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ringoのつぶやき

音楽、ガーデニング、株、社会経済政治、etc・・・・日常の色々なことを書きたいと思います。

★歴史は繰り返す(欲望と恐怖心が招く過失・確信犯?)(森田コラム)

2012年09月10日 14時04分50秒 | ケンミレコラム

蛇足さん 2012/09/10 2回目13:09 のつぶやき



私が国債政治に注目してからですから、それほど長い期間ではありません。私が勉強し始めたのは1984年からですから、それ以前のついては見聞であり、見聞は言った人の独断が出てしまいますので私は信用しておりません。

自分が見た事、聞いたこと、読んだことを「テレビ・新聞・雑誌」を使ってまとめ、自分が納得した事だけを使うことしか人間にはできないと割り切っています。つまり、全ては分かりません。予測とは「確率の問題」と割り切っています。

つまり、森田は色々な分析をしますが、その分析が100%当たるとは思っていません。従って、当たらなかった時にどうするかというリスクへッジは100%おこなわなければなりません。

欧州問題について
歴史は「常に破滅に向かっている」ものです。破滅に向かうまでの年数が違うだけであり、破滅しなかった歴史はないのではないかと思っています。今、欧州で財政破綻が起こっていますが、破たんが起こっていても「政治家も官僚も、自分の損得で判断」していますので、分かっているリスクを避けることが出来ません。

政治家は国民に不評な事をして選挙で負けたくないと思っていますし、官僚は既得権益を自分と後輩に残すことを「正義」と思っています。従って、歴史は「分かっていても欲望と起用不振が邪魔をして、破滅を防げない」と言っています。

私は資本主義軽罪の破綻と言っています。既に共産主義は破綻していますし、もっと遡れば「宗教支配も破綻」しましたし、色々な文明も破綻しています。欧州の次は日本と米国に財政危機が来ます。日米欧という先進国支配の歴史が終わろうとしているからです。次は新興工業国の時代ですが、この時代も欲望と恐怖心が破綻させますし、次に後進国の時代になります。

この間に伸びきった先進国経済が破綻して「正しい規模以下までシュリンク」し、後進国が経済の先端に飛び出るまでの間には新しい経済体制が始まっているかもしれません。

欧州問題は経済問題ではありません。欧州問題は資本主義経済の破綻という歴史問題だと考えた方が分かりやすいのではないかと思います。

★株式市場に与える影響については「明日」書きます。


★米国のQE3はあるのか(森田コラム)

2012年09月10日 14時03分50秒 | ケンミレコラム

蛇足さん 2012/09/10 06:06 のつぶやき



米国のエコノミスト調査では、来週のFOMCでQE3が発表されると考えているエコノミストが多いという結果になりました。

15万人予想が96000人になったこと、37万人が職探しを止めたことで失業率が8.1%まで低下したことですが、96000人は悲惨な数字ではなく、失業率は改善しているのに、どうして米国のエコノミストの多くが来週のFOMCでのQE3を予想しているというロイターの報道は「えっ」という報道でした。

結果は分かりませんが、何度も申し上げていますように「米国は、これから欧州危機が起こる」と思っていますので、ここでQE3という切り札を使うとは思われません。

明日以降の日欧米の株式市場が「QE3を織り込む相場」「ECBの無制限国債買い入れ」を支持して上昇するのか、それとも「ECB問題は挫折」「QE3はない」という考え方で下落するのか、どちらになるのか見てみたいと思います。

これは「野次馬根性」であり、本筋は「買いたい日を探す」ことであり、その点では今週は「ECBの問題」と「QE3の問題」を株式市場がどのように評価するかが分かるので、重要な週になると思っています。

 


QE3の期待先行で上昇する米国と日本の違い

2012年09月10日 08時35分23秒 | ケンミレコラム

 

■今回のまとめ

1)QE3の期待先行でNYダウは4年8ヶ月ぶりの高値になった。
2)年間のパフォーマンスでは、NYダウと日経平均もそれほど変わらない。
3)景気対策に積極的な米国と無策の日本では、株価の反応が違っておかしくない。

◆QE3の期待先行で上昇するNYダウ

先週末に発表された米国8月の雇用統計では、非農業部門就労者数が9万6000人増加になりました。事前予想では12万人~15万人程度の増加と見られていたので、予想よりも悪い数字になったことになります。

しかしながら、米国の追加金融緩和は雇用統計の結果次第と見られていましたので、今週行われるFOMC(12~13日開催)で追加緩和が決定される期待が高まって、NYダウ4年8ヶ月ぶりの高値水準となりました。

今週末のFOMCでQE3(量的緩和第3弾)を実施するのではないかという専門家の観測が高まっています。しかし、株価水準や直近の動きから見ると、QE3実施の期待が先走りすぎている可能性があります。

QE3期待で大きく上昇しているということは、実施されなかった場合には「失望売り」、仮に実施した場合でも「事実で売る」ということが考えられます。つまり、どちらに転んでも、イベント通過をきっかけに利益確定売りが優勢になる方に分があるように感じられます。

◆年間のパフォーマンスは、NYダウと日経平均もそれほど変わらない

ただし、日本株も米国株に並んで高値圏にあれば、QE3期待がはじけたときの影響が大きくなる可能性がありまし。しかし、日本株の場合は、年初来高値よりも年初来安値の方が近い位置にありますので、楽観的に考えますと、米国株が調整しても出遅れている日本株はそんなに下がらないのではないかという見方もあるかもしれません。

上記は、類似比較チャートを使って、米国、ドイツ、中国、日本の株価指数を年初から比較したものです。(※会員の方は、「マイストック・リスト」に各指標を登録すれば、同じ類似比較チャートを作ることができます。)

NYダウに対して大きく出遅れている感じがする日経平均も、年初基準で比較しますと、NYダウとパフォーマンスがそれほど大きく変わっていないことがわかります。(緑と黄の線)

もちろん、リーマンショック後の高値を超えて、約4年8ヵ月ぶりの高値水準になっているNYダウと、バブル崩壊後の安値の方が近い日経平均を単純に比較することはできませんが、今年だけを考えれば極端に日経平均が蚊帳の外ということではないと考えられます。

したがって、NYダウが調整したときに、日経平均は出遅れて割安だからという理由でそれほど下がらないという図式はなりたたないのではないかと思われます。

◆政府の景気に対する見方の違い

一方、各国の株価指数の傾向がはっきり変わっているのが、7月からといえそうです。この傾向を考えてみますと、欧米株にはFRBやECBの金融緩和期待があるため、流動性相場が株価上昇を支えていると思われます。

