1)日経平均に中期上昇波動ラインが引かれた。
2)売りを決断するためには、心のコントロールが必要。
3)過去の上昇率と抵抗ラインだけ見るだけで、おおよその売り値を決められる。
◆日経平均に中期上昇波動ラインが引かれた
おとといのレポートを書いた段階では日経平均に中期上昇波動が引かれていなかったのですが、大引けあとの計算で上昇ラインが引かれました。
今回引かれた中期上昇波動を見て、「なぜ高値に引かれていないのか?」と感じた方もいるでしょう。波動ラインは単純に高値や安値で判定しているのではなく、「一定の日柄」が条件になっているためです。上昇していても、中期波動の場合には中期として認定するのに必要な日数を経過しないとラインが引かれません。
波動ラインは一旦引かれたら引きなおさないというルールを採用していますので、このまま上昇が続きますと中期上昇波動が伸び続けます。日経平均は6月21日に8859円の高値を記録していますので、これを超えると中期波動ラインが伸びることになります。本日の後場に高値を更新しましたので、中期波動ラインが伸びることになります。
日経平均に中期上昇波動が引かれたということは、買った株の「利益確定売り」を検討する段階になったといえます。
◆売り場の探し方
売りを決断するときに一番悩むことは、「相場の勢い」です。株価が上がり始めますと「どこまでも上がるのではないか」という錯覚が起こります。この錯覚がトレンドを作るともいえますが、錯覚にとらわれてしまうと「売る決断」が出来ずに持ち続けてしまいます。
結果的に持ち続けた方がよかったということもあります。しかしながら、最高値は1点しかないので、最高値で売りたいという「投資家の欲」をコントロールすることが、売り損なわないコツです。
また、頭で考えるよりも実践で売り損ないの失敗を何度か繰り返すことで、「このまま上がり続ける」という錯覚に騙されなくなることの方が多いかもしれません。過去に売り損なった経験がある方は、過去の取引を思い出すことがよい方法です。
ただし、感情をコントロールすることは何もないと難しいので、何かのルールを作ることがいちばんよい方法です。ルールを作って行動の指針にすることは株式投資だけではなくて、ダイエットでも禁煙、禁酒でも、「自分の欲」に勝たないといけないときには、判断基準をルール化する方法が有効です。
波動ラインは売買のタイミングをつかむのに有効な指標ですが、もうひとつの目的として「心をコントロールする」ために武器にできます。
下がれば上がる、上がれば下がるという波を作って株価は動いていますから、下がっているときに買い、上がったら売るという投資法が割安株投資の基本となります。
つまり、「青い波動ライン」で買って「赤い波動ライン」で売るというルールを作ってしまえば、「もっと上がる」と高値を買ってしまったり、売り損なったりしないという「心のコントロール」ができるようになります。
日経平均の波動ラインをチェックするのは、株式市場全体の傾向を見るためです。株式投資は個別株に投資しますので、自分が買った株の売り値を決めるわけですから、日経平均の波動ラインは「持ち株を売る準備のサイン」となります。
◆売り値の決め方
では、具体的に何を使って持ち株の売り値を判断すればよいのかといいますと、過去の株価の動きが一番良いと思います。今の上昇がどれくらい続くかわかりませんが、過去にどれくらい上昇したかの実績はわかります。チャートを見れば過去の上昇した実績をチェックできますから、実績として売り目標に使います。
ただし、自分の買い値から計算しても意味はないので、その銘柄の底値からの上昇率で計算しないといけません。
そしてもう1つが「上値抵抗ライン」となります。割安株投資は大きく下がった株を買い候補にしますので、必ず「上値抵抗ライン」があります。
上値抵抗ラインは、過去にもみ合った水準は買った投資家が多い水準ですから、株価が戻ると売り損なった投資家の注文が出やすくなります。このため、株価の上昇が止まってしまう確率が高いといえます。
どうして株価の上昇が止まるのかといえば、「買いたい投資家」よりも「売りたい投資家」が増えるからです。上昇が続けば「高値で買うのは危ない」と感じて買いたい投資家が減り、上値抵抗ラインに近づくと「戻り売り注文が増える」ので、株価が止まる確率が上がるわけです。この意味がわかれば、売りを出すポイントもわかってくると思います。
本日、売買代金トップとなったソフトバンクを例にして、上昇率と上値抵抗ラインをチェックする方法を解説します。
次に上値抵抗ラインをチェックします。
チャートの期間を延ばして、現在の株価近辺にある抵抗ラインをざっくりと引いてみます。厳密に引く必要はなくて、複数の高値や安値がある水準にだいたいで引けばOKです。
ざっくり引いただけでも複数の抵抗ラインがあり、これから上昇していくには、かなりの買い勢力がないと難しいと考えられます。
さらに過去をチェックしてわかったのは、チャート上でとても印象的な「窓(1)」を埋める上昇になったという点です。窓を空ける動きは、何かの悪材料で売りが一斉に出て、「売り気配」になって起きる動きです。戻り売りのポイントにもなりやすいので、目標達成感も強いという想定ができます。
◆まとめ
このように、過去の上昇率と抵抗ラインだけを見るだけで、おおよその売り値は決めることはできます。あとは「相場の勢い」による「投資家の欲」で錯覚をしないように、確実に売って利益を積み上げるという心構えが重要となります。
レポート担当:ケンミレ株式情報 市原 義明