彩彩日記 作詞家/シンガーソングライター 大塚利恵のブログ

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大塚利恵の歌解説vol.4「涙のカギを開けて」

2020-08-23 10:32:04 | 大塚利恵の歌解説
『DISCOVER the 90's”第9弾アーティストとして、”大塚利恵”のサブスク全曲配信』を記念して、オリジナルソングの歌詞と解説を、一曲ずつご紹介しています♫

vol.4は、2nd.マキシシングルの表題曲、「涙のカギを開けて」です。
98年9月19日リリース。

涙のカギを開けて
作詞作曲:大塚利恵 編曲:笹路正徳 大塚利恵

あーあ 会えてよかったなんて
あーあ きっと一生言わない
似合わないって言われる前に
カギをかけよう いつものように

あーあ 好きと言うためのカギは
あーあ 今もかくれんぼのまま
絶対言わない 死んでも言えない
泣かないように 泣かないように

笑わないで お願いだから 涙のカギを開けてよ
世界中で いちばん悲しい 本も映画もいらない

あーあ 今日もカギ穴の跡を
あーあ あなたの絵の具で消したよ
得することはなくてもいいけど
泣かないように 泣かないように

笑わないで お願いだから 涙のカギを開けてよ
世界中の 誰も出来ない 恋や迷路はいらない

わたしが無理してること ひとつも気付いてないし
わたしが空を飛んでも 何にも言わないくせに

笑わないで お願いだから 涙のカギを開けてよ
世界中で いちばん悲しい 本も映画もいらない

世界中に響きわたる 夢や飾りはいらない
世界中で いちばんキレイな 思い出なんかいらない





アレンジ・プロデュース、ピアノ 笹路正徳さん(この曲も弾き語りのピアノアレンジがベースになっているため、私も共同アレンジでクレジットされています。)
E.ギター 土方隆行さん
A.ギター 吉川忠英さん
ベース 美久月千晴さん
ドラム 渡嘉敷祐一さん
ストリングス 金原千恵子ストリングス

みなさん言わずと知れた大御所なんですけど、当時は笹路さんはじめほとんどの方が今の私くらいの年齢、または年下。
なんだか信じられません。
当時もすでにものすごい巨匠でしたから。

ユニコーン、プリンセスプリンセス、スピッツ、、たくさんのアーティストのプロデュースをしている笹路さんのスタジオは、「笹路学校」と呼ばれているとのことでした。
実際、作業をしながらたくさんのことを勉強させていただきました。
ヴォーカルのレコーディングでは、ヘッドフォンのボリュームをミリ単位で指定され、歌も楽器のボリュームも、笹路さん指定の大きさで聞いて歌いました。
モニターの大きさとバランスによって、歌が本当に変わるので。

MIXがあがってスタジオの卓(ミキサー)の前で聞いた時は、椅子を左右スピーカーのド真ん中に縦一列に並べて聴きました。
バスの座席みたいにみんなで座って。
私が頭をゆらゆら動かしたら、後ろからピタッと止められて、「ここで聴いて!」と。
音が変わっちゃうからですね。
笹路さんのスタジオを経験して、繊細にいろんなことに神経を行き届かせるように、意識が変わりました。

この曲だったかどうか忘れたけど、レコーディングの時、笹路さんが腰を痛めていた日があって、ソファーに横になりながらディレクションしてくださったことがありました。
書いてると色々思い出すなあ。

この曲を録っていた時、ドラムの渡嘉敷さんが咳をして、でもそのまま演奏が続いてokテイクに。
MIXされてるから絶対わかりにくいけど、ものすっごい耳を立てて聞くと、どこかに渡嘉敷さんの咳が聞こえる、、、かも?

MIXを待っている間も笹路さんのスタジオは独特でした。
エンジニアさんが作業しているその数時間の使い方までプロデュースされている感じで。
「ウミガメのスープ」をみんなでやったことがありました。知ってます??
楽しかったなあ。

ああ、そうだ、スタジオで写真を撮っておけばよかったな。
ほとんど撮らなかったので。

デビューの前後に、私は安ますみ先生のヴォイストレーニングに通い始めていました。
笹路さんプロデュースでいうと岸谷香さん(元プリプリの)他、たくさんの生徒さんを導いている先生です。
この曲もレコーディング前にレッスンして、サビで音が下がるメロディの所で下がりすぎてしまうのを修正したのですが、笹路さんが気づいてくださって嬉しかったです。
安先生は、歌のみならず、いろんな面で私の生涯の師匠です。

さて、歌の内容の話。
「あーあ 会えて」
CDの歌詞カードでは、「ああ」って書かれてますね。
でも「あーあ」にすればよかったな。

「一生言わない」「似合わない」「絶対言わない」「死んでも言えない」「泣かないように」「笑わないで」「本も映画もいらない」
と、この歌、否定形の歌ですね。
強い気持ちを伝えたい時、否定形の方が伝わることが多いので、感覚的にそうなったんだと思います。
それにしても見事に否定否定否定だなーと、改めて思います。
「否定系」ってことにしましょうか。

恋愛なんてうまくいった試しがなくて、だからこういう歌になったのかも知れないですね。
そしてこんな風にいちいち重くて哲学するから、うまくいかなかったんでしょうね。笑

ジャケットは、茨城のゴルフ場で撮影しました。
茨城は地元ですが、実家からはかなり遠い場所だったので、南か南西の方かな。
確か雨上がりだったと思います。9月リリースなので夏の撮影だったはずだけど、割と肌寒くて。
撮影中にお弁当をがっつり食べ過ぎて、ぴったりしたタンクトップのお腹のところがポッコリ目立っちゃって、
「一本、(腹の)線、消しといてもらったよー」ってマネージャーさんに言われた覚えがあります。
ま、どうでもいい情報ですけれど。笑
丸いピアノは黄色くなって再登場。
これは前回シングルの水色のまま撮影して、PCで色を変えてます。

PVは女性のストリングス・カルテットと、撮影スタジオで。
確か、自然光を利用したりして、ナチュラルな感じだったような。
これまたビデオ紛失していて長いこと見ていないのですが。

他の方に提供した歌詞ならきっともっと色々語れるんですけど、オリジナルの歌詞はどうしても、「書いてある通りです」という感じになっちゃうなあ。
何か質問がある人、もしいらっしゃったらぜひ連絡くださいね。

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