反対に、中国株の下げとそれにつられている日本株は、景気減速の警戒感の方が強いため、株価が低迷しているといえそうです。

今の欧米市場は経済指標が悪い中での株高ですので、「不景気の株高」といえます。ただし、よく考えてみますと、7月ころから世界景気が減速しそうなムードになり、その後の中央銀行や政府の景気に対する考え方が日本と大きく違っているのではないかと思われます。

米国の追加利下げは、景気に対する政策という意味が強く出ています。このために、経済指標が悪いと利下げムードが強くなるのですが、投資家は米国の景気が悪くても「FRBがなんとかしてくれる」という楽観があるのではないかと思います。

一方の日本は、世界景気の減速を認識しているものの、積極的な景気対策の動きがニュースなどからはほとんど感じることができません。世界全体の景気の後退懸念があるときに、どこかの国に投資しようと考えれば、まずは景気対策に期待が出来る国に資金が向かうのは自然なことだと思います。

つまり、景気に対して無策の日本株が本格的な上昇になるには、景気対策をしている国が良くなってからというシナリオが現実的ではないかと思われます。

欧米株式市場を見て日本株もこれから上がりそうと考えて買ってしまうと、欧米株が高値圏からの利益確定売りで調整すれば、それほど上がっていない日本株の目先の高値をつかんでしまうかもしれません。臨機応変に損切りができる上級者の方でないのなら、欧米株式市場も期待だけで上がり続けることはないのですから、欧米株式市場の調整をじっくり待つ安全策を考えてよいと思います。


前回と今回のドラギ総裁発言の上昇を比較する

2012年09月07日 11時14分13秒 | ケンミレコラム

 

■今回のまとめ

1)ドラギ総裁発言で大幅上昇。
2)前回のドラギ総裁発言のときと環境が似ている。
3)前回のドラギ総裁発言後の日経平均の上昇と比較する。

◆ドラギ総裁発言で大幅上昇

昨日のECB理事会の結果は、主要政策金利を据え置いたものの、ドラギ総裁が会見で「ECBがユーロ圏加盟国の債券を無制限に買い上げる用意がある」と発表したことで、欧州債務危機の阻止が進んだことが好感されました。

欧米の株式市場は大幅高で、ほぼ今年の高値水準になりました。ただ、チャート上では強い抵抗ラインとして意識される水準になっているとも考えられます。

振り返りますと、7月26日にドラギ総裁のコメントで欧米市場が大幅上昇しましたが、このときのコメントが「ユーロ圏を守るためにあらゆる措置をとる」という内容でした。この発言の結果を受けた日経平均の上昇は+123円という反応でした。

前回と今回を比較しますと、発言前に調整していたことや上昇幅などが似ていますので、いったんは反発する可能性もあります。

しかし、世界景気の減速懸念はまだ根強く残っていますし、欧米株式市場が高値圏にいることを考えますと、日本株の高値を買うという投資家が増えるとは考えにくい状況だと思われます。

◆前回のドラギ発言後の上昇が起こったら?

投資家の疑心暗鬼の状態が続くと考えられますし、毎日下がることはありませんから、自立反発で終わりうということもあります。

しかしながら、ドラギ発言で大幅上昇という材料がでましたので、もしも前回のドラギ発言後の上昇が起きたらという「楽観的なシナリオ」を考えますと、日経平均の9500円近辺までの上昇というシナリオを考えることもできます。

直近の日経平均の短期上昇波動は2回の上昇がほとんど同じです。前回のドラギ発言後の上昇波動を昨日の下落波動にくっつけてみますと、9500円にある前回の高値という目標を考えた想定シナリオになります。

反発の初動かもしれないと考えた人のシナリオとなるのですが、今日だけの短期的なリバウンドで終り、再び安値を更新して、8500円割れ程度の調整も十分に考えられます。したがって、昨日の安値水準を割り込んでしまったら、損切りして撤退ということになります。

上昇するという「仮説」を立てたのであれば、安値を更新するというのは「仮説が間違えていた」ということになります。間違えているのであれば、素直に撤退して、次のチャンスを考えるようにすればよいとなります。

ただし、売買経験があって、投資知識がある方向けの考え方の1つです。外部環境やイベントを控えていることを考えますと、基本はあくまでも「大きく下がるタイミング待ち」と考えています。


SQを挟んだときの日経225先物の注意点

2012年09月06日 11時15分57秒 | ケンミレコラム

 

■今回のまとめ

1)日経平均は横ばいでも、新安値銘柄数が増加している。
2)SQ前に転換点が出たら、次の限月を買う。
3)そのときには、次限月から利益確定とロスカットラインを決める。

◆日経平均は横ばいでも、新安値銘柄数は増加

本日の日経平均は横ばいでしたが、新安値銘柄数は昨日よりも増えて215銘柄になりました。

本日はECB(欧州中央銀行)理事会、明日は米国の雇用統計発表を控えていることから、様子見ムードが強くなっているのですが、新値銘柄数が増えているものの、個別株のほとんどが下がるような投資家が怖いと感じるような下げではありません。

市場の感じを見ますと、買い手がいないところに見切り売りがダラダラと出ているような動きになっています。

新値銘柄数の推移をチェックしますと、今年4月以降の調整局面の底値を付ける動きに似てきていますので、市場の割安度はかなり上がってきていると考えられます。

◆転換点シグナルで日経先物に投資するときの注意点

調整が続いて転換点シグナルが点灯する可能性が高まっていますが、日経平均は横ばいで新安値銘柄数が増えているように、個別銘柄にバラツキが出ています。世界の景気減速懸念が高いこと、円高傾向になっていることから、下がる銘柄が下げ続ける傾向があります。

そうなると、割安だと思って買ったのに、下げ続けてしまったということにもなりかねません。ほとんどの銘柄が下がる急落をすれば別ですが、このままの状態でシグナルが点灯したときには、個別銘柄選びが難しくなります。

そこで、日経225先物であればダメな個別銘柄を選んでしまうリスクがなくなりますので、せっかく出た転換点シグナルを有効にしてもらうためにも、投資対象は日経225先物にした方が安心感があると思います。

会員の方からの質問も増えてきていますので、日経225先物に投資するときの注意点を上げます。

1.9月SQが近いので「期先物」を買う

これからシグナルが点灯しますと、問題になるのがSQ(清算日)です。9月のSQ日は来週の金曜日(9月14日)で期間が少なすぎますので、次の限月を買うようにしましょう。

日経先物の限月は3月、6月、9月、12月があり、それぞれの月の第二金曜日を特別清算日(スペシャル・クォーテーション、SQ)として、最終決済日(取引が出来るのはSQ前日まで)という決まりになっています。

