に追い込まれていたのも事実だ。4日の大発会のあいさつで斉藤CEOは「日本取引所の発足は、金融市場の競争力強化に向けた通過点にすぎない。将来、わが国の経済成長の新たな推進力になったと評価されるようにしたい」と力を込めた。

 

 



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