1)上昇中に買うことのメリットとデメリットを整理する。
2)「なぜ?」や「どうして?」の部分を考えることが重要。
3)株式市場が上昇しても、期待で買っている投資家が多いわけではない。
◆上昇中に買う手法のメリットとデメリット
本日は海外市場の上昇と円安傾向を背景にして、日経平均が大幅続伸し、8900円台を回復しています。9000円の大台回復も意識される水準まで上昇してきました。
株式市場の動きを見て、「ようやく株を買える環境になった」と感じる方や「上昇トレンドになったから、買ってもよい」と考える方がいるのではないかと思います。また、心理的に「なんとなく買いたくなってきた人」のいるかもしれません。
しかしながら、ケンミレでは上昇中は買わないで持ち株を売り、大きく下落したときだけ買うことをお勧めしています。
どうしてなのかを説明する前に、まずは上昇中に買うという投資手法のメリットとデメリットを簡単に整理します。
●メリット
(1)上昇の勢いが続くことがあるため、短期で結果がでやすい。
(2)上昇して買いやすいときのために、心理的なプレッシャーが少ない。
●デメリット
(1)上昇の反動で下がったときには下落率が大きくなる。
(2)最悪の場合には、高値つかみになってしまう。
単純にいえば、心理的に買いやすくて短期で儲かりやすいといえるが、大きな損もしやすい方法ということです。一般的な個人投資家はこの方法をとっているために、どこかで高値つかみになってしまい、大きな損をしてトータルで負けている可能性が高いと考えられます。
ケンミレの株式投資の前提は、「初心者や投資に詳しくない人でも、投資で失敗しない手法」です。したがって、株式投資でほとんどの投資家が負けているといわれていて、ほとんどの投資家が使っている投資手法が「高値つかみ」になりやすく、「大きな損」になる可能性がある方法であるのなら、初心者や投資に詳しくない人にはお勧めできる投資手法ではないということになります。まずは「上昇中に買わない」ということを徹底してもらい、投資で負けない心構えをマスターすることが最初のステップであると考えています。
◆投資ノウハウを自分のものにする方法
インターネット上にはいろいろな投資のノウハウがありますが、やり方だけが先行していて「なぜ?」「どうして?」がないものもあります。
「こうすればよい」という手順を教えてくれれば楽なのですが、手順だけを暗記するようなやり方ですと、自分で考える部分がまったくない状態になってしまいます。そうなると、応用が効かなくなりますし、臨機応変に対応できなくなってしまいます。
特に株式投資は、絶対に間違いない方法というものが存在しない世界です。「なぜ?」や「どうして?」の部分を考えるようにすれば、投資ノウハウをヒントにして、自分で実践できる投資法にできると思います。
ケンミレ会員の方で、「どうやって勝ち組になれたのか?」のインタビューができました。ぜひ勝ち組になれたストーリーを参考にしていただき、ひとりでも多くの方が自分で考えることができる投資の勝ち組になって欲しいと思います。
◆株式市場はどうして上昇しているのか?
株式市場が上昇すると、「先行きに期待して買っている投資家が多い」と感じるでしょう。長い期間のトレンドで緩やかに上昇していれば、このような状況であることが多いといえます。しかしながら、短期の動きでは必ずしもそうならないことがあります。
株式市場では「先行きを悲観して売っている投資家」もいます。下がったときに利ザヤを稼ぐ「空売り」をしている投資家ということになりますが、空売りしている投資家は、株式市場が上がってしまうと困るので、「損を覚悟で上昇中の高値を買う」ことになります。
本日の株式市場では、先行きが懸念されて大きく下がっていた海運、精密、非鉄、鉄鋼、ガラス土石などの景気敏感株の上昇が目立っています。いいかえますと、「先行きを悲観して売りたい銘柄群」が上昇しているといえます。つまり、空売りしたい銘柄群が買い戻しで上昇している可能性が高いと考えられます。
また、今週末にオプションと日経ミニのSQを控えていることから、日経先物にも買い戻しが入りやすい状況と考えることができます。
どうして買い戻しが中心と考えるのかといいますと、売買代金の低迷が続いていて、増加傾向が見られないからです。
▼8月の売買代金の推移
8/7 8240億円
8/6 8363億円
8/3 9431億円
8/2 1兆85億円
8/1 1兆88億円
「先行きに期待して買っている投資家が多い」状態で上昇しているのであれば売買代金が増えるはずですが、そういった傾向は見られていません。日経平均の上昇だけを見ると先行きが良くなるような錯角をしてしまいますが、やむなく買い戻している投資家による上昇の場合もあります。
どちらにしても上昇中に買うのは「下がったときのリスク」をしっかり管理する必要がある投資方法ですから、「なんとなく買いたくなった」という気持ちだけで売買しそうになっているのであれば、いったん冷静になることをお勧めします。
レポート担当:ケンミレ株式情報 市原 義明