ただし、上記のルールは「日経先物ラージ」の限月ルールです。「日経先物ミニ」の場合、今買える限月は9月、10月、11月、12月、1月の5つがあります。

ミニの場合の次の限月は「10月」になりますが、出来高はラージの限月と重なる12月の方が十分にあります。売買がしやすいという流動性から考えて、日経ミニでも「12月限月」を選んでください。

2.9月と12月の限月の価格差

12月限を買うとわかっていても、疑問に感じるのが「限月ごとの価格差」です。本日の日経先物ラージの大証終値は、

 9月限=8690円
12月限=8620円

と「70円差」があります。この差は「9月の中間配当分」だけ現物(日経平均)が高いためです。SQが終わって9月の配当権利付き最終(9月25日)までは、日経平均と日経先物に価格差がでますが、26日からは日経平均と日経先物の価格差が同じになります。
もしもSQ前に転換点シグナルが点灯したときの問題は、「どちらの価格を基準にするか」ということです。

利益確定とロスカットラインの基準は、買う方の「次限月から計算」します。「日経先物枚数計算シート」は「次限月」が基準に変更になっていますので、このソフトを利用して考えていただければよいと思います。


懸念材料が多いときの投資判断の考え方

2012年09月03日 09時20分32秒 | ケンミレコラム

 

■今回のまとめ

1)バーナンキ後の国内株式市場は、別の懸念材料で下落。
2)懸念材料が多くありすぎるので、割安ゾーンを探す方法が難しい相場。
3)転換点投資であれば、シグナルが点灯してから考えることができるので、判断がしやすい。

◆バーナンキ後の国内株式市場は別の懸念材料で下落

先週末に行われたバーナンキFRB議長の講演では、FRBが今後、積極的に「追加的な緩和政策を提供する」と強調してコメントしたことで、NYダウは上昇するという反応を見せました。

ただし、NYダウをチャートで確認しますと、講演前に大きく下がった分を取り戻す範囲でとどまっており、短期的には右肩下がりの角度になっています。

6月からの上昇に対して下値のトレンドラインを引きますと、上昇トレンドを維持できるかの正念場となっています。今週はISM景気指数や雇用統計などの重要な経済指標が発表されますので、発表後の動きが注目されそうです。

一方、バーナンキ議長が金融緩和を強調したことで米国債利回りが低下し、あわせてドル売りが優勢となりました。

特にドル円相場をチャートでチェックしますと、1ドル=78円が節目になっていることがわかります。ドルから見ると1ドル=78円を下値にした「弱気型の三角保ち合い」になりつつありますので、円の先高感が懸念される格好になってきています。

このような動きとなったバーナンキ講演後の外部環境ですが、週明けの国内株式市場は米国株式市場の上昇よりも円高傾向が嫌気されて売り優勢で始まりました。一時、日経平均がプラス圏を回復していたものの、結局はマイナスになり、1ヶ月ぶりの安値水準で終わっています。

ただし、中国の8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が景気判断の分かれ目とされる50を割り込んだとの発表がありましたので、中国景気の減速の方が悪い材料として反応しているといえます。

◆懸念材料が多いときこそ、割安ゾーン投資よりも転換点投資

本日の株式市場の動きをチェックしますと、昼になってアジア市場がスタートして、PMIが悪化した後の中国株が高いことを確認すると、輸出関連株に買いが入り、日経平均もプラスになりました。

この動きから考えますと、中国景気の減速がリスク要因になっていて、投資家がかなり意識していることがわかります。つまり、米国の金融緩和だけではなく、中国景気、欧州財政問題、円高傾向など、複雑に絡んでいるのが現在の株式市場ですから、1つのイベントの結果だけで単純には動かないといえます。

まだ株式市場の調整は足りないといえますが、このまま調整が続くようであれば、株式市場が「割安ゾーン」になってきます。ただでさえ株式市場の割安ゾーンを探して投資するためには株式投資の知識や経験が必要なのに、今のようにたくさんの懸念材料が複雑に絡んでいるととても難しい方法になっています。

そこで、転換点分析ソフトを参考にする「転換点投資」が有効な武器になってくると思います。なぜなら、過去のさまざまな悪材料で株式市場が調整してから反発したタイミングにあっているからです。

いつ、どの悪材料がどういう風に株式市場に影響を与えるかを考え始めますと、これだけ多くあると難しくて判断することができません。しかし、これから調整が進んだときに、まずは転換点シグナルが点灯するかどうか、点灯するほどの調整になったときに何で下がったのか、下がった要因が消えるのはどういうシナリオかという考え方にすれば、判断もしやすくなると思われます。


9月の調整を買いチャンスで狙うのなら?

2012年08月31日 12時39分29秒 | ケンミレコラム

 

■今回のまとめ

1)イベント目白押しの9月相場を迎える。
2)日経平均の下げスピードが早くなり、シグナル点灯の可能性も出てきた。
3)個別銘柄を選ぶのが難しい状況なので、日経先物を選んだ方が安心。

◆イベント目白押しの9月相場

今日で8月が終わり、来週からイベント目白押しの9月となります。まず今日は、バーナンキ議長がジャクソンホールでどんな講演をするのかが注目されています。9月に入ると、すぐにスペイン救済などの欧州債務問題のイベントが目白押しになります。

また、米国の格付け会社ムーディーズが8月30日に、世界経済が減速してしまうリスクについて報告書を出しています。その中でリスク要因として警戒されていることをまとめますと、以下のようになります。

1.ユーロ圏のリセッション(景気後退)が予想以上に深刻化すること。

2.2013年に入ってから財政緊縮が起きる米国の「財政の崖」

※前ブッシュ政権時代の減税が今年末に期限切れを迎えるために起きる所得税率などの引き上げ措置。米国議会が財政赤字削減策で合意できなかったので、来年になると1100億ドルの歳出削減が発動される予定。

3.中国やインドなどの新興国の景気が急減速する可能性。

4.地政学的リスクによる原油高。

反対に、株式市場が上昇に転じる強気見通しを考えますと、今の環境は警戒されている要因が思ったほどでもなかったという「悪材料が消えること」ではないかと思われます。

世界景気が回復に向かうシナリオが出てくるまでは、大きく下がったときに買い、上がったら欲張らないで売るというスタイルに徹して、株を持ち続けない投資スタイルがとても有効になると思います。

◆9月にシグナルが出るならば

本日は日経平均が143円も下がり、下げのスピードが早くなってきました。9月のイベントとあわせて、下がり方によっては転換点シグナルが点灯する可能性が出てきました。ただし、日経平均の直近高値(9222円)からはまだ500円も下がっていませんので、ここからどれだけ下がってくるかにかかっています。

転換点投資は株が下がって安いから買うのではなく、大きなリバウンドが期待できるから買う投資スタイルです。ですから普通の調整では意味がないので、下げ幅の大きさと下がるスピードがポイントになります。

転換点シグナルには、大きく下がったときに出る「ドナブ」と、それほど大きくないときに出る「カエサル」があります。

ドナブレベルの急落になるのであれば、欧州の債務問題などで悪材料が表面化する可能性があります。ただし、最近の株式市場は出来高が少なく、市場エネルギーが少ないことが特徴になっていますし、投資家の株式市場離れが指摘されています。

どういうことかといいますと、大きな下げになるためには「売る投資家が多い」ことが必要です。いいかえますと、「株を買って持っている投資家が多い」ことが大きな下げになるために必要といえます。これだけ警戒する材料がそろっていますと、買って持っている投資家も少ないと考えられますから、ドナブレベルの急落になる可能性は少ないのではないかと思われます。

今年4月から6月の下落局面を参考にしますと、シグナルはすべて「カエサル」ですので、9月にシグナルが点灯するとしてもおそらくは「カエサル」の可能性が高いと考えられます。

そしてもう1つの特徴として、現在は銘柄ごとのバラツキが多いことがあげられます。鉄鋼などの中国景気に連動しやすい銘柄や世界景気に影響を受けやすいハイテクなどが下げ続けている一方で、内需系には高値の銘柄もあります。

また、個別の業績にもバラツキがあるので、株式投資の経験が少ない方ですとシグナルが点灯したときの銘柄選びにかなり神経と時間を使ってしまうでしょう。

したがって、もしもシグナルが点灯したときに投資するのであれば、個別株をまとめて買うという意味で「日経平均」を対象にした方が安心感があります。個別株は選んだ銘柄によっては大きく上昇する夢がありますが、確実性を求めてコツコツ投資するタイプの方であれば、シグナルが点灯したときにナイト取引で買える「日経先物」がよいと思います。


QE3の予想は投資方法によって変わる

2012年08月28日 10時20分27秒 | ケンミレコラム

2012年8月28日(火曜日) 14時26分 更新

 

■今回のまとめ

1)バーナンキFRB議長を控えて超閑散相場になっている。
2)投資手法によっては、将来の予想は必要ない。
3)将来のシナリオを考えるにしても、まずは下がりだしてから。

◆バーナンキFRB議長を控えて超閑散相場に

昨日の株式市場では売買代金が7000億円を割り込み、さらに出来高が今年最低の10億株台となって、超閑散相場になっています。

週末にバーナンキFRB議長のジャクソンホール講演を控えているため、米国の追加金融緩和が気になるために、売買が手控えられているという解説がたくさん出ています。

会員の方からも「QE3があるのか?」「あった場合には株価がどう動くのか?」「なかったらどうなるのか?」といった質問が来ています。

過去を調べると、QE1、QE2を実施したあとのNYダウは上昇しています。したがって、もしもQE3が実施されたら過去の傾向からはまた株価が上昇するかもしれませんので、気になって誰かに聞きたいという気持ちはとてもわかります。

しかしながら、将来の材料については、過去と同じように反応するとは限りません。一番大きな問題は、世界景気が減速しているということです。本日、古川経済財政担当相が記者会見して、日本の景気判断を10ヶ月ぶりに下方修正しています。

欧州、米国、中国が景気判断を下方修正していることが要因で、海外全体の景気判断も「減速の動きが広がっており、弱い回復となっている」とコメントしています。

株式が企業の利益の配分をもらえる証券だと考えれば、株価が上昇する一番大きな要因は企業業績です。金融緩和をいくらしても、企業業績が悪ければ、株価が上昇する理屈が通りません。

また、米国が金融緩和のする狙いの1つに、ドル安による景気浮揚効果があります。狙いどおりのドル安となれば、株価が上昇するよりもドル建てで取引される原油などの商品市況が上昇する可能性が高いと考えられます。

現在、トウモロコシなど穀物の価格が高騰し、世界各地で食料インフレへの懸念が強まっています。22日に農林水産省は、小麦の国際価格が上昇しているので、政府から製粉会社に売る輸入小麦の価格を10月から平均3%引き上げるとを発表しています。

景気が悪いのに食品や原油など生活に必要なものの価格が上がるとどうなるかといえば、スタグフレーション(景気が低迷して物価が上昇する状態)が警戒される可能性があります。

簡単にいいますと、QE3によって不景気の物価高が起きてしまうと、景気回復を狙った金融政策が裏目に出るということになります。

したがって、QE3が実施されても、その後の環境を読みきることはとても困難であると思われます。さらに現在は米国の金融緩和だけではなく、欧州の9月危機が警戒されていますから、バーナンキ議長講演のイベントを通過しても次のイベントを待って様子見が続くというのが、現実の相場展開ではないかと思います。

◆QE3の予想が本当に必要なのか?

先週の土曜日に「塩漬け解消セミナー」を開催しました。塩漬け株に悩んでいる方が対象のセミナーでしたので、現在持っている株の一覧を持ってきてもらい、参加していただいた方と一緒に解消するためのステップを考えました。

塩漬け株で悩んでいる方と応対したときに印象に残ったのが、「何か売買したくなるんだよ」と話されていたことです。

塩漬け株にしてしまっているのは、何か売買したくて買い、損切りができなくなってそのままになった結果なのでしょう。いつでも売買したいと考えますと、目先に迫っている材料を予想して、何か売買をしたくなるのだと思います。


何か売買したいというのは「自分の都合」です。反対に材料を探せば、何かしらのニュースがあります。したがって、自分の都合で売買することは、いつでもできてしまいす。この結果が、塩漬け株をたくさん持った投資家になってしまう原因だと思います。

一方で、株式市場は勝手に動いていますので、自分が投資したいと思っているときにチャンスになっているとは限りません。個人投資家であれば、どうしても投資しなくてはいけないということではありませんから、自分が投資に使える時間にあわせて投資スタイルを選べばよいと思います。

今の環境を考えますと、米国の金融緩和だけではなく、欧州不安、中国景気、国内景気と懸念材料はたくさんありますから、株を買って長く持とうとは思えません。

どうしても今の環境で売買したいのであれば、自分だったら材料の影響が少ないデイトレのような短期投資に徹します。ただし、日中に相場に張り付くことは現実的に無理ですので、実践しようと思ってもできないことです。

どうしても売買しなくてはいけないプロの投資家がやっている将来を予想して売買するという難しい方法を取る必要はないと思います。しかもそのプロの投資家ですら、超閑散相場になっているということは、売買を手控えていると考えられます。

誰でも実践できる方法として提案している転換点投資法では、将来のシナリオを考えるにしても「株式市場が大きく下がりだしてから」ということになります。それまでに起こることは今すぐ売買するための材料にする必要はないと考えて、時間を有効に使って欲しいと思います


転換点が出やすい株式市場の季節性

2012年08月24日 23時01分54秒 | ケンミレコラム

 

■今回のまとめ

1)米国株安を受けて、日経平均が急落した。
2)株式市場は、秋に安値をつけて、春に高値をつける傾向がある。
3)秋は季節的に株価が下がりやすくなることを知っておこう。

◆日経平均は大幅続落

米国株安を受けて、日経平均は大幅続落となりました。NYダウは3日続落で-115ドルと7月20日以来の大幅な下げ幅を記録しましたので、このまま大きめの調整となりますと、チャート上はダブルトップの格好になる可能性も出てきています。

NYダウが大幅に下がった要因としては、セントルイス連銀のブラート総裁がテレビ番組(CNBC)のインタビューで、米国景気は緩やかに成長しているのだから、景気対策を見合わせる可能性はあるという見方を示したことが、金融緩和期待の後退につながりました。

しかしながら、つい先日には金融緩和期待が高まったといわれていましたので、FRBに近い人間ですら見方が分かれていているといえます。

◆「秋の安値で買って、春の高値で売る」

近年の日経平均をチェックしている方のほとんどは、「10月から11月にかけて安値をつけてから上がる」という傾向に気がついていると思います。

上記のチャートはリーマンショック以降の日経平均ですが、10月から11月にかけて安値をつけている傾向がはっきりとしています。

また、単純な計算ですが、2000年から2012年までの月初と月末の上昇、下落を足し算してみるだけでも、日経平均の傾向がはっきりしています。


日経平均の2000年以降の月間傾向

   1月  +1595.90円
   2月  +3386.66円
   3月  -1250.33円
   4月  -  74.33円
   5月  -7976.13円
   6月  + 120.02円
   7月  -3331.43円
   8月  + 215.16円
   9月  -1130.25円
  10月  -2871.79円
  11月  -1265.79円
  12月  +4082.61円


9月~11月にかけては、月間トータルでマイナスを記録しており、月初よりも月末が安い傾向が強いことがわかります。反対に12月から3月にかけては月初よりも月末が高い傾向が強くなっています。「秋の安値で買って、春の高値で売る」と株式投資では勝ちやすいという季節性があると考えられます。

また、転換点ソフトの月別シグナル点灯を調べてみると、

   1月  4回
   2月  2回
   3月  7回
   4月  2回
   5月  3回
   6月  2回
   7月  5回
   8月  5回
   9月  4回
  10月  7回
  11月  9回
  12月  2回

11月の9回を筆頭にして、10月の7回と秋に集中しています。転換点シグナルからも秋は安いという傾向が出ています。

※新アルゴルールで連続点灯を投資タイミング1回としてカウントした52回分で算定。

残暑厳しく、夏真っ盛りですが、秋は季節的に株価が下がりやすくなることをあらかじめ知っておけば、いざというときの準備もできると思います。


二等辺三角形の保ち合いになっているメガバンクの意味

2012年08月23日 09時49分50秒 | ケンミレコラム

 

■今回のまとめ

1)米国の金融緩和期待で円高になった。
2)メガバンクが二等辺三角形型の三角保ち合いになっている。
3)保ち合いの頂点が9月中旬になっているので、それまでに動きが出る可能性がある。

◆米国の金融緩和期待で円高になった

昨日は、前回のFOMC議事録(7月31日~8月1日開催)が公表され、米国景気の回復がはっきりを確認できないようであれば、追加緩和をする必要があるとFRBの認識が高まっていることがわかりました。

米国の金融緩和期待が高まったことでドル売りにつながったので、日本株にとっては円安期待がいったんは遠のいた格好になっています。

ただし、直近で円安が進んだ分を戻した範囲ということがチャートでわかるように、円高を警戒して大きく売り込むまでの材料にはなっていないと考えられます。

したがって、積極的に買う材料は少ないものの、欧州の財政危機の不安材料も出てこないため、株式市場の方向性が出ない状況が続いていると思われます。

◆三角保ち合いになっているメガバンク

方向感がないときにできるチャートパターンが「保ち合い」です。代表的なのが「三角保ち合い」で、パターンとしては以下の3つに分類されます。

(1)先行き強気の三角保ち合い
   左上が直角の三角形(下値切り上げ型)
   
(2)先行き弱気の三角保ち合い
   左下が直角の三角形(上値切り下げ型)

(3)均衡している三角保ち合い
   二等辺三角形(上値切り下げ、下値切り上げ型)

高値と安値を切り上げると上昇トレンド、高値と安値を切り下げると下落トレンドになります。三角保ち合いになるということは、安値は切り上げているのに高値は切り下げているというように、上昇や下落のトレンドになるための「どちらかが足りない形」といえます。

つまり、上昇なのか下落なのかの判断を投資家が迷った結果で出来る形と考えることができます。

主力株のチャートをチェックしていたところ、大手メガバンクが典型的な(3)の均衡している三角保ち合いになっていました。

メガバンクは為替には関係ありませんが、時価総額も大きいために、日本株全体に投資するというときには外せない銘柄です。また、個人投資家の保有も多い銘柄のため、個人投資家の心理にも影響を与える銘柄と考えられます。
※ケンミレの会員さんが登録している銘柄の1位がみずほFG、2位が三菱UFJでした。

株価が保ち合いの動きになったときの特長は、保ち合いの頂点から株価の均衡が崩れると、上下どちらかに大きく動きやすいということです。ただし、必ずしも頂点まで行かず、途中で高値、安値のラインを超えて動き出すこともあります。

ケンミレのチャートにラインを引いて保ち合いの頂点付近の日にちをチェックしますと、9月中旬ぐらいになります。来週は毎年恒例のバーナンキ議長のジャクソンホール講演、米国の次回FOMCは9月12日、13日ですので、メガバンクが三角保ち合いになっているのは、金融緩和の材料を待っていることを示しているのではないかと思われます。

主力株の動きが先行して、株式市場全体の方向につながることもよくあります。メガバンクは超大型株ですので、連日低迷している株式市場の売買代金のバロメーターになる可能性も高いと考えられますので、保ち合いからどちらに向かうかをチェックすると、相場の方向性のヒントになるのではないかと思います。

今回のメガバンクのように典型的なチャートパターンが見つかったら、「そっくりチャート」の銘柄から探す機能を使えば、同じような三角保ち合いになっている銘柄を見つけることができます。会員の方は、そっくりチャートを使って保ち合いになっている銘柄を探してみてください。


抵抗ラインにはね返された日米の株価指数

2012年08月22日 16時09分23秒 | ケンミレコラム

 

■今回のまとめ

1)チャートに空いた窓は強い抵抗ラインとして意識されやすい。
2)日米ともに上昇して抵抗ラインではね返された。
3)調整がどの程度になるかの様子を見る状況と考えられる。

◆チャートに空いた窓とは?

本日の日経平均は続落基調となり、前場では9100円を割り込む展開となっています。短期的なトレンドとして意識される5日移動平均線をあっさりと割り込み、上昇の反動で売り先行となった動きです。

もうひとつの動きとしては、日経平均のチャート上に空いた「窓」に押し返される格好になりました。

窓とは、チャート上にできた空間のことです。どうして窓が出来るかといいますと、通常ですと株価は連続した価格がつくのですが、株価が寄り付くときに、売りか買いのどちらかに注文が大きく傾いたときに、前日の株価から大きく離れて寄り付くことがあるからです。

チャートに大きな窓が空きますと、チャートチェックしたときに印象に残りますので、売買の目標になりやすいポイントになります。また、テクニカル的なポイントになるだけではなく、窓が空く背景を考えますと、ファンダメンタル面でも目標になりやすいことがわかります。

たとえば、業績が良くなって株価が大きく上昇(窓空け)して寄り付いたということは、市場の評価が窓空けした水準で一致したと考えられます。つまり、良くなった業績をもとに株価水準が決まったといえますので、大きく空いた窓の水準まで業績が良くなったと考えられるため、業績面の下値にもなりやすいといえます。

◆日米ともに抵抗ラインが意識されている

チャート上に大きく開いた窓は、多くの投資家に意識されるサインです。日経平均では5月2日から5月7日にかけて窓を作っていますが、日本が大型連休で休場だったため、休日中の海外株安をまとめて織り込んだ結果の窓だったということになります。

今日は窓の下限ではね返された格好ですが、窓の上限まで上昇すると「窓埋め」といわれて目標達成に使われることもあります。日経平均も窓の上限は9350円くらい、下限が9200円くらいです。

材料不足ということもありますが、今日の日経平均の動きから見ると、窓埋めも含めて抵抗ラインとして強く意識されていると考えられます。

一方、昨日のNYダウは高値更新する場面があったものの、高値ではね返された格好になりました。日米の株式市場ともに抵抗ラインではね返されたというのが昨日から今日にかけての動きとなります。

上昇トレンドが続くにしても、毎日上がり続けることはありませんので、日柄なり、値幅なりの調整が入っておかしくありません。日米の株式市場が揃って抵抗ラインではね返されたわけですから、調整がどの程度になるか、調整の範囲ではすまないで大きな下落になるか、様子を見る状況ではないかと思われます。


戻り高値なのに超閑散相場になっている背景とは?

2012年08月21日 16時34分26秒 | ケンミレコラム

 

■今回のまとめ

1)株式市場は超閑散相場になっている。
2)市場関係者は「欧州の9月危機」を意識している。
3)いつでも損切り撤退できる金額に限定して、投資を楽しむ程度で参加した方がよい。

◆閑散相場で短期売買中心の相場が続く

昨日は日経平均が戻り高値を更新したものの、売買代金は1兆円どころか8000億円を割り込み、本日は7000億円も割り込んで、個別株の売買は盛り上がらない状況です。現物株の商いが低調なことからも、日経先物が主導した上昇という面が大きいようです。本日も手がかりになる材料が少なく、様子見ムードが強い展開になっています。

一方、株式市場の中身を見ると典型的な中小型の材料株が動いているので、株式投資が好きな人にとっては面白い相場ではないかと思われます。ただし、日替わりメニューの短期投資になっており、日中の相場に貼り付けるようなデイトレーダーやディーラー中心の相場といえます。

現在の株式市場が上昇したのは、円安傾向になっていることが直接的な要因と考えられますが、もうひとつの要因が「悪材料が消えていること」です。

ユーロの財政問題、世界的な景気後退懸念の2つが本質的な悪材料で、この2つに新しい材料が出てこないので買い戻されている状況ということです。

「鬼の居ぬ間に洗濯」ということわざがありますが、監視する人がいなくなって、ほっと息をつくようなことを表現しています。今は「悪材料の居ぬ間に洗濯」という相場展開のために日経平均が高値を取っているのに売買代金は増えず、材料株の短期売買が中心になっているのだと思います。

◆市場でささやかれる「欧州の9月危機」

なぜこのように考えられるのかといいますと、専門家の間で「欧州の9月危機」があちらこちらで取り上げられているからです。

日経ヴェリタスの記事によると、スペインとイタリアの支援を合計すると8300億ユーロあって、欧州救済基金の上限5000億ユーロでは大幅に足りないとされています。また、ドラギ総裁がスペイン国債を買い入れる方針を出してから、ユーロで一番財務状態がよいドイツは欧州中央銀行(ECB)の国債買い入れ反対を協調しています。

これだけ見てもECBがスペインやイタリアを救済することが一筋縄ではいかないとわかります。9月に何かが出るのではないか身構えている投資家が多い状況だと考えられます。

これからの日程は、まず9月6日のECB理事会、9月12日にはドイツ憲法裁判所が総額5000億ユーロの欧州安定基金(ESM)設立の是非について判決を出します。この2つのイベントが注目されているようです。

また、8月31日にはジャクソンホールでバーナンキFRB議長が講演を行います。2010年のジャクソンホール講演でQE2(量的緩和策第2 弾)について話し、講演をきっかけにNYダウが上昇したという経緯がありますので、9月のFOMCに向けてQE3を含めた米国の金融政策にコンセンサスができる可能性があります。

さらに月末、月初には雇用統計などの重要な経済指標が発表されます。米国の景況感に変化が出て米国の金融緩和ムードが復活すると、ドル安円高に戻ってしまう可能性も考えられます。

欧州や米国のイベントを控えていることを前提にNYダウのチャートを見ますと、今年の高値ぴったりで足踏みとなっており、高値警戒感が強く、ひと呼吸入ってほしいチャートの形になっています。

日程的には9月まで2週間程度ありますし、テクニカル指標では強気転換のシグナルが出ているために堅調な相場展開が続く可能性もあります。しかしながら、イベントを控えていることを考えれば、主力株を買って持つには抵抗があると思います。

いずれは警戒ムードが出はじめる可能性が高いために、薄利多売の回転売買が中心になりやすいといえます。証券会社のディーラーやデイトレーダーなどの株式を売買するで生計を立てているので、毎日売買しなければなりません。だから薄利多売の回転売買をしているという理由がありますが、毎日売買するようなスタイルは時間のない個人投資家では真似ができない方法です。

短期売買で回数を増やすことは簡単に見えますが、実際にやってみるとハードルが高い方法です。何が一番難しいのかといえば、「決断の繰り返し」をしないといけないことです。資金効率を高めないといけない短期売買では損切りが必須ですから、決断を先送りできない気疲れは想像以上にきついものです。

また、株式投資が好きな人ほど、チャンスを見つけて参加したいと思っています。しかしながら100%の投資はないので、投資回数が増えれば増えるほど負ける数が正比例して増えていきます。

負け取引が増えると、損切りしようと考えていたラインで切れなかったり、運悪く急落に当たってしまう確率も上がってしまいます。もしも投資資金をたくさん使って大きな損になってしまったら、取り返しがつかなくなってしまうこともあります。

売買代金が低迷していることからわかるように、無理に売買回数を増やさないことが今の相場では懸命だと思いますが、調整を待っているだけでは張り合いがないので売買をしてみたいと考えているのであれば、投資資金の1割くらいまでに限定して、いつでも損切り撤退できる金額で楽しむくらいで行って欲しいと思います。


ゴールデンクロスと移動平均線乖離率の関係

2012年08月20日 17時31分15秒 | ケンミレコラム

 

■今回のまとめ

1)日経平均では25日と75日のゴールデンクロスを達成。
2)投資家の数だけ投資スタイルがあるので、判断基準は1つではない。
3)売買回数を増やしたいのであれば、次の転換点を待つ間に、自分にあった方法をみつけることからスタートする。

◆日経平均では25日と75日のゴールデンクロスを達成

朝方の日経平均は3日続伸でスタートして、9200円台に乗せる展開となっています。この上昇を受けて、25日移動平均線が75日移動平均線を跨ぐ「ゴールデンクロス」を達成しました。

5月10日にデットクロスして以来、約3ヶ月ぶりのゴールデンクロスとなりますので、3ヶ月続いた下落トレンドから上昇トレンドに転換することを期待できるサインといえます。

一般的には「上昇トレンドは買い」「下落トレンドは売り」と考えますので、代表的な短期と中期の移動平均線が上昇トレンドを示したことは、今後の展開を強気に見る投資家が増える可能性があると考えられます。

ただし、「ゴールデンクロスしたから買い」と単純に考えてしまいますと、目先の高値をつかむ可能性が高くなります。なぜなら、下落トレンドだった移動平均線が上昇に転じるためにはかなり大きな上昇をする必要があるため、過熱感のある高値を買いやすくなるからです。

上記は25日移動平均線乖離率(25日移動平均線からどれくらい離れているかという指標)を表示したチャートです。過去と比較してわかるように、移動平均線から離れた割合が大きくなって短期的な過熱感が出ているということになります。

ゴールデンクロスと移動平均線乖離率の関係からわかることは、上昇トレンドに転換する可能性はあるものの、上昇中の高値を買わないといけない局面になっているということです。

◆投資家の数だけ投資スタイルがある

25日や75日の移動平均線は代表的な指標のために市況解説などで取り上げられますが、ゴールデンクロスしたから買いという1つの見方だけではありません。なぜなら、投資家にはそれぞれのスタイルがあり、スタイルによって見るポイントが違うためです。

たとえば、数日くらいの短期売買で考えている投資家であれば、短期的な過熱感を見て逆張りの売りをするかもしれませんし、株価が移動平均線に近づいてきて過熱感が少なくなってきたら買う(押し目買い)を考えたり、反対に移動平均線を割り込んだら売る(上昇転換狙いの空売り)も考えられます。

ただし、1つだけいえることは、相場が良くなったから買って、損切りできずに大きな損をしてしまった経験をしたことがあるなら、短期的な過熱感がある今の環境は買いたい気持ちをガマンするところだと思います。

市況解説などで「ゴールデンクロスで強気転換か?」といった記事を見てしまうと買ってもよいと感じてしまいがちですが、自分の投資スタイルを持っていないために「どうして買うのか?」という根拠がないこともあると思います。

ケンミレ会員の投資スタイルアンケートでも、投資スタイルを「特に決めていない」という回答が36%もあります。つまり、買って売るまでのスタイルが決まっていないのに、相場の地合いがよくなったので、「このまま上がり続ければ儲かるだろう」という漠然としたイメージで売買している方が多いのが個人投資家の現状ではないかと思われます。

スタイルが見つからないのであれば、まずは株式市場全体が大きく下がるまで待つ転換点投資に徹した方がよいと思います。転換点だけでは満足できず、売買回数を増やしたいと考えているのであれば、次の転換点を待つ間にいろいろな投資スタイルを勉強して、自分にあった方法をみつけることからスタートするとよいと思います。


今日からの投資戦略 円安期待を取るか、上昇している事実を取るか?

2012年08月15日 20時05分16秒 | ケンミレコラム

2012年8月15日(水曜日) 15時29分 更新

 

■今回のまとめ

1)欧米景気の安心感につながる指標が発表された。
2)欧米株式市場も国内市場も反応は薄い。
3)円安になる期待もあるが、上昇中の事実を取って調整を待つ。

◆欧米景気にやや安心感が広がる

昨日、欧州連合(EU)統計局が発表した4-6月(第2四半期)のユーロ圏の総生産(GDP)の速報値では、前期比-0.2%、前年同期比-0.4%とマイナス成長となりました。マイナスではあったものの市場で予想されていた数値と同じだったため、予想ほどは悪くなかったという見方もありました。

また、米国では7月の小売売上高が前月比+0.8%と発表されて、4カ月ぶりの大幅な増加になりました。個人消費の回復を示した経済指標となったため、米国景気の安心感につながりました。

ただし、欧米の株式市場の反応は薄くなっています。

チャートを見ますと、欧米市場ともに小動きで横ばいになっています。サマーホリデイで市場参加者が少ないために動きが止まっている可能性もありますが、昨日の経済指標は良い方の材料だと考えられますので、良い材料に反応しにくくなっているかもしれません。

良い材料やニュースが発表されても、株式市場が反応しなくなることがあります。この動きから推測できるのは、さらに良い材料がなければ高値を買いたくないという反応ですので、株式市場が上昇して高値になっていると投資家が考えている動きといえます。

一方、債券市場では経済指標が良かったために金融緩和ムードが後退して、債券売りにつながっています。米国10年債は今年5月以来の水準まで利回りが上昇しています。

債券市場の動きを解説すると、債券が「売られた」のに利回りが「上がった」というので混乱する方がいます。株が売られたといえばチャートは下向きになるので、同じ感覚になるからでしょう。

上記のチャートは「利回りチャート」なので、上がっているのは債券の価格ではなくて「利回り」です。もしも債券の「価格チャート」を作れば、株と同じように債券単価は売られれば下がり、買われれば上がります。反対に株の「配当利回りチャート」を作ったら、株が売られると配当利回りが上がり、株が買われると配当利回りが下がるという逆相関のチャートになります。

現在の米国債の利回りチャートが上に向かっているのは、債券市場から資金が出ていっているということになります。安全な資産から出ていった資金は株式市場や商品市場に向かうことが多いので、最近使われる言葉でいうなら「リスクオン」になっていることを示します。

ところで、今の日経平均はNYダウにそれほど連動していませんが、米国債の利回りチャートに日経平均を上書きすると、驚くほど連動していることがわかります。

米国債の利回りが上昇しているのは、リスクオンの動きを示していることに加えて、FRBの金融緩和期待が後退しているためです。

8月のFOMCでは追加緩和がなかったのですが、9月に追加で金融緩和を実施するという予想が多くなっていました。しかしながら、今月発表された7月の雇用統計、昨日発表された小売売上高ともに数字としては良かったので、金融緩和期待が後退していることを示しているということになります。

米国の金利が下がらないとなれば、米国との金利差で動きやすいドル円相場も円安になりやすい状況になると考えられます。本日のドル円相場は、1ドル=78.80円程度になって直近の円安水準を超えているのも、米国の債券市場の影響が大きかったといえます。

◆事実を取るか、期待を取るか?

ここまでの状況を考えますと、米国景気に安心感が広がり、金融緩和期待が後退し、円安になり、売られている輸出株に見直しの買いが入って日経平均が上昇するという「期待」もできます。株式市場の下値不安も少なくなっていますので、このまま上がってしまいそうと感じる方もいると思います。

しかしながら、今回レポートした一連の流れは「誰でもわかること」です。誰でも考えられるという前提で株式市場の反応を見ますと、日経平均は上がらず、輸出関連株よりも内需関連株や材料株の一角だけが強いという正反対の展開になっています。

また、日経平均は底値から8%の上昇をしていますので、上昇中でいつ調整してもおかしくないということや、欧米株式市場が高値目前で止まっていることもチャートからわかる事実です。

期待と事実を天秤にかけますと、期待は裏切られることも多いですが、事実は変えられませんので、事実を取り続けることが負けない投資をするために重要であると思います。本日の動きから円安転換で株式市場の上昇を期待したいところですが、市場の冷ややかな反応から考えますと、事実を取って調整を待った方がよいと考えます。


9月に向けて現金比率を上げておいた方がよい理由

2012年08月10日 20時00分55秒 | ケンミレコラム

 

■今回のまとめ

1)日経平均には短期上昇波動が引かれている。
2)欧米株式市場は、年初来高値に近づいている。
3)日柄、上昇率、外部環境から考えて、現金比率を高めておく必要がある。

◆日経平均には+8%の短期上昇波動が引かれている

本日の株式市場は、昨日まで日経平均が4日続伸していた反動や週末要因からの手控えもあり、反落する展開となっています。

昨日は日経平均が一時9000円の大台を回復しており、7月4日の戻り高値9136円が意識される水準まで回復してきました。日経平均の日足チャートでは、「+8.1%」の短期上昇波動ラインが引かれていて、過去1年程度の短期波動の上昇率を平均すると、「10.44%」です。

いずれは上昇が止まり「短期下落波動」が引かれる調整が来るのですから、残りの上昇に期待するにはリスクがあると考えられます。

◆欧米株式市場の上昇はいつ止まるのか?

ようやく上昇してきた日経平均ですが、米国NYダウやドイツDAX指数などの主要な欧米株価指数は堅調な上昇が続いて、年初来高値水準が目前に迫っています。

欧米の株価指数と比べると日経平均の出遅れ感が強いため、9000円を超えて上昇するような気にもなります。しかしながら、外部環境をチェックしますと、欧米株価指数の「年初来高値」は、とても強い抵抗ラインになる可能性がうかがえます。

8月8日にフランスの中央銀行が、7-9月期のGDPが前期比で-0.1%になるとの見通しを発表し、リセッション入りの可能性が高くなっていると報道されています。ユーロ圏の経済規模2位のフランス、3位のイタリア、債務危機のギリシャ、スペインがリセッション入りとなれば、ユーロ圏全体としてリセッション入りとなる可能性が高いといえます。

9月に控えているイベントとして、9月12日には、ドイツ憲法裁判所が総額5000億ユーロの欧州安定基金(ESM)設立の是非について判決を出します。

また、ドラギ総裁の会見では、ECBによるイタリア、スペイン国債の買い入れは開始時期が早くて9月になるといっていますが、買い入れについて条件を決める必要があるとなっており、すんなりと決まるかどうかはわからない状態といえます。

したがって、現在は一服している欧州危機も、9月に入って波乱がおきる可能性は十分にあるといえます。イギリスでオリンピックが開催されていますので、欧州危機もオリンピックムードで休戦というわけではないと思いますが、これからが正念場と見ている専門家は多いのが現状です。

欧米株式市場にくらべれば日経平均は出遅れているわけですが、国内市場も外国人投資家中心ですから、欧米市場が調整になれば日経平均だけ逆行高になる可能性は少ないと思われます。

また、日米欧ともに6月上旬が底値ということは同じです。日経平均だけが途中に大きな調整をしていますが、3ヶ月程度の上昇期間が続いているということになります。株式市場では昔から「大回り3年、小回り3ヶ月」といわれており、経験側から日柄の目安とされています。

3ヶ月程度の上昇が続き、上昇率が大きくなり、年初来高値に近づき、欧州危機のイベントが控えているということになれば、「買って持つ」にはリスクがあると考えられます。上昇中に「現金化して待つ」ことはつまらなく感じると思いますが、現金比率を高くする戦略を取ることが必要になってくると思われます。

◆緊急開催 塩漬け株解消セミナー

当日は、あなたの塩漬け株をメモしてお持ちください。

株式市場が上昇してきましたので、今月は「塩漬け株解消セミナー」を緊急開催することになりました。

塩漬け株は金額的なダメージもさることながら、投資家の「気持ちがネガティブ」にしてしまうデメリットがあります。心機一転して株式投資の勝ち組になるために、株式市場が上昇しているうちに塩漬け株を解消することから始めましょう。

ケンミレソフトやサイトを実際に体験していただき、塩漬け株解消方法を体感できるセミナーです。
ご用意できるパソコンにも限りがございますので、各開催【10名様限り】とさせていただきます。お早めにお申込ください。

▼セミナーについてはこちらのイベント詳細ページをご覧ください。>>


 

レポート担当:ケンミレ株式情報 市原 義明